福祉手帳って何に使うの?判定基準は?受けられるサービスは?

ngo

障害には目に見える障害と見えない障害があります。「愛のワッペン」は、発達障害など目に見えない障害を持った子供たちが付けているワッペンです。外見的には分からない障害児の言動は、「しつけが悪い」「わがまま」など、誤解を受ける事があります。「愛のワッペン」は、周囲の人に理解と協力を呼びかける、社会に対しての象徴なのです。
障害認定された際に発行される福祉手帳についてご紹介したいと思います。

 

福祉手帳とは

福祉手帳(障害者手帳)とは、障害のある人が取得できる手帳の総称です。障害者手帳には、「身体障害者手帳」「精神障害者保健福祉手帳」「療育手帳」の3種類があり、これらの手帳を取得する事により様々な福祉サービスを受ける事ができるようになり、また複数の手帳を取得する事も可能です。
障害者手帳の相談および申請は、各市区町村に設置されている福祉事務所(障害福祉課)が窓口となっていて、対象者が居住する都道府県・政令指定都市・中核市(身体障害者手帳の場合のみ)が発行します。

身体障害者手帳

「身体障害者福祉法(1949年)」に規定された、身体障害者に対し発行される手帳。障害が永続する事を前提としているため、基本的に更新がありません。

精神障害者保健福祉手帳

「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法/1995年改正)」に規定された、精神障害者に対し発行される手帳。有効期限は2年間で、更新の際は再審査を受ける必要があります。精神障害に関しては偏見や差別が強い事に配慮し、手帳の表紙には「障害者手帳」と記載されています。この事から、単に「障害者手帳」と呼ばれる場合、この手帳を指す事が多いです。

療育手帳

知的障害者に対し発行される手帳。「知的障害者福祉法」に規定はありませんが、厚生省による「療育手帳制度要綱通知(1973年)」に基づいています。「療育手帳」という名称は一般的ではありますが法律に規定がないため、他の名称も使われています(例:愛の手帳/東京都・横浜市)。また各都道府県や政令指定都市によって運用されているため、更新間隔についてもそれぞれの自治体に任されていて、再審査が必要ない地域もあります。

 

 

IMG_9461

 

 

福祉手帳の区分と判定基準

障害者手帳は、種類によって障害の程度の表記や判定基準が異なります。以下、それぞれの手帳ごとに見てみましょう。

身体障害者手帳

身体障害者福祉法では、身体上の障害を「視覚障害」「聴覚障害・平衡機能障害」「音声・言語障害」「肢体不自由」「内部障害」に大別しています。また、それらの障害の程度を1~7級(身体障害者障害程度等級)に分けていて、「肢体不自由」のみに7級(7級の障害が複数ある場合は6級)があります。7級は法律的に障害者と認められず、身体障害者手帳の発行には6級以上が必要です。対象となるには、その障害に永続性が認められる場合(または回復する可能性が極めて少ない)で、障害の程度の判別が可能な年齢(概ね3歳以上)以降に、審査を行う事としています。等級の他に「1種」「2種」があり、「旅客鉄道株式会社旅客運賃減額」の対象となります。1~3(または4級)の場合は「1種=障害者と介助者が減額対象」となり、それ以下の場合は「2種=障害者のみが減額対象」となります。

精神障害者保健福祉手帳

厚生省(現厚生労働省)の通知により、「統合失調症」「非定型精神病」「そううつ病」「てんかん」「中毒精神病」「器質精神病(精神遅滞を除く)」「中毒精神病」「高次脳機能障害」「その他の精神疾患」が対象の精神障害となります。障害の程度を1~3等級に分けていて、「1級=日常生活において常時援助が必要」「2級=一人で外出できるが社会的な交流が困難」「3級=社会的交流は少々あるが、自発的な行動ができない事がある」が目安となります。審査は診断書を元に各地域の精神保健福祉センターが行い、「精神障害者保健福祉手帳障害等級判定基準(厚生省通知)」を基準とし、「精神疾患の確認」「精神疾患の状態」「能力障害の状態」「精神障害の程度の総合判定」という順序で実施されます。また、精神疾患があると診断された日から6ヶ月以上経過していることが必要です。

療育手帳

各自治体の独自基準により運営されているため、全国の統一基準はありません。多くの自治体では知的障害やIQ75以下(一般は100)などを基準としています。それらの障害の程度は、A(重度)・B(軽度)や数字などで表されています。審査は、児童相談所(18歳未満)や知的障害者更生相談所(18歳以上)などで、心理判定員や小児科医によって実施されます。

 

福祉手帳で受けられるサービス

障害者手帳の活用は障害者の苦労の軽減や自立の促進を目的とし、様々な支援やサービスがあります。公的な制度に加え、民間企業が提供するサービスに至るまで、例を挙げて見てみましょう。

税金減免

納税者本人のみならず控除対象配偶者・扶養親族が身体障害者手帳を発行されていると、所得税・住民税・相続税などが減免されます。

医療費助成

病院での治療費や薬局に支払う薬代が助成されます。全国統一の制度ではないため、地域によって差異が生じます。多くの地域では重度の障害者に対する制度で、それ以外の障害者の場合は別途「障害者医療証」の交付が必要になります。

割引制度

(公共料金・交通費・携帯電話利用料金)
水道料金・NHK受信料などの公共料金、博物館や美術館の観覧料が割引されます。公共交通機関(JR・バス・タクシーなど)においても割引が適用されます。また、大手携帯会社では基本使用料や通話料の割引制度を導入しています。

非課税貯蓄

(障害者のマル優制度)
利子所得である預貯金・国債・地方債などの利息が非課税になります。

就労支援

「障害者雇用促進法」により、一般企業(従業員50人以上)は障害者を雇用する事になっています。よって、一般採用に加え、障害者採用にも応募できる事になります。また、就労を目指し訓練するための支援施設を利用する事もできます。

その他

ディズニーランドでは障害者手帳の提示により「ゲストアシスタンスカード」を発行しています。このカードは、園内での障害者の負担を軽減するもので、例えばアトラクションを利用する際、列に並ばず別の場所で待機する事ができます。また情報サイト「障害者手帳で行こう!」では、障害者手帳で割引などが適用される全国の施設や制度が検索できます。

 

 

soudan_madoguchi-300x251

 

 

福祉手帳のデメリット

障害者手帳とは、そもそも障害者の生活をより良くするために存在します。よって本来の意義のみを考えると、手帳取得には利点ばかりが目立ちますが、陰に潜むデメリットは無いのでしょうか。
障害者手帳は、公的に障害の存在が認められた場合に発行されます。つまり、社会的にも「障害者」という位置付けになり、それを以って公的な支援が受けられるようになります。支援に係る費用は税金で賄われるので、「障害者ではない」人たちの負担により成り立つという事になります。障害者手帳とは社会保障制度において、「支援する側」と「支援される側」を隔てる存在でもあるのです。
基本的に障害者手帳は必要時に提示を求められるもので、個人情報として公言する必要はありません。しかし、社会的に「支援される側」になった障害者自身や家族が、後ろめたい気持ちやジレンマを抱える事も考えられます。また、障害者枠で採用された場合、会社が障害者である事に配慮してくれる反面、仕事内容の制限や昇進の遅延といった事態が生じるかもしれません。こういった「区別」は、立場や程度によって「差別」となり得ます。
障害者手帳に関する情報は、その効果についてのみ述べる表面的な情報が多く、中には「デメリットはない」と言い切るものもあります。障害者手帳の申請にあたっては、客観的に実態を見極め、想定される事態を踏まえる事が、必要ではないでしょうか。

 

福祉手帳の注意点

障害者手帳には、申請時の状態に応じた内容が記載されます。そのため、届出内容に変更があった際は変更・返還手続きが、紛失した際は再発行の手続きが必要です。また、有効期限がある障害者手帳を所有している場合は、その失効期日についても注意します。

等級変更・障害追加

有効期間内であっても、障害の程度や新たな障害が生じた場合には、障害者手帳の内容変更手続きをします。手続きには、指定医の診断書や意見書が必要になります。

氏名・居住地変更

氏名に変更があった際、移転の際は氏名・住所変更の手続きが必要です。同市区町村内で移転する際も同様に変更手続きが必要です。また、市外などへ転出する際は、転入する市の障害福祉課などで、住所変更の手続きを行います。

死亡・非該当

障害者手帳の所持者が亡くなった場合や障害を有しなくなった場合(非該当になった場合)は、障害者手帳を市の障害福祉課などへ返還します。その他福祉関係の証書(障害者医療証など)も合わせて返還します。

手帳紛失・破損

障害者手帳を紛失した場合は、再発行の手続きをします。手続きに伴う提出書類は各自治体により異なりますが、顔写真や身分証などが必要となります。破損した場合は、破損した手帳も持参します。

また、よく間違われやすい制度として「障害年金」があります。障害年金は、病気や怪我が原因で障害を持った人を対象に年金や一時金を支給する制度です。この制度は国民年金法、厚生年金保険法等を根拠としていて、障害者手帳の制度とは直接的な関係がありません。よって障害者手帳がなくても障害年金の申請は可能で、別途申請しなければいけません。さらに、障害年金には「1~3級」の等級があり、障害者手帳の等級が反映されるとの誤解を招く事がありますが、それぞれの認定基準も異なるため、関連性はありません。

 

 

taxi_isu

 

 

まとめ

「あなたと私みたいなのが幸せになれたら、それってすごいことだと思わない?それを世界に証明するの!」。身体障害者と精神障害者の愛をテーマにした映画、『パーフェクト・レボリューション』で少女が放った言葉です。障害者手帳の活用が、「障害者である事を否定的にではなく認められる」に繋がる事が、障害者にとっても社会にとっても理想としている成果ではないでしょうか。

qna