MRSAって何?感染経路は?

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MRSAというとあまり聞いたことない言葉ですよね。でも「黄色ブドウ球菌」というと、誰もが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
MRSAとは「耐性のついた黄色ブドウ球菌」という細菌のことです。ミクロの世界の話で遠い世界のことのようですが、私たちにとって実はすごく身近なものなのです。
常在菌として誰でも持っているかもしれない、このMRSAと感染症について考えてみましょう。

 

MRSAとは

MRSAとは、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌のことです。
では、メチシリン・ブドウ球菌とはどういうものなのでしょうか。

メチシリン

ペニシリン系の抗生物質のことです。
世界で初めて発明された抗生物質としてペニシリンが有名ですが、そのうち菌も耐性をもってしまい、ペニシリンも効かなくなっていきます。
「耐性菌」「薬剤耐性菌」という言葉を、聞いたことがあると思いますが、 薬に対して菌が抵抗力を持ってしまい、薬が効きにくくなります。つまり、耐性菌にかかると、薬を使っても病気が治りにくくなってしまうのです。
メチシリンはペニシリンが効かなくなった耐性菌に対して有効な抗生物質として作られたものなのです。

ブドウ球菌

ブドウ球菌でも人の皮膚上に存在するものを「黄色ブドウ球菌」と言います。食中毒の時などによく耳にしますが、この黄色ブドウ球菌は誰もが持っているもので、「常在菌」です。
メチシリン・黄色ブドウ球菌について説明してきましたが、MRSAとは何かわかっていただけましたか?
「MRSA」とは「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌」
すなわち、メチシリンが効かなくなった黄色ブドウ球菌という細菌
ということになります。
誰でも持っているとされる常在菌ですが、後で感染経路の項でも出てきますが、病院のなかに多数存在していて、院内感染を引き起こしてしまう代表的な細菌です。

 

 

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MRSAの症状と原因

次に、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)が引き起こす感染症についてみていきましょう。
MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)が原因となって引き起こす感染症をMRSA感染症といいます。MRSAは誰でも持っている常在菌ですが、誰でも症状が出るとは限りません。主に体の免疫機能がおちている人が感染した場合に、症状が現れます。
症状は感染した部位によってさまざまです。

〇MRSA感染症の症状

・褥瘡・熱傷など皮膚軟部組織の感染症、手術創の感染、中耳炎など。
(一般的に良好な経過をとることが多い。)
・髄膜炎、関節炎、肺炎(発熱・咳・たん・息苦しさなど)、腹膜炎、腸炎(発熱・下痢・吐き気や嘔吐など)、敗血症(発熱・低体温・脈が速くなる・呼吸の数が多くなる等)、心内膜炎など。
(抗生物質が効かないことが多いため重症化しやすい。感染がひどくなるとショック症状を起こすこともあり、命が危なくなる場合もあります。)

〇MRSA感染症の原因

先ほども言いましたが、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)は誰でも持っているとされる常在菌で、皮膚や鼻の粘膜などに存在しています。
免疫力の落ちている人が感染することが多いので、手術をした後の患者さんや、重症の患者さんがいる病院などで院内感染することが多いのです。

 

MRSAの感染経路は?

感染経路には、菌が常在している部位からの「自己感染」と、接触感染があります。

自己感染

自分の皮膚や鼻腔などにいる常在菌に感染する場合をいいます。
しかしながら、常在菌は菌が常在している部位にいる限り発症はしません。菌が他の部位に移動すると発症します。

接触感染

菌を持った人の鼻や皮膚などを触ったあとの手や、その手が触れたものを介してどんどん運ばれていき、広がっていきます。
また、医療従事者が保菌者に触れ、そのまま他の患者さんの処置をおこなったりして、あっという間に病院内に広がります。MRSAが院内感染を起こす原因のほとんどが医療従事者を介したものといわれています。
鼻腔、咽頭、皮膚の傷(手術創、注射部位、皮膚炎、潰瘍、圧挫瘡)、カテーテル、血圧計などの器具などです。

そうでなくても病院に入院している患者さんは、免疫力が低下している人が多いため、特にMRSA感染症の発症率が高く、同時に院内感染が起こりやすい理由のひとつになっています。
それともう一つ、MRSA感染症が病院内で発生しやすいのには理由があります。
病院内ではさまざまな抗生物質が使われていますが、常在菌であるMRSA(黄色ブドウ球菌)がさまざまな抗生物質にさらされるため、耐性化してしまうからなのです。

 

 

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MRSAの予防

病院内における感染症の予防策には2つあります。

1 「ユニバーサルプリコーション(普遍的予防策)」

「どの患者も感染症の可能性があるということを前提として、全ての人と血液と特定の体液の取り扱いに注意を払う」ことを義務づける特別な予防策のことをいいます。
・体液・血液に触れる可能性のある場合は、手袋や必要に応じてガウンを着用するというものです。

2 「スタンダードプリコーション(標準予防策)」

「感染症の有無に関わらず、すべての人に対して予防策を講じるという考え方」です。
・手洗いの励行
・手袋・マスク・ゴーグルなど着用する
・針刺し事故の防止
・使用したリネンや器材などの適切な処理
・必要な場合は患者の隔離

 

注意点

治療方法

MRSAとは耐性黄色ブドウ球菌です。ですから何を使っても効果がない…、手だてがない…と思っている人もいるかもしれませんが、いくつかの有効とされる抗菌薬も出ていますので、必要以上に怖がることはありません。
MRSA感染症の治療は抗生物質の投与が中心になりますが、抗生物質が効きにくいということもあり、症状が重くなることが多く、最終的に死にいたることもあります。
そのため、感染症の原因がMRSAであるのかどうかを、出来る限り早く見極める     ことが大切になります。

周囲の対応

MRSAは健常者でも保菌者となります。
病院内だけではなく、在宅でも家族にMRSAの保菌者がいたり、また介護をする介護職員の立場から、利用者に保菌者がいる場合があります。
保菌者かどうか判明していない場合もあります。
病院内での感染経路と同じように、周囲の者も正しい対処をしないと家族や介護職員が媒体となり他の人への感染経路になってしまいます。先ほど述べたMRSA感染症の症状や予防策をきちんと理解し、情報共有もしながら保菌者と接していきましょう。
日常的に感染症対策をしていれば、保菌者がいても怖がる必要はないのです。先ほどお話ししました、「スタンダードプリコーション(標準予防策)」をしっかりおこなっていきましょう。

 

 

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まとめ

MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)についてみてきましたが、いかがでしたか?
抗生剤が効きにくい…とか、重症になりやすい…など、怖くなるような内容のこともありましたが、びくびくすることはありません。
正しい知識を持って冷静に対処していきましょう。

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