延命治療はどうしたらいいの?種類は?拒否の場合は?

life_support_heart_and_lung_machine

最近、終活が注目を浴びるようになってから、延命治療をどうするか本人の意思が大事であるという動きになってきています。延命治療はなぜされるのか、どうしたらいいのかなどに焦点を当ててまとめています。

 

延命治療とは

延命治療とは回復の望めない終末期の患者の命を出来る限り維持して延命を図ろうとする治療になります。最近は、尊厳死の考え方から延命治療を望まない人が増えてきましたが、家族は延命をしても生きてほしいという人が多く、延命治療を施すかどうかは難しい選択です。

医療の進歩と共に、意思疎通ができない脳死状態でも生かし続けることができる延命治療は、QOL(その人らしい生活)を送る権利や尊厳死という観点から問題視されています。

 

 

PIC-20140829101805

 

 

延命治療の種類

延命治療は次の3つの種類があります。

人工呼吸器による延命処置

自力で呼吸ができなくなった時は、口からチューブを入れるか直接気管を切開して、そこから空気をいれます。この状態であっても呼吸が改善されて元に戻った人もいますが、多くの人は人工呼吸器を外すと自力で呼吸ができないので生きていくことはできません。人工呼吸器をつける時は医師から家族に話があります。本人が延命措置するかどうかの意思表明をしていない場合、本人の意識がないので家族が決めることになります。

ペースメーカーをつけることも一つの延命治療と言えるかもしれません。自力で心臓を動かすことができなくなった人がペースメーカーはつけることによって元気に生活できるようになります。しかし、本人の意思により付けないことを望むならばつけることはできません。

人工栄養法による延命処置

1、静脈栄養の場合

胃や腸の働きが低下して胃や腸に栄養を送ることができない時にとられる方法です。これは静脈に直接栄養を流す方法で、末梢静脈の場合は腕や足の静脈にカテーテルを入れ高カロリー輸液を点滴し、中心静脈の場合は鎖骨当たりの静脈にカテーテルを入れ、高カロリー輸液を点滴します。

2、経腸栄養の場合

口から飲み込んで食べる機能が低下して食べることができなくなった人に胃に穴を開けて流動食を入れたり、鼻から入れたりする方法です。胃に穴をあけて管を通しそこに栄養をいれることを胃ろうと言います。この方法で20年以上も生き続けている人もいます。

人工透析による延命治療

様々な原因で腎臓の働きが低下して腎不全になった人は、本来、尿として排出するべき老廃物が体に貯まります。そうなると、様々な疾患が出て最後には尿毒症になってしまいます。その前に人工透析によって血液をきれいにします。人工透析は一度すると、一生しなくてはならなくなります。

3 延命治療の拒否と同意書

一般に終活ノートには延命治療をするかどうかを書いておきますが、そこに書いていても見てもらえない場合があります。もし、倒れて救急車で運ばれるような場合、ノートは役に立たないでしょう。延命治療を拒否するか同意するかは前もって文書にしておくといいでしょう。

尊厳死協会のリビングウイル

最期まで人間らしく尊厳を持って生きたいというのが尊厳死の考え方です。尊厳死協会で出している「リビングウイル」の用紙に延命治療を拒否するということを宣言して年月日と署名します。それで、延命治療を拒否したことになります。原本は尊厳死協会に、コピーは本人が盛っておきます。ただ、意識がはっきりしている時は自分で医師に渡せばいいですが、意識がない場合のことを考えて家族も同意しておくことが必要になります。

しかし、「リビングウイル」には法的に効力がないため、「尊厳死宣言書公正証書」というものを公証役場で作成していれば効力ができます。ただ、今の日本では尊厳死に対する法律がないため、医師が「尊厳死宣言公正証書」の通りにしてもらえるのは95%だと言われています。それは、延命治療をしないという意思を前もって家族にも同意してもらうことが必要でしょう。

公正証書まではと思っている人は「延命治療拒否の事前指示書」を作成して、冷蔵庫に入れておくか玄関の目に入りやすい所に置いておくといいでしょう。玄関の内側に指示書がある場所を貼っておくと救急隊員や家族がすぐに目に留めやすくなります。

延命治療を拒否か同意かの事前要望書とは

病院側として延命治療を拒否するか同意するかの要望書を提出してもらっています。

これは事前要望書の一つの例です
出典元:http://www.hospital.arao.kumamoto.jp/section/jizenyoubousyo.pdf

治療行為に関する希望・意思表示「事前要望書」(説明と同意書)
「事前要望書」は、将来自分が回復の見込みがない状態になり、自分の意思を伝えられなくなった ような時に受ける治療行為について、ご本人(または代理者:患者さんの意思を推定可能なご家族等) にあらかじめ希望を文書化しておいていただくものです。そして、もしも実際にそのような状態になられた場合に、本人または代理者の要望を尊重し、人権と生命の尊厳に配慮した医療行為を行うため のものです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・中略・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
※回復の見込みがないときなどの治療行為について、以下のように要望します。

要望項目

要望される治療に☑チェックしてください。 ご本人の意思表示が困難な場合、代理者がご記入ください
① 心臓マッサージなどの心肺蘇生してほしくない □ 積極的治療 □ 現時点では判断できない
② 気管挿管         □ してほしくない □ 積極的治療 □ 現時点では判断できない
③ 人工呼吸器の装着     □ してほしくない □ 積極的治療 □ 現時点では判断できない
④ 気管切開         □ してほしくない □ 積極的治療 □ 現時点では判断できない
⑤ 昇圧剤の使用       □ してほしくない □ 積極的治療 □ 現時点では判断できない
⑥ 輸血・血液製剤の使用   □ してほしくない □ 積極的治療 □ 現時点では判断できない
⑦ 人工透析の実施      □ してほしくない □ 積極的治療 □ 現時点では判断できない
⑧ 鼻チューブによる栄養補給 □ してほしくない □ 積極的治療 □ 現時点では判断できない ⑨ 中心静脈による栄養補給  □ してほしくない □ 積極的治療 □ 現時点では判断できない ⑩ 胃瘻(いろう)による栄養補給 してほしくない □ 積極的治療 □ 現時点では判断できない

その他の要望

(病院、家族以外に相談してみたいという希望など)
※判断できない場合は、治療が必要になった際に改めて確認を取りますが、緊急時や確認が取れない場合は、 これらの治療が行われることがあります。
(署名欄)
記載年月日
氏名
代表者(続柄)
代表者住所(電話番号)
立ち会った家族・親族の氏名(続柄)
※「代理者」とは、患者さん本人の意思表示が困難なとき、ご本人の気持ちを最もよく理解し代弁できるに足りると判断される方です。

 

 

medical_tenteki-300x243

 

 

延命治療の問題点

延命治療は、するかしないかは医療現場では訴訟問題にもなりかねないので選択が難しくなります。本人の意思がはっきりしていて、家族も同じ意見を持っていればいいのですが、本人の意思は延命措置をしないことだが、家族はしてほしいと思っている場合本人の意思通りにならない場合があります。

また、急を要するときに本人のはっきりした意思が出ていなくて、家族にも連絡が取れない場合も医師は延命措置をしなくてはいけない場合があります。海外のように法律で決められているといいのですが、日本ではまだ法整備ができていないので医療現場が苦悩している一つの原因でもあります。

延命治療をすると、苦痛が伴う場合に緩和治療がされていても苦痛が長続きして本人が苦痛を味わいながら長く過ごさなくてはならなくなります。延命治療をするような施設が不足していることや人手不足も問題点として挙げられます。

他にも延命治療には家族の金銭的負担が大きくなり、長く続けば続くほど大変になってきます。

 

 

PIC-201508160123221

 

 

まとめ

延命治療は、本当に必要なのか、それともしない方がいいのかは本人の生き方と重なってきます。そのために、家族とよく話し合い、拒否する場合はリビングウイルや事前指示書を残しておくといいでしょう。

本人の意思が家族にも理解してもらえていると、延命治療をしなくてはいけない時に医師にはっきりと伝えることができます。

qna