認知症の日常生活自立度について学ぶ!促し方は?注意点は?

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介護や医療の現場では「認知症高齢者の日常生活自立度判定基準」を認知症の程度のレベルの目安として捉えることが多いです。
この認知症高齢者の日常生活自立度判定基準は平成5年に厚生労働省によって保険・医療・福祉等の現場で働く関係者が客観的かつ短時間に判断できるように作成された基準です。その内容を詳しく学んでいきましょう。

 

認知症の日常生活自立度とは

「認知症高齢者の日常生活自立度」は、高齢者の認知機能の程度を大きく5段階にランク分けするものです。
介護保険では、介護保険認定申請をすると調査員(市町村の担当職員やケアマネージャー)と主治医が調査対象者の症状や行動に着目し、それぞれの判定することになります。
そして、要介護認定のコンピュータによる一次判定や介護認定審査会における二次審査判定の際に他の調査項目と共に利用されています。
5段階のランクはⅠ~Ⅳ、Mに分けられます。ⅠからⅣに向かって認知症によって介護の手間が多くかかるということになり、最重度のMは「Medical」の頭文字を表し、調査対象者が専門的な医療を必要とするという意味になります。
但し、平成5年10月26日の厚生省老人保健福祉局長通知(老健第135号通知)で通知されている通り「なお、このランクは介護の必要度を示すものであり、認知症の程度の医学的判定とは必ずしも一致するものではない。」とあります。
そのため、現実的な運用としては、調査対象者の全てが認知症の診断を受けている中で判定されているのではないため、出現している症状への対応を検討する中で活用しているのが現状です。

 

 

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認知症の日常生活自立度の促し方

認知症高齢者の日常生活自立度の判定は、介護保険では調査員と医師がそれぞれに状況から当てはまると思われるランクを選び判定します。その際、判定基準には具体的に「買い物や事務、金銭管理にミスがある」「服薬管理ができない」、「着替え、食事、排泄が上手にできない」などの見られるしょうじょうや行動の例が挙げられています。調査員や医師はその内容に当てはめながら判定するのです。
但し、認知症の日常生活自立度の判定は本来フローチャート(判定の流れ)に基づいて行われるものでもあるので、以下にフローチャートについて説明します。

【フローチャート(判定の流れ)】

①何らかの認知症を有するか→「ない」⇒自立
②何らかの認知症を有し、専門治療の必要はあるか→「ある」⇒M
③何らかの認知症を有し、専門治療の必要がなく、
日常生活はほぼ自立しているか→「している」⇒Ⅰ
④何らかの認知症を有し、専門治療の必要はなく、
日常生活はほぼ自立しているか→「していない」⇒誰かが注意していれば自立⇒Ⅱ
(家庭外でのみⅡa,家庭内でもⅡb)
⇒日常的に介護を必要とする⇒Ⅲ
(日中中心Ⅲa,夜間中心Ⅲb)
⇒絶えず介護を必要とする⇒Ⅳ

Ⅰ・・・何らかの認知症を有するが、日常生活は家庭内及び社会的にはほぼ自立
Ⅱ・・・日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが多少見られても誰かが注意していれば自立できる。
Ⅲ・・・日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが見られ介護を必要とする。
Ⅳ・・・日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ絶えず介護を必要とする。
М・・・せん妄、妄想、興奮、自傷、他害等の問題行動が継続する状態等

 

 

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認知症の日常生活自立度の事例

認知症の日常生活自立度の判定における事例として、精神的な面で多く介護の手間がかかっている場合に判断に迷う事例がよくありますので、ここで一つの事例を紹介します。

【事例】

75歳女性Aさんは物忘れの進行で今までできていた家事や電話の対応ができなくなりました。身体機能では特に大きな衰えはなく、住み慣れた自宅では移動はもとより、トイレや入浴は問題なくできます。
日に何度「誰かが来た」「外で呼ぶ声がするから行かなければいけない」と話すことがあり、外に出ていこうとする行為があり家族は目が離せません。配偶者に対しては「あなたなんか知らない。知らない人が何で毎日家にいるのだ」と興奮して叩こうとしてしまいます。家族が仲裁に入ると更に興奮して物を投げつけるなどの行為があり一定の時間そのような行為や不穏が継続してしまいます。

【判定】

Aさんの場合は身体機能には特に問題はない、物忘れは服薬管理と、家事と・・・・というような流れで考えてしまいますが、フローチャートに当てはめると、強い精神症状が出ている場合は専門治療の必要があると判断すれば「M」と判定する場合が大いにあります。
認知症の日常生活自立度では身体が元気であることにとらわれてしまい、判定に迷ってしまうことがありますので、そのようなときこそ、フローチャートを活用して判断することが大切です。
このような方法から、Aさんの暴言や暴力行為の頻度や家族がそのことによって介護の手間が発生している場合は「M」を選択しても間違いではないと言えます。

ちなみに、「M」の判断基準の一つであるせん妄について以下に説明します。

■せん妄とは

幻覚やつじつまの合わない言動、日付や場所がわからなくなるといった症状から、せん妄は認知症と間違われることがありますが、必ずしも「せん妄=認知症」というわけではありません。状況によって以下のパターンが考えられます。

認知症に関連しないせん妄の場合

症状は多くの場合は一過性のもので治療をすることで改善の見込みがあります。 突発的に症状が出た場合は、認知症ではなくせん妄である確率が高いでしょう。

認知症の症状である場合

認知症の症状である記憶障害や見当識障害、レビー小体型認知症の特徴的な症状である幻覚や幻聴も、せん妄と間違われやすい症状です。
今までの生活状態と照らし合わせ、突然変化が起こった場合はせん妄の可能性が高いですが、徐々に現れたときには、認知症が疑われます。

 

注意点

認知症自立度の判定では注意する点がいくつかあります。
認知症自立度の判定は、「認知症」と診断されているか否かが決め手になるものではないのではありません。病名に認知症と診断されていなくとも日常的にみられる行動、症状、その頻度や日中か夜間かなどに着目して行います。
そのため、以下の3点について注意が必要になります。

【認知症自立度の判定におけるポイント】

・意思疎通の程度、実際に見られる症状・行動に着目。
・家族等の介護者など日常の様子を把握している人からの情報を参考にする。
・認知症の程度と医学的判定とは必ずしも一致しない。

少し接したくらいでは認知症があるようには感じ取ることができない方や、定期受診では言動に認知症の症状が見られない方もあります。しかし、普段の様子を知っている家族や訪問ヘルパー、デイサービスなどで関わっているスタッフの目には認知症の症状のような言動が日常的に確認されている場合もあります。

 

 

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まとめ

認知症高齢者の日常生活自立度は、見られる症状や行動から判定していくことになります。認知症の診断がついていることや、服薬治療をしているということは判定には直接的には関係してきません。
このような視点は医療の分野で多くみられています。例えば、認知症の中でもアルツハイマー型や脳血管型、またはピック病であるなど、どの型の認知症であるかが必ずしも重要ではないという考え方です。型にとらわれず、あくまでも出現している症状を軽減する目的で治療方針や服薬内容を決める医師もいます。
日常生活に支障をきたしていることは何かを適切に見極める目を養うことで、対象者に負担がかかりすぎない効果的な対応が可能になるのです。

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