ユニバーサルデザインは高齢者にも社会も優しい!7つの原則とは?

UniversalDesignForTouch

ユニバーサルデザインが高齢者や社会に優しいというのをご存知でしょうか?その前にユニバーサルデザインと言う言葉にあまり馴染みがない人も当然いると思います。ユニバーサルデザインを知らなくてもバリアフリーなら聞いた事がある人もいると思います。どちらも高齢者や障害者にはとても関わり深い言葉かもしれません。しかし、両者には福祉社会への視点や考え方に大きな違いがあります。今回はユニバーサルデザインについてご紹介させていただきます。

 

ユニバーサルデザインとは

すべての人が利用しやすいように製品やサービスや環境をデザインする考え方というのをユニバーサルデザインと言いますが、ユニバーサルデザインは高齢者の生活にもとても必要なことであり優しい社会づくりに大きく役立っています。見た目だけのデザインではなく、構造なども含むトータルコーディネートが大事だといわれています。
また、バリアフリーとは違い、ユニバーサルデザインは「可能な限りはじめからバリア(障壁)のないデザインにしよう」と言う考え方な為、高齢者や障害者を特別視して造るのではなく、すべての人が使えるように考えているのがユニバーサルデザインなのです。

 

 

suro-pu

 

 

ユニバーサルデザインの歴史

日本で初めてユニバーサルデザインという言葉が使われたのは今から20年以上前の1996年のことであり、歴史はそれほど古くはありません。それまでの日本は「バリア(障壁)を除去する」という意味のバリアフリーに着目して、福祉社会を造っていました。
1990年にアメリカで「障害を持つアメリカ人法(ADA法)」が成立されたのを受けて、アメリカ人建築学教授のロナルド・メイスにより、バリアフリーから発展というコンセプトにて、ユニバーサルデザインが出来たのです。1990年以前にも、ノーマライゼーションという「障害者の生活や権利を保証すべき」と考えられ提唱されていたり、戦後、障害を持つ人が急増したことにより1960年代より障害者が生活しやすい社会を作るための法律が次々へと出来ていきました。

日本においてはユニバーサルデザインの概念が広まったのは1980年代のことで、以前より「障害者と健常者両方に配慮するバリアフリー」という概念は生まれ、1980年代から1990年代にかけてユニバーサルデザインの概念が生まれたのです。その後、国による法令や施策も次々と作られ現在では社会にユニバーサルデザインが普及しつつあるのです。日本ではユニバーサルデザインが考慮されたものを1991年の「E&Cプロジェクト」により、「共用品・共用サービス」と呼ばれています。

社会にユニバーサルデザインが普及してきた近年の日本ですが、未だ歴史が浅く世間に浸透しきれていなかったり、完全に普及していたりするわけではなく、今後普及を心掛ける必要があるといえるのです。

 

ユニバーサルデザインの決まり

ユニバーサルデザインには7つの原則があります。ロナルド・メイスをふくむユニバーサルデザインの主宰者たちがユニバーサルデザインにおける7つの決まりごととして定めています。

① 公平な利用

ユニバーサルデザインが運用される前は、障害者や高齢者にとっては生活しづらい世の中でした。バリアフリーになっていたとしても実際は「不公平」になっている事が多くありました。入口まで遠回りになるようにスロープが出来ていた場合、やはり健常者や若者との差別化が強いられてきていました。

② 利用における柔軟性

かつてのバリアフリーだと暗黙のルールで一定の利用しか出来ないことがありました。その考えを改め、色々な利用方法を用いることで「今はこれで行こう」と利用方法を自分で選択できるようになりました。

③ 単純で直感的な利用

言語や知識などが要らないで利用することを目的としたのが「単純で直感的な利用」です。単純に利用するだけではなく利用から結果までが大事であり、言語に障壁があったとしても利用から結果までが一目瞭然なのがこの単純で直感的な利用となるのです。

④ 認知できる情報

現在、各国に様々な国籍・人種の人たちがいます。彼らはすべての人が言語を理解しているわけではありませんし、小学生に難しい漢字での生活を強いるのは難しいことです。「郷に入っては郷に従え」という古いことわざがありますが、ユニバーサルデザインではこの考えを捨てています。すべての人が利用できるように作られているのが「認知できる情報」なのです。

⑤ 失敗における寛大さ

まちがえてしまった場合に元に戻れる状態をつくったり、あらかじめ失敗がおきにくいようにすることで、失敗を最小限にすることが「失敗における寛大さ」なのです。失敗を前提としたことで失敗への恐怖を取り除き、気軽に始められることが大事となっています。

⑥ 少ない身体的な能力

バリアフリーという社会が出来てきてから、身体的な能力を使うことが少なくなってきました。身体的な能力を軽減させることにより、すべての人が難なく使えることが必要となり「少ない身体的な能力」は重要とされています。

⑦ 接近や利用のためのサイズと空間

様々な身体的特徴を持つ人が操作しやすい環境をつくりだすのが「利用しやすい」サイズと空間になるのです。車椅子やシルバーカーを使用している人だけではありません。内臓器官に問題があったり歩けるけど捕まるところが無いと立てないなど、誰もが利用しやすい環境を整えることで「接近や利用のためのサイズと空間」は必要とされています。

 

ユニバーサルデザインの事例

事例 1

① 「公平な利用」は主に自動ドアが上げられ旧式タイプのドアだと、押し戸や引き戸などで片手だけでは操作しづらいものがありました。車椅子やシルバーカーを使用している人には入るのに困難なことがあり、その施設は避けて生活している事がありました。それを完全に自動ドアにすることによって、誰もが利用する事が可能となるのです。

事例 2

② 「利用における柔軟性」は街中の昇降方法が主に上げられます。駅を利用すると、階段、エスカレーター、エレベーターがあるのをよく見かけます。その時の身体状況や時間などで階段でもエスカレーターでもエレベーターでも好きな移動方法を選択することが出来るのです。

事例 3

③ 「単純で直感的な利用」とは例であげるとエレベーターのボタンです。エレベーター前で待つ時に上下行きたい方向へ矢印ボタンを押しエレベーターでは行きたい階のボタンを押すと思います。これは誰もが直感的に行っていることであり、説明がなくても「3階に行きたいから3を押した」となり、行きたいところへと行けるようになるのです。

事例 4

④ 「認知できる情報」とは、街中で見かける道路標識や案内板を想像してみてください。日本語だけではなく必ず英語が書かれていますよね。ひらがなで書いてあることで子供や漢字が分からない人たちに伝わるようになり、英語や韓国語で書いてあることによって海外の人たちが分かるようになります。不安なく認知出来る情報を取り入れることで、誰もが認知出来るようになるのです。

事例 5

⑤ 「失敗における寛大さ」とは「取り消しボタン」や「修正液」です。予め失敗することを想定としてつくられたものであり、失敗した際にこれらを用いれば取り消すことが出来ます。失敗をおそれて何も利用出来なくなるのではなく、失敗したときに必要とされるものがあればチャレンジすることが出来るのです。

事例 6

⑥ 「少ない身体的な能力」とは、ICカードなどです。現在、ICカードは様々な場面で使用することが出来ます。交通系ICカードを持ちカード内に一度入金してしまえば入金した分は電車に乗れたり買い物が出来たりします。現在ではオートチャージ機能を使えば自動的にチャージをしてくれるため、身体的な能力を軽減してあらゆる場面で気軽に利用することが可能となるのです。

事例 7

⑦ 「接近や利用のためのサイズと空間」とは主に車椅子トイレが例にあげられます。近年「だれでもトイレ」と名称を変えている施設もあります。入口が自動ドアになっていたり、トイレ内が広くなっていたりと車椅子やシルバーカーを使う人たちに使いやすい設備が整い「だれでもトイレ」と掲げることで、て誰もが使用できるようになります。

 

 

businessman_jishin

 

 

注意点

ユニバーサルデザインとは高齢者や障害者を擁護するための社会づくりではなく、高齢者も障害者も誰もが使えるようにするためにつくられた法律であることは覚えていなければなりません。「障害者だけずるい」と思ってしまっては本末転倒であり、バリアフリー時代と同じように「差別化」となってしまいます。ユニバーサルデザインは「だれもが利用できる生活環境」なので、だれでもトイレを使用することや優先席に座ることは決していけないわけではないのです。

また、ユニバーサルデザインが発展し今後進み続けたとしても、人とのふれあいも重要となってきます。「自動ドアだから手伝わなくていいや」とか「スロープついてるからいいでしょ」とは思わないで下さい。
車椅子やシルバーカーにはちょっとした段差で上がれないことがたくさんあります。せっかく「ユニバーサルデザイン」という考えが発展してきているのだから、それに甘えないで欲しいと思います。
「郷に入っては郷に従え」とことわざを例に出させて頂いていますが、これは過去の郷であり現在の福祉社会の考え方である「ユニバーサルデザイン」へ郷に入っては郷に従えであって欲しいと思います。

どんなに設備が整っていても最後はひとのあたたかさで福祉社会は成り立つと思います。見知らぬフリをするのではなく、温かい気持ちで接することが重要だと思います。

 

 

kids

 

 

まとめ

今回はユニバーサルデザインについてご紹介させていただきました。この記事では高齢者ではなく障害者を例に出していますが、これは全て高齢者に結びつくことです。車椅子を使うとか言語がわからないということは高齢者にはよくあることです。

障害者のためのユニバーサルデザインと言われていることが多いですが、高齢者にもとても大切な概念なのだとご理解いただけたらと思います。

qna