高齢者のうつ病が深刻になっている!?症状は?対策は?

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高齢者が一日中、ボーッとしているとか口数が減った、死にたいと口にするようになったなどがあれば、うつ病を発症している可能性があります。そんな時に、「何を言ってるの。頑張って」という言葉はかえってうつ症状をひどくさせてしまいます。うつ病は脳内の伝達物質の異常によっておこるので、分泌が減る高齢者の場合、特にその傾向が強いようです。

 

高齢者のうつ病とは

日本では、生涯に15人に1人、最近の12か月間に50人に1人がうつ病を発生しています。うつ病になると自殺する人が増え、日本では中高年の自殺者が増えています。

 

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出典元:厚生労働省 うつ病を知っていますか(国内パンフレット)

 

この表を見ると、平成9年以降、60歳以上の自殺者が急に増えています。この表から自殺を考え、うつ病になっている高齢者が多いということがわかります。地域別にみると、東北が一番多く、関東より南は少なくなっています。
うつ病は脳内の伝達物質が強いストレスやショックがかかり、伝達物質の分泌が減るためにおこる病気です。この神経物質はセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンの心の三原色と呼ばれる物質です。

セロトニンの働き

セロトニンは、ドーパミンやノルアドレナリンの働きすぎを抑制し、精神を安定した状態にします。ですからセロトニンは幸せホルモンと呼ばれています。セロトニンが不足すると、キレやすくなり、うつ病も発症しやすくなるといわれています。ほかに、血液を凝固する作用や血管を収縮させる作用があることが分かっています。脳内のセロトニンは、トリプトファンというアミノ酸から生成されています。
セロトニンが一番分泌されているのは腸で、体内のセロトニンの90%が腸のクロム親和細胞と呼ばれる細胞にあります。血液中の血小板には8%のセロトニンがあり、血液を通して体内をめぐります。セロトニンには血管を収縮させる作用や止血させる作用があります。残りの2%が脳から分泌されるセロトニンでこの2%のセロトニンが人の精神に大きく影響します。

ストレスを受けると、脳内のセロトニンが徐々に不足していきうつ症状が起きてしまいます。ですから、ストレスはセロトニン分泌に大きく影響し、その結果、精神状態が不安定になるのです。

ノルアドレナリンの働き

ノルアドレナリンには、交感神経を興奮させる働きがあり、脳と体を目覚めさせる作用とストレスに対応する作用があります。ノルアドレナリンはストレスを学習し、ストレスに順応させる働きを持っています。ノルアドレナリンがバランスよく分泌されていれば、ストレスに強く、我慢強い人間になります。

ノルアドレナリンが過剰に分泌されると、集中力を高めるが、攻撃的になり、不安感、恐怖感、イライラなどが増して、落ち着きがなくなり、神経が高ぶります。セロトニンとノルアドレナリンがバランスよく分泌されているとうつ病になりにくいです。抗うつ剤は二つのホルモンをふやす効果があります。

ドーパミンの働き

ドーパミンは、生きる上で必要な食べる、学習する能力という機能をつかさどっています。ドーパミンが分泌されると、脳に快感を与え、その快感を記憶し、意欲を高めます。そして、さらに学習すると、より正確に行動できるようになります。

ドーパミンは快感を得ると意欲につながるホルモンなので、ストレスがある時にドーパミンがストレスに打ち勝つと、ストレスの悪影響は受けにくくなります。ですから、この3つの伝達物質がうつ病と深くかかわっているのです。

 

 

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高齢者のうつ病の症状

高齢になると誰でもうつ症状になるといわれています。高齢者のうつの症状としては、次のような症状が挙げられます。

精神的な症状

・気分がすぐれない。悲しい。憂鬱な気分だ
・体がだるく、疲れやすい
・気力・意欲・集中力が低下する
・寝つきが悪く、朝は早く目覚める
・食欲がなくなる
・何も興味がなくなりやる気がおきない
・人と会いたくない
・夕方より朝方は気分がよくない
・失敗や悲しみ、失望から立ち直れない
・心配事から頭が離れない
・話し方や動作がゆっくりになる
・自分には価値がないと思い、自分のことを責めてしまう
・死にたいと考え、口にするようになる

身体的症状や行動の変化

・飲酒量が増える
・仕事や家事の能率が低下・ミスが増える
・遅刻・早退・欠勤が増える
・社交的な場に行かなくなる
・体の不調として、頭痛、胃痛、しびれ、息苦しさ、めまいなどの症状がでてくる

老人性のうつ症状の場合、精神症状だけでなく体の不調として現れる場合も多いです。うつ病はれっきとした病気なので、気持ちの持ちようでよくなるものではないのです。このような症状が見られたら、または自覚したらうつ病の可能性を疑い、早めに受診することをお勧めします。

 

高齢者のうつ病の原因

うつ病の原因は、外因性、内因性、心因性に分けられます。

外因性のうつ病とは

外因性とはケガや脳の病気でうつ病を発症することです。頭を強く打撲するとか、くも膜下出血や脳梗塞などの脳に関する疾患を上げられます。

 

内因性うつ病とは

外因的な要素がなく、うつ症状を起こしやすい遺伝的な要素や性格を持っているなどの場合のうつ病を内因性うつ病といいます。内因性うつ病ははっきりとした原因がわからないため、治療が難しくなります。

心因性うつ病とは

極度のストレスや心理的ショックで発症するうつ病です。高齢になると自分と同じ年くらいの人が病気になったり、亡くなったりして不安になります。配偶者との死別は特に大きいうつの引き金となります。おばあさんが先に亡くなるとおじいさんも後を追うように亡くなったという人の話を聞きます。

また、住み慣れた場所を離れ、子供と同居した場合など環境が急に変わると、それが誘因でうつ病を発症しやすくなります。今まで何でもやってきた人が、家事をすべて娘や嫁が受け持つようになり、自分は何もできないとふさぎがちになり、うつ病になる場合があります。

今までバリバリと仕事をしていた人が定年退職後、うつ病を発症することがあります。趣味がなく、社交的でない人は特にそうです。女性の場合、子供が自立したとか結婚して手元を離れたときにうつ病を発症しやすくなります。

加齢や病気が原因

高齢になると、体力や脳の機能が衰えてきます。また、脳卒中やパーキンソン病、糖尿病、がんなどの疾患はうつ病を発症しやすくなります。うつ病を発症すると、動きが緩慢になり、脳の働きが悪くなるので、ますます持病がひどくなる場合もあります。

 

 

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高齢者のうつ病の予防と対策

医療機関を受診する

高齢者の場合、潜在している病気があるかもしれないので、まず医療機関を受診して薬を処方してもらうことが必要です。抗うつ薬は脳内の伝達物質の分泌を促すので、気持ちが落ち着いて不安を解消できます。

セロトニンの分泌を増やす太陽光や運動

セロトニンの分泌は、日光を浴びると促されます。適度な運動もセロトニンの分泌が増えるので、日光が適度に当たる朝とか夕方に散歩をしたり、体操をしたりするといいでしょう。環境を整えて、適度に休ませてあげて、いっしょに外に出るなどしてリフレッシュする機会を与えてあげましょう。

規則正しく栄養価の高い食事

うつ病になると食欲が低下し、栄養不足に陥ります。少量でも栄養価の高い食事をとり、チョコレート、ミネラルやビタミンを含んでいるビスケットなどを間食に置いておくといいでしょう。

うつ病がひどくならないための精神的なケア

うつ病が改善してきたら、社会との関りが持てるように小規模デイサービスなどを利用したり、福祉サービスを利用したりすることで、刺激をうけてよいかもしれません。また、心療内科や精神科を受診して話をするだけでうつ病が軽くなる場合もあります。自殺を考えるような重度のうつ病の場合は医師の指示の下で入院を促されるかもしれません。

重度のうつ病の場合は、自殺をほのめかす言葉を口にすることがあります。実際に遺書を書いたり、自殺の道具をそろえたり、身辺整理をしたりしたら要注意です。最悪、自殺未遂に至ることもあります。自殺にまでいたらならないように早めに医療機関を受診しましょう。

抗うつ薬を服用すると、足がふらつき、めまいを覚えるなどの副作用が出る場合があります。移動時に転倒しないように、高齢者の動線は整理してものを置かないようにしましょう。また、トイレや廊下に手すりを付け、転倒を防止します。

 

 

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まとめ

高齢になると、脳内の伝達物質セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンの分泌が減ってきます。それらの分泌が少なくなると、うつ症状になりやすくなります。バランスの良い食事をとり、日光を浴びて散歩や体操をすると伝達物質の分泌が促されます。上にあるようなうつ病の症状が現れたら、早めに医療機関を受診しましょう。

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