せん妄の誘発因子って?3つの誘発因子と4つの見分け方

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せん妄は普段はおとなしい人が急に大声をあげたり、実際にはいないのに「虫が沢山はっている」「人が立っている」などのわけのわからないことを言ったり、夜になるとブツブツと独り言を呟いて部屋の中をうろうろしたりするなど、認知症ではないかと思われるような状態を指します。今回はそんなせん妄を促す誘発要因についてご紹介したいと思います。

 

せん妄の誘発因子とは

せん妄の症状とは?

せん妄とは急に幻覚や幻聴などがおきて意識障害など訳が分からなくなり、時間や場所もわからなくなるような症状のことを言います。

①見当識障害が起きる

時間や場所がわからなくなる。最近のことが思い出せなくなる

②睡眠障害

不眠、昼夜逆転、睡眠中でも落ち着きがない、起きているときでも寝ぼけたような状態

③幻覚や妄想が起きる

虫がいるとか人がいる等の幻視や幻覚、実際の事と違うことを本来の事と違って解釈する妄想がでる

④精神運動障害、情動障害

意識の錯乱、興奮状態、不安を訴える、暴力をふるうなど

せん妄は出方により次の3つに分けられます。

せん妄の3つの出方

・過活動性せん妄

興奮状態にある、暴力をふるう、大声を出して暴れる、落ち着きがない、睡眠障害があるなどの問題行動を起こすせん妄です。全体の20%。

・低活動性せん妄

無表情で、無気力、反応に乏しく、食欲がなく、直ぐに傾眠する、見当識障害があるなど混乱した状態が静まっている状態です。全体の30%。

・混在型せん妄

過活動性せん妄と低活動性せん妄が混在しているタイプです。昼は低活動型でも夜は過活動型になる場合もあります。全体の50%を占めていて、一番多いせん妄です。

 

 

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せん妄が起きる誘発因子とは

せん妄は脱水、電解質異常のような身体疾患や薬などが大きな誘因となるとも考えられていま
す。せん妄が起きる因子には次の3つです。

三つの因子

①準備因子

せん妄を引き起こす脳の機能低下などの原因によるもので、脳血管障害、頭部外傷などの中枢神経系疾患、認知症などの慢性脳疾患、加齢によるもの、パーキンソン病、腎不全、癌、甲状腺機能障害など

②誘発因子

せん妄を引き起こす誘発因子のこと
・入院による環境変化、孤独感や不安などの心理的ストレス
・脱水、感染、電解質異常、心不全、低酸素症、呼吸不全、便秘などの身体的症状
・睡眠障害
・五感があまり感じなくなったり、過剰に感じたりすること

③直接因子

・薬に副作用・・睡眠薬、抗不安薬、総合感冒薬、消化性潰瘍治療薬、モルヒネ、鎮静薬など
・急性アルコール中毒、違法薬物の使用、
・入院、手術で情報が遮断された状態、手術で使用する麻酔や酸素の影響やストレスなど

 

せん妄であるかどうかの見分け方

せん妄はわけが分からなくなるので、認知症と間違えることがあります。せん妄であるかどうか
の見分け方はつぎの点から見ます。

4つの見分け方

①場所や日時がわかるか(見当識障害があるか)
②最近のことを覚えているか(記憶障害があるか)
③急に意識が混濁してきたか(せん妄の場合、認知症と違って急に出ます)
④1日の様子を観察して、上のような症状がみられるか
せん妄である疑いがある場合、速やかに受診して医師の診察を受けましょう。

 

せん妄の誘発因子のポイント

せん妄の誘発因子はたくさんあります。特に高齢者になると、せん妄になる誘発因子をたくさん持っています。脳の機能低下や入院によるもの、薬によるもの、脱水、電解質異常などの多因子が重なって起きる場合があります。

せん妄の種類

①夜間せん妄

昼間は普通だが夜間になるとせん妄が現れて、意識がもうろうとなり、うろうろしたりするせん妄です。

②術後せん妄

これは、麻酔や酸素、薬などの影響で起きるせん妄で、このせん妄は防ぎようがありません。

③薬剤性せん妄

処方された薬で起きるせん妄です。

④アルコール離脱せん妄

アルコール依存症の人がアルコールをやめるときに引き起こされるせん妄で、手の震えなどが伴います。

 

 

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せん妄の誘発因子を防ぐポイント

せん妄を改善するには家族の助けが必要です。特に高齢者の場合は援助することによって、誘発因子が改善されます。

①生活リズムを整え、昼夜逆転のリズムを整える

昼夜逆転にならないように、リズムを取り戻す(体の体内時計を利用して、朝目覚めて夜寝る習慣を作る)
・朝はカーテンを開けて太陽の光を部屋に入れ、外が見えるようにする。
・できるなら、一緒に家族等が付き添って散歩をする
・夜は、暗くして眠れるような環境を作る
・日中に眠くなった場合は、昼寝をする

②入院中は寝たきりを避け、以前の生活に近い環境にする

・手術によるせん妄は防げませんが、病院内で以前の生活を取り戻すためには寝たきりの状態を避けることが大事です。例えば、食事は車いすに座って食べる、ギャッジアップして食べる、歩くことができるならトイレに自分で行き、待合室などに行く
・適切な感覚の刺激を与えるため、日頃、テレビを見たり、新聞を読んだりしている人には入院中も続けるように促す。入院環境を整え、出来るだけ自宅と同じようにする。
・周りの者が今日の日付や時間を尋ねたり、家族やペットの写真、孫の絵などを持っていったりする

③脱水、電解質異常にならないように気を付ける

・高齢になると、のどが渇きにくくなり、暑くても暑いと感じにくくなります。そのため、脱水症状を引き起こす恐れがあります。トイレに行く回数を晴らすために水分を控える人もいます。そのため、脱水症状になることがあるので、周りの人が気を付けてあげるとともに本人にも水分摂取を促すようにします。
・電解質異常にならないために、経口補水液をこまめにとることで水分不足と電解質異常を防ぐ
ことができます。
・本人に脱水や電解質を摂らないと、脱水になりせん妄になることを理解してもらうことも大事です。

④便秘に対するケア

・便秘もせん妄になる1つの誘発的因子です。出来るだけ、水分を摂る様に心掛け、繊維質のものやお腹をマッサージするなどを行い、それでも改善されない場合は医師による処方薬で改善を試みます。

 

せん妄に対処するときの注意点

せん妄は興奮状態にあって大声を出したり、幻覚が出たり、せん妄状態のときは厄介です。そのため、対応に注意することが必要です。

刺激を少なくする

補聴器や時計、メガネなど普段使用している物を近くにおいて、直ぐにとれる状態にしておきます。家族の写真や孫の写真、新聞など、よくわかっている物を置いてあげるのもいいでしょう。出来るだけ、普段と同じ環境にして証明を明るすぎないようにして刺激を少なくし、本人が落ち着くようにします。

穏やかにコミュニケーションを取る

話しかけても興奮していると耳に入らなかったあり、わけが分からなくなっていたりしています。ゆっくりと目を見て近くから話しかけましょう。せん妄の人は虫がいるとか人が歩いているなどの幻視や幻覚を見ている場合があり、訳の分からない事を言ったときでも話を合わせてあげることによって落ち着いてきます。

大声を上げたり、暴力をふるったりする場合、少し離れる

興奮状態にあると、大声を上げて、暴力までふるう場合があります。その時は、少し離れたところで見守り、落ち着くのを待つことも大事です。

低活動性せん妄は見落としやすい

低活動性せん妄は、意欲がない、直ぐに傾眠する、無気力なので、せん妄だと気が付かないことがあります。特に80歳以上の高齢者とか視覚障害がある人だと、認知症と区別しにくく、せん妄を見過ごしてしまいます。

 

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まとめ

せん妄は、脳卒中や認知症などの疾患による準備因子や加齢、環境の変化、ストレス、脱水、便秘、電解質異常、睡眠障害などの誘発因子、薬による副作用、アルコール離脱などによる直接因子によって起こります。予防は、生活リズムを整え、昼夜逆転にならないようにする、脱水や電解質異常にならないように経口補水液を摂取する、便秘の改善、環境をあまり変えないなどの予防をすることが大事です。

せん妄だと判断したときは医師の診察を受けましょう。

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