訪問介護や配食サービスなど家から出なくても済むサービスが多い中、逆に利用者を外へ連れ出すというサービスがあるのをご存知でしょうか。それがガイドヘルパーです。ガイドヘルパーは障害や目的に合わせた外出の支援を行うことができる資格です。
Contents
ガイドヘルパーとは
何をするための資格?
地方自治体による地域移動支援事業で、高齢者や障害者の移動や外出を支援するサービス提供を行うために必要な資格です。
公的な資格?
資格の管理をしているのは都道府県や市区町村などの地方自治体です。その基準は各自治体によって多少違いがあるようですが、基本的に試験などはなく講習を修了すれば資格として認められます。
どんな人の移動や外出を手伝うの?
『ガイドヘルパー』といってもひとつの資格ではありません。
正式名称でいうと「行動援護従事者」「移動支援従事者」「同行援護従事者」の3つがあります。どれも言い方を変えただけのようなややこしい名前ですが、支援できる対象の人に違いがあります。
行動援護従事者 ⇒ 知的・精神障害
移動支援従事者 ⇒ 全身性障害
同行援護従事者 ⇒ 視覚障害
それぞれの障害にあわせた援助方法や注意点を学び、移動や外出の支援を行います。
この資格がないと移動や外出の手伝いをしてはいけないの?
移動や外出の支援をサービスの主として提供する場合にはこの資格が必要です。特養や施設入所している人の散歩などの場合、特養は生活の場としてサービスを提供しているのでこの場合の移動は生活の一部として考えられます。
ガイドヘルパーの役割
目的
高齢者や何らかの障害を持った人達が家の外に出ることによって、地域や社会へ関わりを持ち、充実した生活を促進するということが主な目的です。
外出支援を必要とする背景
家から出なくても生活自体は訪問サービスや配送サービスを利用すればなんとかなるでしょう。しかしどんどん社会から孤立してしまいます。
本人が孤立すると家族への依存度が増えますので介護時間も増えます。家族もまた孤立してしまうという悪循環も起きてしまいます。そんな状況を少しでも減らすために、外出支援は障害があっても社会に参加できる環境づくりの一つとして必要とされています。
不安の解消
高齢者や障害を抱えた人たちにとって、外出とは簡単なことではありません。出かける支度から、道中のトイレやアクシデントの備え、目的地の状況なども把握していなければいけません。出先でパニックになったらどうしよう。段差が分からず転んでしまうかもしれない。使えるトイレがなくて人前で漏らしてしまったらどうしよう。たくさんの危険と不安があります。それは本人だけでなく家族も同じです。
ガイドヘルパーは安全確保や備えだけでなく利用する人の不安にも注意をはらい、安心して外出をできるように支援します。
社会とその人をつなぐ
どこかへ行きたいのに移動することが出来ないので支援が必要であるのはわかりやすいと思います。しかしガイドヘルパーは移動だけではなく、人と人、人と社会を結びつける大事な役割があります。言いたいことが伝えられない。選びたいけど見えない。書きたいけど書けない。そんな場面で交流がうまくいくようにサポートするのもガイドヘルパーの大切な役割です。
外出のパートナー
外出をする目的は買い物や用事を済ませるためだけではありません。外出して社会に出ていろいろな交流や出来事を通じて生活を充実したものにする目的があります。
ガイドヘルパーは、ただ目的地への移動や付き添いだけが役割ではなく、その人が不安や望みなどの思いも配慮しながら、共に外出を楽しむパートナーとしての役割も大切です。
ガイドヘルパーの種類
ガイドヘルパーの種類とは
ガイドヘルパーには3つの種類があります。どのような障害に対してガイドヘルパーが必要かによって種類別に分けられます。視覚障害の方が対象の「視覚障害者ガイドヘルパー」、知的・精神障害の方が対象の」、全身性の障害の方が対象の全身性障害者ガイドヘルパーの3種類それぞれに資格が必要になります。
ガイドヘルパーの3種類の資格
視覚障害ガイドヘルパー(視覚障害者同行援護従業者養成研修)
視覚障害ガイドヘルパーは、視覚に障害を持つ方が外出するとき、同行して移動を援護・サポートしたり、代読や代筆、排泄や食事など必要な援助を行ったりするための資格です。
視覚障害者同行援護従業者養成研修には、一般課程と応用課程の2種類があり、一般課程修了者は視覚障害者の外出介助に従事でき、応用課程の修了者はサービス提供責任者になることができます。※平成30年4月から訪問介護事業所のサービス提供責任者は、視覚障害者同行援護従事者研修の修了が必要となりました。
知的・精神障害ガイドヘルパー(知的・精神障害者行動援護授業者養成研修)
知的・精神障害ガイドヘルパーは、知的・精神に障害を持つ方が外出する際、行動や性格上の特徴から問題が起こらないようコミュニケーションを支援したり、必要な援護やサポートを行うための資格です。
全身性障害者ガイドヘルパー(全身性障害者ガイドヘルパー研修)
全身性障害者ガイドヘルパーは四肢マヒや筋力低下など、全身にわたる運動障害や機能障害を持つ方が外出するとき、同行して移動を援護・サポートしたり、その他必要な介助を行うための資格です。
ガイドヘルパーの仕事内容
基本的な業務
高齢者や障害のある人の移動や外出のお手伝いをします。
外出先は買い物や娯楽、旅行などあらゆる外出が含まれます。ただし活動目的によっては制限があります。(同ページ注意点を参照して下さい)
ガイドヘルパーのお仕事は外出先に伴う車椅子の介助や交通機関の利用などのお手伝いと、安全な移動への配慮を行います。
資格別
行動援護従事者(知的・精神障害)
①予防的援護
知的・精神障害により意志表示が伝わりにくい事があります。誤解をされるような言動、パニックのような発作や混乱状態が起きないように配慮して未然に予防します。
知的・精神障害により周囲の状況を正しく把握できていなかったり、混乱してしまうような状態を予期して回避したり、本人にわかりやすく伝えたりします。
②制御的援護
混乱や思い違いなどにより、自分や周囲の人たちの怪我や命に関わるような行動を起こしてしまったとき、それを素早く適切に集結させます。
③身体介護的援護
身体的に異常がなくても、知的・精神障害のために、日常的に必要な動作(更衣、食事、排泄等)が行えない場合があります。行動援護従事者は外出の際に必要な介護を行います。(外出に必要なものに限る。)
移動支援従事者(全身性障害)
①移動の支援
車椅子を押したり、歩行の補助をするなど外出時に必要となる移動の介助をします。
②コミュニケーションの支援
障害によっては言葉が上手く発せられなかったり、手が動かないために字が書けないということもあります。そのため代読や代筆、意思の伝達など外出先において必要となるコミュニケーションの支援をします。
③生活動作の支援
食事、排泄、更衣など移動時や外出先において必要となる生活動作の支援をします。
同行援護従事者(視覚障害)
①視覚の援護
レストランのメニューを説明したり周囲の状況を伝えたり、必要に応じで代読や代筆など、移動時やそれに伴う外出先において必要な視覚情報の支援をします。
②移動の援護
安全な移動に必要な周囲の状況を伝えたり、地下鉄や山岳地帯のような音の反響がいつもと違うようなところでの補助など、移動時やそれに伴う外出先において必要な移動の援護すます。
③生活動作の援護
トイレへの案内や食事具の位置を説明するなど、排泄・食事等の介護その他外出する際に必要となる生活動作の援護をします。
ガイドヘルパーの資格取得
資格取得までの流れ
外出支援は各都道府県の地域移動支援事業に位置付けられていて取り決めは各都道府県によって異なります。ガイドヘルパーの資格を取得するには各都道府県が指定した要件を満たす要請研修を受講する必要があります。費用や期間(必要受講時間)等も都道府県や委託された受講期間によっても違いがあります。ここでは一般的なモデルとして受講までの流れをまとめます。
受講に必要な資格
行動援護従事者(知的・精神障害)
介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)修了者または修了予定者
ホームヘルパー1級、3級保有者
介護福祉士資格保有者
移動支援従事者(全身性障害)
介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)修了者または修了予定者
ホームヘルパー1級、3級保有者
介護福祉士資格保有者
同行援護従事者(視覚障害)
必要資格無し。
受講にかかる費用
自治体や受講機関によりますが相場は2万円~4万円程度が多いようです。
受講の申し込み
都道府県、政令指定都市などの自治体が指定する養成講習を実施している機関へ申し込みを行います。
受講の日数
受講期間は各都道府県によって違いがあります。最短で1日から長くても5日間の受講で資格取得が可能です。
資格の取得
試験はありません。指定された講習を修了すると修了証明書が発行され資格として認められます。
注意点
移動支援サービスを受けられない外出
移動支援サービスの目的地について制限はないとされていますが、その活動目的によってはサービスを受けられない場合もあります。ただこれは『原則』という表現が多く、その目的がその人の生活にどうしても必要であることと、サービス提供の原則から反しない場合であれば認められることもあります。
同居家族等に対するサービス提供を行わない
他の介護サービス同様にサービス提供は本人にのみ行われます。家族の利便性を図るためや家族の目的を援助するためのサービスは認められていません。
経済活動のための移動
移動支援は公的資金を投じて行われるサービスですので基本的に個人の経済的利益のための活動に使用されることは適切ではないと判断されます。
通年かつ長期にわたる外出
長期間の外出や、散歩や軽い運動を除く週1回以上定期的に3ヶ月以上続く同じ外出は原則認めらません。
政治活動又は宗教活動にかかる外出
政治活動の後援活動や宗教の勧誘等にかかわる活動に伴う外出は適当ではないと判断されています。
通院及び入退院にかかる外出・入院、入所している者の外出
移動支援の目的として利用者の社会参加が挙げられています。別のサービスの利用が望ましいとされています。
公共サービスを利用して外出することが適当でない外出
ギャンブルや飲酒を目 的とした外出等が対象となります。線引きは非常に難しいところでもありますが、一般的に社会参加と言い難い目的や健康的と言い難い目的は適当ではないと判断されることがあります。
まとめ
介護を必要とする人たちは家から出られずに閉じこもって生活せざるを得ない状況の人たちもたくさんいます。ガイドヘルパーはそういった人たちを外へと連れ出して社会とつなげていく架け橋のような役割があります。また、外出にはいろいろな発見や楽しみもあります。
そんな時間を利用者さんと一緒に共有できるやりがい度の高いおしごと仕事ではないでしょうか。
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