そこで今回は、オムツを外す手順や必要なグッズ、注意点を紹介します。スムーズなオムツ交換は要介護者にも喜ばれます。是非参考にしてみてください。
介護でのオムツのはずし方って?
まず、オムツの外し方、交換の手順を説明します。準備として、肌や衣服に排泄物が付かないようエプロンと手袋を着用しましょう。
手順① 体位の準備、ベッドの調節>
オムツ交換中の体位変換がスムーズにできるよう、要介護者に腕を組んでもらいます。また、介護ベッドを使用している場合は交換しやすい高さに調節しましょう。いきなり変えると要介護者がびっくりするので、声をかけてからベッドを動かしてください。
手順②新しいオムツ、尿とりパッドを準備
オムツを外す前に新しいオムツと尿とりパッドを準備します。オムツを広げ、排泄物の漏れを防ぐため尿とりパッドはオムツのギャザーの中に入れてください。すぐ交換できるように、要介護者の体の横に広げたまま置きます。
手順③古いオムツのテープを外し、陰部洗浄
履いているオムツのテープを外して広げ、陰部をタオルで清拭し専用ボトルで洗浄します。汚れが残っていると尿路感染症の原因となるので、しっかりと洗ってください。基本はお湯のみで洗浄しますが、汚れがひどい場合は石鹸を使用しましょう。濡れたままだとかぶれの原因になるので、洗浄後は水分をきれいに拭き取ります。
要介護者の世話をする中で、特に苦労を感じるのはオムツ交換でしょう。家族の介護だとしても最初は抵抗がありますし、大人相手のオムツ交換には体力も必要です。
手順④体位変換し、古いオムツを処分
古いオムツを外すため、要介護者に横向きの状態になってもらいます。この時、膝を曲げてもらって、要介護者の顔が自分の方に向くように体位変換しましょう。体位変換後、お尻の清拭と洗浄を行います。褥瘡(床ずれ)ができやすい部分なので、あわせて確認してください。終わったら古いオムツをバケツやビニール袋に入れて処分します。
手順⑤新しいおむつを付ける
新しいオムツを腰の辺りまで広げ、要介護者に仰向けになってもらいます。尿とりパッドを上げ、オムツがしっかり鼠蹊部に当たるようセットしてください。最後にテープを止めてオムツ交換完了です。

オムツを外している時に怒る場合の対処
オムツを外す手順を紹介しましたが、交換時に「やめて!」と怒り、暴れて抵抗する要介護者も少なくありません。要介護者のこうした言動にストレスを感じる方も非常に多く、介護生活での重大な問題の一つです。ここからは、オムツを外す時に抵抗する要介護者の心情と対処法を紹介します。
要介護者の心情
オムツ交換などの介護を拒否する言動を「介護拒否」といいます。介護拒否は、要介護者の「他人に世話をしてもらって情けない」「恥ずかしい」という気持ちから起こります。腹が立って怒っているわけではなく、非常に強い不安や悲しみをから介護を拒否してしまうのです。高齢の方の場合、退職や近親者との離別など、さまざまな喪失感を覚える時期でもあります。マイナスな気持ちが高まってしまうことは避けられないのかもしれません。
抵抗されるとつい感情的になってしまいますが、「怒り」ではなく「不安」「悲しみ」から来る行動だと捉え、一度気持ちを落ち着けましょう。
怒る場合の対処法
要介護者の心情を説明しましたが、すぐに受け入れることは困難かと思います。家族の場合は人が変わったようでショックですし、介護をしているのに暴言を吐かれるのは大変辛いことです。
慣れるまでに時間はかかりますが、まずは「声かけ」を意識しましょう。
こまめな声かけは、要介護者の不安を和らげる効果があります。いきなりオムツ交換を行うのではなく「ずっとオムツを変えてないと気持ち悪いだろうから、そろそろ変えませんか」など一言添えてから始めましょう。作業中も「体勢を変えます」「身体を拭きますね」「寒くないですか?」など、都度の声かけが大事です。「オムツ」という言葉に抵抗がある方もいるので、言葉を変えることも対処法の一つです。
オムツを外しに使えるグッズ
続いて、オムツを外す時に必要なグッズを紹介します。
介助用エプロン
排泄物の付着を防ぐために着用します。防水で、洗濯機で洗えるタイプがおすすめです。汚れてしまった場合は、洗濯機に入れる前に一度漂白殺菌すると衛生的でしょう。
使い捨て手袋
排泄物で手が汚れるのを防ぎます。衛生面を考慮し、使用のたびに交換しましょう。ポリエチレン製よりも、ビニール製やプラスチック製の方が耐久性が高いので、介護用におすすめです。
陰部洗浄用ボトル
簡易シャワーのような専用ボトルです。お湯(人肌程度の温度)を入れて洗浄に使用してください。すぐにボトルを用意できない場合は、空のペットボトルのふたに数ヶ所穴を開けて代用できます。汚れがひどい場合や入浴できない日には、低刺激タイプの石鹸も使って洗浄しましょう。
陰部清拭用タオル
陰部の清拭用にタオルを用意します。洗面器に熱いお湯をはって浸しておきましょう。熱いまま拭くと火傷のおそれがあるので、しっかりと絞ってから清拭してください。使用後は処分することが望ましいですが、繰り返し使う場合は身体用と陰部用に分け、使ったら必ず漂白殺菌しましょう。
塗り薬、保湿クリーム
塗り薬は陰部やお尻にかぶれがあった場合に使用します。肌の乾燥を防ぐため、保湿クリームもあると便利です。
介護でのオムツのはずし方の注意点は?
最後に、オムツを外す際の注意点を説明します。いずれも要介護者を守るために重要なので、しっかりと確認してください。
女性の場合
女性は尿道と肛門が近く、便が尿道に入って尿路感染症を起こすリスクが高い傾向にあります。感染症を予防するため、清拭は尿道側からお尻側に向かって行ってください。高齢の方の場合、そもそも尿路の防御機能が低下しているため、より注意して洗浄する必要があります。
褥瘡(床ずれ)の確認
要介護者が寝たきりの場合、必ず褥瘡の有無を確認してください。褥瘡が悪化すると皮膚が壊死してしまって穴が開き、骨が露出してしまいます。ここまで悪化すると完治は難しいといわれています。お尻は特に褥瘡ができやすいので、最悪の事態を避けるために忘れずに確認しましょう。
新しいオムツがフィットしている確認
オムツがちゃんと着用できてないと、褥瘡の原因になったり便や尿が漏れることがあります。自分で起き上がれる要介護者だと、オムツの履き心地が悪くて勝手に外してしまうことも。新しいオムツの着用の際には鼠蹊部に沿ってしっかりと付けましょう。動ける要介護者の場合は、テープを下の方に止めてオムツの上部に手のひらが差し込める程度の隙間があるとちょうど良いといわれています。

まとめ
オムツの外し方と注意点を紹介しました。
快適な介護生活を送るために、今回の情報がお役に立てると幸いです。
誰でも最初はオムツ交換に抵抗があります。しかし、抵抗を感じるのは要介護者も同じはずです。慣れないうちに焦りすぎるのは禁物ですが、なるべくスムーズなオムツ交換を心がけましょう。あわせて、要介護者を安心させるための声かけも忘れないでください。