社会福祉士の試験ってどんな内容?試験対策は?

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介護事業所の相談員には是非とも欲しい資格、社会福祉士。筆者も駆け出し時代、昼休みに相談員さんと介護福祉士と社会福祉士の試験に共通する問題を出し合って勉強したものでした。
その相談員さんも苦戦していた社会福祉士試験、どの様な物か紹介します。
(※以後の本文中、精神保健福祉士を「PSW」、社会福祉士を「SW」と略します)

 

社会福祉士の試験とは

運営団体

SW試験は国家資格ですが、試験は公益財団法人である『社会福祉振興・試験センター』が担っています。厚労省から「指定試験機関および指定登録機関」なる認可を得、厚労大臣の代理として試験実施と登録事務の権限を持っているのです。
以下、第30回試験に基づくデータです。

願・試験・出願から合格発表までの日程

◎出願日  :9月上旬~10月上旬(第30回試験:平成29年9月7日~10月6日)
◎試験日  :出願の翌年2月上旬 (  〃   :平成30年2月4日)
◎合格発表日:試験実施年の3月  (  〃   :  〃  3月15日)

試験場(24都道府県)

◎北海道
◎東北 :青森、岩手、宮城
◎関東 :東京、埼玉、千葉、神奈川
◎中部 :愛知、岐阜、新潟、石川
◎関西 :京都、大阪、兵庫
◎中国 :島根、岡山、広島
◎四国 :香川、愛媛
◎九州 :福岡、熊本、鹿児島
◎沖縄

特別事項

◎身体障碍者への対応:申請により各種対応(点字、拡大文字、試験時間延長など)
◎PSW資格取得者への特典:PSW試験に既に合格しており資格登録済み又は申請中で、かつSW資格試験出願時に申請した受験者は、受験料減額と共通科目試験免除

受験手数料

◎SWのみ受験     :15440円
◎SWとPSW同時受験 :28140円
◎PSW資格取得者   :13020円

 

 

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社会福祉士の試験内容

試験形式

試験時間は合計240分。設問数150問。全ての設問が1点ずつで、5択の選択問題。点数が異なっていたり記述式になっていたりするものはありません。
内容は18科目のジャンルに分類されており、個々の設問はこれらの科目内容に基づいて作られます。
更にその18科目は、11科目の「共通科目」と7科目の「専門科目」に分かれ、試験時間も前半後半に分割。その間に休憩があります。
合格ラインは全体の60%程度の得点が必要と見込まれますが、第26回試験では約49%になるなど、難易度による調整もあります。
また18科目全ての事項で正答が無ければ、合計得点が高くても合格出来ません。
これはPSW資格所持でも同様で、専門科目7科目のみの受験でも、総合点の合格ラインを満たすことに加えて、7科目全項目での正答が必要になります。
近年では、専門科目のみの受験者の方が合格率低下しており、設問が少ないから受かり易いとは必ずしも言えなくなっています。

前半:共通科目

◎試験時刻:10:00~12:15(制限時間135分。終了後90分間の休憩)
◎問題数:83問(11科目)

後半:専門科目

◎試験時刻:13:45~15:30(制限時間:105分)
◎問題数:67問(7科目)

 

社会福祉士の試験科目

前章で述べた各科目の名称と、内容に関する大まかな具体例を列挙します。
科目名の後ろの数字は問題数です。

共通科目

(1)人体の構造と機能及び疾病:7
◎人体各部機能解説、発達・老化・疾病の解説。ICFやWHOなど国際基準による定義や理論など
(2)心理学理論と心理的支援:7
◎心理学に関する身体機能面や精神面からの解析。カウンセリングやストレスへの概念など
(3)社会理論と社会システム:7
◎法律や経済、組織などの概念。貧困や差別などの社会問題など
(4)現代社会と福祉:10
◎福祉の概念や歴史。福祉の産業や労働政策、社会問題に対する福祉の作用など
(5)地域福祉の理論と方法:10
◎地域福祉の概念。地域制度や組織に関する解説。地域ごとのニーズの調査、福祉系資格が持つ役割など
(6)福祉行財政と福祉計画:7
◎国・都道府県・市町村・福祉団体ごとの役割や関連の解説。福祉計画の概念や実態など
(7)社会保障:7
◎社会保障の概念。細分化された各種福祉制度の役割、歴史上の変遷と現状など
(8)障害者に対する支援と障害者自立支援制度:7
◎社会における障碍者の立ち位置。障碍者支援制度の歴史変遷と効力。公的機関や団体の役割。バリアフリー新法など
(9)低所得者に対する支援と生活保護制度:7
◎低所得者の生活実態、社会情勢や福祉制度との関わり。生活保護の概要、対する公的機関や福祉職との関係など
(10)保健医療サービス:7
◎保健医療サービスの総合的な概念説明、医療職との関係や連携。医療保険制度、診療報酬の概要と関連制度など
(11)権利擁護と成年後見制度:7
◎相談援助活動と憲法を初めとした基本法の関わり、各種対象者への権利擁護活動など

専門科目

(12)社会調査の基礎:7
◎社会調査の狙い。倫理や法、量的・質的調査の方法など、
(13)相談援助の基盤と専門職:7
◎SW・PSWの意義と役割、関連法、専門性。相談援助業務の意義や役割と問題点など
(14)相談援助の理論と方法:21
◎「人と環境はどう影響与えあうか」の理論。各種実践モデルの説明。アウトリーチの方法など
(15)福祉サービスの組織と経営:7
◎福祉サービスの基礎理論、関連制度。運営の内情など。
(16)高齢者に対する支援と介護保険制度:10
◎介護保険制度の概要、関連制度、組織。高齢者虐待や居住確保など。
(17)児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度:7
◎青少年育成、母子家庭法、児童福祉法など関連法。福祉団体との連携など
(18)就労支援サービス・更生保護制度:8(※左記の2項目に4問ずつ)
◎就労支援制度概要と関連施策。生活保護制度。職業リハビリテーションについてなど

 

 

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社会福祉士の試験対策

各科目の関連を把握

18個の科目および共通と専門の種別毎に問題は作られますが、ひとつひとつの科目を順番に覚えようとしても頭の中で整理がつかず、出題された物を見ても意味が解らないままになりがちです。
敢えてここは、科目の分類から一旦離れましょう。そしてSWとは何かに立ち返ってみましょう。その根本は、「生活に問題を抱える利用者に対し、他の組織と連携を取り、制度を活用し、相談や援助を行う役割」です。
その事から、SW試験の設問を以下の4つに分けて考えてみます。
(1)SWはどんな役割を誰に対し果たすのか
(2)利用者はどの様な理由と状態で生活に問題を抱えているのか
(3)各種組織・制度・法令はどの様な物で、誰とどう関わるのか
(4)社会の根本にある政府や公的施策は、何を以てどんな役割を果たしているのか
こういった関連性のもと考えると、設問が捉えやすくなります。

過去問題の反復

多くの資格試験同様、過去問題集を回答していくことが大事です。それを繰り返し行う事で、覚えられない箇所、毎回間違えてしまう問題が分かり、苦手分野つまり重点的に学習すべき個所が浮かびあがって来ます。
別の問題集も併用して交互に解くと、以前は解答できた問題を忘れていないかのチェックにもなります。
ただ過去問では、法令変更や最近の出来事をテーマにした問題には対応出来ません。情報を常に仕入れる事、そして改正法案が出るまでの時間は、福祉の歴史や人名など、変更されない箇所の学習に使いましょう。

セミナー・模試

生活環境や個人の好みで、資格学校へ通うのではなく、通信教育や参考書を購入しての独学を行う場合も多い事でしょう。それらは、「自分のペースで学習出来る」と言えば聞こえは良いのですが、すぐに壁に当たります。
問題に関する疑問に対し、他人からのアドバイスが必要になります。通信教育やSNS等では返事貰えるのに時間が掛ったり、お互いの文章の意味が伝わらなかったりします。何より独学は意欲が下がりがちです。
時間を捻出してセミナーや模試へ行き、他の受験者と顔を合わせましょう。疑問点も晴らしやすくなりますし、何より「合格したい」意欲が湧きます

 

注意点

目標は試験合格である

試験に臨む際に陥りがちな失敗は、全てを理解しようとする事、そして学校での勉強と同じ様に考えてしまう事です。
筆者も様々な資格試験を受けてきた際、度々陥りました。それは「教科書を作ろうとしてしまう」事、つまり膨大な文章の全てを理解しようとするあまり、それをノートに流れ図として書き込んでしまう事です。これは中々楽しい作業で、誰の目にも分かり易いような教科書的な物を作ってしまう様になります。
結果、試験に臨む頃には、それまでの短い時間をノート作りに費やしていて何も身に付いていない、などという結果に終わります。
ノートはあくまで学習の「準備」です。準備に時間を掛ける余裕はありません。
大学の新入生なら、講師と毎日顔を合わせながら勉強に集中できますし、試験までの期間も何年もあります。単に試験突破でなくSWの業務に就くという目標に向けての準備を行うわけですから、ノート作りも必要となります。

しかし、社会人など勉強に集中出来ない者にとっては、まず試験合格ありきなのです。
ノートを作るにしても、他人に読ませるわけでは無いのですから、自分だけが解ればよいのです。

貧すりゃ鈍する

受験料やテキスト、セミナーや模試、いずれも高額です。
さりとて古本では新法に合わせられません。

セミナーや模試などに参加するチャンスも逃せません。
お金は手段であって目的ではない。ここ一番の使い処がある」と考えましょう。

 

 

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まとめ

この試験は、1998年5月26日施行の『社会福祉士法及び介護福祉士法』にて「業務の適正を図り、以て社会福祉の増進に寄与する」との狙いのもと作られました。名称独占資格であり、無くてもSWの業務には就けますが、肩書きは相談員としてのレベルの証になります。

ここを突破して、福祉会を盛り立てる力になりたいものです。

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