リビング・ウイルって何?注意点は?

End-of-Life-Counseling

一時期、安楽死のために延命装置を外すことに関して問題になったことがあります。人は自分の意思で死を選ぶことができるのでしょうか。医師から延命するか延命しないか選択を医師から告げられた時、家族はどう対処したらいいのか迷うことがあります。

そんな時の雨にリビング・ウイルを書いておくことをおすすめします。

 

リビング・ウイルとは

リビングウイルは、1970年にアメリカで運動が始まり、日本では1976年に日本尊厳死協会が「尊厳死の宣言書」を発行したのが始まりです。
リビング・ウイルとは、「生前の意思」という意味の英語です。尊厳死と言う言葉がありますが、その言葉通り人間が尊厳をもって死に臨むことです。そのために「自分が末期あるいは不治であれば、緩和ケアは受け入れるが延命措置を施さないでほしい。」という宣言をしてそれを記しておくことです。
言い換えれば、安らかな最期を迎えるために苦痛緩和のケアをしながら安らかな最期を迎えたいという意思を伝えておくことをリビングウイルと言います。今の医療は胃に穴をあけて胃から栄養を入れることや、人工呼吸器をつけて呼吸を機械的にさせることができます。すると、人間はもっと長く生かされていくことができます。一度、人工呼吸器や胃ろうを造設すると医師は機械を外すことができません。人工呼吸器をつけて呼吸することや胃ろうや鼻注入で食事をすることなどを延命医療と言います。

 

 

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リビング・ウイルはどう見られているか

最近はインフォームドコンセントが広く浸透したことで患者が医師の納得のいく説明をし、理解し、同意したうえでの治療を行うことがなされるようになってきました。患者がセカンドオピニオンに行くケースも増えています。

そのため、尊厳死を望む人が多くなってきています。厚生労働省が平成25年3月に行った「人生の最終段階における意識調査結果」では、人生の最終段階における医療について家族と話しあったことがあるものは42,2%で、話し合ったことがないものは55,9%です。「意思表示の書面をあらかじめ作成しておくことの賛否」では賛成が69,7%で反対が2,3%でした。しかし、すでに作成している人は3,2%とかなり少ない数字結果でした。

「人生の最終段階の状況において希望する治療方針」は末期がんの場合は、中心静脈栄養が18,8%、経鼻栄養が12,7%、胃ろうが7,9%、人工呼吸器11,1%、心肺蘇生処置16,2%で、延命治療に関しては望まない人がほとんどです。一方、肺炎にかかった時の抗生剤服用や点滴は57,8%、口から水が飲めなくなった場合の点滴は61,1%と治療を望む人が多いという結果でした。認知症の場合でも中心静脈栄養、経鼻栄養、胃ろう、人工呼吸器、心肺蘇生装置の延命治療を望む人は10%前後です。

日本では厚生労働省が平成19年5月に「終末期医療の決定プロセス関するガイドライン」を取りまとめています。ガイドラインでは、終末期医療で患者が意思を表明できる場合は、患者と医療従事者が十分な話し合いがなされ、患者が意思決定を行い、その内容を文書にまとめておくこと。説明は病状の変化や医学的評価の変更においてその都度行うとしています。

患者が意思決定ができない場合は、家族が患者の意思を推定できる場合には、その推定意思を尊重し、患者にとって最善の治療方針をとることを基本としています。

日本の尊厳死についての考え方は、1998年宗教的な理由から輸血を拒んだが、がん患者の意思に反して輸血を行ったという事案に対して、東京高裁は個人のライフスタイルは自らが決定できる自己決定権にあるとして尊厳死の自由を認める判決を下しています。

日本では、まだ尊厳死についての法律はありませんが、台湾や韓国で公布されていますので日本でも近々法律が施行されるかもしれません。

台湾で「患者自主権法」が成立

2016年1月に「患者自主権法」という尊厳死法が交付されました。台湾では2000年に「ホスピス緩和医療法」が設立され、政府の定めた事前指示書があれば、終末期の患者に尊厳死を認められました。

今回の「患者自主権法」は、末期患者だけでなく、重度の認知症や植物状態の難病の人にまで広げたことです。延命措置を差し控えることとして、「終末期」「回復不能な昏睡状態」「持続的植物状態」「きわめて重度な認知症」「その他」の5種類になりました。

尊厳死が認められる手続き

1、医療ケアの事前協議(ACP)で患者、家族、医療従事者等が集まり、患者がこん睡状態に陥いった時に患者が昏睡状態又は意思表示ができない状態になった時に延命措置を受け入れるのかを話し合います。
2、協議で患者の決定を事前医療決定(AD)として2人の立ち合いの元に作成されます。医療者はないように相違がないことを捺印して証明します。事前医療決定の電子データがその人の健康保険証(IC)に入力、登録されてすべての手続きが完了します。

韓国で「ホスピス延命治療法」を公布

韓国で公布された「ホスピス延命治療法」とは、事前延命医療意向書と言われるリビングウイルの作成、登録の方法を定めたものです。19歳以上の者が延命医療の中止や差し控えとホスピス緩和医療の意思を表明することができます。

リビングウイルは、保健福祉省が指定する登録機関が受けつけて登録、保管されます。延命医療の対象は、心肺蘇生術、血液透析、抗がん剤投与、人工呼吸器の装着に限られています。疼痛緩和医療と人工的栄養、酸素供給は中止してはならないとしています。韓国で「ホスピス延命治療法」が完全施行されるのは2年後の2018年からになります。

 

 

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リビング・ウイルをするためには

リビングウイルをするためには、日本尊厳死協会の電話かファックス、又は資料請求フォームから住所、氏名を明記してパンフレットを請求します。すると、パンフレットが送られてくるので、それを読んで納得したうえで、リビングウイルを作成します。入会登録すると作成したリビングウイルを日本尊厳死協会で保管することになります。

入会登録すると、協会からリビングウイルのコピー2部と会員証が送られてくるので、会員証は免許証や保険証などと共に財布などに入れておきます。リビングウイルのコピーは家族か親しい友人に渡しておき、延命治療をしなくてはいけなくなった時のために持っておいてもらいます。

もし、リビングウイルを受け入れてもらえない医療機関だったら、受け容れてもらえる医師を協会から紹介してもらえます。医療相談の窓口もあるので、困ったことやどうしたらいいかわからないときは電話することができます。

日本尊厳死協会のリビングウイルの用紙

 

用紙

 

 

出典:日本尊厳死協会ホームページより

日本尊厳死協会で使われているリビングウイルの用紙は上のようになっていて、延命医療を受け入れるか否か、緩和ケアを受け入れるか否か、持続的植物状態になった時に生命維持装置を外すか否かをチェックします。チェックしたところは「してください」と意思表明しているものです。そして、自分の氏名、住所、指示書に署名したことを確認した人、意思を確認している人の氏名、連絡先をかくようになっています。

協会以外に自治体でリビングウイルを行っている所があります。

長野県須坂市のリビングウイルについて

長野県須坂市では「ハッピーエンド計画~もしもの時に笑顔でいられるために」の冊子を須坂市健康福祉部健康づくり課地域医療福祉ネットワーク推進室から出しています。

この冊子にはこのように書かれています。

「医療側から栄養補給を含む延命治療を続けるかどうかを聞かれた家族はたいへん迷います。家族自身が無意味な延命治療は絶対嫌だと思っていても、中止によりあなたの命を締めることになる決断を下すのはなかなかできないのが現状です。ですから、生前の意思表明は家族の迷いを救うことにもなるのです」

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出典:終末期医療・ケアについての生前の意思表明

上の意思表明の携帯カードをいつも携帯するようにすすめています。

最近では、終活ブームでエンディングノートにも終末期医療について記すページがあります。ノートによって違いがありますが、誰かが判断をしなくてはいけない場合には誰が意見を尊重するのか、余命の告知はしてほしいか、回復の見込みがなく死期が迫った場合は延命措置をするのか臓器提供や検体についてはどうかなどの項目を記入するようになっています。

 

リビング・ウイルの注意点

リビングウイルは法的効力がないので、確実にその通りにしてもらえるとは限りません。確実にしてほしいと思う場合は、公証役場で二人の人に立ち会ってもらってリビングウイルを作成しなくてはなりません。その作成に家族が立ち会えば、家族の同意も得られます。

リビングウイルのコピーを家族や預けた人が失くしてしまう場合があります。失くさないように保管しておくことが大切です。日本尊厳死協会に登録して1通の原本を預かってもらうと失くした時に助かります。

生前に家族とよく話し合っておく必要があります。本人は延命医療をしてほしくないと思っていても家族は少しでも延命してほしいと願うかもしれません。双方が理解しあい納得しておく必要があります。

 

 

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まとめ

もし、家族が急に倒れてすぐに延命装置を付けなければ亡くなると宣言された時、どうしたらいいでしょうか。そんな時に助かるものがリビングウイルです。

それを書いておくことは尊厳死を認めてもらえる終活の1つだと言えるでしょう。

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