看取りについて具体的に教えて欲しい。施設では?居宅では?

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介護現場にいると看取りに遭遇することがあります。人間にとって死は避けられない現実です。介護者にとって、死に直面した場合、その人らしい最期を迎えるためにどのように看取るかは大切なことになります。今回は看取りについてご紹介したいと思います。

 

看取りとは

看取りとは病人の近くにいて死期まで看取り世話や看病をすることです。

しかし、最近では人生の最期における看取りを単に看取りとみなすことが多くなっています。このため看取りは終末ケアと関わりが深いものとなっています。
2000年の厚生労働省の調査では日本はフランス、スウェーデン、オランダなどの諸外国に比べて病院での看取り率が80%以上と非常に高い率です。スウェーデンでは42%、オランダは35,3%となっています。また、在宅での看取り率はスウェーデンでは20%、オランダでは31%、フランスでは24%に対して、日本は13,9%となっています。
国民の意識の中で、終末期の療養場所としては平成20年度の厚生労働省の調査では、「自宅で最後まで療養したい」と答えた人の割合は1割ほどで、23%は「自宅で療養して必要になれば医療機関に入院したい」という人で29,4%は「自宅で療養して必要になれば緩和ケア病棟に入院したい」という割合でした。

「最期まで自宅での療養は困難だと考えている」と答えた人は、国民が6%に対して医師や看護師、介護士は20%前後「自宅でも可能である」と答えています。

自宅では困難であると答えた人の80%近くは「介護してくれる家族に負担がかかる」と答えています。

 

 

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看取りの意味

在宅で看取るためには周りの人の覚悟が必要です。家族に負担がかかると答えている人が8割いるように在宅で看取るためには、誰かがついていないといけないし看護師や医師の入る時間帯は決まっています。訪問介護、訪問看護、訪問診療などと連携をとりながら入っていない時間は家族がすべて見なくてはなりません。

厚生労働省のガイドラインでは「医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされた上で、患者が医療従事者と話し合いを行い、患者本人による決定を基本として終末期医療を進めることが重要。」としています。
看取りについては本人と家族、医療従事者の3本柱で総合的に判断することが必要です。

本人の意思は「過去」「現在」「未来」の3つの時間軸からなっていて、現在の患者が発しているサインに耳を傾けて未来に得られるその人の最善の利益は何かを考えて意思決定の支援を行います。

緩和ケアとは

緩和ケアや終末期ケアは、亡くなられると予見される人に対して、患者本人の意向をまず尊重しながら、痛みや苦痛の緩和や精神的な不安感、辛さの軽減をし、充実した最期を迎えられるように介護し、援助していくことです。

エンド・オブ・ライフ・ケア(終末期ケア)

エンドは終わり、ライフは命、エンド・オブ・ライフケアとは、最期までその人らしく生きることを支援するケアです。身体的な辛い状態や精神的につらい状態、社会的にも自分が家族に迷惑をかけているという思いなど様々な辛い状況に関わることによってその状況を和らげるケアです。緩和ケアと本質は同じものです。

エンゼルケア

最近では病院で亡くなられる人が増えてきたため、病院では綿詰めや清拭などの処置や体の洗浄を行い、体の洗浄、化粧や着替えなどの湯灌は業者がするようになってきました。

エンゼルケアは、看護師が千問職として亡くなられる直後から、家族の精神的ケアも含めて出来る限りの援助を行うというケアです。

 

 

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看取りの具体例

最期の看取りは病院の場合、自宅の場合、施設の場合とその人の状況や場所によって違います。

1.特別養護老人ホームで看取った事例(滋賀県の特養での事例)

利用者は認知症があり、直腸がんを抱える89歳の男性です。家族とのカンファレンスで本人が施設に帰りたがっているので、家族もそれを希望していたことから施設での最期を迎えることになり、病院をっ退院して施設に戻りました。

胆管炎もあり、胆汁の管が抜けたり詰まったりするときの対処法などを嘱託医と連携し、看取り経験の支援員がチームを組んでケアすることになりました。

施設に戻ると笑顔が見られ、施設側では歌を歌ったり好きなオブジェを作ってベッドサイドに飾ったりしてチームケアをしていきました。体調がいい時は離床し、皆と顔を合わせると顔なじみの手を握ったりしました。

以前、通っていたデイサービスではスタッフの手を握りしめたりして楽しんでいました。しかし、痛みが増し、麻薬を増量していたが、退院から10日ほどで亡くなられました。

医療面で支える不安がありながらも様々な職種が連携をとりながら関わり、最期は施設で看取ることができました。暮らしの延長上での看取りは、チームケアだからこそできたのです。

2.在宅での看取り事例(岐阜県での看取り事例)

利用者は82歳の女性で、2型呼吸不全、気管支拡張症、否定型

抗酸菌症、認知症があります。胃瘻造

設しています。全身状態が悪化したため、担当者会議を実施し、相互の情報の共有と最期の時をどう迎えたらいいかという話し合いを持ちました。本人は在宅で最期を迎えることを希望していてるので、家族は最初は呼吸状態を見て不安に思ったが、本人の希望なので在宅で看取ることを決意します。次の日の未明に家族に看取られながら最期を迎えます。家族と共にエンゼルメイクを行うと、家族も最期まで看取った満足な顔が見られました。

グループホームでの看取り事例(認知症グループホームにおける看取りに関する研究より)

施設長や娘や息子と協議してグループホームでの看取り希望であること、緩和ケアはお願いするが、延命治療は望まない事、脳死状態、植物状態になった時の人工呼吸器等の生命維持は行わないという3点を決めました。
何かの理由のため、娘か息子が一人で決めなくてはいけないときも後からごたごた言わないように家族間で取り決めをしました。11月に脳こうそくや言語障害、身体麻痺がおこり、検査の結果、脳こうそくがあちこちに出ていました。施設から電話があり急変したとの連絡が入り、親族全員がそろうと30分後に皆に看取られながら最期を迎えました。

グループホームでの支援があったため、入居者本人は倒れる1日前まで不安のない生活ができていました。入居者本人とスタッフや家族とのコミュニケーションをうまく取れていて協力関係が築けていたので最期を看取ることが出来ました。

 

看取りの注意点

在宅か病院か施設かなど看取る場所によって課題や問題点が違ってきます。

在宅で看取るときの注意点

在宅で看取る場合、吸引などの医療処置を家族がしなければならないことがあるので覚悟が必要です。また、訪問診療や訪問看護、訪問介護が入っていても家族が看なければいけない時間が多いので、息抜きの時間がとりにくくなります。

介護が長期化すると、介護疲れが出てきて休息の時間が必要になります。容態変化に応じて、訪問を調整する必要があります。電話で容態変化を伝えても到着までに時間がかかり、医療関係者が亡くなられた時に立ち会えないこともあります。家族がある程度の介護力が必要です。

病院で看取るときの注意点

病院は医療体制が整っているので、何かあっても安心ですが、家族との時間がとりにくく、本人や家族が医療者に遠慮しなくてはいけません。最期の時に家族が看取ることができないことがあります。

施設で看取るときの注意点

施設での看取りは、病院と同じように家族との時間がとりにくく、スタッフに遠慮があります。一方、スタッフは慣れているので任せやすいとので、コミュニケーションをよくとって協力関係にある必要があります。最期の時に家族が看取ることができないことがあります。

 

 

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まとめ

誰しも死と向き合わなくてはなりません。家族の最期が近いと予想される時にどこで看取るかは本人や家族、医療関係者との話し合いで決められます。特に、本人や家族の意思が尊重されます。在宅で看取る場合、本人にとっては一番安心できる場所かもしれませんが、家族の負担は大きく医療的なことを家族が請け負わなくてはいけないということもあります。
そうなる前に看取りの時にどうするかは前もって家族で話をしておくことが必要でしょう

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