離床ってどんな意味?注意点は?

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介護や医療のなかで「離床」という言葉をよく使用しますが、離床という言葉を辞書で調べると「ねどこを離れること。起床」と出てきます。介護や医療の現場ではまた違う意味でも使われるのですが、一体どういう意味なのでしょうか。また注意点は何なのでしょうか?

今回は注意点も含めて離床についてご紹介させていただきます。

 

離床とは

離床とは介護や医療の現場でよく疲れる言葉のひとつであり、一般的にも知られている言葉だと思いますが、使用するシーンによって大きく異なることがあります。離床という言葉の反対を指す「臥床」ですが、どんなに元気な人であっても臥床し続けることにより、様々な合併症などを引き起こしてしまうかもしれません。「日本離床研究会」ではそうならないために早期臥床を目標とし、自らが率先して起きてくれる文化を築く事を促しています。

介護現場での離床の意味

介護現場でよく用いられる「離床」ですが、「ねどこを離れること」と言う意味をさらに掘り下げて、「起きている時間を長くする」と言った意味でも多く使われます。

介護の基本であるADL(日常生活動作)の向上または安定に大きく関わってきます。ADLが低下してしまうと、少しずつ介護が必要となってきてしまいます。その為にも離床は必要不可欠とも言えます。

早期離床とは

離床と言う言葉の中に「早期離床」という言葉があります。
臥床状態にある高齢者に対して、座位から立位、歩行と促し段階を経て離床していただくことであります。早期離床することによって、呼吸器系合併症の予防や起立性低血圧、肺塞栓症などの合併症対策にも繋がります。
早期離床を行う際には無理して最初からいきなり離床を行うことにより、骨折などの危険性もあるので、状態に合わせて少しずつ段階を経て行うことが大事とされています。

 

 

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離床の目的

離床することが良いからただ行っているというわけではなく、大きな目的があって離床を促して行っていただきます。なぜ、離床することが良いのでしょうか?臥床状態になってしまうとどうなるのでしょうか。

臥床状態が続いてしまうとどうなるのか

臥床状態が長く続いてしまうと様々な合併症が引き起こされ、筋力の低下や認知症、さらには廃用症候群などを引き起こす危険性もあるため、介護施設においては「離床」を促し続けるのです下肢の筋力は一週間で20%も低下すると言われており、高齢者においては一度落ちてしまった筋力や廃用症候群になってしまった場合、各機能の回復までに相当な時間を要してしまうことになります。その為、少しでもADLが低下しないように離床を促すのです。

離床することで減るリスク

臥床状態から離床することで、合併症のリスクを軽減させることができます。一体どんな合併症があるのでしょうか。

・起立性低血圧

これは起立時に血圧調整が正常に働かないために起こる低血圧で、立ちくらみや酷い時は失神も起こすことがあります。

・肺血栓、塞栓症

呼吸困難や胸背部痛、頻脈、失神、意識レベルの低下などが見られ、重傷の場合は死になることもあります。

・機能低下

臥床により各機能の低下が顕著に見られてしまう可能性があります。
以上などがあげられますが、離床を促すことにより合併症の予防も目的とされています。

 

 

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離床の看護、介護

離床の看護・介護には大きなポイントがあります。ただ離床させればいいわけではありません。その人の状態に合わせて行っていくことがとても大切とされています。

離床の進め方

① ベッド上での運動

はじめから起き上がって身体を動かして貰うわけではありません。まずはベッド上から始めて行く事が重要です。「足関節の屈曲、伸展運動」から始めて行く事が大切です。

② ギャッジアップ

これは「頭部拳上」のことであり、ベッドの頭部分を30度くらいから開始して、直角(90度)まで拳上する事が大切です。

③ 端座位

これはベッド端に腰掛けて座る事でありますが、今まで臥床状態にあった為に後ろにそのまま倒れてしまう可能性が大きくあります。その為にしっかりと背部を支えることも忘れてはいけません。また、90度の頭部拳上で問題があった場合は控えておいた方がいいでしょう。

④ 立位・足踏み

ゆっくりと立位になり、その場で足踏みを促します。これは臥床状態が続いた為に下肢筋力が落ちていることから転倒する危険性があります。転倒には要注意が必要なので、すぐそばから離れないことや後ろにベッドや椅子があるところで行うことが大切です。

⑤ 歩行

この段階で初めて歩行になります。まずは手すりに掴まりながら行うことが大切であり、足踏みの時以上に注意が必要です。

看護・介護のポイント

端座位まで段階が上がってきたら、日中30分から2時間程を車椅子で過ごしていただくことも大切です。ただ機能訓練ではなく、脳や精神的にも段階を経てリハビリしていくことが大きなポイントです。今まで臥床生活をしていて、コミュニケーションはスタッフとしかとっていません。その為、閉鎖的環境にいた高齢者ですから、少しずつ他入居者とのコミュニケーションの場を作ることが必要となってきます。

 

離床の注意点

離床を促すにあたって大切な注意点があります。転倒などのリスクを回避するためにも大切なポイントともなりますので、ご紹介させていただきます。

必ず付き添いを

全てに共通することではありますが、必ず看護師か介護職員が付き添うことが大切です。「早く歩けるようになりたい」と無理をしてしまう可能性が高いです。無理をしていきなり起き上がり歩いてしまうかもしれません。最悪の場合、起立性低血圧で立ちくらみが起きているなか、転倒し頭を打ってしまう可能性も無くはありません。ゆっくりと段階を経て行って頂けるように声掛けをしていくこともとても重要になります。
まずは必ず付き添い始めていき、慣れてきてバイタル等も安定しているのならば、ご自身でゆっくりと現段階で行っていただくように注意が必要となります。何かあった時、すぐに介助して支えることが出来るようにするためにもまずは最初は必ず付き添うことが大切です。

無理にはやらせない

離床を促すことは大切ですが、「やりたくない」と言うのを無理にやらせることは注意した方が良いと思います。やりたくないと思っているなかで行うと、いつか「やりたくない」が「やらない」に変わってしまう可能性もあります。やらないに変わってしまうと、本当にやらなくなり臥床状態が悪化してしまう可能性もあります。また、やりたいと思っていただける声掛けも必要ですし、本人の頑張りがないといくら看護師や介護職員が頑張ったとしても無駄になってしまいます。やらないと思わせないようにゆっくりと段階を経てから本人のやる気を出して貰えるようにしましょう。

 

 

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まとめ

今回は「離床」についてご紹介させていただきました。私たちが普段当たり前のようにしている、臥床と起床の分別ですが、一度寝たきりになってしまった後は元に戻していくことが困難となります。その為、ゆっくりと段階を経て行うことが大切になります。本人の頑張りももちろん大切ですが、離床の意味を理解して貰った上で行っていただけるようにその頑張りを作る声掛けもとても重要となります。

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