高齢者の糖尿病は大変!?

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高齢化社会になって、高齢の糖尿病患者が増えてきています。糖尿病は認知症になるリスクが高く、糖尿病と認知症が重なると薬の管理やインシュリン投与も難しくなります。高齢者の糖尿病の原因や症状、糖尿病の予防や対策などを解説します。

1 高齢者の糖尿病とは

40歳以上の4人に1人は糖尿病であると言われています。高齢になると、糖尿病になる人が増えてきています。糖尿病は、高血圧や高脂血症などの様々な病気を抱えることが多く、網膜症や神経障害などの合併症を抱えている人もいます。

平成27年国民健康栄養調査では糖尿病が強く疑われるものは男性19,5%、女性9,2%です。

 

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出典元:http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/kekkagaiyou.pdf
しかし、70歳以上の糖尿病患者は、男性では27,3%、女性では17,2%となっていて、若い人より多くなっています。若い糖尿病患者と違い、高齢者の糖尿病は個人差があり、いつ糖尿病になったかによって違ってきます。

糖尿病とは、糖が含まれているごはんやパン、めん類などを食べると、小腸から吸収されて血液の中に入ります。すると、血糖値があがります。血糖値が上がるとインスリンが分泌され、糖をエネルギーに変化させます。すると、血糖値が下がります。健康の人の場合、インスリンやその逆のホルモンが出てバランスを保っています。

インスリンというホルモンは、血液中のブドウ糖を筋肉や肝臓へ取り込み、血糖を下げる働きをするホルモンです。インスリンはすい臓のランゲルハンス島で作られ全身へ運ばれます。糖尿病には1型糖尿病と2型糖尿病があります。1型糖尿病はインスリンを作る細胞が何らかの原因で壊されインスリンが作られなくなったため糖尿病になったもので、2型糖尿病は遺伝的な体質に過食、運動不足、肥満、ストレスなど生活習慣や加齢が重なり発症します。

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2 高齢者の糖尿病の原因

糖尿病はインスリンの分泌が足りないかインスリンが出ないため、血液中に活性酸素が増えてしまいます。すると、血管が破壊され酸素や栄養が運ばれなくなる病気です。高齢になると、年齢を重ねるとインスリンの分泌が少なくなり、分泌されてもインスリンの働きが悪くなります。そのため、高齢者の糖尿病のリスクが高くなります。アジア人はもともとインスリンの分泌量が少ない人が多いので糖尿病になるリスクが高いです。

また、高齢者は、老化と運動をあまりしないため骨格筋量が低下し、そこからインスリン抵抗性を引き起こします。インスリン抵抗性とは、肝臓や筋肉、脂肪細胞などでインスリンが正常に働かなくなった状態のことです。そのため、食後に高血糖状態を引き起こします。高齢になると、食欲が低下し、低栄養状態になります。すると、薬物療法が効きにくくなったり、急に低血糖を引き起こしたりします。

肥満で内臓脂肪が多い人は、内臓脂肪からインスリンを効きにくくするホルモンが出ます。すると、インスリンの分泌が少なくなり糖尿病になります。男性の方が女性より多いのは男性の肥満は内臓脂肪が多いのに対して、女性の肥満は皮下脂肪が多いためです。

 

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3 高齢者の糖尿病の症状

高齢者の糖尿病の症状

高齢者は糖尿病の進行を気が付きにくく、「物覚えが悪くなった」とか「手足がしびれるようになった」などの症状が、加齢のためと見過ごしやすくなってきます。尿の回数が増え、のどが良く乾くとか食べているのに痩せる、身体がだるくて疲れやすいなどの症状が見られます。

高齢者の糖尿病を要因とした認知症

高齢者の場合、糖尿病になると認知症のリスクが高まります。九州大学が生活習慣病の原因究明と予防を目的に福岡県久山町が行っている「久山町研究」では、研究に参加している人が亡くなった場合の病理解剖を行って死因についての研究を行っています。

亡くなった時にアルツハイマー認知症だった人の脳は、糖尿病でない人の脳に比べて、インスリンの働きを邪魔する遺伝子が活発になっていることがわかりました。

さらに、糖尿病は動脈硬化を促進し、脳こうそくの発祥の危険性が高くなり、血管性認知症も発症しやすくなります。さらに食後の高血糖が続くと酸化ストレスや炎症、糖を燃やした時にできる有害物が脳の神経細胞にダメージを与え、認知症になるリスクは高くなっています。脳のアミロイドβも増えやすくなります。

糖尿病の三大合併症

糖尿病の三大合併症とは、「糖尿病性腎症」「糖尿病性網膜症」「糖尿病性神経障害」の3つがあります。
糖尿病性腎症になると、腎臓のろ過機能が低下するため、全身がむくみ、だるさや貧血などの症状が現れます。糖尿病性網膜症になると、あまり自覚症状はなく、「小さい虫が飛んでいるように見える」とか「黒いカーテンが全体に掛かっている」という場合は糖尿病の可能性があります。そのままにしておくと、血管がぼろぼろになり、ついには失明してしまいます。

糖尿病性神経障害とは、足先のしびれや冷え、指先の感覚がなくなります。重度の神経障害になると、痛むが感じなくなります。そのため、顔面神経麻痺や手足の神経障害、立ち眩みや便秘、下痢、排尿障害などを引き起こします。

高齢者の糖尿病からくる大血管症

大血管で起きる病気の動脈硬化によって、脳卒中や心筋梗塞、足の壊疽が引き起こされます。糖尿病患者に多いのは、脳卒中の中でも血管がつまる脳梗塞です。手足のまひや言語障害が後遺症として残る場合があります。

糖尿病の人は乾燥脈の心筋梗塞を引き起こすリスクが高いとされています。糖尿病の人は痛みをあまり感じないため、発見が遅れることがあります。末梢動脈性疾患は動脈硬化により、血流が悪くなることで引き起こします。足やふくらはぎが痛くなり、歩くことができないなどの症状が現れ、症状が進むと壊疽を引き起こし、足を切らなくてはならなくなります。

 

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4 高齢者の糖尿病の予防と対策

糖尿病の予防する食事のとり方

糖尿病を予防するために食事の内容や食事のとり方は大切です。食事をたべると血糖値が上がります。すると、すい臓からインスリンが分泌され血糖値を下げようとします。しかし、不規則な食べ方をしていたり、感触をだらだらと食べていたりすると、このインスリンの分泌が乱れてしまうので、規則正しい食事時間に食べることが糖尿病を防ぎます。食事は、おなか一杯に食べるのではなくて、腹八分目でよく噛んでゆっくりと食べます。

野菜や海藻、きのこなどに含まれる食物繊維は、小腸で糖の吸収を遅らせるので、急に血糖値が上がることを防ぐことができます。炭水化物は血糖値を急上昇させるので、沢山とりすぎるのは糖尿病のリスクを上げます。炭水化物をとるなら、白米より玄米の方が食物繊維が豊富に含まれ、糖の吸収を遅らせます。

高齢者の糖尿病の予防には適度な運動

運動時には大量のエネルギーが筋肉で必要とされるため、血中のブドウ糖が消費されるので血糖値を抑制するような働きをします。運動を継続して行うことでインスリンの感受性が増加し、インスリン抵抗性が改善したとの検査結果が報告されています。

特にウオーキングなどの有酸素運動は筋肉をまんべんなく使うので効果的です。インスリン抵抗性の改善効果は3日くらいで下がるので、週3回くらいを目安に継続的に行うといいでしょう。

高齢者の糖尿病を防ぐには睡眠をしっかりとる

高齢になると、睡眠障害を持つ人が増えてきます。それも糖尿病の1つの原因です。起きているときは交感神経が優位に働き、血糖値を上昇させるホルモンやインスリンの働きを悪くする働きをするホルモンが分泌されます。すると、血糖値が上昇してしまいます。

また、睡眠不足が続くとストレスがたまり、交感神経を刺激して血糖値を上昇させる原因となります。睡眠障害を持っている高齢の方は医師と相談してください。

高齢者の糖尿病を防ぐ生活習慣病の改善

タバコやストレスはインスリンを抑制するホルモンや血糖値を上昇させるホルモンの分泌を促します。禁煙や入浴などのストレス解消が糖尿病を防ぎます。また、飲酒は血糖値を上昇させます。飲みすぎるとインスリンの分泌が少ない高齢者は糖尿病のリスクが高まるので、過度な飲酒は避けましょう。

 

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5 高齢者の糖尿病の注意点

高齢者の糖尿病は、あまり自覚症状がないため、見つかりにくいので、定期的に受診して検査することが早期発見につながります。糖尿病にかかってしまうと、薬の服薬やインスリン投与が必要になります。認知症の患者には、介護者がきちっと決めた時間に服薬を促さなくてはなりません。認知症の糖尿病患者の場合、管理が難しくなります。

食事療法で糖尿病を防ぐには、間食で血糖が上がるものを避けた方がいいでしょう。高齢者の場合、自分で管理がしにくいので回りが気を付けてあげることが大事です。

運動時の注意点として、ウオーキングなどの有酸素運動をする場合、高齢者の場合は転倒して骨折の危険性があります。出来るだけ平坦な道を通るようにして転倒に気を付けるか家族の人が付き添うことがいいでしょう。

まとめ

高齢者は糖尿病になるリスクが高く、糖尿病になると合併症や脳梗塞、心筋梗塞などの疾患も引き起こします。高齢者の場合は、痛みを感じにくく、気が付かなくて進行してしまう場合があります。合併症などを引き起こした場合、失明や足の切断ということになりかねません。食事や運動などで、糖尿病にならないよう予防することが大切です。

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