グループホームで精神障害者は入居するには?

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グループホームは、介護保険制度における在宅サービスの一環として、認知症高齢者が入居できる施設です。
認知症高齢者は今後、高齢者の増加に比例する以上の割合で増えていくことが予測されています。
しかし、同じように精神障害者の数も増えています。例えば病状が悪化して精神科病院へ入院し、落ち着いたために退院する場合、自宅に帰ることが困難な時は退院先を探さなければなりません。
このような場合、精神障害者がグループホームに入居することが可能なのでしょうか。可能であればどのような条件があり、また入居した場合にはどのようなことに注意しなければならないのでしょうか。

 

グループホームと精神障害者

グループホームは、本来であればその名のとおり認知症高齢者が入居する施設です。
グループホームの正式名称は「認知症対応型共同生活介護」となっており、認知症という診断がくだっていなければ入居ができない施設となっているからです。

しかし、認知症という病気の診断は非常に難しいものです。今までは、かかりつけ医である内科医の医師などが診断し、投薬治療を行ってくることが多くありましたが、今では、認知症を正しく診断するためには画像診断が欠かせないことが分かっています。

認知症の場合、かかりつけ医→サポート医→専門医と正確な診断をくだす率があがるものです。
もちろん、かかりつけ医が認知症専門医だとしたら、それにこしたことはないのですが、多くの場合かかりつけ医は近所の開業医であるため、画像診断を行うには比較的大きな規模の病院を受診するか紹介してもらう必要があります。中には、かかりつけ医の医師が認知症についてそこまで厳格な考え方をもっていない場合もありますが、そうすると問診などで診断されてしまうこととなり、正しい認知症の種類が分からないこともあります。認知症と疑える症状が出ているのだとしたら、暮らしている地域のもの忘れ外来や地域包括支援センターに相談してみると、どの病院で診断を受ければよいのかアドバイスをくれるものです。

話が少しそれましたが、なぜ認知症を正しく診断してもらう必要があるのかというと、認知症と診断されたが実はうつ病や統合失調症などの精神疾患だった、というケースが多くあるからです。また、認知症と精神疾患が混在している方もいらっしゃいます。この場合、認知症と診断されたからといってグループホームに入居してしまうと、色々な問題が起こることが多く報告されています。

なぜなら、グループホームはあくまでも認知症高齢者が共に暮らす施設であって、基本的なスタンスとしてうつ病などの精神疾患を支えるためのサポート体制が整っていないからです。

もちろん、認知症の方の症状としてうつ症状が出る場合もありますから、スタッフがまるっきりケアの経験がないわけではありません。しかし、うつ症状を現す原因となる疾患が認知症なのか、それともしっかりと「うつ病」という診断がくだっているかによって、厳密にいえば根本的な対応が違ってくるからです。

とはいえ、挙げてきたとおりグループホームと精神障碍者は切っても切れない関係にある、ということは事実なのです。

 

グループホームに精神障害者が入るためには

前項で述べたとおり、精神的な病名だけでグループホームに入居することは厳密にいえばできません。
しかし「認知症」を心の病、精神的な病だと勘違いしてきた歴史が日本にはありますので「結局のところ同じでしょ。」と述べる人がいることも事実です。

結局のところグループホームに精神障害者が入居できるかどうかというのは、そのホームの運営側の考え方に依存しているといえます。というのも、入居基準としては「認知症」の診断がくだっていることが必須だとしながらも、とはいえ入居者がいなくてお部屋が空いてしまっているような場合にはそうもいっておられず、事前情報の中で「精神障害的な症状を示す」というものがあれば入居してもらい、入居してもらってからホームの嘱託医によって「認知症」と診断をくだすというケースもあるからです。

もちろん、入居する前にかかりつけ医を受診し「グループホームに入居したいから認知症という診断をつけてください。」と頼む場合もあります。現状、医師は患者(当事者)だけではなくその方を取り巻く家庭・生活環境にも注意を払うものですので、その方がグループホームに入居した方が今よりも安心して暮らせると判断すれば、家族からの望みどおり認知症の診断をくだすことが多くあります。

グループホームは、5人~9人という少人数で暮らす施設ですから、一部屋でも空き部屋があると経営を圧迫します。ですから、精神障害者であってもこのようにしてグループホームに入居できることがあるのです。

またグループホームは介護保険制度内の施設ですから、大原則として要介護認定がおりている必要があります。要介護認定を受けるためには、40歳以上で介護保険料を納めている必要があります。しかも、40歳~64歳までの方が要介護認定を受けるためには、厚生労働省が「特定疾患」として定める病気に罹患していなければなりません。65歳以上であれば、生活をおくるために何らかの介護が必要な状態であれば、誰でも要介護認定を受けることができます。

 

グループホームと精神保健福祉士

グループホームを開設する時には、勤務させる従業員について指定されている基準を満たさなければなりません。通常、介護を行うだけのスタッフであれば必要な資格は定められていませんが、管理者や看護師、また計画作成担当者などが所有する資格については規定があります。

看護師は、看護師資格か准看護師資格を所有しなければならず、計画作成担当者は介護支援専門員(ケアマネージャー)資格を所有する必要があります。管理者については「認知症対応型サービス事業管理者研修」に該当する都道府県などが定めた研修を受けなければなりません。大体の都道府県がそのとおりに基準を定めていますが、この基準(指定研修)自体が平成27年度の介護保険制度改正時に定められたものなので、例えば平成18年3月より前から運営しているグループホームにおいては、「認知症介護実践者研修」や「認知症高齢者グループホーム管理者研修」を受講していればよい、と経過措置がとられていることが多いものです。

そして、管理者や計画作成担当者になろうとする人のバックボーン(元々所有している資格)として「精神保健福祉士」を所有している方がいます。
精神保健福祉士とは、1997年に誕生した精神保健福祉領域のソーシャルワーカー(相談援助支援)としての国家資格です。元をたどれば「精神科ソーシャルワーカー」として1950年から精神科病院などで活躍してきました。

日本が政府をあげてとってきた施策の中で、精神的な病状を抱える精神障害者は、地域から隔離して犯罪者のように施設(病院)に収容し管理してきた経緯があります。しかし、精神障害疾患を抱えているように演じて精神病棟に入院し、人権のある人間として扱われないような状況を告発したルポライターの出版物などが物議を呼び「これではいけない。」という世論が生じました。
そこで国をあげて精神障害者に対する施策を変更するにあたり、病院に収容するのではなく地域社会に出ていかなければならないという方針転換を行った結果、精神科分野だけではなく社会福祉全般の知識を取り入れた精神保健福祉士が誕生したわけです。

当たり前ですが、精神保健福祉士は認知症や精神障害のことを深く学んでいます。そのため、グループホームで自分の知識や経験を活かしたい、と働く資格所有者がいるのです。

 

注意点

最初の「グループホームと精神障害者」の項目で述べたように、グループホームはもともとが認知症高齢者専用の施設になりますから、精神障害者の方が生活するにはそぐわないこともあります。

例えば認知症高齢者の場合、慣れ親しんだ家具や趣味用具などを居室内においておかないと、不安になってしまい歩き回るという現象がみられることがあります。「徘徊」と呼ばれたこの行為は、長年の間、認知症の“問題行動”として捉えられてきました。しかし最新の認知症ケアの中では、新しいことに適用するのが脳の機能的に難しくなっている認知症高齢者の生活環境を整えるにあたり、長い間暮らしてきた自宅の間取りや家財道具、また生活音や匂いなどをできる限り再現することで、適応できない不安を除き去り穏やかな生活をおくれることにつながる、ということが分かっています。

しかし精神障害者の場合、例えば自殺願望があるとしたら刃物を身近に置いておくことは厳禁です。居室内だけではありません。グループホームはもともと、入居者とスタッフが共同して生活する場ですからキッチンなどの調理設備を備えているものですが、通常なら当たり前としてキッチンに置いてある包丁だって、自殺を叶えるための凶器となってしまうのです。

また毎晩適度に晩酌をしてきた方の場合、医師から止められていなければグループホームに入居しても同じように晩酌できる環境を整えることが重要な場合もありますが、例えばアルコール依存症の方が同じ施設に入居している場合には、別室であってもアルコールを置いておくこと自体が不可なこともあります。

認知症高齢者の「生活を支える場」が、精神障害者にとっては「病状を不安定にする場」となり得ることがありますので注意が必要です。

 

まとめ

本来であれば認知症高齢者のみが入居できるグループホームにも、精神障害者は入居することが可能です。ただ本当に精神障害者が入居できるのか、その場合にはどのような基準があるのかなどは、各グループホームによって違いがあるので問い合わせることが必要です。

また精神障害者が入居する際には、病気の種類によっては注意しなければならないこともあります。

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