スピーチロックってどんな行為?いいこと?

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「身体拘束」という言葉を医療や介護の分野で耳にすることがある人は多いでしょう。危険回避、安全確保、医療ケアを行う観点から必要と判断したときなど、身体拘束が行われることがあります。では「スピーチロック」とはどのようなことでしょうか。

「スピーチロック」とは言葉で身体的・精神的な行動を抑制することです。スピーチロックについて詳しくご紹介したいと思います。

 

スピーチロックとは

スピーチロックとは先に少し述べたように言葉による抑制です。
これは介護現場で何気なく使っている言葉や声がけであって、身体拘束をしているつもりが全くないものでもスピーチロックとして問題となることがあります。
スピーチロックが起こりやすい状況の一例としては介護施設の場合が挙げられます。介護施設では認知症の人が多く入所しています。
利用者さんに対して介護職の人数が最低限で介護をしている状態の施設が多いと中では介護職や施設全体が心身に余裕がなくなってしまい、「ちょっと待ってね」などの言葉によって利用者の言動を抑制することになり、スピーチロックが発生しやすい環境になります。

 

 

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スピーチロックの概念

スピーチロックは,拘束という視点で考えることができますが、「声かけ」という行為において発生するものであります。
単に「ちょっと、待って」という言葉で利用者に対応しないということと「少し、お待ちください、時計の長い針が5まで動いたらまた来ますね。」と伝えることでは全く意味合いが異なります。
相手に認知症があってもコミュニケーションをとる方法で声かけや言葉がけ出来ればスピーチロックには当たらないのではないでしょうか。

また、声かけや言葉かけは接遇の面も併せ持っているので、当然丁寧さや思いやりの気持ちで接することができればスピーチロックそのものが起きえないということになるでしょう。

 

スピーチロックの方法

スピーチロックには明確な線引きがないので、どこまでが声がけでどこからがスピーチロックになるかの判断が難しいです。
スピーチロックについて具体例をみながら声かけの方法を考えていきましょう。

方法例1

「ちょっと待っていてください」
利用者が何かしようと動き出すときや、介助者に声をかけてきたときに対して静止してしまう声かけ。
一人で立つ、歩くは危険なので相手のことを思ってする声かけでもスピーチロックになってしまいます。
方法としては・・・
「お茶を飲んでから行きましょうか」
「すぐに戻ってきますね、1分だけ待っていてください。」
など、何らかの対応や説明をすると良いでしょう。

方法例2

「そんなことしないでください」
認知症がある方などに対して、理解できない行動に対してしてしまいがちな声かけ。
認知症の人にとっては意味のある行動でも周囲には理解できないために「なぜそんなことを・・・」と思い声をかけてしまうのですが行動を制限してしまうことになります。
方法としては・・・
「どうしましたか」まずは尋ねる声かけをします。つじつまの合わない返答が返ってくるかもしれませんが、まずは第一に理由を聞く、知ろうとすることが大切です。

方法例3

「早く食べて」「早く脱いで」
食事を摂る、衣服を脱ぐなどの行為をせかすような声かけは、その人が自分のペースで行動することを制限するという意味でスピーチロックに当たります。

食事も入浴も介助する側の都合を優先に考えてしますと、このような声かけをしてしまうことになります。
方法としては・・・
これは介護者としての考え方を改めるべきです。

 

3つの具体例をみてきましたが、提示した方法はどれも高齢者介護、認知症の方の介護において基本的な考えを理解していればできることです。
高齢者や認知症を患っている方は孤独や戸惑いの最中にあるということを察して対応することを常に心がけるようにするとおのずと安心感を得ることができる声かけができるようになるでしょう。

 

スピーチロックの具体例

認知症がある人の場合はなぜ自分が施設に入所しているのか、何をしたらいいのかが分からない・施設職員が誰か分からないなど様々な不安の中で過ごしています。

この不安こそが徘徊などの行動に繋がっていくのですが、そのことを理解していなければただ動いて欲しくないという気持ちから「そこに座っていてください!」というように本人の行動を止めるような言葉がけをしてしまうのです。
先に述べましたが、スピーチロックの具体ある相手の言動をいやおうなしにとめるような言葉、「ちょっと待って」「早く食べなさい」などは相手の気持ちや推し量ることをしないために発せられる言葉です。
介護する側の都合のみで言葉が発せられると、本人は目的があって行動していたにも関わらず「どうして座っていなきゃいけないの」という思いになり、逆に徘徊などの行動がエスカレートしていくのです。

 

スピーチロックの注意点

行動をロックしてしまうことによる弊害→認知症状の悪化で言葉によって利用者の行動を抑制、制限する介護者の「言葉による拘束=スピーチロック」「動いたらダメ」、「早く食べて」「立ち上がらないで」や、「どうしてそんなことをするの」のように言葉も対象となります。いくら相手のことを思っていても、言葉が行動を止めてしまうことが問題となってしまうのです。
この様な声掛けは、利用者のBPSD(行動障害)を引き起こす原因となるため、注意が必要です。しかし、どのような言葉が、「言葉による拘束」に該当するかの判断基準や明確な定義はありません。
介護する人は、その場その場で相手に対して人としての尊厳を傷つけないか、人権侵害に当たらないかを判断し見極めながら、必要な言葉かけを行っていくことが大切です。
行動をロックしてしまうことによる弊害→ADLの低下また、スピーチロックは行うことで一時的に仕事が一つ減ったように見えるかもしれませんが、徐々に利用者の出来る事が出来なくなってしまう悪循環を生み、更には他の利用者にも精神的な不安定さが伝染するという危険性もあります。

スピーチロックを行うことは多くの弊害を伴います。

 

 

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まとめ

身体拘束に比べてなじみの薄いスピーチロックですが、普段さりげなく様々な場面で行ってしまっている可能性があります。
何気なく発した言葉で高齢者の行動を制限してしまうことで、高齢者は言葉を発すること、行動することをやめてしまうかもしれません。
スピーチロックが日常的に行われることで高齢者の意欲低下を招き、引きこもりや認知症の発症や悪化を招く可能性があり実は大いに危険な行為であるといえます。
子供教育や学校の現場での対応については世間の関心度も高く、その言動には皆が敏感になっています。高齢者でも同じことです。

老いても一人一人に人間として尊重して対応できる人間力が皆に必要とされています。

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