高齢者の口腔体操について教えて!種類は?取り組み方は?

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口腔体操が誤嚥防止だけだと思っていませんか?
介護施設などの食事前によく行われる口腔体操。実は誤嚥防止以外にも様々な効果があります。そもそも口にはどのような役割があるのでしょうか?口の役割からその効果、方法と考えてみましょう。

 

高齢者の口腔体操とは

口にはどんな役割があるの?

口腔体操を知る前にまず口の機能について確認しておきましょう。口にはどのような役割があるのでしょうか。

食べる

食べるためには、口に物を入れる(摂取)、噛む(咀嚼)、飲み込む(嚥下)という一連の動作を行います。
口に物を入れるためには食べ物に合わせて口を開けます。大きい食べ物のときは大きく開き、液体は口からこぼれないよう受皿のように使い、ストローを使う時は口をすぼめます。
咀嚼する時は食べ物がこぼれないように口を閉じます。
舌や頬の筋肉で食べ物を移動させながら食べ物を飲み込みやすい形にしながら唾液と混ぜて消化を促します。
飲み込む時も唇や頬の筋肉と舌の動きを連動させて食べ物を喉に送ります。喉は食べ物が送られてくると肺への入り口を閉めて胃の方へ誘導します。

呼吸

空気を吸う、吐くと言う動作で呼吸をする役割があります。鼻でも呼吸をすることはできますが、口の方が一度に多くの空気を吸う事が出来ます。

発声

舌や口の動きを使って様々な音(声)を出します。音の組み合わせで言葉を使い、会話や意思表示をする役割があります。

表情

口の動きによって感情を表現する役割があります。口角を上げて歯が見えると笑顔になり、横にひきつると怒りや不満を表わす表情になります。

なぜ口腔体操をするの?

口腔体操は口の準備運動や口腔機能の維持・向上、リハビリなどの為に行います。
食事前に行うと食べる、噛む、飲み込む為の準備運動になり誤嚥を予防します。また早朝や意識レベルの低い人の場合などは食べる前にしっかりと目を覚ますことでも誤嚥防止に繋がります。
日常から口の運動を繰り返しておくことで口腔機能の維持になります。口腔機能が衰えてしまった人には誤嚥などのリスク低下や発声・発音の訓練としても活用できます。

 

 

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高齢者の口腔体操の効果

唾液の分泌促進

口を動かすことで唾液腺が刺激されて唾液の分泌が促されます。唾液は食べ物の消化を助けるだけではなくいろいろな効果があります。

唾液の効果1:殺菌

唾液は口腔内の細菌を殺す殺菌効果があります。同時に口腔内や喉の粘膜を守ってくれています。

唾液の効果2:飲み込むための潤滑液

咀嚼した食べ物と唾液が混ざることでまとまりができます。そして適度に湿っていることで喉に張り付くことなく飲み込むことができます。唾液が少ないのどがカラカラの状態でパンやご飯を食べた時を思い出して頂ければわかりやすいと思います。

唾液の効果3:消化吸収の補助

唾液に消化酵素が含まれていて、咀嚼しながら混ざることで食べ物を吸収しやすい状態へと分解していきます。口腔内でよく唾液と混ざった食べ物は細かく消化しやすくなっているので胃の消化だけではなくほかの臓器の負担も軽減してくれます。

食物残渣の除去

誤嚥性肺炎になる原因に食物残渣があります。食物残渣とは口の中に残った食べカスで歯茎と頬の間や歯茎と唇の間など舌が届きにくく、液体と一緒でも飲み込みにくい場所に食べ物のカスが溜まります。そこに細菌が繁殖し、唾液などと一緒に誤嚥し肺に入ってしまいます。
口腔体操をすることで唇や頬の筋肉も動かします。食物残渣を減らすためにも効果があります。

歯周病予防

唾液の分泌促進と食物残渣が減ることで歯周病菌の繁殖を減らすことができます。歯周病菌は虫歯や歯の欠損以外にも体に悪影響を与えます。
歯周病菌が起こす主な病気
動脈硬化、脳梗塞、細菌性心内膜炎、糖尿病、ガン、内臓疾患等。

認知症予防

口や顔の筋肉を動かしたり噛む動作をすることで脳への血流量の増加や刺激が起こります。
認知症の大敵はストレスです。表情は気分によって変化しますが逆に表情によって気分を変えられることがわかってきています。口腔体操で顔の筋肉を動かすことで気分をほぐすという効果が生まれます。また、噛む動作や筋肉を動かすことで血流も良くなり脳も活性化しやすくなります。

発音や発声の練習

発生・発音には肺活量や腹筋などの他に舌や口の動きも大きく関わっています。その動きが弱くなると声が出にくくなったり、はっきり喋ることができなくなってきます。
相手が自分の話を聞き取りにくいと話すことが苦痛になりコミュニケーションをとる機会が減ってしまいます。そうなると更に声を出すことも表情を動かすことも減り悪循環を起こします。口腔機能も弱ってしまうので歯周病や誤嚥などの影響も出てしまいます。

交流の機会

口腔体操は一人でもできますが老人ホームなどでは複数の人で行うことが多いと思います。人が集まることで会話をしたり、口腔体操で変な顔をして笑い合うこともできます。
高齢になると人と話をしたり表情を動かす機会というものが少なくなりがちです。口腔体操は人が集まるきっかけとしても使うことができます。

 

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高齢者の口腔体操の種類

マッサージ

筋肉をほぐしたり唾液腺を刺激するなどのマッサージを行います。体操前の準備運動に行われることが多いです。
体が動かない人や認知症が重い人など体操の参加が難しい人は介護者が行うことができます。ただし顔はデリケートな部分ですので相手に不快や恐怖を感じさせないようにすることが大切です。

ストレッチ

筋肉を優しく伸ばすことで筋肉が動ける範囲・可動域を広げます。例えばストレッチをせずに口を筋肉が硬い状態で口を小さく体操を行うより、筋肉をほぐして口が大きく開く状態で体操をしたほうがより効果的です。
高齢者の筋肉は硬く、傷つきやすくなっています。介護者等が行うことはなるべく避けて本人のペースで無理なく行うことが大切です。

体操

体操1:首

口の筋肉を動かしているのは口だけではなく実際には首や背中、腹筋など様々な筋肉と関係があります。全ての体操をするのは難しいので最も近い首の体操を行います。首を左右に倒したり大きく上を向いたり下を向いたりします。頚椎等に異常がある場合は注意が必要です。

体操2:顔

顔全体の筋肉を動かして体操を行います。
例えば、「すっぱい顔をしてください」「驚いた顔をしてください」などできるだけ顔全体の筋肉を大きく動かしてもらいます。他にも「怒った顔」「笑った顔」などいろいろな表情を作ってもらうと場も盛り上がりやすくなります。

体操3:口

顔の体操との違いは主に口を動かしてもらいます。口を縦に開ける、横に開ける。口をすぼめる、開け閉めするなどして口を中心に動かしてもらいます。
顎の外れやすい人は注意してください。

体操4:舌

舌を使っていろいろな動作をしてもらいます。口を開けた状態で舌を思いっきり前にだして「あかんべー」の状態にしたり、舌が鼻先に届くように上に向けてもらう。口を閉じた状態で頬を舌で押してもらうなどがあります。

体操5:発声

声を出すことは顔、口、舌の他腹筋などより多くの筋肉を使います。またリズムや歌、早口言葉など遊び感覚で取り組みやすくなります。
発声では「あ・い・う・え・お」の口の動きと「か行・た行・ら行・ぱ行」などの発音が体操としてよく使われます。

 

高齢者の口腔体操の取り組み方

食事前

誤嚥防止のためということで食事前に口腔体操を行うことが多いと思います。食事前であれば人も集まっていますので声をかけて人を集めたり、あまり気の乗らない人を説得する手間もかかりません。普段やりたがらない人でも食事を前に他の人達と一緒であれば仕方なく参加してくれることがあります。

朝の体操の一つとして

朝にラジオ体操などを行っている場合はその中で口腔体操を取り入れるのも良いと思います。口腔体操は嚥下の訓練だけでなく発声や滑舌などのコミュニケーションや唾液や表情の変化で気持ちを和らげるなどの効果もありますので必ずしも食事前に行う必要はありません。レクリエーションのような遊びはやりたくないという人はこういった「体操」「健康のために仕方なく」という形の方が取り組みやすい場合もあります。

レクリエーションとして

レクリエーションとして取り組むと遊び感覚で楽しく行うことができます。「体操」という形をとらなくても歌をうたうことでも発声や口の運動になります。他にも早口言葉やカルタのように声を出して遊ぶレクリエーションを取り入れると楽しく口の運動を行うことができます。

 

注意点

状態をよく確認する

高齢者の口腔体操を行う際は怪我等がないように十分注意して行ってください。高齢者の筋肉は硬く怪我をしやすくなっています。いきなり大きな動きをしたり強く動かしたりすると怪我をしてしまう場合があります。対象となる高齢者の状態をよく確認することが大切です。

楽しく行う

最近は減りましたが「誤嚥しないために口腔体操をしてください。これはみなさんのためです!」という具合に強制的に体操をさせる介護職員さんもいました。強制的にやらせても効果は半減。誤嚥して早く死にたいと思うような介護では意味がありません。
高齢者の中にはこういった体操は「子供じみてる」とか「年寄りくさい」と言ってやりたがらない人もいます。人の輪に入ることが苦手な人もいます。一方的な思いのおしつけや、高齢者が不快を感じないような配慮が必要です。
「口腔体操」という名前から「体操」という形にこだわる必要もありません。歌をたくさんうたったり、クイズや声を掛け合うレクリエーションなど口を動かすことはいろいろな手段で行うことができます。
重度の認知症や障害があって参加できない人や、どうしても体操をしてくれないような人にも「会話をする」だけでも何もしないよりは口の運動になります。是非いろいろな方法を試してください。

 

 

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まとめ

口腔体操の本当の意味は「誤嚥防止」でも「認知症予防」でもなく、それによって楽しく、明るく生きていくための一つの手段ではないでしょうか?
口の中のリスクを知り、病気などのリスクを減らして元気で明るい毎日を支援するために口腔体操を活用していただければと思います。

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