せん妄は高齢者に多い病気!どんな症状があるの?治療法は?

せん妄は高齢者に多く発症する意識精神障害です。

何かしらの内科疾患や脳神経疾患により一定の精神症状が生じる際に診断されます。

今回はせん妄についてお話ししていきたいと思います。

高齢者の発症が多く、認知症とも関わりが深い疾患ですので知っておきましょう。

せん妄とは

せん妄は高齢者に多い?

せん妄は、一般の総合病院に入院している方の20〜30%の方に見られると言われています。

そしてせん妄は高齢者に比較的多く発症する意識精神障害です。

せん妄は突然発症し、数時間〜数週間の期間で症状がでます。

時間とともに症状が変わることはせん妄の特徴の一つです。

このせん妄は明確な原因は解明されていませんが、高齢者の「虚弱な体質」に脳血管障害や骨折、病気などによる身体的な要因。認知症やICUなどの急激な環境の変化による心理的な要因が引き金となってせん妄が発症することがあると考えられます。

人は加齢に伴い虚弱な体質になってしまいます。

認知症を呈してしまうと環境の変化などにも敏感になってしまいます。

また、高齢者の場合、脱水や便秘、尿路感染症、睡眠不足が原因でせん妄が出現してしまうこともあるのです。

高齢者は健康であっても心身機能が低下しているので適応能力が減少しているので環境や薬の影響を受けやすくなってしまいます。

こういったせん妄を起こしやすい因子を高齢者はたくさん抱えていますので高齢者に多い症状と言えるでしょう。

せん妄と認知症の見極め方

認知症とせん妄は似ている疾患といえます。

高齢者に発症しやすいということもありますが、大きな違いは脳の状態が異なることです。

認知症は、脳神経の細胞が変性や脱落によって伴う脳機能の欠損で起こり、一度獲得した知能や思考、判断機能が低下したり、見当識(日付や場所など)や記憶障害などが現れます。

しかし、せん妄は一過性のもので脳機能の失調によって起こります。

せん妄は身体疾患や体の調子、薬剤や手術など体に大きな変化が起きた際に軽度〜中等度の意識障害、見当識障害、幻視や錯視、睡眠、覚醒リズムの障害などが現れる状態をいいます。

不安や不眠から興奮状態になったり、部屋の汚れが動物や人の顔に見えたりして興奮状態になる方もいます。

せん妄は短い期間で急に発症します。また、せん妄は1日のうちに普段の状態に戻ったり、興奮状態になったりと繰り返し症状が変化します。

認知症は、ゆっくり時間をかけて進行します。

せん妄に関しては、原因疾患や環境、不快なことや不安要素を除去することにより改善されることがありますが、認知症は脳神経細胞の脱落、変性なので進行を遅らすことは可能ですが、根本治療は現段階では難しい疾患です。

せん妄の症状

せん妄には過活動型活動低下型混合型と3種類の臨床像があります。

過活動型せん妄は24時間のうちに以下の2項目以上の症状が認められた場合をいいます。

せん妄の臨床症状

過活動型せん妄の症状

  • 運動活動性の量的増加
  • 活動性の制御喪失
  • 不穏
  • 徘徊

不穏とは、周囲の警戒心が強く、落ち着きがなく興奮している状態です。原因は多岐にわたり、認知症や統合失調症、薬剤の影響でも出現しますが、せん妄でも出現します。

過活動型せん妄では興奮したり暴れたり、チューブやラインを自己抜去されることがあるので時には抑制を必要とする場合があります。

活動低下せん妄は24時間のうちに以下の2項目以上が認められた場合をいいます。

活動低下せん妄の症状

  • 活動量の低下
  • 行動速度の低下
  • 状況認識の低下
  • 会話量の低下
  • 会話速度の低下
  • 無気力
  • 覚醒の低下/引きこもり

活動低下型のせん妄は過活動型と比較し不穏が目だたないためわかりにくいと言われています。

また、チューブラインの抜去などの危険行為も見られないため、経過観察とされることもあります。

混合型せん妄は、先程の過活動型と活動低下型の症状が24時間以内に認められた場合に診断されます。

せん妄の主症状

せん妄は通常突然始まり、数時間から数日間かけて進行します。

せん妄の症状は、睡眠障害、幻覚、妄想、見当識障害、情動気分障害、神経症状があります。

・睡眠障害

睡眠障害は、不眠や昼夜逆転などを指します。

また、せん妄発症には夜間の不眠が影響していると言われています。

睡眠と覚醒サイクルの障害がせん妄発症要因の1つに 挙げられているとも言われているため、 睡眠と覚醒のリズムが調整できるように部屋の環境や生活リズムを整える介入が必要になってきます。

・幻覚

幻覚は、実際にはないものをあるように感じることです。実際にないものをあるように近くすることです。

例えば、部屋に実際でてきていないヘビや虫、小動物などが見えてしまうことを言います。

・見当識障害

見当識障害は認知症でもよく見られる症状で日付や時間、今いる場所などがわからなくなってしまいます。

認知症でもよく見られる症状なのでよく認知症と間違われることもしばしばあります。

・情動気分障害

無性にイライラしたり、興奮、不安な症状や活動性の低下などが見受けられる症状です。

活動量が低下し活気がなくなるだけでなく、攻撃的になり、人格の変化が起こることもあります。

せん妄の原因

準備因子と直接因子 

せん妄の原因はさまざまありますが、準備因子、直接因子、誘発因子というものがあります。

ここではまず準備因子と直接因子について話していきましょう。

準備因子はせん妄が発生しやすい危険因子のことを言います。

主な因子としては下記の通りです。

  • 高齢
  • 認知症
  • 重篤な身体疾患
  • 頭部疾患の既往
  • せん妄の既往
  • アルコールの多飲
  • 手術後

高齢であることは、身体が虚弱になっているため、身の回りの変化による刺激や薬などの影響を受けやすくなってしまっています。

また骨折後などの激しい疼痛や入院生活、手術後などもせん妄を起こしやすい原因となっています。

どうしても患者、利用者の既往やせん妄を発症しやすくなっている脳の虚弱性が原因なので回避しにくい因子です。

ただ、評価の指標となるので認知症や既往などの情報として得ておくと良いと思います。

直接因子はせん妄を発症させる基礎疾患のことを指します。

せん妄は脳機能の失調により起こる疾患であるので下記の因子が直接因子となります。

  • 依存薬物からの離脱
  • 脳卒中などの中枢疾患
  • 全身性疾患

です。

全身性疾患は呼吸不全や心不全、腎不全などの内部疾患などですね。

治療可能な疾患や、中止にすることが可能な薬物は医療側の調整により回避することができるケースがありますので他職種での情報共有が重要になります。

誘発因子

誘発因子とは、単独ではせん妄を起こしませんが、他の因子と重なることでせん妄を起こしうる可能性がある要因となっています。

  • 身体的要因(疼痛、便秘、尿閉、脱水、身体拘束、視力聴力の低下)
  • 精神的要因(抑うつ、不安)
  • 環境の変化(入院、転居、明るさ)
  • 睡眠障害(不眠、睡眠リズム障害)

脱水によるせん妄は発熱や感染症による下痢や嘔吐、発汗などで水分と塩分の不足により起こります。

体の塩分が不足すると脳の機能にも影響を及ぼします。

また、せん妄が起きている状態だと水分補給もままならないため悪循環に陥ってしまいます。

環境の変化によるせん妄に関してですが、こんな話を聞いたことはないでしょうか?

「入院後お母さんが別人のようになってしまいました。」「入院してからおかしな発言が増えました。認知症なのでしょうか?」

入院すると環境が著しく変化するため、普段しっかりされていてもせん妄になると途端に発言に一貫性を欠いたり、見当識障害を疑う発言も見られます。

主に睡眠覚醒リズム障害を通してせん妄の発症を促す要因でもありますので、可能な限りの配慮が必要です。

せん妄の治療

体の負担を減らす

せん妄の治療としては、体の負担を減らすことが重要です。

先程解説した因子に対し、他職種での情報共有およびアプローチが必要となります。

危険因子を減らすためにも全身状態を整えることが必要となります。水分量を必要な限り提供し、酸素飽和度や呼吸状態を適正に保つことも重要な介入となります。

全身状態以外にも環境への配慮も忘れてはいけません。

病床環境の不適応はせん妄の発症に繋がりやすいといわれます。ICUなどの特殊な環境下に置かれると元々の身体状態からしても強い恐怖体験になってしまいますのでせん妄を起こしやすくなってしまいます。

環境下の調整として、光や機器の音の調整が必要となります。

認知症を呈されている型であれば、普段使用していたものや孫の写真など、落ち着けるものを使用し、安心感を出すような配慮をすると良いです。

こういった誘発因子を初め準備因子に対する介入を行いせん妄の治療をするためには、他職種の介入が必須となります。

包括的な評価を元に薬剤の調整や個別的なケアを提供することでせん妄の重症度を軽くしたり、発症期間の短縮を図ることが可能です。

薬物療法

薬物治療はせん妄における治療方法の一つであるが、色々な論文に非薬物療法の重要性が指南されています。せん妄の予防や治療を目的として薬剤を使用することは第一選択として推奨されないと言われています。

薬剤は、非薬物療法の介入で効果が得られなかった場合に使用します。

せん妄に対する薬物療法は2つの薬が使用されます。

一つは興奮を抑える薬として、抗精神病薬がよく使用されます。

抗精神薬は、統合失調症の治療で中心となる薬です。これは脳内のドーパミン神経の活動を抑えることにより幻覚や妄想などの症状を改善させる働きがあります。

しかし、抗精神病薬により興奮を長期化させる、悪化させることもあります。

また抗コリン作用という錯乱や便秘、口腔乾燥、ふらつき、尿失禁などの副作用を持つものがあります。

もう一つは、ロラぜパムなどのベンゾジアゼピン系薬剤です。

この薬は鎮静薬やアルコールからの離脱症状によりせん妄を呈している方に使用されます。

服用すると気持ちが落ち着く作用があります。肩こりなどにも使用されることがあります。

ただこの薬にはデメリットもあり、日中活動性が低下し、一日中ぼーっとされていることもあります。

また睡眠のサイクルが変わる原因にもなってしまいますし、長期間服用することで依存してしまいます。

高齢者の場合錯乱や眠気が強く出現してしまうので、医師は慎重に処方し患者が高齢者の場合は特に注意を払う必要があります。

用量もできるだけ少なくする必要があります。薬剤を処方する医師へ普段の様子を正確に伝えるためにも普段の様子を的確に評価する必要があります。

まとめ

高齢者の急激な環境の変化や疾患による入院や全身状態の変化はせん妄を呈しやすい状態となっています。

せん妄は、原因を探り、適切な対応すると改善するケースが多いので発症の原因や危険因子、対応方法を理解し、他職種と情報共有をし、チームで介入することが重要となります。

適切な介入をすることによりせん妄は改善されます。

適切な介入を速やかに実施するためにも原因や注意点を理解しておきましょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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