せん妄は薬でよくなるの?薬物治療法の一覧は?

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急に訳の分からないことを言い出す、興奮する、暴れるなど、せん妄状態を改善するにはどうしたら良いのでしょうか?
ここではせん妄の症状から治療方法、副作用、使用に際するガイドラインをまとめています。

 

せん妄の薬物治療とは

せん妄の薬物治療とは、主に《抗精神薬・抗うつ薬・抗不安薬・睡眠薬》などの向精神薬を使用してせん妄の症状改善や緩和を行う治療をいいます。
せん妄は認知症と混同されやすい点も多いので、せん妄の基礎知識と基本的な治療方法について確認しておきましょう。

せん妄とは

せん妄は何らかの原因で意識障害が起こり判断力や認知機能、行動などに異常が出ている状態です。
認知症と混同されやすい症状ですが、認知症が脳の異常・知的機能の異常であるのに対して、せん妄は意識の異常になります。
せん妄の特徴は認知症に比べて発症時期がわかりやすく急激な変化が起こります。症状は一時的または特定の時間に繰り返し起きたりします。

せん妄の治療方法

薬物治療:考えられる原因を考慮しながら、薬を用いてせん妄として現れる症状を改善、緩和などのコントロールを行います。
非薬物治療:薬を使わずに関わり方によって症状の改善を目指します。穏やかに声をかけたり行動を見守ったり、混乱しないような環境や関わり方をします。
原因根治:原因となる病気やストレス源などを発見し改善することで根本的な原因を除去します。

せん妄の原因

臓器の異常:脳疾患、腎不全、肝不全、心不全、呼吸不全、甲状腺疾患、糖尿病、脱水、悪性腫瘍など臓器の異常により意識障害が起きることによってせん妄の症状を引き起こすことがあります。
薬の影響:薬の副作用や精神薬などが原因でせん妄症状が表出することがあります。臓器の異常と同じように、薬によって臓器の機能が障害を受けたり脳に影響を与えることで意識障害が起きせん妄の症状を引き起こします。
ストレス(環境の変化、死別、混乱、睡眠不足):ストレスや睡眠不足によってせん妄のような症状が現れることがあります。ストレスや睡眠不足によって脳が疲弊し意識に障害が生じると考えられます。

せん妄の症状

幻視幻聴や妄想:ありもしないものがあると言ったり聞こえると言ったり、妄想のようにわけのわからないことを言ったりします。認知症のように脳の異常によってありもしないものが可視化して見えているというより、意識の混濁により目の前にあるものが何か判断できず混乱や思い込みが起きている状態です。
興奮状態:大声、暴力、そわそわするような状態が見られます。内的要因による場合と外的要因による場合があり、内的要因の場合は内蔵や神経の異常により感情が抑えられなかったり落ち着かなくなったりします。外的要因は周囲の環境や人に言われたことなどに誤解や妄想などが合わさり混乱して興奮状態になります。
認知機能の低下:話がかみ合わなくなる、言ったことを忘れる、わけのわからない話をするなどが見られます。認知症との違いは、酔っ払った人が同じような状態であるように、脳自体の異常ではないのでその状態が改善すれば症状も収まります。
その他:睡眠リズムの障害、意識の混濁、低活動症状など

せん妄の薬物治療の一覧

抗精神薬

代表的な薬剤:リスパダール、ルーラン、セロクエル、ジプレキサ、アピリファイ他
特徴:不安や緊張、興奮の症状を緩和し、不安定な精神を整えます。統合失調症の躁状態の治療に用いられることが多く、活動量の低下や過鎮静などに注意が必要です。

抗うつ薬

代表的な薬剤:リフレックス、テトラミド、レスミン他
特徴:せん妄のうつ状態や低活動状態が見られた場合に用いられます。抗うつ薬は向精神薬(抗精神、抗うつ、抗不安、睡眠促進剤などの総称)の中でも転倒リスクが高く、使用に際して注意が必要です。

抗不安薬

代表的な薬剤:エチゾラム(デパス)、クロチアゼパム、セルシン他
特徴:不安や緊張を緩和します。抗精神薬が興奮を緩和するのに対して、抗不安薬は不安な気持ちを緩和します。
依存性が高く使用開始の際だけではなく中止する際にも注意が必要です。

睡眠薬

代表的な薬剤:トリアゾラム、ニメタゼパム、クアゼパム他
特徴:睡眠薬には大きく2つのタイプがあります。「寝付きをよくする」睡眠薬と「眠りを持続させる」睡眠薬です。
「寝付きをよくする」睡眠薬は寝付くまでが難しく、一度寝てしまえば睡眠モードに切り替わるような人に適しています。認知症や夜間せん妄などで寝付けない人でも一度眠くなって寝てしまえば夜のうちは眠っていられるということがよくあります。
「眠りを持続させる」睡眠薬は長い時間持続して眠い状態が続く効果があります。寝てもすぐ起きてしまう人や一度起きるともう寝なくなってしまう状態の人に使われることがあります。
睡眠薬の注意点として、「眠くなっても眠るとは限らない」ということは必ず頭に入れておきましょう。睡眠薬で眠らないということは意識が朦朧とした状態です。薬によるせん妄状態を引き起こしたり、転倒してしまう可能性もあります。
眠りを持続させる薬はこのリスクも高まるため一般的には効果の軽い「寝付きを良くする薬」から処方されます。

せん妄の薬物治療の副作用

せん妄の薬物治療には向精神薬(抗精神、抗うつ、抗不安、睡眠)が使用されることが多く、ここでは向精神薬に共通する副作用、薬の使用に対するリスクとしてまとめています。
各薬にはそれぞれの副作用があります。詳細については各薬剤の副作用を確認してください。

副作用1 転倒

向精神薬の多くはめまいやふらつきを生じる薬が多く転びやすくなります。せん妄の症状が改善されていないままふらつくことで転倒のリスクはさらに高まることがあり注意が必要です。

副作用2 低活動・無気力

興奮状態や活動を沈静化するために向精神薬を使用することがありますが、効き過ぎると低活動状態、無気力な状態になることがあります。一日中眠そうにしていたり無気力な状態、ひどいと廃人のようになってしまうこともあります。

副作用3 依存性

向精神薬の中には依存性のある薬剤も多くあります。薬が切れると禁断症状が現れるため使用量が増えていくこともあります。薬を中止する時に強い禁断症状が現れることもあるので医師の指示無しに薬を中止することは絶対に避けましょう。

副作用4 薬剤せん妄

向精神薬は中枢神経(脳や脊髄)に作用してせん妄症状の改善を図るのですが、それが的確に効くとは限らずかえってせん妄の症状が悪化したりすることがあります。

副作用5 パニック処方(過剰処方)

パニック処方(過剰処方とも)は薬の副作用というより医療従事者の問題でもあるのですが薬物治療の副作用として挙げさせていただきます。
パニック処方は向精神薬を使うことで別の症状が出たり、変化がないということで量や種類を追加していくうちに、せん妄の症状なのか薬による副作用なのかわからなくなり気づくと多種多量の薬を飲まされているという状態です。
「せん妄の薬物治療のガイドライン」でもご紹介しますが、向精神薬は多種併用を避けて少量ずつ使用するのが基本です。パニック処方は患者のパニックではなく、処方している医療従事者が患者の状態を把握できず薬を多用している様子がパニックに陥っているように見えることからそう呼ばれています。薬の種類や量が多く処方に不安がある場合はセカンドオピニオン(別の医療機関の医師)に相談することをおすすめします。

せん妄の薬物治療のガイドライン

「かかりつけ医のためのBPSDに対する向精神薬使用ガイドライン」というものが厚生労働省から発行されています。ここでは向精神薬の使用ガイドラインとして参考にし、まとめています。

非薬物的介入を最優先にする

向精神薬を使用する場合は非薬物療法を先または並行して行うなど、非薬物療法を優先して行います。
せん妄における薬物治療はせん妄症状の原因を治療するのではなくせん妄の症状を改善、緩和するために行われます。向精神薬には副作用も多く、できる限り非薬物で対応したほうが患者への負担を減らすことにもなります。
使用する場合は低量から試し、様子を見ながら調整します。

症状がなくなるまで使わない

せん妄の薬物治療は症状を改善、緩和するために行います。症状の消失には原因となる疾患の根治が必要となり、根治しても症状がなくなるとは限りません。せん妄の症状を完全になくそうと薬の種類や量を増やしていくと廃人のようになったり、精神のバランスが崩れさらに対応が困難な状態になってしまう事例が多々あります。

せん妄の薬物治療の目的

抗精神薬は脳の機能正常化することを目的としています。これはせん妄の症状が正常化するという意味ではありません。
脳の機能が正常化しても異常な不安感や落ち込みがあればやはり別の異常な行動として現れてきます。逆に、脳の機能が正常化したからこそせん妄の症状が混乱として強く出てしまうこともあります。
せん妄の治療薬は患者を「おとなしくさせる」薬ではないことは理解しておきましょう。

まとめ

せん妄は症状によって介護する人、家族にとってとても負担になることがあります。非薬物療法を優先といっても薬を使うことが悪いことではありません。興奮状態や妄想などの症状は介護をする家族にも多大な負担を与えます。薬によって緩和されている人もたくさんいます。非薬物療法と薬物療法のどちらも大切なものです。薬の力を借りながら薬だけに頼らずバランスよく併用していくことが大切ではないでしょうか。

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