誰にとっても必要な時が来る介護保険。発足以来3年ごとに定期改定されており、2018年にて7回目を控えています。そこで立ち上げられた「第7期計画」では、様々な改革が行なわれることになりました。
それらの改革案を見逃さないためにも、介護保険の基礎となる被保険者のことを、更には第2号に絞って説明します。
Contents
介護保険第2号被保険者とは
介護保険第2号被保険者の定義
介護保険において被保険者は第1号と2号に分かれています。
介護保険は日本国内在住者に課されるもので、もう一方の第1号被保険者は65歳の誕生日を迎えた際、自動的に権利と義務が生じますが、第2号は異なる点が多々あります。
第2号被保険者の条件
以下の条件を以て、介護保険第2号被保険者となります。
(1)40~64歳
(2)医療保険加入者
(3)日本国内在住者
第1号被保険者が高齢者であることに対し、労働年齢も含めた広い範囲になります。
また、規定年齢になれば自動的にその義務を課されるのではなく、医療保険加入者であるとの条件が加わる点でも、第1号被保険者とは異なっています。
保険給付を受けるには
要介護認定と特定疾病
第2号被保険者の特徴は、保険給付を受ける際は、介護の理由が「特定疾病」によるものか否かを判明させなければいけない点です。
第1号被保険者の場合は心身の不自由さを感じるだけで、要介護認の判定を受けることが出来ましたが、第2号被保険者は、その理由が特定疾病が原因であると、判明させる必要があります。
何が特定疾病に当てはまるかは、国が規定しています。
特定疾病一覧
以下の疾病に該当するとの医師の診断があれば、介護認定を受ける権利となります。
( 1)末期がん
( 2)慢性関節リュウマチ
( 3)筋萎縮性側索硬化症
( 4)後縦靭帯硬化症
( 5)骨粗鬆症(※骨折伴うもの限定)
( 6)認知症(※初老期のもの限定)
( 7)パーキンソン病(ホーエン・ヤール4以上のレベル)および関連疾患
( 8)脊髄小脳変性症
( 9)脊柱管狭窄症
(10)早老症
(11)多系統委縮症
(12)糖尿病性疾患3種類(神経障害・網膜症・腎症)
(13)脳血管疾患
(14)閉塞性動脈硬化症
(15)慢性閉塞性肺疾患
(16)変形性関節症(両側の股関節または膝関節に著しい変形あるもの)
介護認定
上記の疾病項目に当てはまることが医師により証明されれば、介護認定の申請が可能です。
以下は流れ図です
認定の流れ
第2号被保険者:申請
↓
市区町村の役所:医師へ意見書作成依頼・申請者へ訪問調査)
↓
医師(作成した意見書を市区町村提出)
↓
訪問調査結果:1次判定(コンピューターの計算で介護にかかる時間を計測)
医師意見書 :2次判定(上記結果と共に介護認定審議会で会議)
↓
「要介護認定・要支援認定等結果通知書」送付
いずれかの判定結果
( 1)自立(給付の必要なし)
( 2)要支援(2段階):予防給付
( 3)要介護(5段階):介護給付
介護保険第2号被保険者の保険料
保険料額決定のシステムとは
平均額
月額約2600円。
2015年調査での第2号被保険者の全国平均額です。
これは常に変動するおそれがあります。
介護給付費
介護保険サービスに必要な財政である「介護給付費」は、被保険者からの納付の他、国や都道府県からの負担金により確保されます。それぞれが負う比率は全国共通です。
( 1)国:25%
( 2)都道府県:12.5%
( 3)市区町村:12.5%
( 4)第1号被保険者:22%
( 5)第2号被保険者:28%
保険料算出式
上記の比率から、保険者である市区町村内で必要とされる額の中で第2号被保険者の負担額が算出されます。
市区町村内介護給付費の28%/第2号被保険者人口=第2号被保険者保険料基準額
この額の徴収は、第2号被保険者達が加入している医療保険の保険者から行なわれます。
対象となるのは以下の5種類です。
対象5種
( 1)協会けんぽ
( 2)船員保険
( 3)共済組合
( 4)健康保険組合
( 5)国民健康保険
保険料決定(国民健康保険)
対象者の所得に応じた、「所得割」「均等割」「平等割」の合計から求められます。
保険料決定(国民健康保険以外)
国民健康保険以外は、介護保険料を算出するための「介護保険料率」を持っています。これは保険組合毎でもまた年度毎でも変動があります。
前述の第2号被保険者保険料基準額をそれぞれの医療保険へ送り、医療保険の運営側で、介護保険料率を決定し、標準報酬月額に掛けます。
(標準報酬月額+標準賞与額)×介護保険料率=介護保険料)
算出された介護保険料は、雇用者と折半となるため、半額が最終的な介護保険料となります。
保険料徴収の方法
算出された介護保険料は、医療保険料に上乗せされて徴収されます。
その後、「社会保険診療報酬支払基金」へと各々の保険者から贈られ、介護保険の財源となります。
介護保険第2号被保険者の介護保険のサービス内容
保険による区分け
介護保険によるサービスは、大別すると6つに分かれます。
更に類似のサービスも行なわれています。
介護保険の種別による種別が2つ。
要介護認定を受けた利用者に対する介護給付サービス。
要支援認定の予防給付サービス。
指定と監督を行なう機関によって、その双方が更に2分割。
正確には介護保険では無いものの、類似したサービスも2種存在します。
サービス自体は、第1号も第2号も内容は同一となります。
都道府県・政令市・中核都市による指定・監督のサービス
介護給付サービス
大別して3種類。各サービスには更に様々な介護事業所に分けられます。
(1)居宅介護
(2)特定施設入居者生活介護
(3)居宅介護予防
予防給付サービス
「介護予防サービス」が中核となります。上記同様に細分化されますが、長期間の入所による施設サービスはありません。
◎介護予防サービス
市町村の管轄による指定・監督のサービス
介護給付サービス
◎地域密着型介護サービス
予防給付サービス
(1)地域密着型介護予防サービス
(2)介護予防支援
共通サービス
介護給付にも予防給付でも付与されるサービスです。
(1)福祉用具購入費支給
(2)住宅改修費支給
介護保険第2号被保険者に該当しない人
介護保険第2号被保険者に該当しない人
介護保険の2号保険者には国が定める加齢を原因とする特定疾病(16種類の特定疾病)により介護または支援が必要な状態となった場合に、介護保険サービスを利用することができます。では、この2号保険者に該当しない人とはどのような場合に当てはまるのでしょうか。
■介護保険の2号保険者に該当しない場合とは
介護保険の第2号被保険者とは、40歳以上65歳未満で、なおかつ医療保険(健康保険組合、全国健康保険協会、市町村国民保険など)に加入していることが条件となります。しかし、40歳以上65歳未満でも介護保険第2号被保険者とならない場合がありますので気をつけましょう。
介護保険第2号保険者に当てはまらない方は以下の①~③の場合です。
① 海外勤務者で、居住していた市町村に海外転出届を提出している方。
② 外国人の方で、在留資格または在留見込み期間が3カ月以下の短期滞在の方。
③ 身体障害者の方で身体障害者手帳の交付を受けており、身体障害者療護施設などの介護保適用除外施設に入所している方。
上記の①~③のいずれかに該当する方は、第2号被保険者の資格を喪失(逆の場合は取得)するので、「介護保険第2号被保険者資格取得・喪失届」を市町村に提出しなければなりません。
介護保険第2号被保険者の注意点
医療保険未加入
介護保険未加入になる
「介護保険は全ての日本国内居住者が対象。強制加入」とある反面、第2号被保険者には、「医療保険加入者」なる条件が課されます。
「では40~64歳ではあっても医療保険に入っていない者は第2号被保険者では無いのか」
との疑問が湧きます。
実際、医療保険未加入者である生活保護受給者は、40歳以上でも、「介護保険第2号被保険者」の扱いになりません。
しかし、介護サービスを受けられないわけではありません。
介護扶助費
第2号被保険者として扱われませんが、代わりに「介護扶助費」が政府から支給されます。
一般の介護保険同様、9割支給1割負担となり、その負担分も同様に支給。
その後65歳になると生活保護受給者も、第1号被保険者として扱われるのです。
介護保険請求は世帯ごと
第2号被保険者は医療保険加入によって成り立つので、介護保険の請求もそれに合わせて、世帯ごとの請求となることが殆どです。
即ち、第1号被保険者は請求が個々人に来るので、夫婦でも支払いは別々で、扶養下にあっても自分で払うことになっています。
対する第2号被保険者は、医療保険加入者に対するものなので、配偶者の様な扶養下にある者に直接請求受けず、加入者が自分の分とまとめて負担することが殆どです。
まとめ
社会の中核を担う世代の第2号被保険者。それ故、介護保険の負担割合も大きく、保険料やその変動も煩雑になっています。
しかし保険の対象となる特定疾病が、いつ自らの身に起きるか分かりません。かくいう筆者も神経難病を患い、要介護者生活を送っています。
本年度の改定案がどう動いていくのか、介護保険の行方からは目を離せません。
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