訪問看護の指示書について教えて!様式は?記載例は?

Visiting nurse takes a health history during a home visit, Visiting Nurse Society of Philadelphia,  c. 1957.

訪問看護とは、訪問看護ステーションから看護師等が自宅に訪問し、病気や障害を持った人が住み慣れた地域や自宅で、その人らしく療養生活を送れるように、看護ケアを提供し、自立への援助を促し、療養生活を支援するサービスです。
現在全国的に進められている、「介護や支援が必要な状況になっても、可能な限り住み慣れた自宅で生活を送る」という地域包括ケアシステムの中でも訪問看護は在宅生活を支えるという意味で重要な存在であると言えます。
今回は、訪問看護を開始する上で必要となる「訪問看護指示書」について詳しく見ていきましょう。

 

訪問看護の指示書とは

訪問看護を行う場合に、まずは主治医からの「訪問看護指示書」が必要です。主治医は、訪問看護が必要と判断した利用者について「訪問看護指示書」を交付します。
主治医への訪問看護指示書の交付の依頼は、訪問看護ステーションの看護師が行います。 訪問看護指示書にも種類がいくつかあり病状の変化によって、特別指示書や注射指示書などが交付されますが、可能となる訪問の回数がそれぞれ異なります。

訪問看護サービスには、公的な保険制度の訪問看護と自費の訪問看護があります。
(1)介護保険の訪問看護(公的な保険制度)
(2)医療保険の訪問看護(公的な保険制度)
(3)自費の訪問看護(民間のサービス)

※自費の訪問看護では主治医の訪問看護指示書は必須ではありません。
要介護度や症状の程度、病気の種類、年齢を問わず、全ての方に ご利用いただけます。
また、自費の訪問看護は、介護保険もしくは医療保険の訪問看護と同時に利用することができます。

■訪問看護指示書の種類

訪問看護の指示書には以下のように制度によって種類が異なります。

1.訪問看護指示書

介護保険、医療保険・・・共通一般的に出される指示書です。

2.特別訪問看護指示書

医療保険・・・訪問看護指示書が交付されている利用者の急性増悪などで、頻回に訪問看護が必要と判断した場合に出すことができます。特別訪問看護指示書のみが交付されることはありません。
・指示の有効期間は、指示日から最長14日まで。月に1回交付が可能です。
・次の場合は、月に2回まで交付が可能です。(平成20年4月1日より)
気管カニューレを使用している人、真皮を超える褥瘡のある人。
3.在宅患者訪問点滴注射指示書

医療保険、介護保険 ・・・週3日以上の点滴注射が必要と認められる場合
・指示の有効期間は、指示日から最長7日まで。

 

 

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訪問看護の指示書の書式、様式

調剤薬局で薬を受け取る際に医師の処方箋が必要であるのと同じように、訪問看護サービスを受ける際にも「主治医」が交付する「訪問看護指示書」が必要となります。
訪問看護指示書の様式は厚生労働省から示された様式16を使用するのが基本で、以下の画像のとおりとなっています。

~指示書の様式について~

訪問看護サービスを希望する場合は医師や介護支援専門員(ケアマネージャー)に、または入院している場合や退院調整する場合は医療機関の医療相談室の医療ソーシャルワーカー(MSW)、精神保健福祉士(PSW)などその医療機関の相談業務や退院支援の担当に相談してみましょう。医療機関によっては訪問看護指示書のフォーム(様式)を求められる場合がありますので上記の様式があるということを覚えておきましょう。
様式は大概の医療や訪問看護事業所にありますがインターネットなどからダウンロードもできます。

 

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訪問看護の指示書の記載例

訪問看護指示書には以下の内容についての記入が必要になります。

各項目の記入例

1 「主たる傷病名」欄

がん患者で手術、抗がん剤等の抗がん治療の適応がない場合は、疾患名の後に「終末期」あるいは「末期」などと書き添えます。

2 「病状・治療 状態」欄

指示書記入時点の「病状(症状も含む)」「今後の治療方針」、可能であれば「推測される予後」を記入します。患者が退院して自宅療養となる場合は、可能であれば「退院サマリー」を添付することになります。

3 「投与中の薬剤の用量・用法」欄

6剤以上処方している場合は、「別紙参照」と記入し、処方のコピーを添付しても構いません。最新の処方内容がわかるように記入します。

4 「療養生活指導上の留意事項」欄

食事、入浴、排泄、活動の程度や安静度等の日常生活で注意したほうがよい事項について記入します。

5 「リハビリテーション」欄

骨転移の有無、骨折・脱臼のリスク、運動負荷の制限についてなどリハビリテーション実施上の注意点を具体的に記入します。

6 「褥創の処置等」欄

褥創の処置のほか、人工肛門や浣腸など排泄に関する処置について記入します。

7 「装着・使用医療機器等の操作援助・管理」欄

在宅酸素、在宅高カロリー輸液などに関する指示を具体的に記入します。

8 「その他」欄

疼痛時のレスキュードーズ(臨時追加投与)、発熱時、呼吸困難時などの頓用薬指示等について具体的に記入します。他科と併診の場合は、「併診診療科名」をこの欄に記入します。

9 「緊急時の連絡先、不在時の対応方法」欄

第1連絡先は「外来主治医名」を記入します。第2連絡先は各「診療科オンコール」または対応可能な「医師氏名」を具体的に記入します。 可能であれば、携帯電話番号も記入します。

10「医師氏名」署名欄

病棟から退院患者の場合、病棟担当医と外来主治医の両方の氏名を必ず書きます。
※ 訪問看護指示期間については、6ヶ月を限度として患者ごとの病状に応じて判断し、主治医の責任で適切に記入することになります。

 

訪問看護の指示書がダウンロードできる?

訪問看護指示書の様式は厚生労働省から示されている様式16になります。この様式は、厚生労働省のホームページからダウンロードできます。
また、各訪問看護ステーションのホームページに掲載されていることも多く、入手方法はたやすいでしょう。

 

 

 

注意点

さて、訪問看護指示書には幾つかの種類があると先に紹介しましたが、それぞれの指示書の種類と注意点についてまとめました。

■訪問看護指示書の種類と留意点

①訪問看護指示書

・通常使用される訪問看護指示書です。
・主治医は訪問看護ステーションに指示書の原本を交付します。
・指示期間は、最長6ヶ月までです。(記載がない場合の指示期間は1ヶ月)
・訪問看護指示書交付の際、月1回主治医が『 300 点』を算定できます。
・2ヶ所以上の訪問看護ステーションから訪問看護を提供する場合は、各訪問看護ステーションに交付することになっています。(算定は1回分のみ)

②特別訪問看護指示書

・患者の急性増悪などにより、頻回の訪問看護が必要になった場合に交付します。
→介護保険対象の利用者の場合、医療保険による訪問看護に切り替わります。
・特別訪問看護指示書による訪問看護は、「訪問看護指示書」が交付されていることが前提条件となります。
・特別訪問看護指示書の交付は原則として月1回で、主治医が『100点』を算定できます。ただし、「気管カニューレを使用している状態にある者」「真皮を超える褥瘡の状態にある者」については、月2回まで交付できます。
・指示期間は14日間までで、月をまたいでもかまいません。
→特別訪問看護指示期間中の訪問看護は医療保険での対応となります。
→急性増悪の症状が改善し、指示期間を訂正していただいた場合の訪問看護は介護保険対応に戻ります。

③精神訪問看護指示書

・精神障害者社会復帰施設等において、同時複数(8人まで)の患者に訪問看護を行う場合(訪問看護ステーションが訪問看護基本療養費(Ⅱ)を算定)に交付します。
(精神疾患患者すべてに交付する指示書ではありません)
・精神科を標榜する保険医療機関の精神科を担当する主治医が交付でき、月1回主治医が『300点』を算定できます。
・精神訪問看護指示書を交付した場合、「訪問看護指示書」は必要ありません。

 

 

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まとめ

訪問看護の業務をする、サービスを受けるためには「医師が書く訪問看護指示書から始まる」ということを知らない訪問看護師はいないと思います。しかし、サービスを受ける側や他の職種では詳細は知らなかったり、どう連携して良いのかがわからないことが多いです。 「指示書の世界」はかなり複雑で、詳しく知っておかないと、せっかく仕事をしたのに報酬がもらえないことや、適切なサービス提供に結び付けることができないという事態になりかねません。指示書について良く知ることは住み慣れた地域や自宅で生活していくうえで有用なことですね。
訪問看護指示書があると、必要な医療系のサービスを自宅で受けることができるので、自宅療養や自宅介護が安心してできる希望も広がります。

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