車の運転は、日常生活を営む上で重要な手段です。しかし近年、高齢者による交通事故としてアクセルとブレーキの踏み間違いや高速道路の逆送のニュースをよく耳にします。身体機能や認知機能の衰えを自覚することは自分や家族の生活を守る上で重要なことです。
高齢者が自主的に運転免許を返納するということについて詳しく見ていきましょう。
Contents
高齢者の免許返納とは
「運転に自信がなくなった」「家族から心配と言われた」などの理由で、本人が自らの意思で運転免許証を返納するのが、「運転免許の申請取消し(いわゆる「運転免許自主返納」)」です。
高齢者が身体機能や認知機能の低下により運転に不安を感じ、運転をする意思のない場合、運転免許証の有効期間内であっても自ら運転免許証を返納することができます。(平成10年4月1日から施行)運兼免許証の返納手続きは、警察署や運転免許センターで行うことができます。返納手続きは必ず本人が申し出る必要があります。運転免許証を自主返納した方は、公的な身分証明書として使用することができる「運転経歴証明書」を申請することができます。
「運転経歴証明書」は公的な身分証明書として使用できるだけではなく、提示することで様々なサービスや特典を受けることができるので後に詳しくみていきましょう。
高齢者の免許返納の年齢
運転免許の返納には明確な年齢が定められているわけではありません。あくまでも、運転する人の意思に基づいて返納を受け付けています。
運転免許の返納は最近増加していて、警察庁の「運転免許統計 平成27年版」によると1年間に20万人が返納されたとしています。しかし、70歳以上の免許所有者のうち返納した人の割合はわずか 2.4 パーセントです。返納者は増えていますが、まだまだ70歳以上を超えても運転し続ける、免許証を保有し続ける高齢者はたくさんいるのです。
いつ、運転免許証を返納するかは健康状態に問題がない場合や、車が生活の足になっている人にとっては決断が難しいことでしょう。一つの節目そして考えると70歳以上になると「高齢運転者」と呼ばれることになることから、70歳という年齢を節目に運転免許返納の基準として考えてみてもよさそうです。
70歳になったら、家族で高齢者の安全運転について話しあう機会を多く持つようにし、運転免許を返納しないまでも危機管理を意識していくようにしましょう。
高齢者の免許返納のメリット、デメリット
では、高齢者の免許返納のメリット、デメリットについてみていきましょう。
【メリット】
■安全面
高齢になると、視覚や聴覚などの感覚機能だけではなく判断力など運転に必要不可欠な様々な能力が衰えてしまう傾向にあります。そのため、事故を起こしてしまう可能性も高くなります。
自身の衰えを自覚し、周囲の不安に配慮して免許を返納し運転をやめることで、自分の運転が元で事故が起きるということがなくなり、怪我や補償などを含めて様々なリスクを回避できることになります。
■家族の安心感、家族や周囲との関り
免許返納という選択をすることで家族が安心感を得られるという事も、運転免許返納のメリットと言えます。自分では大丈夫だと思っていても家族や周囲は想像以上に心配しているものです。
■健康増進
免許を返納して車の運転を行わなくなると、徒歩や自転車で移動する機会が増えるでしょう。
また、家に引きこもりにならない様に自分で意識して動いたり外出するようになり、家族も注意深く見守りや声かけをしてくれるかもしれません。結果的に健康を意識した生活を送ることになる良いきっかけになり得ます。
■経費削減
車を持っていることで生じる出費はいくつかあります。ガソリンや自動車税、車両の維持管理に係る費用がそれにあたります。車に乗らなくなり、手放すことによってそれまでかかっていた経費が削減されます。
■様々な特典を得ることができる
運転免許を自主返納すると、各都道府県の高齢者運転免許自主返納サポート協議会による様々な特典が用意されています。どのような特典があるのか、詳細は後に詳しく見ていきましょう。
運転免許自主返納によるメリットが様々あることがわかりましたが、一方でデメリットもあります。
いくつか見ていきましょう。
【デメリット】
■買い物に不便
車で行っていた買い物や、荷物が多いときの買い物は車がないととても不便を感じてしまいます。特に、電車やバスなどが十分に整っていない地域では店舗までの距離が遠く時間も非常にかかってしまいます。
■病院通いに不便
買い物と同様に、バスや電車を利用することがとても不便だったり、タクシー利用では高額になるなどで病院に通うこともままならないということが起きてしまいます。
■家族や親せきの負担が増える
車を運転しなくなってしまったことで、一人で気軽に出かける手段がなくなってしまします。先に述べたように買い物や病院の行き来に加えて普段の外出でも家族や親せきなどの負担になってしまうこと考えられます。
高齢者の免許返納 の特典もある?
運転免許を自主返納すると、得られる様々な特典。
どのような特典があるのかを東京都の場合を見ていきましょう。
【特典・優遇制度~東京都の場合~】
■引っ越しサービス
通常の引っ越し代の10%引き
■信用金庫などの金融関係
免許証返納者に特化した定期預金(金利が優遇されている)
■飲食
指定のホテルのラウンジや店舗、居酒屋での飲食の割引や一部無料
■百貨店
商品の配達、配送料金の無料、割引
優待クーポン券の発券
■商店街
対象店舗での買い物 5~10%割引
記念品の贈呈
■コンビニエンスストア
お惣菜のプレゼント、無料券
■遊戯場、銭湯、芝居鑑賞
ボーリングやカラオケ、銭湯の利用料金を割引
■民間患者移送サービス
移送サービス料を30~50%割引
福祉用具販売価格の割引
■観光
旅行代を3~5%割引
■仏壇・仏具
10%割引
■電動自転車や電動カート】
1000~5000円の割引やヘルメットなどの付属品の割引
■眼鏡・補聴器
10%割引
■司法書士相談、人間ドック、鍼灸治療
割引サービス
■車買い取店
現金や商品券を贈呈
このように、運転免許の自主返納で得られる特典は身近な生活において様々あります。
特に、車を運転しないことでその代替えとなるような配達や移送、電気自転車や電動カートなどのサービスでは特典率が高いように思われます。
まとめ
運転免許自主返納制度は、運転に不安を感じている高齢運転者や交通事故を心配する家族など周辺の方々から相談が寄せられたことなどから、道路交通法の一部が改正され、平成10年4月1日から自主的に運転免許の取り消し申請ができるようになったものです。
運転免許を返納することによって生活が不便になるところもあるかと思いますが、代わりに受けられる安心は何物にも代えがたいことであるかもしれません。
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