特養での看取りってどうやるの?メリット、デメリットは?

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特別養護老人ホームに入居する多くの人は、ホームを「終のすみか」と考えているとされています。これまでいくつかの調査の結果では特別養護老人ホーム(特養)では、全体の約7割が看取り介護のサービスを行っているとされています。また入居者全員に看取り介護の計画を定めている特養は、全体の約5割に達しているようです。
特別養護老人ホームにおける看取りについて見ていきましょう。

 

特養の看取りとは

■「看取り」とは・・・

公益財団法人全国老人福祉施設協議会によると、「看取り」とは「近い将来、死が避けられないとされた人に対し、身体的苦痛や精神的苦痛を緩和・軽減するとともに、人生の最期まで尊厳ある生活を支援すること」とされています。

■特別養護老人ホームの看取り

厚生労働省が2015年度に発表した調査結果によると、介護保険制度の中の介護3施設のうち、特別養護老人ホームと介護老人保健施設では、すでに約7割の施設が「看取り介護」を実施していることが明らかにされました。
また、公益財団法人全国老人福祉施設協議会が実施した「特別養護老人ホームにおける看取り介護の推進に関するアンケート調査」の結果では、看取り介護を実施している施設の約8割が看取り介護の対象者全員を最期まで施設で介護していることが明らかになっています。
これらのことから、特別養護老人ホームにおいては、看取り介護はもはや日常的に提供されている介護サービスと言えるでしょう。

 

 

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特養の看取りのメリット、デメリット

入居者の多くの方が看取りまでを想定して利用する特別養護老人ホーム。そのメリットとデメリットを考えていきましょう。

【メリット】

・終身利用が可能
・1人の介護スタッフが入所者3人を対応する少人数体制のため、終末期においても手厚い介護サポートが可能
・介護度の高い方を対象にしている施設なので、介護スタッフによるサポートを24時間体制で受けられる
・「看取り介護加算」があり、介護保険での看取りケアの対応が可能
・医師や介護職員、機能訓練指導員などさまざまな専門スタッフがサポートしてくれるので終末期においても安心感を持って利用できる。

【デメリット】

・待機者が多く、貼りたいタイミングで入居できないことがある
・基本的には医師の常駐が義務付けられていないので医療的な判断が一定程度、看護師に委ねられる。

但し、デメリットにおける医師が常駐していない点に関しては、看取り介護計画書の策定により予め、最期を迎える際の本人・家族の意向やホーム側が行う対応について計画、確認されています。

 

 

 

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特養の看取りのやり方、事例

特別養護老人ホームのように介護施設で看取るそのプロセスを「看取り介護」といい、次のような流れになっていきます。

【施設入所~看取りまで】

適応期→安定期→不安定・低下期→看取り期→看取り

以下、「看取り」の際に特別養護老人ホームでなされる具体的なやり方についてまとめます。

① 危篤時

~予め決めている連絡系統で対応する~

注意事項

・危篤にあっても、できるだけ利用者のそばに寄り添う
・速やかに身元引受人に連絡し看取りの実現に努力する
・身内の方とのお別れの後、職員や親しくしていた利用者とのお別れの時間を設けるように配慮する。
・嘱託医にターミナルの利用者の状態が急変した旨を伝え、往診を依頼する。
・状態を報告できるように記録を整理しておく。

② 死後のケア

・介護員や家族が一緒に清拭、整容、旅立ちの準備をする。

特別養護老人ホームでの看取りの実際を紹介します。

【看取りプロセスの事例】

88歳 女性 要介護4

■入所時

独居していたが転倒して骨折をしたことをきっかけに寝たきり状態になった。物忘れ、認知の低下も進行し要介護度4.
自宅で介護できる者はおらず、隣市に嫁いでいる娘、県外在住の息子が相談してt区別養護老人ホームの入所となった。

■入所から1年後

・食欲が徐々に低下し、食事の摂取量が極端に減ってきた。
・医師と子らで話し合いの場が持たれた。ターミナル(看取り計画)の希望の確認。

※2週間後
・本人の食欲は一進一退で、「看取り」に関しての具体的な話し合いの場が持たれた。
「本人が食べたいと希望するときに食事を提供する。食べたくない時は無理に勧めず、本人の状態や意思を尊重する」

※1週間後
・状態悪化。嘔吐が続く。
4人部屋から静養室に移動
昏睡状態に陥り、食事を摂ることが困難になってきた。覚醒したときに水分を補給する。
娘、息子には随時状態報告し、娘は連日面会にきた。

■最期
昏睡から3日後
朝方4時 息を引き取る
合わせて子らに連絡。娘、息子が駆けつける。
午前10時 医師が死亡診断書を記載
葬儀センターなどに子らが手配している間に、本人様の清拭、整容を介護員が整える

このような一連の流れは、予め作成されている「看取り介護計画書」に基づいて進められ、医師、看護、介護、家族で連携しているのです。

 

注意点

看取り(介護を伴う特別養護老親ホームでは 看取り介護サービス )では、入居者本人だけではなくご家族を含めたサービスという視点が必要です。
看取り介護サービスを含めて施設選びをする際は、利用する側の本人・家族の両方の負担の視点から考慮するのがよいでしょう。
看取り介護サービスは以下の点に注意して行われます。

■精神的ストレスの緩和

お迎えの時期が近づいてくるのが分かると、誰でも不安を感じます。また今までできていたことができなくなってくることにも、ストレスを感じるでしょう。そのような方に対して,適切なコミュニケーションをとることで少しでもストレスが減るように努めます。また本人のやりたいこと、介護する人にやってほしいことをヒアリングし、なるべくそれに沿った介護を行います。

■身体的ストレスの緩和

現在の体調面を把握するためにも、血圧・呼吸・体温・意識・脈拍などのバイタルサインと呼ばれる、生命に関する基本的な情報を管理します。食事面に関しては、今までは食べられていた食事が食べられなくなってきたり、好みが変わることがあります。それに応じて適切な食事内容・量を変化させ、負担を軽減します。他にも感染症の予防のためにも、負担がかからない範囲で入浴などを行い、衛生面の管理も行います。

■家族の方に対するケア

本人だけではなくご家族の方にもこまめにコミュニケーションを取り、現在の体調面・精神面の状態を共有します。本人を含めご家族の方の意向を尊重した看取りを行う事で、精神的な負担を減らすことに繋がります。また、お葬式など亡くなった後のサポートもしっかり行います。

 

 

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まとめ

特別養護老人ホームにおける看取り介護の実践はすでに約7割に達していますが、看取り介護加算の算定に至っていない施設も少なくありません。
少子高齢化である我が国のでは、高齢者の医療・介護は需要のピークを迎える2025 年問題を抱えています。

自宅で介護できる家族が居ないという現実にあって住み慣れた自宅で最期を迎えることは難しいことです。
特別養護老人ホームで介護を受けながら看取りをしてもらうというニーズはますます高まっていくことでしょう。

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