自立支援介護がこれから介護の主体になる!?

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介護は要介護者だからと言って、全てを介護者にやってもらうことではありません。自分自身の僅かでも動く身体の機能を利用して自立できることを目標として、一日でも早く社会復帰できるように支援するのが「自立支援介護」です。これは決して魔法ではありません利用者本人の努力と継続力につきす。

 

自立支援介護とは

現在日本は「高齢化社会」という大きな渦の中にあり、そこには以下のような多くの要介護者がいます。その要介護者も家族も叶えられるものなら一日でも早く、自らの力により自立して日常生活が楽しめる事を願っています。

介護保険認定者数推移

 

 平成24年25年26年27年28年29年32年 37年
要支援1・21,4621,5791,7131,7971,9022,0222,325
3,701
要介護1・21,9092,0282,3432,4862,5452,9863,1233,741
要介護3~51,7261,8751,9032,1232,357 2,3892,883 3,622

(単位:千人)
引用:厚生労働省資料

このように増え続ける要介護者に対して政府も、対策を講じて2016年に現在の内閣で成長戦略を議論する中の「未来投資会議」で、介護保険制度について「注1.パラダイムシフトを起こす。介護が要らない状態までの回復を目指す」として自立支援を中心とした制度への転換を宣言しました。要介護者の減少を目指し、2018年度改定では要介護者の状態を改善した事業者を評価する仕組みが検討されて、現在は改善目標を達成した事業所に対してインセンティブの評価が与えられます。

注1.その時代や分野において当然のことと考えられていた認識や思想、社会全体の価値観などが劇的に変化することをいう。パラダイムチェンジともいう。

「自立」の意義

自立と一口に言ってもその意義についてはなかなか理解出来ないものです。自立するという事は健康な状態に戻す事です。健康とは「身体的」「精神的」「社会的」に良好な状態にあることで、それによって高齢者の介護でも「身体的自立」「精神的自立」「社会的自立」の3つを基本理念とした自立支援介護が高齢者の注2.ADLを戻す事ができて日常生活を整えれば注3QOLも向上して、ADLが自立すれば注4.IADLという生活関連動作も自立して通常の日常生活への復帰も可能になります。

注2.日常生活動作(にちじょうせいかつどうさ)、ADL(英: activities of daily living)とは、 食事・更衣・移動・排泄・整容・入浴など生活を営む上で不可欠な基本的行動を指す。
注3.クオリティ・オブ・ライフ(英: quality of life、QOL)とは、一般に、ひとりひとりの人生の 内容の質や社会的にみた生活の質のことを指し、つまりある人がどれだけ人間らしい 生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか、ということを尺度

注4.IADL (Instrumental Activities of Daily Living
「手段的日常生活動作」と訳されます。日常生活を送る上で必要な動作のうち、ADLより複雑で高次な動作です。
【具体的な動作】
買い物、洗濯、掃除等の家事全般、金銭管理、服薬管理、交通機関の利用、電話の応対などです。

 

 

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自立支援介護のやり方

自立支援介護の目的は「補完(ホカン)する介護ではなく、自立を支援する介護」を目的としてそれを達成させる為に、基本的ケアやタイプ別ケアを取り入れてそれを確実に行うことができれば高齢者のADLの問題は解決されより自立することが可能となります。

自立支援介護の基本的ケア

自立支援介護で基本となるケアは次の事が基本になってきます。
①水分
②食事
③排泄
④運動
どの項目も特別な項目ではなく人間が本来必要とする自然のもので、必要とすべきものが欠乏することで通常の動作などに影響が出てくるものと思われます。
自立支援介護では「飲めない」「食べられない」「歩けない」ではなく、「飲み方を忘れた」「食べ方を忘れた」「歩き方を忘れた」ととらえます。
回復に向けては、食べることは食べること=行為そのものの“練習”で取り戻せると考え、反復し、順次練習量を増やしていくのが基本です。
施設入所での介護方法としてはまず本人の状態に合わせた「水分」「食事」「排泄」「運動」の回復プログラムを立て、それに基づいたケアプランの作成を行い、家族へ内容や効果等を説明して実行されます。

自立支援介護の実例

東京のある施設では「介護力向上講習会」等を受講して、介護理論の取得を行い、利用者の自立性を回復する「自立支援介護」に取り組んできました。その結果平成21年に「入所者100名全員の日中オムツゼロ」を達成させそれに関連させた目標として
①夜間のオムツ外し
②リハビリパンツからノーマルパンツへ
③重度の利用者でも入所当日におむつを外し自立支援介護を実践

現在ではオムツゼロの達成を機に 新しく入所する利用者への介護方法は大きく変わって 今では入所初日からおむつを外して自立支援の介護を行うことが可能となってきています。

 

自立支援介護実践方法

この施設が実施してきた自立支援介護の方法としてはまずケアプランの作成が大きく変わりました。自立支援介護の4つの基本に基づいた、ケアプランの作成を行いより効果得れるような内容に変更させて達成へと繋げました。
又この変化により利用者の自立性がより早まった結果も効果として得ることができました。

ケアプランの変更

 [自立支援介護導入以前][自立支援介護導入後]
[下剤・向精神薬]入所後様子を見て中止入所前に主治医と相談し入所初日初
[排泄]とりあえずおむつを継続ノーマルパンツ(紙パンツ 変更)しトイレでの排泄に切り替える
排泄はそれの専門職が協力して入所初日におむつを外してノーマルパンツに変えトイレの排泄を行ってもらいます。
[運動]リハビリ室 週1~2回の訓練日常生活でリハビリを開始

その動作の中で訓練を行い
ます。運動については訓練室での運動ではなくリハビリ職員からの評価アドバイスにより、 とにかく入所日から日常生活の中での運動をするよう介護しています。
[食事]前の施設、病院での食事形態を継続迅速に常食に移行

[その他]
入所前と入所初日には利用者と家族におむつを外してトイレで介助を行うこと、積極的に 日常生活並みの運動訓練を行う等これらの介護を 行うことでADLが改善することなどの効果や結果について説明する。

このように自立支援介護は「何でもやってもらう介護」から「やらせる介護」に切り替える事で自立した日常生活が取り戻せるようになります。

 

 

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自立支援介護の加算

自立支援介護等で、要介護度の重度化を予防に取り組み重度化を改善して成果をあげている市町村や事業者を財政面で優遇する事になり。政府はこの制度の枠組みを2017年末までに決め、2018年4月から適用する方針です。介護予防や改善に積極的に取り組む事業者に「インセンティブ」を与えることで高齢者の自立支援を促進しつつ、総額10.4兆円にも及ぶ介護費用の膨張を抑えるねらいです。

現行の介護保険制度では、要介護度が高いほど介護事業者に支払われる報酬が多くなるため、介護事業者が要介護度の改善に消極的になりやすいといった声も上がっています。つまり、自立支援介護やリハビリなどに注力し、要介護度を改善させた事業者ほど介護報酬が低くなるというジレンマがあります。「インセンティブ改革」は、こうした課題を解消するための施策として注目されています。とはいえ、介護事業者の成果をどのように評価するかが問題です。
現状、介護サービスの質の評価は、以下の通り、「ストラクチャー(構造)」「プロセス(過程)」「アウトカム(結果)」という3つの視点から行われています。

三つの視点

1.ストラクチャー(構造)とは、医療を提供するのに必要な人的、物的、財政的資源のこと。専門職および医療機関の数や規模、施設さらには医療提供体制や医療保険制度などが該当し、看護職員配置加算や夜勤職員配置加算などが具体例として挙げられます。
2.プロセス(過程)とは、医療従事者と患者の間の相互作用を評価するもの。医療内容の適切性や医療従事者の患者に対する接遇などが該当し、リハビリテーションマネジメント加算やターミナルケア加算などが主なものです。
3.アウトカム(結果)は、医療によってもたらされた健康状態の変化のこと。身体的生理的側面だけでなく、社会的心理的側面の改善や患者の満足度なども評価の対象となっています。在宅復帰・在宅療養支援機能加算や事業所評価加算などが「アウトカム(結果)」指標のひとつです。

 

自立支援介護の研修

見参自立支援介護については介護業界をはじめとして看護でも、その効果が認めらてきて2018年度の医療介護同時報酬改定から反映される「自立支援介護」で看護業界として訪問看護ステーションの周囲にある介護サービスが、どのように「自立支援介護」へと変革していくのかが訪問看護師にとっても大きな関心となるテーマです。
「自立支援介護」でどのようなことが行われるのかを訪問看護ステーションでもしっかりと理解しておくことが重要となってきています。その為に全国老人福祉協議会を中心として全国で研修やセミナーが実施され広く自立支援介護の効果等の展開、広報活動を行っています。
27年に行われた「自立支援介護実践研修」の目的内容は次のような事です。

「自立支援介護実践研修」の目的内容

2025年にはわが国の医療・介護のニーズはピークを迎え、要介護高齢者の増大と介護保険制度の持続が課題となっています。国の経済再生と財政健全化計画の実現においても、社会保障給付の増加と国民負担の増大が重点課題に位置付けられており、給付の抑制と重点化・効率化に向けたサービス提供体制の見直しが改革の柱となっています。 このような社会保障制度改革の流れをうけ、給付費・保険料の抑制の観点から、効率的かつ効果的なサービスの提供にむけた介護サービスの質の評価へ注目が集まっています。 介護給付費分科会においても、継続して介護サービスの質の評価に関する議論が重ねられており、評価指標をベースにサービスの質に軸をおいた報酬体系の確立へ向け、分析・検証が進められています。
本研修会では、これまで全国老施協が進めてきた自立支援介護の理論と実践から、具体的な取り組みや体制づくりについて学び、自施設における更なる介護の質の強化と向上を図ることを目的に開催いたします。
これからこのような研修会が多く開かれる事で、現在は施設での実積、効果が主なものですが今後は在宅にしても認知症の対応策として利用していくことも有り得ます。

 

自立支援介護の未来

自立支援介護のこれまでの経過の中で三大介護(オムツ交換・食事介助・入浴介助)が重要な位置付けとなり、全国老人福祉協議会等の活動で自立支援介護の質の向上をめざした「介護力向上講習会」が広く展開され様々な施設で採用され、誕生からおよそ10年で目標とされたオムツゼロの目標が109の施設で、またゼロには届かず30%以下の成功施設が151と自立支援介護の成果は確実に表れています。又東京の実験施設では成果で次のような要介護者の認定区分に変更が見られるほどの自立支援介護の効果が表れています。

調査結果

⬛調査対象者 入所者63名
⬛入所時の要介護区分        自立支援介護適用後 利用者数  割合
要介護1 2 3 4 5  悪化   9人    14%
要介護2    7人 ➡        1 3 3  0 0 維持  24人    38%要介護3 23人 ➡ 2 6 11 3 1 改善  30人 48%
要介護4 25人 ➡ 4 5 9 5 2
要介護5 8人 ➡ 0 0 1 2 5
合計     63人   黒字:改善 青字:維持 赤字:悪化

この成果を基本的ケアの代表としてこれからは自立支援介護の更なる効果を期待して質の向上に努めていく事だと思われます。

将来への効果と期待

①利用者のQOL(生活の質)の向上
②家族の家族の介護負担の軽減
③医療費の減少
④介護度の改善
今後の目標
①身体的自立
・オムツゼロ
・歩行再獲得
②胃ろうの経口常食化
・術後2年以内100%
③認知症の改善
・症状消失率8割

自立支援介護の現在の実績によると、今後の目標として、決して高い 壁ではないと思います。自立支援介護はこれから更なる質の向上により、この効果を期待する要介護者は数知れないと思います。

 

 

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まとめ

自立支援介護の元々のスローガンは「 自立して元気で明るい老後と社会」 というもので、 今後多くなる 高齢者対策として 自立支援介護が 多くの高齢者を 明るい老後生活に導いてくれる 方法として期待されます さらに自立支援介護が これから多くの施設や 在宅介護で その成果を発揮されることで要介護者とその家族が負担軽減になることに大いに期待されることだと思います

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