フレイルってどんな定義?原因は?対策はあるの?

Instructor And Elderly Patient Undergoing Water Therapy

厚生労働省が打ち出している「生涯を通じた予防、健康づくりの推進」では、「高齢者の虚弱(フレイル)に対する総合対策では、平成28年度、栄養指導等のモデル事業を実施、食の支援等や高齢者の肺炎予防の推進、認知症総合戦略の推進を掲げています。聞きなれないフレイルという言葉について説明していきます。

 

フレイルとは

2014年5月に日本老年医学会は、高齢者の筋力が低下したり、活動が低下したりしている状態を「フレイル」と呼ぶことを提唱しました。この言葉はもともと海外の老年医学の中で使われている「Frailty」、虚弱、でい弱、老衰を日本語訳にしたものです。日本老年学会は年齢と共に機能低下が起こりますが、介入することによって機能の維持、向上をはかることができるということを強調しています。

特に、後期高齢期になると、運動機能や認知機能が低下し、慢性疾患も引き起こしており、ストレスに対しても弱くなっています。そのため、要介護状態に陥る人が多くなっています。前期高齢者で要介護に至る人は5%であることに対して、後期高齢者は30%と増えています。フレイルは健康な状態と日常生活でサポートが必要な介護状態の中間の状態です。
少子高齢化社会において、高齢者がますます増加しているので、フレイルに早く気づき治療や予防をすることで、機能を維持し、向上を図ることができます。

 

 

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フレイルの定義

日本老年学会では、フレイルの定義について「高齢期に生理的予備能が低下することで、ストレスに対する脆弱性が亢進して不健康を引き起こしやすい状態」と述べています。フレイルは身体機能の低下だけでなく、認知機能の低下や心理的機能の低下をも含みます。それ以外に独居問題、経済問題などの社会的問題も含んでいます。

サルコペニアとフレイルの違い

フレイルとよく似た意味合いの言葉にサルコペニアがあります。サルコペニアとは、主に高齢者の筋肉が減ってくることで、握力や下肢の筋力、体感の筋力など、全身の筋力の衰えのことを言います。

そのため、杖や手すりが必要になり、歩くスピードが遅くなるなどの身体機能の低下が起こることも指しています。サルペコニアは一次性サルペコニアと二次性サルペコニアがあります。

①一時性サルペコニア

加齢によっておきるもの

②二次性サルペコニア

・寝たきりなどで起きる廃用症候群
・がん、臓器不全などの疾患によるもの
・栄養不良、不活発な生活によるもの

フレイルとの違いは、フレイルもサルペコニアも加齢による機能低下のことですが、サルコペニアが筋肉量の減少による身体機能の低下を示しているのに対して、フレイルは移動、バランス、運動、認知、栄養などの機能が低下しているなどの広い分野で使われていて、介入することによって生活機能の維持、向上をすることを推進していることです。

 

 フレイルの原因

高齢になってくると、筋肉量が低下して身体的、精神的、社会的な要因でフレイルが起きます。

社会的な要因

①筋力の低下
②食欲の低下
③活動量の低下
④認知機能低下
⑤慢性疾患や様々な病気

フレイルになると、次のような状況になります。
身体的・・・低栄養、転倒の増加、口腔機能低下
精神的・・・意欲、判断力、認知機能低下、うつ
社会的・・・閉じこもり、孤食

 

 フレイルのチェック

身体的フレイルのチェック

この基準は日本にはまだなく、アメリカのFreidが提唱したものです。Freidの基準は5項目あり、3項目当てはまるとフレイル、1又は2項目の場合はフレイルの前段階であるプレフレイルと言われています。

5つの基準項目

①体重減少  年間4,5kg、5%以上の体重減少が起きる
②疲れやすい 何をするにも面倒だと週の3,4日以上感じる
③歩行速度の低下
④握力の低下
⑤身体活動量の低下

日本では2006年、基本チェックリストを用いた介護予防が行われています。これは、介護保険の認定をうけようとする場合に行われる自分で記入して行う総合機能を判定する評価となっています。

東京大学高齢社会総合研究機構 飯島勝矢講師のフレイルチェックテスト

1、指輪っかテスト(指で自分の筋肉量を測る)

両手の親指と一指し指で輪っかを作ります。利き足ではない方のふくらはぎの一番太い部分を力を入れずに軽く囲みます。その場合、ふくらはぎがつかめない人よりふくらはぎに余裕がある人の方が筋肉量が少なく、サルコペニアの危険度が高いと言われています。

2、11項目のチェック

①ほぼ同じ年齢の動静と比較して健康に気を付けた食事を心がけていますか  はい いいえ
②野菜料理と主菜(お肉またはお魚)を両方とも毎日2回以上食べていますか はい いいえ
③「さきいか」「たくあん」くらいの固さの食品を普通に噛み切れますか    はい いいえ
④お茶や汁物でむせることがありますか                  いいえ はい
⑤1回30分以上の汗をかく運動を週2回以上、1年以上実施していますか   はい いいえ
⑥日常生活において歩行、または同等の身体活動を1日1時間以上実施していますか
はい いいえ
⑦ほぼ同じ年齢の動静と比較して歩く速度が速いと思いますか        はい いいえ
⑧昨年と比べて外出の回数が減っていますか                はい いいえ
⑨1日1回以上は誰かと一生に食事をしますか               はい いいえ
⑩自分が活気にあふれていると思いますか                 はい いいえ
⑪何よりもまず物忘れが気になりますか                  はい いいえ

この中で右側にチェックがついていた場合、要注意です。

 

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フレイルの対策

健康長寿に必要な3つの柱のフレイル対策

東京大学IOGが実施した「栄養と体の推進調査」結果を分析すると、健康長寿のためには「運動」「栄養」「社会参加」3つことが必要なことがわかりました。それぞれは相互にかかわりあっています。

①栄養-社会参加

食、口腔機能でバランスの良い食事をとることとみんなで楽しく食事をとること

②栄養―運動

身体活動、運動などで、よく噛んでしっかり食べましょう。10分多く体を動かしましょう。

③運動―社会参加

趣味、ボランティア、就労などで自分に合った活動を見つけましょう。

出典元:
http://tama-kensei.jp/db/wp-content/uploads/2017/01/%E3%83%95%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%AF.pdf

厚生労働省の打ち出しているフレイル対策

①生活習慣病等の重症化予防、心身機能の低下に伴う疾病予防のために保険事業を推進

・平成28年から栄養、口腔、服薬などから専門職による支援のモデル実施し、平成30年より
本格実施する

イメージとしては、保健センター、地域包括支援センター、病院、薬局、歯科医院、訪問看護ステーションの専門職が被保険者に低栄養、過体重への指導、口腔指導、服薬指導を行います。
適切な介入、支援により、生活機能の維持向上が可能です。

②後期高齢者の保健事業の在り方、方向性

・現代世代の生活習慣病からフレイルに着目した対策に徐々に転換する
・生活習慣病等の重症化予防や低栄養、運動機能・認知機能の低下などフレイルの進行を予防す
る取組みが重要
・高齢者の特性に応じた健康状態や生活機能の適切なアセスメントと適切な介入支援が必要
・広域連合が保有する健診、レセプト情報を活用しながら、個人差が拡大する後期高齢者による栄養指導や口腔ケアなどの介入に取り組む
・後期高齢者は疾病率が高いので、重症化予防、再入院の防止、服薬管理などが特に重要なので医療機関と連携して保険事業が実施されることが必要

出典元:http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000135469.pdf

 

 

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まとめ

今後、後期高齢者が多くなるにつれ、フレイル対策が大切になってきます。心身の機能が維持、向上するために、専門職の介入がますます必要になってくるでしょう。神奈川県大和市ではすでに取り組みがなされていて、管理栄養士の訪問指導、糖尿病性腎症への訪問指導の実施を行っています。

この結果、6か月後には低栄養の人の体重増加、8割の人の腎機能の改善が見られています。

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