インフォームドコンセントはどんな意味?課題は?

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最近、日本でも「インフォームドコンセント」という考え方が少しずつ広まり始めています。インフォームドコンセント、医療現場の人には馴染みがある言葉かもしれませんが、一般の人はあまり聞いたことがないかもしれません。
医療現場において、今「インフォームドコンセント」の必要性が非常に高まっています。患者の人権と深い関わりがあるからです。
医療現場からの立場・患者側からの立場、両方からどのようなものか見ていきましょう。

 

インフォームドコンセントとは

直訳すると「説明と同意」です。
もう少し詳しく言うと「医師が患者の病気について患者本人や家族に詳しく説明し、患者や家族が理解・納得したうえで治療・検査を受けることに同意する」ということです。

目的

インフォームドコンセントの目的は「患者の人権を守ること」です。
例えばですが、もしガンなどで予後が非常に悪い状態である時、今までだと医師は 患者よりもまず先に家族に告知するという現状が多くありました。もし家族が患者自身に告知しないと決めると、患者本人には結局本当のことを伝えられません。

今のネット社会では本当のことを知らされていなくても、いくらでも情報を得ることは可能です。
しかし、本当のことを知らない状況で治療に耐えなければならないというのは精神的に耐え難いものです。家族や医師への不信感も増えるばかりです。このような状況を、はたして患者自身の人権が守られていると言えるでしょうか。
もし、患者自身が本当のことを知ったうえで治療に専念していれば、治療中の生活やその後の人生の送り方に対してもきちんと自分自身と向き合うことができて、ある意味充実した日々を過ごすことができるかもしれません。もちろん、治療中は患者は治療に対して理解しているわけですから、主体的に病気に向き合うことにもつながります。医者側も適切な医療を行うことができ、治療効果も期待できます。
また、医者側と患者側とのコミュニケーションが図れるので、信頼関係の構築にもなります。

対象

インフォームドコンセントというと真っ先に「医者と患者」を想像します。
もちろん中心は患者と医師ですが、すべての治療行為に関係する医療従事者と患者・家族を対象とします。また、患者側が意思を伝達できない場合や未成年者については、法定代理人などを対象とします。

手順

原則として主治医または担当医が患者に対して行いますが、病院側・患者側とも複数参加することが望ましいとされます。
説明同意のための文書等を用いると共に、患者側が理解できるような表現や理解を促す図や模型などを使って説明し、また、セカンドオピニオンを受けることなどについても説明をします。
説明同意のための文書に説明した医師・病院側の同席者・患者・代理人等の署名を行います。

 

 

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インフォームドコンセントと介護

インフォームドコントというと、真っ先に医療の現場を想像します。
介護の現場におけるインフォームドコンセントについては、まだまだ関心のほうは高くないと言えるでしょう。ですが、実は介護の現場でもインフォームドコンセントはとても大事なことなのです。
介護の現場でインフォームドコンセントを実施するとしたら、例えばどんなことがあるでしょうか。
・食事面(普通食からきざみ食や流動食に変えるなど)
・入浴の方法
・リハビリの方法
これらについて利用者や家族に十分に説明し、利用者や家族が納得の上で決定してもらうという対応になります。

また、介護の現場では終末期のケアなども増えてきます。終末期に入ると、体力的・精神的にも疲れ果て、冷静に意思表示を判断できないケースが多数あります。
それに加え、終末期を迎えた高齢者は次第に 判断能力が低下していきます。老老介護 ・遠距離での介護 ・家族と疎遠など、さまざまな不安が増すばかりです。

そういうことをふまえると、今後は介護の現場においてもインフォームドコンセントの必要性はますます高まってくると思われます。
利用者や家族が納得したうえで自己決定ができ、人権が守られるようインフォームドコンセントを行っていきたいものです。

 

インフォームドコンセントの課題

日本では医療現場においては、インフォームドコンセントという言葉自体はかなり浸透してきたように思います。
しかしながら、実際は医師側の「説得」と患者側の「納得せざるを得ない」というような状況にとどまっていることが多いのが現実です。

例えば薬を例にすると、医師側は薬についても性質や目的などを患者にきちんと説明ていく必要がありますし、また患者側もただ薬を漠然と飲むだけではなく、どんな特徴の薬で、どういう形で飲むのが一番効果的などかについて、知識を習得しなければなりません。
そういったことが、インフォームドコンセントとして医師側と患者側との間でしっかりできていれば、薬はより大きな効果を発揮し、よりよい治療に結び付くのです。
しかしながら、難しい言葉の羅列や説明だと、そうでなくても患者側は病気なのですから、精神的にも疲れていますし家族も動揺しています。なかなか医師に対して冷静に落ち着いて聞くこともできませんし、難しい話の最中に何を聞いてよいのかもわかりません。
結局、患者側は医師の言われるがまま納得せざるを得ないのです。

そういうことにならないよう、医者側は患者や家族の精神状態を踏まえながら、専門用語はできるだけ使用せず、わかりやすく明確に説明することが大切です。

 

インフォームドコンセントの注意点

インフォームドコンセントは、「説明・理解・「合意」のいずれも欠けないことが重要です

説明を行うときは基本的には患者と家族が立ち会い、患者に治療方法などの同意をもらいますが、患者に理解力や判断力などがない場合、未成年の場合は保護者の同意、認知症や精神疾患のため自己判断が難しい場合は、患者本人以外の家族や代理人の同意のもとで医療が提供されます。
また、救急の場合は生命を救うことが先決なので、治療を優先してから説明する場合もあります。
そしてここで注意しなければならないのが、場合によっては医者側は患者本人よりも先に家族へ説明を行う場合があるということです。
そのような場合、家族に精神的な負担が大きくかかることを考えなければなりません。
家族の判断は、その後の治療方針に大きな影響を与えますので、質の高い医療をしていくためには、医者側と家族がお互い納得して治療を進めていくことが大切ですので、家族への告知の方法や手段はよく考えて行う必要があります。

あくまでも、インフォームドコンセントは患者の知る権利や自己決定権などを尊重する行為であることを根底にし、患者・家族と医者側がお互いに信頼に満ちたものになるよう努めていくことが大切です。

 

 

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まとめ

私たちはいつどんな場面で病院に行くことになるかわかりませんし、場合によっては命の危険を伴ったりするかもしれません。
その時家族が近くにいるかもしれないし自分一人かも…など、考えただけでも不安になります。
そして、逆に自分は患者の家族の立場であるかもしれません。

そのような状況になった時でもインフォームドコンセントをしっかりやり、自分自身や家族人権を守りながら人間らしく生きていきましょう。

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