介護保険法改正を現役介護職員が考えて見る!

20170819

6年に一度、改定する介護保険制度改正。次期改定は平成30年といよいよ迫ってきました。
平成27年に臨時に行われた改正により、介護報酬の改正、高額所得者の自己負担2割の実施、特別養護老人ホームの長期入所対象者の変更などの想像以上に規模で改定がされました。この改定が少なからず影響してか2015年には、制度施行以来過去最多の76件の介護事業所が倒産しました。
介護事業の運営にとって最重要事項ともいえる介護報酬の次期改定についてみていきましょう。

 

介護保険法改正とは

介護保険制度は、6年ごとの制度見直し、3年ごとの給付単価である介護報酬の改定が定められました。このサイクルは、2012年度まで続きました
2015年度は、それまで6年ごとの制度改正となっていたサイクルが変わった年です。201いわゆる2025年に団塊世代が全員65歳以上となる2025年問題を受け、「重度化しても住み慣れた地域で暮らし続けること」を目指した地域包括ケアシステムの構築に向け、医療と介護の一体的な改革が行われにわかに問題解決にむけての備えや打開策が具体していく帰来を感じさせるようになってきました。

 

2017年介護保険法改正

平成27年、介護保険法の改正案は以下のように閣議決定されました。

■自己負担3割負担

※引き上げは2018年8月に行う計画
合計所得金額で220万円以上、年収で340万円以上(年金のみなら344万円以上)の個人は自己負担を3割とする内容。
これに該当して負担が増えると推定される人数は約12万人で。介護保険受給者全体の3%程度と見込んでいます。

■2号被保険者介護保険料の総報酬制

※激変緩和の為2017年8月分から段階実施
介護保険制度における第2号被保険者(40~64歳)の保険料の額は、これまで各医療保険者における2号被保険者の加入割合に応じて決められていたが(加入者割)、被用者保険(サラリーマンが加入する健保組合や協会けんぽ)加入者については、報酬額に比例して決める仕組み(総報酬割)に改めることになります。
新たにボーナスも対象になる予定。高額のボーナスをもらう人や公務員は負担が大きくなることになりそうです。

財務・厚労省は高齢化に伴う社会保障費の自然増を、現在の6400億円から17年度に5000億円まで圧縮を目指していますので今後も大きな決断をしていくことになりそうです。

 

 

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2018年介護保険法改正

来る2025年には団塊の世代が75歳を超えて後期高齢者となり、国民の3人に1人が65歳以上になります。75歳以上の高齢者は5人に一人という、時代を迎えます。
医療、介護の社会保障に係る費用はどんどん膨らむことが見予想されます。そうした状況から、2018年(平成30年)介護報酬改定を予想しました。
平成30年の介護報酬改定の参考資料とされる平成28年度介護事業経営概況調査結果(案)は、平成28年12月28日に開催された社会保障審議会給付費分科会に提示されています。この資料は先に触れた平成27年度改定以降の介護事業所の収支比率(利益率)の現状を把握するには重要な資料です。この資料によると、マイナス改定であった平成27年度介護報酬改定によって介護サービス事業全体の収支差率は4%程度まで下がったとされています。しかし、通常規模以上の通所介護は依然としてかなり高い収支差率を維持しているなどしており、まだマイナス改定を行う余地が残されていると捉えると2018年改正も楽観視できません。
特に注目したいのは通所介護における機能や評価について大きな改正がありそうなので注視していく必要があります。以下の介護保険法改正の注意点で確認していきましょう。

 

 

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介護保険法改正の注意点

介護保険制度改正では、介護サービス事業の運営に直結するような内容の変更が少なくありません。次期改正のおける注意点をサービス事業ごとにまとめたので注意してみていきましょう。

~通所リハビリと通所介護について~

共通機能と特徴的な機能を明確化し、一体的・総合的な機能分担・評価体系とする
デイケアとデイサービスの提供内容の類似や、その役割分担を明確にしていこうという動きがあります。

■デイサービス

機能訓練を提供しないいわゆる、預かり主体のデイサービスの報酬を引き下げる可能性を財務省が強く主張しています。実際に介護報酬に反映されるかが今後の焦点となりますが、平成27年のマイナス改定以降も特に通常規模以上のデイサービスの収支差率が高かったことが予想されるため、大きな引下げとなる可能性があります。
2018年(平成30年)介護報酬改正ではデイサービスにおける個別機能訓練加算の算定がポイントとなりそうです。

■通著リハビリ

平成30年度以降、医療保険の回復期リハビリテーションが介護保険に移行されます。
そのことから、国の方針として先に述べたデイサービスでリハビリを行う流れを鑑み、デイサービスは短時間化に進みと1〜3時間の提供時間の中で一定数の利用者のリハビリテーションを行う為には、今まで以上にリハビリ専門職の配置促進がデイサービスに求められるかもしれません。このことから、通所リハビリや訪問リハビリはこれまで以上に病院と連携して退院患者にスムーズにリハビリテーションを実施できることが課題となりそうです。
介護報酬改定では、短時間のデイケアの報酬が優遇され、医療との連携加算などが充実すると可能性があります。
また、リハビリを行った成果を問うという意味で、前回の介護報酬改定で導入された社会参加支援加算や生活行為向上リハビリテーション実施加算等がポイントとなりそうです。

~各種サービス~

■居宅介護支援

・ケアマネの管理者の役割が明確化
・特定事業所集中減算廃止の方向
・居宅介護支援事業所のケアマネジャーが小規模多機能型居宅介護のケアプランを作成することを認める是非についての議論が深まる(小規模多機能居宅介護の普及を促進する狙い)

■定期巡回・随時対応型サービス

・前回改正に続き、オペレーターの配置要件が簡素化される方向

■小規模多機能型居宅介護

・登録者以外の者に対する訪問サービスの提供が可能になる方向
・小規模多機能型居宅介護の看護職員の配置の緩和が議論されている

■特別養護老人ホーム

・前回の改正で、特別養護老人ホームの利用は要介護3以上に限定された。さらに日常生活支援加算を算定する場合、新規入居の70%以上が要介護4以上であることが求められる。
・今後医療行為や看取りのニーズが急増すると考えられることから医師や看護師の配置促進や対応のための加算などの新設や増額が検討される。

■軽度者への生活援助サービス

・軽度者への生活援助サービスにおける人員基準の緩和を検討する。
・生活援助サービスに限って、現在求められている初任者研修修了者の資格要件を除外する方向。
(専業主婦、学生、高齢者などをアルバイトスタッフとして雇用して生活援助サービスを担当させることが検討される。その場合、現在の生活援助サービスを担当する可能性も有)

■介護ロボットやICT化

・介護ロボットやICTの導入促進に向けた加算の新設や人員基準の緩和が検討される

 

 

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まとめ

増え続ける社会保障費への抑制、介護担い手不足問題を解決するという2点については今後の介護保険改正の論点として外せない事項です。
次期改正でも介護サービス事業所にとっては度重なるマイナス改正となりそうです。

介護サービスを必要とする側、サービスを提供する側にとってバランスの良い改正になることを願いますが、ここ数年の流れや介護事業倒産件数をみると決して楽観できない状況が続いていると理解しなければなりません。
介護事業の安定的な運営、経営をするためにも介護保険制度改正については早くから注視し、可能な備えをすることが大切です。

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