認知症での暴力をやめさせたい!原因は?対策は?

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認知症の人から受ける暴力。やめてと言ってもやめてくれないし、理由もめちゃくちゃで意味不明。もう我慢するしかないんだとあきらめていませんか?でも実は、原因を知って対応を変えることで暴力が落ち着いたという事例がたくさんある事をご存知でしょうか。今回は認知症の人が暴力をふるう原因とその対応についてご紹介させて頂きたいと思います。

 

認知症の暴力とは

認知症介護と暴力

認知症の人の暴力にはさまざまな影響や意味があります。まずはそのことについて確認しておきましょう。

家族を追い込む

認知症介護の中で、繰り返しの言動や徘徊、不潔行為に並んで介護者を悩ませるの認知症の暴力行為です。生活全般の介護を行っている中で暴力を振るわれるという事は、介護者に耐えがたい負担をかけます。心身共に疲れきった結果、残念ながら虐待や心中、家族を殺害してしまう事件が今も後を絶ちません。

虐待事件の引き金

認知症の人の暴力が虐待の引き金になってしまう事もあります。暴力を振るわれて冷静でいられる人ばかりではありません。やられたのでやり返すなど悪循環を生んでしまいます。介護の現場では忙しくて頭がいっぱいの中で暴力を振るわれ、とっさにやり返してしまうこともあります。そういった事件が起きてしまうと、認知症の人を取り巻く環境も悪化してしまいます。施設などで起きてしまえば評判も悪くなると同時に貴重な人材も失ってしまう事になります。

我慢を強いられる介護職

介護施設などで認知症利用者からつねる・叩くなどの暴力を受けながらもほとんどの介護職員が我慢し、耐えているのが現状ではないでしょうか。人の役に立ちたいという思いから介護の世界に入ってきた職員も日々受ける暴力でやりがいや楽しさを見失ってしまいます。

困っているサイン

暴力行為はマイナスな面だけではなく、普段思いをうまく伝えられない認知症の人の心の叫びとも言えます。困っている事、やめてほしい事、体の不調など暴力行為の裏に色々な原因が隠れている可能性があります。それに気づいてあげて改善する事は介護者側だけではなく、認知症を抱える本人の負担も軽くなり、お互いに良い環境へとつなぐことができます。

 

 

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認知症の暴力の原因

暴力行為を減らすために、原因が分からなければその解決方法にはたどり着けません。まずは原因について考えてみましょう。

性格

認知症によっては人格や性格の変化が見られる場合もありますが、やはり本質的な性格との関係性は否定できません。もともと手が出やすい性格の人、カッとしやすい人はそうでない人に比べて暴力は出やすいでしょうし、警戒心や恐怖心が強い場合も自分を守るために暴力を使う場合があります。

病気

病気によっては突然攻撃的になったり興奮状態になったり、人を過剰に疑ったりといった症状が出るものがあります。その人が抱える病気、精神疾患やどのような認知症型かを知ることで暴力を未然に防ぐこともできます。

体調

人が怒ったり暴力を振るう仕組みには体調も大きく関わっています。例えば、女性の月経時にイライラしやすいと言われているように、私たちの感情と体調はつながっています。高齢者ですと便秘や季節の変化に体が対応しようとしている時などに体調の変化が起きやすい傾向があります。他にも体に痛みがあったり病気が隠れていたり、体調の異常も原因になります。

薬の副作用によって興奮状態や暴力的になるという場合もあります。治したい症状には効果があっても、その反面興奮や鬱などが強くなり暴力につながってしまうということもあります。副作用は必ずしも全ての人に現れるわけではありませんが、薬の効きすぎや、副作用が強く出るなど、薬が原因になってしまうこともあります。

介護方法

認知症の人はその症状により周囲の状況やそれをされている意味がわからなかったりします。介護をしているつもりでも本人にとっては迷惑であったり恐怖であったりということがあります。認知症の症状やその人がどう感じているか知ることで暴力行為を減らすことにもつなげられます。

ストレス

認知症の人は「何もわからない、考えていない。」と思われがちです。しかしそれは他人から見た思い込みで、本人は悩んで苦しんでいる場合が多くあります。思いが伝わらなかったり思い通りにならず日々ストレスを抱えたりもします。気分転換や楽しみが少ないなども暴力につながる原因になることがあります。

 

認知症の暴力が出る状況

認知症の人に暴力を振るわれるのはどのような場面でしょうか。その状況からも原因を探す手がかりになることがあります。

服を脱がせるとき

おむつ交換や着替えの際に抵抗されたり暴力を振るわれるという事例はよく耳にします。介護をする側は必要だと思ってしていることでも、相手にとってはそうでない場合があります。状況が分からずに衣服を脱がされれば誰でも恐怖を感じるのではないでしょうか。
排泄した汚物を見られたくないという思いもあるかもしれません。体だけではなくプライドのような、心も含めて自分を守るための抵抗として暴力につながっている可能性があります。本当に必要な介助か、また嫌がることを減らしてみることで暴力が減る場合があります。

手伝ったのに怒り始めた

明らかに手助けが必要なのに手伝わせてくれない、手伝っている時に怒り出して暴力を振るわれるという場合があります。認知症の人は何も分かっていないように見えても何も考えていないわけではありません。自分でできないジレンマや人の助け無しに生きられない状況に苦しんでいたりします。やってあげることばかりではなく、本人にも何か出来ることややりがいのあることを見つけてあげると、自分に誇りを持てるようになり落ち着く場合があります。

イライラしていることが多い

体調や薬の影響でイライラしている場合があります。
体調はさまざまなことが考えられますが身近で多いのが便秘です。便秘の時にイライラしたり様子が変わる場合が多くあります。また便が出そうなときも同じようなことが起きます。排便の間隔とイライラしているタイミングに関係はないでしょうか?便秘の有無や排泄パターンを確認して本人に合った排泄介助を行うことで解決する場合があります。
薬に関しては、服用している薬の中に興奮や鬱症状などの副作用を引き起こすものはないでしょうか。特に有名なのは認知症治療薬のなかに高揚や興奮作用を引き起こすものがあります。薬を見直してみるのも改善につながる方法の一つです。

急に怒り出して暴れ始める

いつもどおり普通に過ごしていたのに急に怒り出して手がつけられなくなる。前後の様子や日常の生活から見ても原因がわからない。このような場合は、脳に何らかの異変が起きているか精神疾患が原因の可能性があります。起きた状況や症状などを具体的にメモし、医師に相談してみると原因が分かる場合があります。

 

 

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認知症の暴力の予防と対策

認知症の介護を行う場合以下のことを気をつければ良いかと思います。

悪い印象を与えない

認知症の人は物事の前後や筋道を立てて考えることが苦手になっています。その為「印象」によって物事を判断することが多くなってきます。悪い印象が強ければ嫌がり、抵抗して暴力につながってしまいます。
嫌がっているのを無理やり介助したりしていると、その行為やそれを思い出させるものに恐怖や嫌悪を覚えます。認知症だからといって何も記憶しないわけではありません。特にそういった自分を守るための「嫌なこと」「恐怖」については強く記憶するのが人間です。
特に「人」と「環境」について悪い印象を与えないことが、暴力や拒否の予防にもなります。

人の印象が与える影響

嫌がる介助を無理に行っていたり、怖い顔、怖い声などをしていると「この人は自分にひどいことをする人」という印象を持たれてしまいます。場合によっては介護をする人全体にそういう印象を持ってしまいます。
悪い印象を持たれ「敵」だと思われてしまうと、介助自体はそんなに嫌なことでなくても触られたくない、受け入れたくないという思いから暴力につながってしまいます。

環境の印象が与える影響

人が与える影響に加えてそのときの環境も印象として残ってしまう場合があります。例えば嫌がるお風呂介助を無理に続けていた結果、お風呂自体に嫌な印象を持ってしまい、「お風呂」という言葉や「お風呂場」という環境を嫌がるようになってしまいます。その環境から恐怖や嫌悪を感じてしまうので、「その場にいたくない」「怖い」という思いが先に出てしまい拒否や暴力につながってしまいます。

良い印象を持ってもらうには

「味方である」と思ってもらうように心がけることで、悪い印象はかなり防げると思います。表情は柔らかく、声は明るくするなど好感をもってもらうように接します。また話をよく聞いてあげたり要望を叶えてあげたりということを積み重ねて信頼関係を築いて行き、「この人は助けてくれる人だ。」という印象を持ってもらうように心がけると良いと思います。

 

注意点

認知症の人の暴力 対策の注意点

介護をする人の環境も大切

原因を探ってもすぐにわからない場合や改善できない場合もあるかと思います。しかしそのことでよけいイライラしてしまっては、さらに認知症の人を不安にさせてしまい悪循環になってしまいます。
介護をする人ができるだけ穏やかな気持ちで介護をできる環境というのも必要です。
認知症の暴力に悩んでいるときは一人で考えず、専門家や医師、地域の人、仲間に相談することで違った視点が見えてきたり、気分転換にもなります。認知症の人が生活する上で介護をする人はとても大切な存在です。

いろいろな視点をもつ

暴力の原因を考える上で、原因はどれかひとつとは限りません。いくつかの原因が重なっている可能性もあります。
例えば、薬の副作用でイライラしやすい状況で嫌がる介助をしてしまっている場合や怒りっぽい人が薬や体調の変化でさらにイライラしているなどという状況もあるかと思います。
ひとつのことにとらわれず、複数の原因や介護される側の視点などいろいろな視点で考えると原因を見つけやすくなります。

薬の調整をするときは

興奮状態などに薬が影響していることもありますが、病院で「興奮することが多い」と医師に話しただけでは伝わらない場合もあります。医師の中には認知症と薬の関係に詳しい人もいればそうでない人もいます。専門分野の違いなどもあります。
今困っていることやどうなって欲しいかなどを医師とよく話し合うようにしましょう。
また、すべてがうまくいくとも限りません。暴力はおさまったけれど他の困った症状が出てくることもあります。大事なのはバランスだと思います。

原因が分かるまでは

暴力行為が改善するまで介護者はその暴力を受け続けなければいけないのでしょうか?原因が分かるまでは無理にその場で解決しようとせず、興奮や怒りがおさまるまで離れてやり過ごしたり、パターンを知ってあらかじめ防御策を取っておくなど介護者が受けるダメージを減らすということも方法の一つではないでしょうか。

 

 

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まとめ

認知症の人が嫌がることをしない、または嫌がらずにできる方法はないかを見直すだけでも、進行していく認知症の中で暴力につながる可能性を減らすことが出来ると思います。

認知症の人の視点に立って考えることは暴力の解決だけではなく、認知症の人が安心して暮らせる環境づくりにもつながってくると思います。

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