介護のトランスファーって何!?やり方は?事例は?

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介護業界ではよくトランスという言葉を耳にします。トランスとはトランスファーの略語です。では、介護現場で使われているトランスファーとは何でしょうか。

トランスファーの役割、種類についてわかりやすくご紹介したいと思います。

 

トランスファーとは

トランスファーとは一般には移行とか移転、転移という意味です。また、乗り物の乗り継ぎや乗り換えにも使われます。編入学や車の部品、認可施設から別の認可施設に移送する場合もトランス言う言葉が使われています。

移動の中には寝返り、歩行、起き上がり、立ち上がりなどがありますが、介護でトランスファーというと、車椅子からベッド、シャワーチェアから浴槽、車椅子から便座、またはその逆の移乗など自ら乗り移ったり、移動したりする移乗動作のことです。ですから、介護のトランスファーサービスというと、移乗介助のことです。よく「トランス終わりました」とか「トイレへトランスしました」とか言われるのは、移乗介助が終わった、トイレに移乗介助したということです。

最近は介護職員の腰痛防止や移乗事故をふせぐため、トランスファーの補助具として厚生労働省では介護ロボットの導入を進めています。例えば、利用者をトイレから車椅子に移乗しようとして腰部に痛みを感じたため受診すると、腰椎の捻挫だったとか入浴介助の時にシャワーチェアから車椅子に移乗しようとして腰痛を感じ、病院を受診すると急性腰痛症と診断されたなど、トランスファーの時に腰痛を起こす介護職員が多く、現場を離れる人も少なくありません。

介護ロボットの導入は介護職員の負担軽減につなげる施策の1つです。

 

 

トランスファーの役割

介護度が重くなると一人でトランスファーすることが難しくなってきます。介助者の助けによって、つまりトランスファーの介助をすることによって高齢者は寝たきり状態を減らし、ADLの向上や維持につながります。座って食事ができること、入浴できること、トイレで排泄できること、座って人と話すことは生活に意欲を持たせて、自立を促します。

寝たきりになると、関節が固まり、筋力が低下します。失禁や床ずれなどができて、全身の様々な機能が落ちてきます。その上、精神的にも意欲低下がおこり認知症になる原因となります。様々な機能が落ちるので悪循環となり、廃用症候群になり、ついには口から食べることもできなくなります。

トランスファーの役割りは、利用者が生活を意欲的に営み、心身の自立に向けて必要な助けをすることにあります。しかし、必要以上に手を出してしまうことは、結果的に利用者の自主性や自立を阻害し、残存機能も失うことに繋がります。トランスファーの介助では、生活の自立に向けて利用者がまひなどの障害の程度を見極め、個々の利用者に必要な手助けを判断して行動することが大切です。

 

 

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トランスファーの種類

トランスファー介助、つまり移乗介助には全介助、一部介助があります。介助する側は、利用者の残存機能にあわせて介助方法を変える必要があります。

全介助のトランスファー

両足が立たず、自分の意思では立位が取れない人は全介助でのトランスファー介助になります。全介助の場合でも腕の残存機能が残っている場合は、腕を肩に回してつかまってもらうとか腕が上がらない人は腰に手を回してもらうなど利用者の力を少しでも利用するとスムーズにトランスファーができます。

一部介助のトランスファー

片麻痺の人の場合、健側が使えるので、健側の手や足は利用者の力を利用してトランスファーすると、介護者の負担は減ります。利用者も残存機能を維持し、使うことによって筋力を保つことができます。利用者の自立を保ち、安全で利用者の苦痛がないように介助する必要があります。

 

トランスファーの事例

トランスファーの事例として、左麻痺の人のベッドから車椅子へのトランスファー介助と、ベッドからポータブルトイレへの全介助のトランスファー介助を紹介します。

左麻痺の人のベッドから車椅子へのトランスファー介助

1、利用者に車椅子に移乗することを声掛けすることで理解してもらいます。
2、右の健側に車椅子を30度~45度くらいの角度に置いてブレーキをかけます。
3、ベッドに端座位にして、利用者に浅く腰かけ、両足をしっかりと床につけるように安定させます。
利用者の両足は、肩幅程度に開いて、少し手前に引いていた方が立ち上がり易くなります。
4、利用者の右側の手は車椅子のベッドと反対側を握り、右側の足をアームレストの近くに置きます。
5、利用者が立ち上がるとき、介護者は麻痺側、または正面で左側の麻痺側を保護して立ち上がらせます。
6、左側の足を軸として回転させて車椅子にゆっくりと腰を下ろします。
7、介護者は車いすの後ろに回り、利用者の両脇から腕を入れて、利用者の両腕を握ります。上半身を前傾させ、体を引いて深く腰掛けてもらいます。
8、フットレストに両足をのせます。

軽度の難聴があり、ベッドからポータブルへの全介助のトランスファー介助

1、利用者の近くで大きめの声でポータブルに移乗することを声掛けし理解してもらいます。
2、ポータブルトイレをベッドの足元に置きます。
3、利用者にベッドで端座位にして、浅く腰掛けてもらいます。
4、全介助の場合、健側の手または両手を介護者の首、または腰に回してもらい介護者は正面から両手で腰を支えます。その場合、介助ベルトを着けるとトランスファー介助がしやすくなります。
5、健側の足を中心にして体を回転させてポータブルにトランスファーし、ゆっくり腰掛けます。
6、トイレとペーパーを手元に置き、プライバシーの保護に注意してバスタオルを足元に置きます。
7、排泄が終われば、陰部洗浄をして、排便の場合は、臀部も洗い拭いてからパンツとズボンをぎりぎりまで上げます。
8、身体を支えながら立位をとり、パンツとズボンを素早くあげます。
9、ポータブル移乗と同じようにベッドにトランスファーして、元のようにベッドに仰臥位になります。

 

 

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トランスファーの注意点

トランスファーするときは利用者の安全に注意を配らなくてはいけません。トランスファーの注意点は次にあげた点です。

利用者の骨折に注意

トランスファーしている時に、うっかり手が滑り利用者が転倒する

トランスファー介助をしている時は、介護者がバランスを崩してしまい、利用者を滑り落としてしまうという事故がまれにおきています。利用者は高齢なので骨が弱く、少しのことで骨折したりする可能性があります。骨折させた場合、介護者は仕事を続けられなくなるかもしれません。そのため、トランスファーは十分な注意が必要です。

車椅子にトランスファーして腰を下すときにどんとおろしてしまった

若い人はお尻の肉がついているため、どんと尻もちをついても骨折することがないですが、高齢者の場合、車椅子にどんとしりもちをつくと骨折する可能性があります。車椅子やポータブルトイレ、トイレで座るときはゆっくりおろしてあげましょう。

トランスファー介助をするときに介助者が腰を痛める

利用者をトランスファーするときは、中腰姿勢や前屈みの姿勢をとる場合腰を痛めることがあります。持ち手つきベルトやリフトを用いると腰を痛めることが少なくなります。利用者の体重が重い人の介助の場合は特に二人介助やリフトトランスファーが必要でしょう。介護者は腰を痛めない介護技術を身に着ける必要があります。

トランスファーするときは声掛けをする

利用者は突然体を動かされると、身構えてしまい、体に変な力が入ってしまいます。ですから、利用者の残存機能を生かして、スムーズな介助をするためにはトランスファーを行う前に必ず声掛けをしましょう。そのことによって、利用者との信頼関係の構築もできます。利用者をどこかに連れていくときも利用者を連れていきたいという気持ちを言葉で示すと利用者の信頼は高まります。

 

 

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まとめ

介護のトランスファー介助とは移乗介助のことです。高齢者をトランスファーすることは寝たきりを防ぎ、ADLの向上、維持をし、生活の自立を促します。しかし、トランスファーでは、利用者の滑り落ち事故や介護者の腰痛問題などが発生しています。

 

正しいトランスファー技術の習得とリフトやベルトの使用をして利用者と自分の身を守りましょう。

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