帰宅願望が出てしまった場合の対処は?原因と対策は?

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認知症で自宅にいるにも関わらず、利用者の方には「もうそろそろ帰ります」といって帰る準備を始める人がいます。これは、施設にいる人も自宅にいる人もどちらにも起こることです。帰宅するのは自分が生まれ育った所が多いです。そのような帰宅願望に対応する場合はその場限りの対応では通用しないことがあります。

 

帰宅願望とは

帰宅願望とは夕暮れ症候群とか夕方症候群とか言われていて日が暮れて帰らなくてはいけない時間になると、「そろそろ帰らなくては」と言い出すのです。
つまり、利用者にとって自宅に帰るという行為はごく自然なことなのです。自宅にいても家に帰るということになるのは、認知症の記憶障害の場合、昔の記憶が鮮明で帰るのはその時に住んでいた家なのです。
ある施設の利用者の方で学校の教師をされていた80代の男性がいました。その方は、車椅子でないと移動できませんでしたが、夕方になると毎日カバンを持ってエレベーターの前にいて自分で降りようとされていました。
それは、施設=職場である学校だったのです。夕方、仕事が終わったから家へ帰ろうとしていたのです。でも、「今日は遅いからここに泊っていってね。これから食事を用意しますね」と話すとすぐに食堂へ戻られました。そのように、帰宅願望とは自分の記憶の中にある自宅に帰ろうとすることです。

 

 

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帰宅願望の原因

帰宅願望は、周辺症状(BPSD)の1つで、生活している中や周囲の人と関わっていくときに起きる心理的な症状や行動のことです。

認知症の中核症状の記憶障害が原因

認知症の1つに記憶障害があります。その場合、今と過去、また未来と記憶がつながらず、特に昔過ごした時の記憶が鮮明です。そのため、昔いた時にタイムスリップしているようなことになるのです。今の記憶が薄れてしまっているので、自分がなつかしい時代に遊んだ場所、住んでいた場所へ帰ろうとします。

認知症の中核症状の見当識障害が原因

見当識があるため、自分が今どこにいるのかわからない、周りの人がだれかわからない、今がいつか分からないという症状が出てきます。そのため、記憶の中にある知っている人の所へ行こうとします。結婚して配偶者や子供もいる利用者が、配偶者や子供が誰だかわからず、昔、親と一緒に過ごした家や近所の人のところへ帰ろうと支度をしだすのです。

不安や居心地が悪いことが原因

自分が住み慣れた場所から、介護施設への入所やショートステイに行くなど、慣れない所に行くことによって回りの環境が変わると帰宅願望が起きることがあります。認知症になると、なぜそこにいるのかということがわかりません。そのため、住み慣れた自宅に戻ろうとするのです。入所したばかりの時は帰宅願望がよく現れます。

 

帰宅願望の予防と対策

穏やかに接して会話の時間をもつ 「帰りたい」としきりに言うときは、どこに帰りたいのか、そこで何があったのかと穏やかに話を聞いてあげるとそれだけで落ち着くことがあります。特に、入所したばかりの利用者は、帰りたいという気持ちが強いので、よく話を聞いてあげることで信頼できる人だと考えて次第に帰宅願望が少なくなり落ち着いてきます。

帰宅願望がでたら注意を他のことに向ける

本人は帰ることばかり頭にあります。そのため、何とか帰ろうとしますが、その時に「一緒にお茶を飲みましょう」と共に座って少しくつろいで話をしたり、他の利用者と一緒に塗り絵をしたりなどできることをしてもらいましょう。
すると、気持ちがそちらに行くので帰ろうという気持ちを忘れてしまいます。例えば、夕方に帰宅願望がおきることが多いので、「夕食の準備を一緒にしましょう」と誘って、他の利用者と一緒に座ってもらい、もやしの根をとること、レタスをちぎること、おしぼりを畳むことなどできることをしてもらいます。

帰宅願望で、動き回るとき

後ろから、そっとつけて行って、ある程度動いてそろそろ歩き回ることで疲れたころに声をかけて一緒に部屋に戻ります。その時に「〇〇さんが、帰らなくてよかった。いつも一緒にいたい
」「皆が淋しがるよ」とその人は必要な人なのだということを頻繁に伝えてあげましょう。
人間は、年を取っていても自分が必要とされているということを感じた時に、生きがいを感じるものです。そのため、何か仕事を与えてあげることが「自分は必要とされている」と思うことにもつながります。

家族に家にあるなじみの物を部屋においてもらう

家にあるものでいつも飾っていた家族の写真や割れない置物などを部屋に飾ることで、自分が生活してきた家と似た環境に近づけることができます。花が大好きな利用者で部屋にもフリーズドドライの花を飾るとか、毎日お経を読んでいた人なら、部屋でお経をあげられるように経本を与えてあげることで落ち着くことがあります。

一緒にいる利用者を少人数にする

施設での食事のときは、大きな机で食べているならば、4人くらいが向かい合って、家庭的な雰囲気の中で話しながら食べられるような環境、気の合う利用者と一緒に過ごす楽しい環境、一緒に生活する家族のような環境にすると、その中に溶け込み次第に落ち着きを取り戻します。

医師と相談する

他の利用者に暴力をふるうとか、あまりに不穏な状態が続く場合は、医師に相談し、薬を処方してもらうことがあります。そのことによって、不安な気持ちが軽減し、帰宅願望が薄れることがあります。

 

 

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帰宅願望の利用者に接するときの注意点

本人の言うことや行動を否定しない

本人が帰ると言ったときに、「ここが家だよ」とか「もうそこには家はないよ」と言って利用者の言うことを否定することはかえって利用者を不安な気持ちにさせてしまいます。不信に思って帰りたいという気持ちがますます高まってしまいます。
また、帰宅願望を問題行動と考えて、本人が外に出られないようにするなど、行動を抑制するとイライラしたり、他の利用者に暴力をふるったりすることになりかねません。精神的にも不穏になってしまします。そんな時は周辺を一緒に散歩するなどで、歩くことによって疲れて施設に戻ります。

おやつなどで満足する

おやつの時間はいつも決まってありますが、夕方の帰宅願望がでる時間帯は空腹になっていることが多いです。その時は夕食に差し障らないように、ゼリーやヨーグルトなど小腹を満たす程度のものをあげるだけでイライラがおさまり落ち着くことがあります。

利用者の尊厳を保つ

利用者がそこで「必要とされている」とか「いてほしいと思われている」と感じることで、利用者の自尊心を保ち、その人の尊厳も保つことができます。しつこく帰りたいというから利用者に対して怒るとか「そんなに帰りたいなら、家の人に話してあげようか」など言わないようにしましょう。家族は施設に入れなければいけない状態だから入所を頼んだのです。それよりも利用者が施設は居心地がいいと思える環境づくりをしてあげる方がいいでしょう。

 

 

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まとめ

帰宅願望は認知症の周辺症状で、記憶障害のため現在の記憶でなく、過去の記憶が残り、昔住んでいたなじみの場所に帰りたいと行動を起こすことや入所や家族に引き取られて、現在の住んでいるところが長年住んでいた家と違って居心地が良くないなどというときにおこります。すべて、利用者にとっては目的があって行動していることなので、否定するのではなくて、そこが居心地の良い場となるようにしてあげましょう。

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