インテグレーションって介護ではどんな意味?事例は?

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介護で支援の方法や考え方について『インテグレーション』と表現されることがあります。あまり聞きなれない言葉ですが知ってみると意外に身近な活動がたくさんあるんです。インテグレーションって介護ではどんな意味なのでしょうか?

 

インテグレーションとは

言葉の意味

言葉の意味としては「統合」という意味で使われます。この言葉は介護だけではなくビジネスやITなどほかの分野でもよく用いられる言葉です。システムや機能をまとめるときや、設定された目的のために教育方法、考え方、方針を統一して行う、近づけるなどという場合にも使われます。

福祉業界でのインテグレーション

介護でインテグレーションという言葉を使う場合は介護だけというより福祉という広い範囲で考えます。
高齢者や障害を抱える人が日常をできる限り他の人たちと同じように生活できるように地域住民や自治体、医療、福祉などが一体となって問題解決に当たる体制や考え方を指します。
地域、自治体、医療、福祉等それぞれが各々の視点で必要なサービスを考えると、バラバラなサービス提供になってしまいます。介護や福祉のインテグレーションとは、その人を中心に、周囲が合わせる(統合する)ことでサービスの質や効率を上げていこうという考えがあります。

社会参加の弊害を無くす

高齢者や障害を抱える人たちが社会活動に参加する意思があっても弊害があり参加できないということがあります。例えば移動です。訪問サービスやインターネットの普及した現代社会ですが外出しなければ参加できない活動もたくさんあります。移動には「移動手段」も重要ですが、「移動の過程」でも弊害が置きます。高齢であれば段差、坂道、距離などもありますし、視覚、知的、精神などに障害があればそれぞれにあったサポートも必要になります。
逆の言い方をすれば、環境の整備や適切なサポートがあれば誰でも社会参加の可能性を広げることができます。福祉のインテグレーションは環境やシステムを統合するという意味だけではなく、どんな人でも社会活動に参加できるという考え方として使われる場合もあります。

 

 

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インテグレーションと介護

インテグレーションが必要な背景

例えば、医療は治療を目的としますが介護は生活の援助をします。長期的な入院が必要な場合、生活から離れることによって余計に生活力を失い、療養が長引くという悪循環が起きてしまいます。長期的な入院になる理由としては慢性的な疾患が挙げられ、その多くは高齢者になります。超高齢化社会にこれから突入する日本にとって、サービスのインテグレーションを図って高齢者ができる限り自立した生活を送れる環境づくりが急務となっています。

知識の統合

インテグレーション介護の実現として、知識を統合するということが必要になってきます。知識を統合するということはそれに関わる人たちに共通の理解や教育を促進していくということです。具体的には国が示す指針、地域でのケアマネージャの教育、各施設への指導や地域での講習会などの活動があります。

仕組みの統合

医療、介護、地域などが協力するためにはそのための仕組みが必要です。それぞれが思うインテグレーションをそれぞれで実行していてはまとまることはできません。共通した仕組みの認識が必要になります。具体的には現在国が推進している地域包括ケアシステムがあります。ケアマネージャや地域包括支援センターが調整役となってさまざまなサービスや人をつなげていこうという仕組みです。各事業体、地域活動などの団体はこの仕組みを共有して共通する社会づくりをしています。

 

インテグレーションの役割

枠組みづくり

地域包括ケアシステムのように政策や行政の力を使いながら各機関や社会資源をひとつのシステムとして機能するように統合します。病気や様態に合わせて医療、リハビリテーション、介護、在宅、地域のコミニティなどの本来バラバラに機能している機関を関連付けて効果、効率の良い仕組みを作ります。

目的の共有

組織、病院や施設、事業所や地域で価値観や視点、目的を統合します。同じ目的やビジョンを掲げることによってサービスの方向性を示し、同じ目的に向かって個々の組織の連携を円滑化します。目的は国が掲げる福祉の方針であったり、自治体などの地域事業、キャッチフレーズなどにより示されます。

組織間の連携

共通の目的とシステムを通じて病院や施設、事業所間で協力体制や情報の共有などの連携をすることで効果、効率の良いサービスの提供につなげます。医療からリハビリ、リハビリから介護、介護から在宅などさまざまなサービス形態に移行、引き継ぐ際に効率の良い情報共有や連携によるサービス効果の向上を図ることができます。

ケアの共有

医療や介護サービスにそれぞれの人を当てはめるのではなく、統合されたサービスから必要なものを選び当てはめていくという視点が持てるようになります。
例えば、ある医療機関にAさんが入院したとしてその医療機関だけでその人を考えると、どのような医療行為が提供できるかという狭い考えになってしまい、リハビリや介護など、ほかのサービス提供によるケアの視点が難しくなってしまいます。逆にインテグレーションによるケアの視点でみると、その人に今必要なのは医療か、リハビリか、介護か。在宅復帰を視野に入れられるか、その際に地域で支援できる体制があるかなど広い視点で考えることができます。

 

 

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インテグレーションの事例

インテグレーションに関わる具体的な活動について

地域支援事業

厚生労働省が示す地域支援事業の概要として、まず介護状態を予防して自立した生活を維持することを促進することと、介護が必要になっても出来るだけ最小限で止められるように社会活動を支援する体制や教育、ボランティアの育成などを上げています。
この概要を元に各自治体や地域がどのような支援事業を行うかを具体的に示し、それが地域のインテグレーションの規範として示されていきます。

地域包括ケアシステム

介護のインテグレーションのシステムとして具体的に示されているものが地域包括ケアシステムです。その人を中心に医療、介護、生活支援とそれを調整する地域包括支援センターとケアマネージャがいます。

地域包括支援センター

地域包括ケアシステムの調整として、中心的役割を果たしています。地域のコミニティから医療、介護、自治体などさまざまな関係機関との連絡・相談・調整を行い、知識の共有として勉強会や研修会などを行ったりもします。

ケアマネージャ

地域包括支援センターと並んで、地域包括ケアシステムの調整役として中心的役割を果たしています。基本的には各事業所で利用者のケアマネジメント業務を行っていますが、必要に応じて外部の人やサービスの利用も視野に入れて業務を行っています。外部との関わりが必要になった際は、利用者と各関係機関を結ぶ窓口としそれぞれの機関と連絡、相談、調整を行います。

 

注意点

地域の課題や活動について

地域によっての違い

社会活動の考え方は地域によって異なります。また社会資源として医療、介護、福祉などの状況や自治体の財政、文化、風土なども違いがあるためやり方も目標も変わってきます。

高齢者独居の増加

一人暮らしの高齢者や老夫婦の高齢者のみで暮らす高齢者独居が増加しています。高齢者のみで生活するということは家庭内で助け合うということが難しい状況がおきます。そうなると社会活動への参加の弊害も増えますし、家庭外からの助けを必要とすることも多くなります。医療や介護サービスだけではなく近所で声を掛け合ったり様子を見たりという昔ではあたりまえであった交流が今また見直されています。
増加する高齢者独居の支援の仕方についての対策や活動が急務となっています。

認知症高齢者の増加

団塊の世代の人たちが高齢になるということはそれだけ認知症高齢者の数も増加すると見込まれています。認知症の介護は負担がとても大きく、家族だけでは支えきれないこともあります。認知症の人の支援も家族だけではなく地域の力がとても重要になってきます。医療や介護サービスだけではなく、認知症を支える地域の人の力というのも注目されています。認知症サポーターの養成や認知症の知識に関する講習を地域で行うところも多くなってきています。

 

 

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まとめ

『インテグレーション(統合)』の捉え方はいろいろあると思います。生活の弊害を取り除くことであったり、そのためのシステムを示す言葉であったり。でも本当に大切なのは『みんな一緒に』という意味の『統合』なのではないでしょうか。それは介護、医療だけではなく、福祉という考えの根っこでもあるのではないでしょうか。

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