仏壇の飾り方って実際どうなの?
仏壇の管理をしなくてはいけなくなったとき、どうやって飾って良いのか分からない人が多いのではないでしょうか。親の他界や施設入所をきっかけに仏壇を引き継ぐという場合があります。仏壇の飾り方について宗教的な意味や決まり、一般的な考え方について確認してみましょう。
仏壇の飾り方とは
仏壇の意味
仏壇は基本的に各宗派のお寺の本堂に似せて作られています。家庭用の仮の本堂(仏壇)にご本尊を祀り、実際にお寺に行かなくても家でお参りをして故人やご先祖様と対話をすることができると考えられています。仏教的な言い方をすると、拝むことで「生きている、生かされていることがありがたいことであること」を確認し、親やご先祖に感謝をします。(宗派によります)
ご本尊に対する考え方は各宗派によって異なります。ご本尊は木彫りの像や掛け軸などに書かれた絵を用います。
基本的な飾り方として最上段の中心にご本尊、その両脇「脇侍軸」(各宗派の宗祖の肖像画や名号などの掛け軸)をかけ、それより下の段にお供え物やそれに関連した仏具をおきます。
宗派による違い
仏壇の飾り方は宗派によって異なります。長い年月の中で仏教に対する考え方や学び方の違い、役割の違いなどから分かれています。日本には13の代表的な宗派がありますがその中でも更に数多くの分派があります。それぞれの考え方が違うので仏壇の飾り方に対する考え方も違います。ここでは代表的な飾り方としてまとめていますがご自身やご実家などが宗派やしきたりなどに強い関係性がある場合はその宗派の関係者に確認して下さい。
仏壇の飾り方 宗派ごと
仏壇の飾り(祀り)方として、基本的には最上段の真ん中にご本尊、左右に脇侍軸を飾ります。各宗派の飾り(祀り)方の一番の違いはご本尊と開祖(宗派の)や名号(仏や菩薩の称号)です。ここではその違いと各宗派の特徴をまとめます。
※宗派の分派や地域などにより違いがあります。
浄土宗(ジョウドシュウ)
ご本尊:阿弥陀如来(アミダニョライ)
右:善導大師(ゼンドウタイシ)
左:法然上人(ホウネンショウニン)
特徴:浄土宗の仏壇では位牌を使用しません。代わりに「過去帳」や「法名軸」というものを使用します。
浄土真宗(ジョウドシンシュウ)
東本願寺派(大谷派)
ご本尊:阿弥陀如来(アミダニョライ)
右:十字名号・帰命尽十方無碍光如来(ジュウジミョウゴウ・キミョウジンジッポウムゲコウニョライ)
または 親鸞聖人(シンランショウニン)
左:九字名号・南無不可思議光如来(クジミョウゴウ・ナムフカシギコウニョライ)
または 蓮如上人(レンニョショウニン)
特徴:浄土宗同様に位牌を使用しません。代わりに「過去帳」や「法名軸」というものを使用します。
浄土真宗は金仏壇という金できらびやかに装飾された仏壇を使用します。金の装飾も全体か一部かなど西本願寺と違いがあります。
西本願寺派(本願寺派)
ご本尊:阿弥陀如来(アミダニョライ)
右:十字名号・帰命尽十方無碍光如来(ジュウジミョウゴウ・キミョウジンジッポウムゲコウニョライ)
または 親鸞聖人(シンランショウニン)
左:九字名号・南無不可思議光如来(クジミョウゴウ・ナムフカシギコウニョライ)
または 蓮如上人(レンニョショウニン)
特徴:浄土宗同様に位牌を使用しません。代わりに「過去帳」や「法名軸」というものを使用します。
融通念仏宗(ユウズウネンブツシュウ)
ご本尊:十一尊天得如来(ジュウイッソンテントクニョライ)
右:良忍上人(リョウニンショウニン)
左:法明上人(ホウミョウショウニン)
特徴:ご本尊に阿弥陀如来を中心に十体の菩薩がまわりを取り囲でいる様子を描いた掛け軸を使います。十一尊天得如来または天得如来十一尊迎合図と呼ばれます。
時宗(ジシュウ)
ご本尊:阿弥陀如来(アミダニョライ)
右:一遍上人(イッペンショウニン)
左:真教上人(シンキョウショウニン)
特徴:浄土系の宗派ですが位牌を使用します。
日蓮宗(ニチレンシュウ)
ご本尊: 大曼荼羅(ダイマンダラ)または三宝尊(サンポウソン)
右: 鬼子母神(キシボジン)
左: 大黒天(ダイコクテン)
特徴:大曼荼羅の他に日蓮上人の像をおくこともあります。日蓮上人の像はかならずしも必要ではありません。
天台宗(テンダイシュウ)
ご本尊: 基本的には釈迦如来だがそれぞれが信仰する仏様で良い。
右: 天台大師(テンダイダイシ)
左: 伝教大師最澄(デンギョウダイシサイチョウ)
特徴:天台宗ではそれぞれが信仰する仏様でよいとされています。
一般的に多いご本尊は釈迦如来像です。
真言宗(シンゴンシュウ)
ご本尊: 大日如来(ダイニチニョライ)
右: 弘法大師空海(コウボウダイシクウカイ)
左: 不動明王(フドウミョウオウ)
特徴:真言宗は多くの宗派が集まってできています。それぞれの宗派によっての違いはありますが仏壇について基本的に特に決まりなどはありません。
臨済宗(リンザイシュウ)
ご本尊: 釈迦牟尼仏(シャカムニブツ)
右: 達麿大師(ダルマタイシ)
左: 各派開山・・分派がたくさんあり、各派の開山になります。
特徴:臨済宗にもたくさんの宗派がありますが、ご本尊は釈迦牟尼仏で共通です。
曹洞宗(ソウトウシュウ)
ご本尊: 釈迦牟尼仏(シャカムニブツ)
右: 承陽大師道元(ジョウヨウダイシドウゲン)
左: 常済大師瑩山(ジョウザイダイシケイザン)
特徴:曹洞宗のご本尊は仏教の開祖でもある釈迦如来ですが、お仏壇の本尊は決まっておらず、各寺の由緒によって異なります。一般家庭のお仏壇では釈迦牟尼仏を祀るのが一般的です。
仏壇に飾る仏具の種類
ご本尊
ご本尊とは信仰の対象になるもので、仏壇に必要なご本尊は掛け軸などに書かれた絵や文字か像です。信仰対象は各宗派によって異なります。
脇侍軸(ワキジジク)
ご本尊が真ん中にあり、その両脇に飾る掛け軸で、開祖や名号などが書かれています。
香炉(コウロ)
線香や抹香を焚く際に使用します。香炉にも前香炉、長香炉、玉香炉などがありますが仏壇では前香炉を使用するのが一般的です。
花立(ハナタテ)
お供えする生花や常花を飾るのに使用します。
燭台(ショクダイ)
ロウソクを立てるのに使用します。最近は安全のためロウソク型の電灯を使用することもあります。
仏飯器(ブッパンキ)
お供えする米飯を盛り付けるために使用します。米飯は炊きたてのものを使用します。できれば毎食新しいものをお供えします。
茶湯器(チャトウキ)
お供えするお水やお茶をいれるために使用します。浄土真宗ではお水をお供えしないので使用しません。
仏器膳(ブッキゼン)
お供えする仏飯器や茶湯器を乗せるために使用します。
高杯(タカツキ)
お菓子や果物などをお供えするときの台として使用します。高月と書く事もあります。
鈴(リン)
「チーン」という音が鳴る仏具です。本来読経のはじめと終わりや区切りを知らせるために使用します。
線香差し
線香の入れ物です。
マッチ消し
ロウソクに火をつけたマッチを捨てるための入れ物です。マッチの残り火や再燃を防ぐ役割もあります。
吊燈籠(ツリトウロウ)
仏壇の天井から吊るし仏壇が明るくなるように照らします。
瓔珞(ヨウラク)
仏壇の天井から吊るすきらびやかな装飾です。
常花(ジョウカ)
金属で出来た花の飾りです。一般的には金色で蓮の花を模して作られています。
枯れない花、永遠に咲き続ける花。という意味があります。
霊供膳(レイグゼン)
命日やお盆、お彼岸などに精進料理をお供えするときに使います。一膳だけお供えする場合とご本尊とご先祖の2膳お供えする場合があります。
過去帳(カコチョウ)
亡くなられた方の戒名・法名、俗名、死亡年月日、享年などを書いておくのに使います。
仏壇の飾り方の基本手順
基本的な手順
※仏壇には様々な形が有ります。また宗派によっても細かいしきたりや仏具の違いがあります。ここではあくまで基本的な仏具の飾り方、基本的な手順としてまとめてあります。
初めに:
吊燈籠・瓔珞などを仏壇の天井に取り付けます。
最上段:
仏壇最上段にご本尊と脇侍軸を安置します。
ご本尊が仏像の場合、脇侍軸をご本尊の両脇に来るように掛けて仏像を安置します。
ご本尊が掛け軸の場合はご本尊の掛け軸が真ん中に来るようにして掛けます。
2段目:
位牌を安置します。位牌は基本的にご本尊の一段下になります。
右か左寄りで、ご本尊や脇侍軸が隠れないように安置します。
3段目:
真ん中に仏飯器、茶湯器、仏器膳などを置きます。
4段目:
真ん中に高杯、両脇に花立てを置きます。
経机:
仏壇の前に経机を置きます。
奥の脇へ過去帳を置きます。
机の中程に燭台を置きます。
机の手前に香炉を置き、右脇に鈴を置きます。
邪魔にならないところに線香立てやマッチ消しなどを置きます。
小さい仏壇の場合
最上段:
仏壇最上段にご本尊と脇侍軸を安置します。
ご本尊が仏像の場合、脇侍軸をご本尊の両脇に来るように掛けて仏像を安置します。
ご本尊が掛け軸の場合はご本尊の掛け軸が真ん中に来るようにして掛けます。
2段目:
真ん中に仏飯器、茶湯器、仏器膳などを置きます。
右か左側に位牌をご本尊や脇侍軸が隠れないように安置します。
3段目:
真ん中に高杯を置きます。
右脇に過去帳を置きます。
左脇に花立を置きます。
最下段等:
仏壇によって引き出し式の段が出てきたり小さな経机タイプを置くこともあります。
最下段にはお参りに使う燭台、香炉、線香入れ、鈴等を置きます。
基本的に真ん中に香炉、右側に鈴を置きます。
燭台等は少し奥に危なくないところにおきましょう。
魂入れをする
仏壇を購入して飾り終えたら初めに「魂入れ」をします。
お坊さんを読んでお経を上げてもらい、仏壇に魂を入れる儀式をします。
「開眼法要」や「お性根入れ」など様々な呼び方があります。
方法は宗派によって異なります。
注意点
仏壇の種類
仏壇にもいろいろなものがあり、人の背丈ほどの大きなものから棚におけるほどコンパクトなものまで様々です。宗派に関係するものもあるので確認しておきましょう。
金仏壇(キンブツダン)
金箔や金粉で豪華な装飾がされた仏壇です。各宗派の本山寺院の本堂に似せて作られています。金仏壇は浄土真宗を中心に広まったという経緯もあり浄土真宗の仏壇は金仏壇が多くなっています。かならずしも浄土真宗だけが金仏壇というわけではありませんし、浄土真宗も金仏壇でなければいけないわけではありません。各宗派によるので購入の際は確認すると良いでしょう。
唐木仏壇(カラキブツダン)
黒檀、紫檀、桑、けやきなど銘木と呼ばれる木材の美しい木目を生かした仏壇です。
仏壇と宗派の傾向
浄土宗系は金仏壇が多く、その他の禅宗、密宗などは唐木仏壇が多いという傾向があります。
モダン仏壇・家具調仏壇・小さい仏壇
現代の家具に合わせたデザインの仏壇で、リビングなどに置いても違和感が少なくスッキリと見えるように考えられています。大きさも従来の半分以下から写真立てのような形まで様々な形と大きさの仏壇があります。
仏教の信仰というより文化として仏壇で故人を偲ぶという風潮、価格や置き場所の問題などからも小型の仏壇を使っている家庭が増えています。
仏壇の置き場所
方角:
仏壇の置き場所や向きは特に決まりはありませんが宗派によって縁起の悪い方角があり、そちらを避けることもあります。
高さ:
基本的には人の目線より高いところへ置きます。これは仏様を見下ろさないためですが、最近の住居環境やミニ仏壇の流行からどうしても普段は目線より低い位置になってしまうことが多くなっています。見下ろしてはいけないことと、できれば拝む時は目線より上になるように心がけると良いかもしれません。
日差し:
あまり日当たりの良いところに置くと日に焼けて傷んでしまいます。直接日が当たらず風通しの良いところに置きます。
ふさわしくない場所:
特に決まりがあるわけではないのですが、仏様を祭っているものなのでテレビやスピーカーの横のような騒がしいところや仏様、ご先祖様に失礼になると思う場所は避けましょう。
まとめ
仏壇は宗教というより日本人の心を支える文化になっています。故人を偲び、先祖に感謝することで今生きている喜びを確認します。宗教に対する信仰の有る無しにかかわらず、意味を知って拝むということが大切なのではないかと思います。
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