9月1日は何の日か御存知でしょうか。正解は「言語聴覚士の日」。1998年に言語聴覚士法が施行され、言語聴覚士(※以下、本文中では「ST」と略)が国家資格として定義された日なのです。これを定めたのは日本言語聴覚士協会。この名前、筆者の周囲でも知らない人が結構いました。これから紹介しましょう。
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言語聴覚士協会とは
正式名称は『一般社団法人 日本言語聴覚士協会』。
略称は『JAS』、『日本言語聴覚士協会』を英語にした、”Japanese Association of Speech Language Hearing Therapists”の頭文字にちなんだ名前です(※以下、本文中では「JAS」と略)。
東京に所在し、会長を務める深浦順一氏は国際医療福祉大学にて「発声発語・嚥下障害学講義」の教鞭を執る大学教授を兼任。
STの職能団体であり、都道府県レベルでの団体はいくつかありますが、全国規模としては日本唯一の物です。
活動内容
その活動内容は広範囲に及びます
・他団体とも連携しての会合(『日本言語聴覚学会』開催、学術講演会、研修会など)
・学術活動(STの対象であるコミュニケーション障害に関する調査研究など)
・他団体及び個人との交流会(関連のある他の団体、障碍者、その家族など)
・広報活動(他県の言語聴覚士会と連携した「言語聴覚士の日」イベントやWebを通じた、コミュニケーション障害の解説、STの職業内容やJAS活動の紹介など)
・学術誌『言語聴覚研究』、広報誌『STandUP』の刊行
様々な団体、更には個人とも関わる、広い交流が特徴ですね。
他の「言語聴覚士会」との関係は
他府県にも『○○県言語聴覚士会』なる組織があります。これらはJASの下部組織として機能している物もあれば、連携はしていても組織自体は別個としている物もあります。
中には、JASの下部となるかどうかのアンケート調査を行って下部組織となるか否かを審議した所もあります。
言語聴覚士協会の役割
先述の通り活動が広範囲に及ぶJASですが、根本的な狙いは2つあります。
ひとつは言語聴覚士を質と量どちらにおいても向上させる事。もうひとつは高い技術と知識を習得し、コミュニケーション障害を負う人達によりよい助力を提供する事です。
STには、他のリハビリ職よりも研究者たちの足並みが揃わず、なかなか制度化されなかった苦い過去があります。言語聴覚リハビリ自体は行われていましたが、「徹底して研究を重ね知識と技術を強化するのが先決」との意見と、「目先の人達にまず対処するべきで深い研究は実践の中で行うとする」とのぶつかり合いが常にあったのです。
JASが中心になって全国の研究者たちへ呼び掛ける学会活動や研修会、調査家研究は、情報と知恵を貸し借りする場となり、新しい知識を得、技術を高める源になっています。
また、ST以外にも門戸を開いて会員を募ったり、広報誌を配布したり、、「言語聴覚士の日」の名前のもと他県の言語聴覚士会と連携し親しみやすい形で言語聴覚リハビリはどんなものであるかの説明も行うなど、広報にも力を入れています。
公式サイトでは、説明を音声ファイル化したページや、STの説明、教育機関の紹介などのコンテンツがいくつも設けられています。
言語聴覚リハへの興味を増し、STを志す気持ちが生まれるような作りになっているのです。
言語聴覚士協会に入会するメリット
JASの入会になると何が得られるか。会員の種類分けと併せて説明します。
JAS会員の分類
まずは会員の種別と定義を紹介します。団体による登録もあります。
1)正会員 :ST
2)学生会員 :大学・短大・専門学校在学生(大学院生は除く)
3)準会員 :上記2つから外れる者
4)賛助会員 :JASへの賛助を希望する個人または団体
5)購読会員 :協会発行の学術誌『言語聴覚研究』を購読する団体
6)名誉会員 :言語聴覚障害研究に多大な功績があるため、特別に会員と認められた者
名誉会員・購読会員・賛助会員は特殊な立場ですね。他の3者を権限が少ない順に解説します。
準会員のメリット
刊行物購読資格。JASの会合(学術集会・講習会・研修会)への参加資格。
学生会員のメリット
STの卵や言語聴覚研究の助力者候補として期待される学生会員。会員特典も特別な立場を反映した物となります。
刊行物の送付
学術誌『言語聴覚研究』及び情報誌『STandUP』が送付されます。
会費の割引
年会費3000円。5000円する準会員よりも安価です。
ST資格取得し正会員へシフトすると、入会金3000円引き。年会費も初年度は正会員費の半額。つまり初年度支払い5000円のみ。
マイページアクセス権の予定
2017年11月現在は未定状態ですが、JAS公式ページにある会員専用ページへの使用権が検討されています。実現すれば、会員専用情報や求人情報を閲覧できるようになります。
正会員のメリット
JASを担う事にも成り得る、正会員の権限を説明します。
代議員に就任
正会員の中でも約200名に1人の割合で、代議員と呼ばれるJASの社員に選ばれます。選考は他の正会員による、代議員選挙によって行われます。
賠償責任保険加入
正会員つまりSTのリハは危険な行為もあり、事故につながる恐れがあります。
JASではこれに備え、正会員が入会次第、自動的にこの保険へ加入する事になります。
「基本保障」なるプランでは、対人賠償補償および人格権侵害補償。会員の希望で付け足す事が出来る、「追加保障」としては、対物賠償事故および対人事故の見舞金等費用補償があります。
情報誌バックナンバー閲覧権
JASサイトで公開されている、情報誌『STandUP』のバックナンバー電子版。ダイジェスト版は外部でも読めますが、全ページ閲覧は正会員のみの特典です。
言語聴覚士協会の入会方法
入会方法は正会員・学生会員・その他とでは異なります。共通した入会資格は、JASの活動に賛同している事です。
正会員入会方法
正会員入会方法は3通りに分かれます。
学生会員から正会員へのシフト
JASより登録済み住所へ申込書が郵送されます。他の方法では申し込めません。
新規申し込み
JASのWebフォームで入会手続き、または別のフォームで請求した申込書郵送になります。
フォーム上では手続きのみで、後にST免許証か登録証明書のコピーを郵送して申し込み完了となります。
また、理事会の承認審査があるため、手続き完了には時間が掛かります。
費用は13000円(入会金3000円+年会費10000円)
ST資格を取得した年内で申し込むと初年度年会費が半額になり、総額8000円に減額されます。
Webフォームでの入会はクレジットカードを使えますが、この初年度割引はゆうちょ銀行振り込みのみです。
正会員退会後の再入会
氏名・送付先住所を明記の上「再入会希望」の件名に、氏名と送付先を明記してJASへ連絡します。
学生会員
学生会員申し込み方法は2通り。ST養成校と他学科で異なります。年会費は3000円で共通しています。
ST養成校学生
養成校毎の一括申し込み制度あり。教員に問い合わせて下さい。
他学科学生
JASサイトよりpdfもしくはWord形式で申込書を入手して下さい。
準会員
年会費は5000円。郵便振替で行い、その通信欄に「準会員 入会」と記入します。
JASサイトよりDL出来る会員種別毎の申込書と、郵便振替受領書のコピーを、JAS事務所へ郵送します。
JAS常任理事会で入会審査があるため、申し込みからも時間が掛かります。更に年度最終の審査は3月にあるため、遅れると翌年度からの入会になってしまいます。
賛助会員(個人)及び(団体)
年会費は1口に付き20000円。郵便振替記入欄には、個人は「賛助(個人)入会」、団体なら賛助(団体)入会」とする他、「(口数)」を記入。他は準会員に準じます。
購読会員
年会費8000円。郵便振替記入欄に『購読会員 入会』と記入。他は準会員に準じます。
名誉会員
年会費不要。その研究成果により、協会の理事会から推薦され且つ社員総会の認可され、名誉会員となります。
日本言語聴覚士協会の生涯学習プログラム
生涯学習プログラム
日本言語聴覚士協会では「資質の向上に努め。学習を生涯続けることは言語聴覚士の職能の一つである(日本言語聴覚士プログラムより引用)」として、言語聴覚士が学び、成長するための学習プログラムを行っています。生涯学習プログラムは「基礎プログラム」と「専門プログラム」があり、臨床経験の浅い人からベテランまで継続的に学習できる仕組みを作っています。
基礎プログラム
入会後3年を目安に習得できることを推奨している言語聴覚士としては初級のプログラムです。プログラムの内容は「基礎的な講座」「学術活動への参加」「症例等の検討・発表」を行います。基礎プログラムの主な目的は症例を検討する力を養うことです。基礎的な知識を用いて症例の障害を多角的な視点から考え、訓練や訓練後の状態を予測するなど経験豊富な言語聴覚士と検討を行います。
専門プログラム
入会後5年を目安に習得できることを主衣装しているプログラムです。常に変化、発展する言語聴覚療法やそれに関連する知識や技能への「学習を続けていくこと」を目的としたプログラムです。修了し、修了証をもらえますが、そこで終わりではなく繰り返し受講することが推奨されています。
まとめ
神経難病を抱える筆者も、入院中に嚥下のテストを受けた事があります。また子供の頃、舌足らずな喋り方で苦労したものです。会話や嚥下の障害を助力するSTが持つ役割の重要さ、そして重責には思いを馳せずにいられません。
JASには今後も多くの人達との協力で活躍し、ST達を支え発展させて行く事を期待します。
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