地域密着型サービスは、平成18年4月の介護保険の改正により新しく創設されました。だれでも住み慣れた場所でできる限り過ごしたいと思いますね。それを踏まえて創設された介護サービスです。当時は14万人ほどの利用者でしたが、現在、地域密着型サービスを受けている人数は倍以上に増えています。では、地域密着型サービスについてもう少し深く踏み込んでみましょう。
Contents
地域密着型サービスとは
地域密着型サービスとは、できる限り自宅または地域で生活を続けられるように市町村単位で小規模な事業者がサービスを提供しています。そのため、比較的利用者のニーズにこたえられる仕組みになっています。一般的なサービスとの違いは地域密着型サービスが指定・監督が市町村長であるのに対し、一般的なサービスは広域サービスで指定・監督は都道府県知事が行います。
また、一般の居宅介護サービスは訪問介護や訪問看護では、時間を決めてサービスを行いますが、地域密着型の居宅サービスでは24時間体制の緊急対応や短時間、複数回訪問などができて訪問間隔が決まっていないので利用者に合わせた柔軟なサービスを行うことができます。
そして、通い、泊り、訪問の3つのサービスを組立合わせて包括的なサービスを行っているので、より質の高いサービスを独自に提供しています。
地域密着型サービスの特徴と種類は
地域密着型サービスで行われているサービスの特徴や種類について紹介します。
地域密着型サービスの特徴
地域密着型サービスの特徴は次の3つの点です。
①対象となる人は地域の人のみ
65歳以上の要介護認定を受けている人
40~65歳未満の特定疾病により要介護認定を受けている人
原則としてサービス事業者と同一の市町村に住民票がある人
②市町村単位の小規模なサービス
地域密着型サービスでは、市町村が指定や監督を行い、さらに細分化することで地域のニーズに添ったサービスを行うことができます。地域包括システムが2010年よりその構築を提唱され、今まで以上の住民の生活に結びついた医療や介護のサービス提供が求められています。
③施設では地域の住民との交流が持てる場所に建てられている
地域密着型サービスの施設系サービスは小規模な施設で、住み慣れた地域の人とのかかわりを持ち、支えあえるような場所に立地されています。
地域密着型サービスの種類
地域密着型サービスには、次の12種類のサービスがあります。
●小規模多機能型居宅介護
小規模多機能型居宅介護とは、「通い」のサービスを中心に「訪問」「泊り」のサービスを組み合わせて行われています。通いは利用者が自分に行きたい時間に合わせて自由に通所サービス(時間自由の通所サービス)を利用できます。食事のみや入浴のみの利用でも構いません。
「訪問」は訪問介護サービス、「泊り」はショートスティと同じサービスで、3つのサービスを同一の事業者が行います。利用者は要介護1~5の人です。
●看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)
小規模多機能型居宅介護サービスに訪問看護も加わり、看護と介護が連携をとって医療が必要な人へサービスを行います。
●定期巡回・随時対応型訪問介護看護
訪問看護と訪問介護が一体となって24時間365日緊急体制が整っていて、1日複数回の訪問が可能です。そのため、医療的なケアが必要な人への対応が可能です。
●夜間対応型訪問介護
利用者の自宅には夜間に対応できるケアコールを設置して、具合が悪くなった場合はコールボタンを押すとすぐにオペレーターが対応しています。夜間対応時間は原則午後10時~午前6時です。
●地域密着型通所介護
定員18名以下の小規模なデイサービスです。施設に食事や入浴、排泄などの身の回りのお世話をして、機能訓練を行うサービスです。
●認知症対応型通所介護
12名以下の認知症の高齢者を対象にした通所介護で、認知症の人に合わせて個別介護も可能です。通所施設にて食事や入浴、排泄の世話や機能訓練を行っています。利用者は要介護1~5の人です。
●認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
1ユニット9名までの少人数の認知症の高齢者が共同で生活する施設です。利用者が共に家事を行い、地域住民との交流も行うことで認知症の症状が緩和されることを目的としています。
●地域密着型特定施設入居者生活介護
定員29名以下の小規模で運営される介護つき有料老人ホームや軽費老人ホームです。少人数の入居者を対象に食事、入浴、介護サービス、機能訓練などを行います。
●地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護
入所者は常時介護が必要な人で定員が30名未満の特別養護老人ホームです。食事や入浴などの生活支援サービスや機能訓練、療養上のお世話を行っています。
●介護予防認知症対応型通所介護
認知症対応型通所介護と同じサービス内容ですが、要支援1、2の人が利用することができます。
●介護予防小規模多機能型居宅介護
小規模多機能型居宅介護とサービス内容は同じですが、要支援1、2の人が利用することができます。
●介護予防認知症対応型共同生活介護
認知症対応型共同生活介護とサービス内容は同じですが、要支援2の人が利用することができます。
指定地域密着型サービスと地域密着型サービスの違いは
指定地域密着型サービスとは、市町村長の指定をうけ、監督のもとに介護保険を利用した地域密着型サービスを行っている事業者のサービスのことです。
指定を受けると、介護給付をほとんどの利用者に対して9割を市町村から給付を受けることができます。指定地域密着型サービスは、介護予防地域密着型サービスを除いた9種類のサービスのことです。
地域密着型サービスは、指定地域密着型サービスと介護予防地域密着型サービスをすべて含めた12種類のサービスのことです。
地域密着型サービスと事業者
事業者が運営推進介護を設置
地域密着型サービスは、国が推奨している地域包括ケアシステムの中心となるサービスです。今後ますます推進されると考えられます。地域密着型サービスでは、事業者が地域住民と運営推進会議を開いてサービス内容を開示し、サービスの資質の向上や地域との連携を図る目的で行われます。
推進介護の開催頻度はサービス種別によって異なります。
推進介護の開催頻度
地域密着型通所介護と認知症対応型通所介護・・・6か月に1回以上
定期巡回・随時対応型訪問介護看護・・・・・・・3か月に1回以上
小規模多機能型居宅介護・看護小規模多機能型居宅介護・認知症対応型共同生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護・地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護・・・2か月に1回以上
地域密着型サービスは利用者の要望に沿ったサービスですが、事業者としてはサービス内容が広く緊急時の対応や時間帯が24時間365日で人材不足のため、対応していくことが難しいという意見が出ています。
定員が少ないため介護報酬も少なく、採算が取れずに運営していくことが困難といった継続の難しさも課題としてあげられます。また、利用者としては地域密着型サービスに移行することでケアマネージャーが変わることに不満を覚える人や夜間対応はサービス単価が高くて利用するかわからないのに支給限度枠を開けておく必要がないなどの意見が見られます。
まとめ
平成18年より始まった地域密着型サービスは、住み慣れた地域や自宅でサービスを受けることが理想として始まりました。そのため、国や地域で今後も地域包括支援システムの中心である地域密着型サービスを推進していくことが考えられます。人材不足や地域さなど様々な課題はありますが、ボランティアなどの地域資源も活用しながら推進を期待されているサービスです。
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