認知症での記憶障害について教えて!原因は?

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高齢化社会の現代、今後はますます加速していくと思われます。
高齢になった時、自分自身は認知症になっていないだろうか。そして、自分自身のことだけでなく、自分の家族がもし認知症になってしまったらどうすればいいのでしょうか。わからないことだらけで戸惑うことばかりですよね。

そんな状況になったときに少しでも落ち着いて考えることができるよう、認知症と記憶障害について考えてみましょう。

 

認知症の記憶障害とは

「昨日の晩御飯のメニューはなんだったっけ?」そんな事よくありませんか?
一度や二度ならともかく、たびたび続くと「自分は認知症ではないか?」と不安になったりします。でも、このような症状は認知症による記憶障害ではありません。加齢などによる単なる「物忘れ」で誰にでもよくあることです。
しかしながら、物忘れにも正常なものとそうでないものがあり、先ほどお話しした「晩御飯のメニューが思い出せない」などの症状は正常な物忘れになります。では、正常ではない物忘れとはどのようなものを言うのでしょうか。
それは認知症が原因の物忘れで、いわゆる「記憶障害」といいます。

しかし、認知症の症状である物忘れは「記憶障害」と言われ、さまざまな症状が一般的に加齢などによる「物忘れ」とは異なります。
先ほどの「メニューが思い出せない」ということを例に挙げて説明すると、正常な物忘れは、夕食を食べたことは覚えていてメニューが思い出せないだけ、すなわち、夕食を食べた体験の一部を忘れているだけなのに対し、認知症の記憶障害は「夕食を食べたこと自体を忘れてしまう」のです。
また、正常な物忘れは自覚症状があるのに対し、認知症の記憶障害は自覚症状がありません。

<認知症の記憶障害の種類>

記憶障害とは自分の体験や過去についての記憶が抜けてしまうことで、自覚症状がなく日常生活に支障が出ます。
認知症の記憶障害には次の5つの種類があります。

5つの種類

・短期記憶障害

短い期間のみ記憶される出来事(日付や曜日など)がわからなくなり、新しいことが覚えられなくなります。また、初期の頃は直近の記憶から失われていきます。

・長期記憶障害

前に記憶した事や、経験した事を思い出せなくなります。一般的に健常者でも「物忘れ」としてよくあることですが、認知症の記憶障害は本当に忘れてしまっています。
自分の職業、祝日の名前、家族の名前や顔など本人なら当然知っていて、亡くなるまで持ち続ける記憶ですが、そのようなこともわからないのです。

・手続き記憶障害

包丁の使い方・掃除の仕方・自転車の乗り方など自分の体で覚えたことを忘れてしまうことです。

・意味記憶障害

言葉の意味を忘れてしまいます。家族の名前などの個人的な事実、言葉の意味などがわからなくなり、「あれ」とか「それ」という言葉でしか会話ができなくなってしまいます。
意思疎通が難しくなります。

・エピソード記憶障害

卒業した学校の名前など、その人自身が体験したことそのものを忘れてしまうことです。

<認知症の記憶障害の進行スピード>
これまで認知症の記憶障害について説明してきましたが、ここで認知症と記憶障害との関係について改めて確認していきましょう。

(認知症の種類)

認知症には原因となる病気によってさまざまな種類のものがあり、「アルツハイマー型認知症」「血管性認知症」「レビー小体型認知症」を3大認知症と言います。

(認知症の原因)

アルツハイマー型認知症・・・原因はよくわかっていない
血管性認知症・・・脳梗塞や脳出血など脳に関係する病気が原因
レビー小体型認知症・・・原因はよくわかっていない

(認知症の症状)

中核症状と周辺症状があります。
中核症状・・・記憶障害・見当識障害・理解判断力の障害・実行機能障害
周辺症状・・・鬱(うつ)状態・妄想や幻覚・徘徊・暴力など二次的に表れる症状

見ていただいてわかるように、記憶障害は認知症の中核症状と呼ばれる症状の一つということになります。
先ほど認知症にはさまざまな種類のものがあると言いましたが、症状の特徴もそれぞれ違います。
その中で記憶障害が主な症状である認知症が「アルツハイマー型認知症」になるのですが、アルツハイマー型認知症の進行スピードについてはよくわかっていません。ただし、人によってさまざまなので一概には言えませんが、発症が若ければ若いほど進行は早いようです。

 

 

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認知症の記憶障害の改善策

アルツハイマー型認知症は、脳の神経細胞が減少していくことにより脳が委縮して記憶障害という症状が顕著にあらわれます。残念ながら今の医学では根本的な治療法はありません。
しかしながら、根治できるものではありませんが、症状をやわらげたり、進行を遅らせることができる薬が何種類か出ていて有効的です。
投薬療法を早い時期に開始するためにも、周囲が少しでも早く異変に気付くことが重要になってきます。異変に気付いたら早急に医療機関を受診しましょう。
また、投薬とは別にその人の状況に応じて生活していきやすいように住環境等を整えていく事も大事になってきます。一般的な対策としては、段差の解消・手すりの取り付けなどです。
また、住環境を整備するのと同時に、実際の生活の中での工夫も必要です。例えば、カレンダーやボードを貼ったり、季節の感じられるものを見えるところに置くなどといったことです。
快適で安全な住まいで安心して生活ができる環境の中で、自分でやれることは自分でやるのだという前向きな気持ちになれるよう、みんなで協力していきましょう。

そして基本的なことですが、予防をこころがけましょう。アルツハイマー型認知症は原因がはっきりわかりません。ですから、まずは普段の生活習慣を見直し、適度な運動をするなどして健康的な生活をしていきましょう。

 

 

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注意点

先にも述べましたが、「夕食を食べたことを忘れてしまう」というような症状がみられるのが記憶障害です。本人には「食べた」という自覚がありません。そこの部分の記憶が完全に抜け落ちているわけですから、本人は忘れたことすら理解することができないのです。
ですからそのことが原因で周りの人とトラブルになることもあります。
見守る側はつい認知症の人は自分たちと同じことができない、また、できなくて当然だ・・・と思い、行動を制限しがちです。時にはそういった言動に苛立ち、「なんでこんな失敗をしてしまうの?」ときつく注意してしまいがちですが、決して怒ったりせず、やさしく注意を促すことが大事です。否定されたと感じて不安な気持ちにならないように、安心できる対応を周囲も心掛けましょう。

そしてもう一つ、身体的な拘束・虐待など「本人の尊厳が守られていない現実」もあります。
そういった現実の根底には介護する側の身体的・精神的な負担もとても大きいということがあります。
しかしながら、どんな理由があろうとも本人の尊厳は守られなければなりません。
介護する側の人も一人で抱え込まないでください。どんどん行政などに相談していきましょう。何か方法が見つかるはずです。

 

 

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まとめ

認知症にもさまざまな種類があり、また、認知症の症状の一つである記憶障害にもさまざまな種類があることがわかりました。
原因や対処法もさまざまです。
私たちはきっと自分自身や家族などが認知症になったら初めはとても戸惑い、ショックを受け、狼狽するかもしれません。
ですが、少しでも認知症や記憶障害について知ることができた今、気持ちもずいぶん変わったのではないでしょうか。
どうか優しい気持ちで寄り添ってあげてみてください。

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