認知症ケアはどうやる?注意点は?

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高齢化が進むにつれ、認知症を患う人の数は年々増加しています。在宅や病院、介護施設などにおいても認知症に対する対応が課題となっています。
認知症ではコミュニケーションがとりにくくなるので医学的な治療や効果を期待しても解決しない問題が多くあります。
支援者が日々の関りの中で認知症のケア技術を知り、実践できることこそが認知症を患う人の安定した暮らしを支えることになるでしょう。

 

認知症ケアとは

認知症ケアの基本的な考え方は、認知症になって介護が必要になっても「その人らしさ」を大切に周囲が考えるということです。
一言で「その人らしさ」と言ってもその概念は難しいことなのですが、これまで認知症ケアを手探りで行ってきた時代を経て現在の介護では特に重要視される部分です。
まだ、認知症があまり知られていない時代、その症状は単に「問題行動」と捉えられ、いかに治療し問題となる言動を改善することが重要視されてきました。
しかし、認知症は時間とともに進行していく病気であり対応を誤ると悪化してしまうのです。認知症による問題行動を抑えようという考えでは何事も解決しないのです。そして結果として介護に希望が持てない状態に陥ってしまいます。
この過去の経験から現在の認知症の介護では、認知症に症状に合ったケアを行い認知症を抱えながらもその人らしく暮らす支援行うという考え方に変化しています。

 

 

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認知症ケアの種類

認知症の人を「その人らしさ」を保つための認知症ケアの種類について紹介していきます。

【認知症ケアの種類】

①日常生活を見守るケア

認知症の人のケアでは支援者間での連携が重要です。連携において最も必要なことは「情報」です。認知症の人の日常生活のありのままを先ずはよく把握しましょう。その中でささいな変化に気が付くことが重要です。
認知症の周辺症状です徘徊や妄想などの言動が現れる時間や原因、環境も見守りをしていくことでわかってくる場合があり、どうしてそのような言動が起きるのかの原因も見えてくるかもしれません。

②実際に関わるケア

認知症の人が何をしたいのか、今どう在りたいのかを理解して支援します。そのためには認知症の人の感情を推し量るように努めなければいけません。
実際に関わる方法は、言葉のやり取りの他に表情やボディタッチなどの直接的に行う関りと感情に働きかける関りがあります。

③興味・関心に働きかけるケア

認知症の人の今できる能力を把握し、何ができるのかを探りましょう。そのためには実際の関りのケアや時には気分転換にお付き合いしながら、情報を収集するように心がけます。
興味・関心がある事柄は認知症の人にとって役割を獲得するという効果もあります。
お茶を入れる、洗濯物を畳むなどのこれまで日常的に行ってきた事柄ができる、少し支援すればできるという場合は、支援者がフォローしてうまくできるようにしましょう。
成功体験は自信につながり、あきらめの気持ちを抱かないことは無気力や引きこもり防止になり得ます。

④気分転換のケア

認知症の人はないか一つのことに拘る、執着してしまうことが多くそのような時、支援者は感情を他に向ける努力をしましょう。
例えば帰宅願望から「家に帰りたい」と落ち着くことができず絶えず訴える、歩いているなどしている人にはお昼ごはんの話題やレクリエーション活動などで気分を切り換える働きかけをしましょう。
不安や不穏が周囲の人にとっての大変さが重要なのではなく、認知症の人自身が一番辛い感情であるということを受け止め、その感情から解放して差し上げる支援をしましょう。
気分転換のケアと同様に、人間の感じる五感に働きかけるケアも効果的です。
五感に働きかけるケアとしてはハンドマッサージやフットケア(足浴)、散歩で花を観賞する、風を感じる、茶碗洗いをするなどがあります。

⑤チームケア

認知症ケアは心身の負担が大きく、支援者1人ではできません。
支援者自身が自己の限界を知り一人で抱え込まない様にしましょう。認知症の人の安定した生活は主介助者、支援者の心身が安定していてこそ実現するのです。
「できる」「できない」の仕分けをし、一緒に働くチームメンバーや関わってくれる人との協力や介護分担が必要となります。

具体的な関りについてみていきましょう。

■きちんとした呼び名、名前を呼ぶ

認知症を患っていても、人は感情や自尊心・プライドは保たれます。認知症の人は呼んでもどうせわからないと勝手に判断して、名前も呼ばず、声かけもせずにいきなり体を触れて介助を行ったり、目の前に食事を置いたりしないようにしましょう。
特に排泄介助などでは自尊心をひどく傷つけることがあるので注意しましょう。
まずは「○○さん」と呼び、何を行うかを説明しましょう。名前をきちんと呼ぶということは相手に対して敬意をもって接するということです。その気持ちは認知症があっても相手に伝わります。

■戸惑いや疑問・質問にきちんと対処する

認知症の人が戸惑っている、疑問をもっている、質問してくるなどの時は、内容が理解できなくても開かれた言葉や質問から会話を広げるように努めましょう。
傾聴し関りをもち、丁寧に対処する姿勢をもつのです。回答は一言二言で一方的に支援者が答えるのではなく、話の広がりから認知症の人自身が主体的に話しできる形で接しましょう。
自分を否定しない相手と多く言葉を交わし、会話のやり取りができることは認知症の人にとって安心感と自信を持つことができるきっかけになります。

■共感する

例えば「家に帰りたい」「子供がどこに行ったか心配」などの不安を抱いている帰宅願望の強い認知症の人に対して、「家に帰っても誰もいません」「もう子供はいませんよ」などの返答をしても意味がありません。事実と異なることを思って心配し、戸惑っているのですからそれがどんな気持ちであるのか推し量り「心配ですね」など不安な気持ちや感情に共感するような言葉かけを行うことが大切です。
認知症の人にとってよき理解者がいるということは、心強いことであり不穏な状態を脱する可能性もはらんでいます。

 

 

高齢者歯磨きイラスト

 

 

 

認知症ケアのポイント

本人にまずはよく関わる

認知症ケアではよく「ありのままを受け止める」といわれますが、介護者に認知症に関する知識がいくらあっても実際に関わらなければ何も受け止めることはできません。
相手の気持ち・感情を察する関りを通じて初めて「ありのままを受け止めらえる」と考えます。

家族(介護者)の心身の健康を保つ

認知症の人は、日常性生活に何らかの支援を要するので、介護者の介護負担は大きくストレスを感じる家族も少なくありません。
家族は他人には理解できない家族歴や葛藤を抱えています。家族の支えが必要な認知症の人の安定した暮らしのためには、まずは家族の心身が健康であることがおおきなポイントとなります。

 

認知症ケアの注意点

認知症ケアについて、注意点を見ていきましょう。

尊厳を守る(身体拘束・虐待・自己決定権)

認知症を患っている人に接するときその人の尊厳を守ることを意識しましょう。
近年特に、身体拘束禁止における管理や技術についての取り組みが定着してきました。
「安全のため」の大義名分のもと安易に体のずり落ち防止の「安全ベルト」を装着したり、胃ろうやチューブを抜いてしまうためミトンをはめたりしていることも身体拘束に当たらないような根拠と配慮が必要です。

また「虐待」では、暴言、暴力の他に介護拒否もそれにあたります。一生懸命介護をするあまり、介護者が精神的に追いつめられて虐待するケースや経済問題などから虐待が発生する可能性があります。介護サービスの利用や、周囲に相談できる相手を持つなどして介護負担の軽減を図り、認知症の正しい知識や介護のポイントの理解が大切です。

また「認知症の人は、どうせわからないから」と区別して考えて、認知症の人の行動を制限することがないように注意が必要です。
「ちょっと待っていて」「座っていて」「早く食べて」などの言葉による行動制限はスピーチロックと呼ばれ、行動を制限するという認知症の人の尊厳を敬わない行為に当たります。
たとえ認知症を患っていても、そうでない人と同じように生活していく権利=ノーマライゼーションの精神に立ち返り、人権侵害を生まないような行動しましょう。

 

 

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まとめ

認知症患者はこれからも増え続ける傾向にあり、私たちにとって身近な病気であります。大切な家族が認知症になったとき、心構えがあっても少なからず誰しもショックを受け戸惑ってしまうかもしれません。
しかし、一番不安を抱え戸惑いの気持ちから逃れられずに苦しんでいるのは認知症の人本人であることを知り、適切な関わりができるようにしましょう。

認知症ケアを実践できることは認知症の症状を緩やかにする効果が期待できるのです。

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