ヒヤリハットで介護現場のリスクが減る!?利用状況は?事例は?

実際に事故が起こってしまった事をアクシデントと言い、事故には至らなかったものの、ヒヤリとした事、ハッとした事をインシデントと言います。例えば歩きスマホをしていて、ぶつかりそうになった等、ヒヤリハットは、私たちの生活の中でも普通に存在します。介護の現場では、事故を起こさない為の対策として、ヒヤリハットを取り入れているのですが、本当にリスクが減るのか?考えていきたいと思います。

 

ヒヤリハットと介護

まず介護の現場でヒヤリハットがどう活かされているのか、現状を説明します。
在宅で過ごす場合も介護ですが、今回は介護施設を想定して考えたいと思います。

介護現場の現状とは

施設での介護の場合、少ない介護士が、多くの利用者さんを同時に見守り、介護しているのが一般的です。特に食事場面は少ないスタッフが数人の食事介助をしながら、食べ終わった人の歯磨き介助、食後のトイレ介助、早く寝たい人の更衣介助、とにかく一度ベッドに横になりたい人の移乗介助、食堂内で急に立ち上がろうとする人、目を盗んで離棟しようとする人、下膳車の残飯を食べようとする人・・・このような状況の中、介護士は大きな問題が起こらない様に注意しながら、見守り、介助を行っています。

ヒヤリハットの活用状況

以前私が働いていた職場は、出勤すると、毎日数名のヒヤリハットが書かれていました。そして転倒、転落、創傷、異食等、毎日ではないのですが、アクシデントレポートも出ていました。活用の流れは下記のとおりです。
① 情報収集
② 利用者介助中アクシデント、ヒヤリハット発生
③ 対応と再発予防実行
④ アクシデント、ヒヤリハット記入
⑤ カンファレンスで解決策検討
基本は、自分の勤務開始前に、情報収集を行ってから申送りをするというやり方です。新入所者の情報、カルテの経過記録、申送りノート、カンファレンスや担当者会議の内容、アクシデントレポート、ヒヤリハットと情報収集もかなりの量です。
アクシデントはレポート式になっており、一人1枚、誰が、どういう状況で、どうなったというのが分る様に詳細に記入します。そして、カンファレンスで振り返り、対策を考えていました。ヒヤリハットは、1枚に経時的に何人も記入できる用紙で、利用者の名前、どこで、どうなったと簡単に記入、原因については選択肢から選んで〇をつける形式でした。

 

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ヒヤリハットの介護例

それでは、介護現場でよくあるヒヤリハットの例をご紹介します。

① トイレ移乗でのバランス崩し

トイレで数回転倒歴のある男性です。脳梗塞で片麻痺と失語症がありました。車いすは自走できますが、麻痺側の管理は出来ず、足はフットレストからはみだしています。ナースコールは押す時もあれば、押さない時もあるという不確かなレベルです。これまでにも何回か自分でトイレに行き、自分で出てくる姿を見かけていました。食後は決まってトイレに向かいます。便座に座った後、終わったら呼んでくださいねと伝え、スタッフは他の利用者の介助へ向かいます。なかなかトイレからコールがない為、気になって様子を見に行くと、手すりを持ち立ちあがっています。車いすへ移ろうとよろけた所をスタッフが慌てて支えて事なきを得ました。

②ベッドからのずり落ち

全介助で食事時のみリクラニング車いすに移乗します。上肢、下肢の不随意運動が激しく、家族より、自宅でベッドから落ちた事があるから、入所中もベッド柵をしてほしいと言われていました。入所後は軽い不随意運動が出るのみで、転落もなく安定して過ごせていました。スタッフがおむつ交換を行っている途中に他の利用者のコールあり、急いでおむつ交換を済ませ、スタッフはコールした利用者へと向かいました。しばらくして、同室者の更衣介助に訪室したスタッフが、ベッドから下半身がずり落ちそうになっている所を発見します。この時ベッド柵は足元の柵立てにありました。

③他者の食事を食べる

脳出血後で右半側空間無視(右側に注意がいきにくく、本人からは右側があまり見えない状態)がありました。嚥下障害があった為トロミの付いたきざみ食をたべていました。認知症も合併していました。ずっと4人掛けテーブルの左側に座っていました。食堂の都合なのか、配膳は普通食からです。ふと見ると、向かいの席の食事に手を伸ばして、器を持っているのを発見します。先日まで向かいの席の利用者も同じ様な形態の食事で、配膳のタイミングはほぼ同じでした。退所された為に席替えを行い、普通食の利用者さんが向かい側に座る事になったようです。

ヒヤリハットを介護現場で無くすためには

なぜ上記の様なヒヤリハットが起きたのか?無くすためにはどうすべきかを考えたいと思います。

1)利用者の正しい理解と適切な環境設定

上記の事例共に共通して言えるのが、利用者さんの理解不足です。何をどこまで出来るのか、理解力はどうか、待つ事は出来るのか?例えば、事例①の利用者さんですが、何回かトイレでの転倒歴があります。必ずコールを押す人ではありません。待つ事は出来ません。②の利用者さんは自宅での転落歴があり、家族からベッド柵を頼まれていた人です。
同じく共通して言える事は適切な環境設定がなされていない事です。例えば②の利用者さんはベッド柵の設置忘れがそうですね。③の利用者さんの場合は配膳のタイミングを同じにしていれば、自分の器を持ったでしょう。又、理解力の低い、嚥下障害のある治療食の人と普通食の人を同じテーブルにしなければ、ヒヤリハットは起きなかったと考えられます。

2)スタッフの人員不足と過信、油断

こちらも、どの事例にも全て当てはまっています。忙しい中、数人の対応をしないといけない現場です。スタッフは悪意もありません。自分のやれる限り、走り回って対応しています。しかし、利用者さんも待っていられません。どうすれば良いのか、これは経営者側の問題も関わってきますが、アクシデントレポートやヒヤリハットの統計を取れば、起こしやすい時間帯が分かるはずです。そこへ人員を補充し、仕事配分を別の時間へとずらす事は出来るのではないでしょうか?
この③つの事例に共通している事で注目したいのが、スタッフの過信、油断です。ヒヤリハットが起きやすいのは、実は新入職時ではありません。ちょうど慣れてきた頃が一番多いというデーターがあります。また、利用者さんにヒヤリハットのリスクがある事はわかっているはずですが、安定して過ごしているし、大丈夫だろうという油断が大きく関わっている様に思えます。

3)ヒヤリハットの活用の仕方、改善点

アクシデントレポートはしっかり書いていますが、ヒヤリハットはそれがヒヤリハットだという認識に個人差が出ます。自分の中でだけ知っている情報にして、共有されてない事が実は多いのです。日常の業務の中で、今のヒヤッとしたね等と指摘しあえる関係性を作っておくことも大切です。そして、記録に時間を取られて、利用者さんに関わる時間が減っているのなら、記録の簡素化や、簡単に情報の取れる仕組みに変えていくべきです。大量の情報の中にヒヤリハットが埋もれてしまわない様に、対策が必要と思われます。

 

ヒヤリハットの介護の注意点

事故を起こさない為に、ヒヤリハットを無くせる様にと徹底していくという事は、一つ間違えば、利用者さんの行動を制限する事にもなりかねません。危険な物を取り除くという事は、利用者さんの自由を奪う事でもあります。危ない事はさせないという気持ちが先行すればADLが落ち、意欲まで無くしていく可能性があります。
本来、その人らしく生きる為のお手伝いをするのが介護職の努めです。穏やかに安心して生活出来る援助が必要なはずです。
“にやりほっと“という言葉を聞いた事はありませんか?長谷川シニアホールディングスが行っている活動ですが、出来る事を見つける、好きな事を見つけるという発想で、まだ、こんなにできるんだと“にやり”としたり、やりたい事をしてもらったら心配だった事が消えて“ほっと”したりと魔法の介護として紹介されています。
私のいた施設では、ヒヤリハットをいかに減らせるか、アクシデントを未然に防げるかという活動でしたが、確かに認知症の人は、不安や禁止が興奮させる原因となり、それによる介護拒否や暴力が起こっていました。そういう時程、ヒヤリハットが増えていた様にも感じます。ぜひ“にやりほっと”も取り入れて、安全な環境作りを徹底した上で、利用者さんの素敵な表情が見つけられる取り組みをしてみたいものです。

 

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まとめ

ヒヤリハットは利用者の活動を抑える為のものではなく、不注意による事故を防ごうという取り組みです。スタッフの都合で行うものでもありません。なぜそうなったのか、確実に分析し、利用者さんの気持ち、行動パターンを先読みして、スタッフは、さりげなく危険因子を取り除く配慮が大切なのではないでしょうか?事故を未然に防ぐ為の気づきとして、ヒヤリハットの意味は大きいと思います。安心して生活できる快適な環境を作る事、出来る事はスタッフの優れた見守り能力で安全に行ってもらう様にしましょう。それが、本人に自信と意欲を取り戻させる事に繋がります。そして、それは問題行動を減らし、ヒヤリハットを減らしていく事になるのではないかと思います。
今回の振り返りを通して、これからのヒントとなる何かを感じてもらえたら、そんな思いで書かせて頂きました。

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