福祉の意味を現役介護職員が考えて見る

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日本国憲法にあるように国民一人一人が尊重されるべきであるとあるように、日本は、戦後急速に社会福祉が整い、福祉について考える機会が増えてきました。社会保障が充実してきている一方、少子高齢化に対する社会福祉の充実が課題になっています。

福祉の意味や福祉と介護の関わり、今後の福祉の動向について紹介します。

 

福祉の意味とは

福祉とは「幸せ」とか「豊かさ」を意味する言葉とあります。社会福祉には、すべての者が生活していく上で最低限の幸せと豊かな生活を営む、つまり、人として人間らしい最低限の生活を営むという社会福祉の意味とつながっています。
社会福祉の語源となっているものは英語ではwellfareで、wellプラスfareです。福祉や社会福祉に対する理念は、日本国憲法において次のように書かれています。

日本国憲法13条

すべての国民は個人として尊重される。生命、自由、および幸福追求に対する国民の権利については公共の福祉に反しない限り、立法、その他の国政の上で最大の尊重を必要とする

日本国憲法25条

①すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する
②国は、すべての生活部門について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない

日本の社会福祉は、聖徳太子の時代にさかのぼり、593年に大阪の四天王寺に「四箇院」という救済施設を立てています。その後、行基による仏教思想での救済、光明皇后などの朝廷による救済施設の建立、1722年徳川吉宗による小石川養成所、1790年には老中松平定信による無宿人を収容した人足寄せ場、無宿養成所、非人小屋が設立されています。
明治時代になると、資本主義社会になり貧困層が現れるようになりました。そのため、恤救規則を制定し、これが公的扶助の原型となっています。実際に社会福祉の施策がとられたのは、1946年の救護法で、これが現在の生活保護法の元になっています。そして、1947年に身体障害者福祉法が設立され、1950年には生活保護法が全面改正されています。

その後、福祉六法とされる「精神薄弱者福祉法」「老人福祉法」「母子福祉法」の三法が相次いで制定されており、現在の社会福祉制度が出来上がりました。戦後は国民の福祉が法律によって守られ、幸せと豊かさが日本の社会において充実してきています。

 

 

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福祉の意味は一つではない

福祉の意味は「幸せ」と「豊かさ」の意味を持っています。「幸せ」というのは、その人が生活をしていて幸せを感じるという概念のことで、「豊かさ」とは幸せになるという目的を達成するための1つの手段となっています。
「豊かさ」の追求のために、昔から貧困を救済するために様々な施策がとられてきています。福祉の持つもう一つの豊かさとは、「貧困、母子、障害者、老人などの社会的に弱い人々や恵まれない人々に対して援助する」と言う意味合いがあります。
新しい福祉の概念としてQOL(クオリティ・オブ・ライフ)生活の質を求めるという考え方が1970年代よりよく言われるようになってきました。個人だけでなく社会全体として生活の質を高めるという考え方です。

もう一つはノーマライゼーションという考え方で、障害のある人や社会的弱者を受け止めて地域で共に生活するという考え方です。そのように福祉の意味は一つではなく、いろいろな意味を持っています。

 

 

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福祉と介護

社会や個人としての福祉は必要性が伴います。経済、健康、教育、雇用、家族など様々な問題に対して必要性が問われます。その必要性を満たすことによって、福祉は充実したものとなります。
例えば、社会福祉として制度化されている社会保障には、生活保護制度として人は最低限の生活を送る権利を保障されています。教育に対しては、小中学校の義務化がされていて福祉の最低限の必要性が保証されています。雇用には社会的手当てや最低限の賃金などの所得補償がなされています。
健康に関する福祉には、医療や保健、リハビリテーションなどの分野が関わりますが高齢者や障害者の福祉を図る上に置いて介護の分野は大切になってきます。介護をしている人は慢性疾患や障害に対して生活の視点から援助を行います。特に専門職としての介護職は福祉に携わるために必要な存在となってきます。
では、福祉を充実するために専門職としての介護職はどのようにかかわってくるのでしょうか。

1、利用者の主体性援助の介護

介護職は、利用者が自分の意思や判断に基づいてより満足のいく生活ができるように援助します。つまり、生活上の問題を社会的資源や制度を利用して主体的に取り組むことを支援することです。

2、利用者の自発的な行動援助の介護

介護職は、生活の様々な問題を解決するために、利用者の自分で行おうとする自発的な能力を最大限生かして、自ら活用できるようにその行動を援助します。
例えば、長時間立つことができないため、食事を作れないけれど後片づけは本人ができる場合、介護職は食事つくりの援助をすると、後片付けは本人がすることができます。また、掃除機は重くてできないから介護職が援助しますが、クイックルワイパーや簡単な拭き掃除は本人がします。
そのように介護職は利用者が出来ないことを援助することによって、今までの生活を維持し、その人らしい生活が出来るように支援していきます。

3、利用者の社会的なニーズを支援する介護

利用者がより主体的に生活上のニーズを解決する場合に、本人の社会性が求められてきます。支援する側は、利用者の福祉の充足がどのように社会関係の中ではかられているかを認識し援助する必要があります。
例えば、病院に行く必要がある場合、介護保険を利用して訪問介護員に病院への道中を援助してもらい、病院内は自費で助けてもらうなどをしてもらうことによって病院に行くという必要を満たすことができます。
また、元気だったときに社会参加が好きだった人にはデイサービスやデイケアを利用し、人と交わることによって社会参加を促し、ADLの低下を防ぎQOLを維持していく援助をします。
最近では、介護保険と自費での介護の両方を使い、より本人の充足した福祉を図れるような混合介護をする事業所が増えてきています。

 

 

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福祉のこれから

厚生労働省は2007年10月に「地域社会での支援を求めている者に住民が気付き、住民相互で支援活動を行う等の地域住民のつながりを再構築し、支えあう体制を実現するための方策」について援護局を設置し検討を始めており、議論を重ねています。
最近の福祉施策は、個人の尊厳を尊重し、QOLを高め、要介護になってもできる限り社会の中でその人らしい暮らしが出来るような基盤づくりがなされています。地域内で高齢者や障害者が自立出来るように支援していくことや在宅での生活を確保していけるような方向として地域全体でみる介護に変化してきました。
これは、高齢者福祉だけでなく、障害者福祉においても病院や施設から地域への移行が進められています。高齢化し、長寿になってきた日本の中で、高齢者も社会資源としてボランティアや社会活動としての参加をする人が増えてきています。

地震での助け合いや防災の意識も高まり、地域社会を支えるために公的な福祉サービスだけでなく、自立した個人が主体的に地域に関わって、地域を支えあっていく共助の領域を広げていくことが大切です。
社会資源として、ボランティアやNPOなどが積極的に関われるように地域福祉計画策定に参画するなどの住民参加を進めています。そのように様々な主体が関わり、地域での相互共助の社会が構築されつつあります。

 

 

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まとめ

福祉とは幸せや豊かさを示す言葉で個人の尊厳を尊重し、その人らしい生き方が出来るように個人または社会全体として福祉を求めていくことが必要です。

これからの福祉は、地域全体で共に支えあう相互共助の地域福祉としての方向に進んでいます。

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