認知症の介護はどうやったらいいのか?種類は?注意点は?

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認知症の人の介護の経験がない方は最初様々なことに戸惑います。物忘れから始まる認知症の症状は千差万別で、本人の成育歴、性格、環境などがミックスされ、一人として同じ症状の人はいません。それが認知症介護を難しくさせています。

しかし、認知症という病気を正しく理解すれば、介護の負担を軽減することができるようになります。今回は認知症の介護についてご紹介します。

 

認知症とは

「認知症」は昔は痴呆症といわれてました。痴呆は医学用語としてまだ残っており、認知症と痴呆症は同義語です。しかし、2004年の厚生労働省による公募に基づき痴呆症が「認知症」に名称変更されました。これは痴呆という言葉に「白痴」や呆けといった差別的なニュアンスがあり、相応しくないと判断されたためです。現在はフォーマルな場においては認知症という言葉が使われます。

世界では現在、4000万人が認知症と診断されています。日本でも認知症高齢者の数は2017年時点で全国に約500万弱いると推計されており、2015年には700万人を超える見通しです。認知症介護は、日本を含めた高齢先進国すべての最大の課題と言えるでしょう。

認知症の原因はまだはっきり分かっていません。認知症とは特定の病気を指す病名ではありません。いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったりしたためにさまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が出ている状態のことを指します。

よって認知症とはさまざまな原因がもとにある“症候群”です。医学的には、まだ診断が決められず、原因もはっきりしていない状態のことを表しています。中には認知症をおこしている原因が分かっている病気があります。正常圧水頭症やアルコール性脳症などです。これらは認知症と同じような記憶力低下、判断力低下などの症状を起こします。しかしもとの疾患の治療をおこなえばそういった認知症状が改善します。

こういった病気以外の原因がわかっていない認知証の治療は、症状を軽くする対症療法が中心になります。認知症そのものを治す薬はまだありません。

認知症の主な症状は物忘れです。最近のことは忘れやすく、昔のことや、印象に残っているエピソードは忘れません。加齢が原因の物忘れがありますが、生活に支障をきたすほどのものではなく、一過性のものです。しかし、認知症の物忘れは生活に支障をきたし進行していきます。

よく認知症になると本人には病気の自覚がないと言われますが、それは間違いです。とくに認知症についての知識がある人だと自分の異常に早期に気づき、認知症だと自覚もあります。そのため認知症になったら何もわからなくなる、というようなことはありません。

記憶力や判断力などは低下していきますが、本人らしさはいつまでも残りますし、感情的な交流能力は保たれていると考えておきましょう。

 

 

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認知症の種類

認知症にはいくつかの種類がありますが。主なものとして、アルツハイマー病、脳血管型認知症、レビー小体型認知症、ピック病が挙げられます。

医学的にはこのうち約60%がアルツハイマー型認知症で、約20%は脳血管型認知症によるものとされています。そのため、一般的に認知症=アルツハイマー病と認識されていることが多いですが、近年はレビー小体型認知症、ピック病の有病率が上がってきています。これまでアルツハイマー型認知症と診断されていた人が実はレビー小体型認知症、ピック病だったということも増えています。

症状としてはかならず物忘れが出現しますが、それぞれの認知症には特徴があります。

アルツハイマー型認知症

老人斑や神経原繊維変化が、海馬を中心に脳の広範囲に出現します。変異した蛋白が脳に沈着し、脳の神経細胞が死滅していきます。進行はゆっくりすすみます。中程度以上になると身体機能にも影響をあたえ、歩くことや食べることにも支障がでてきます。

脳血管性認知症

脳梗塞、脳出血などが原因で、脳の血液循環が悪くなり、脳の一部が壊死してしまうことで認知機能が障害されます。障害部位によってまだらに認知機能が低下するのでまだら認知症とも呼ばれます。

レビー小体型認知症

レビー小体という特殊なものができることで、神経細胞が死滅します。はっきりとした脳の萎縮がみられないことが多いのが特徴です。そのため診断は幻視・妄想がないか、うつ状態やパーキンソン症状がでていないかなどで診断します。睡眠時に異常言動が出現することもあります。若い人に多く、進行が早く進むケースがあります。

ピック病

ピック球という異常構造物が神経細胞にたまる場合と、TDP-43というたんぱくがたまる場合が発見されています。最近は前頭側頭型認知症とも呼ばれています。10年以上かけてゆっくり進行することが多いです。同じパターンの行動に執着し、止められると非常に不機嫌になる。人格をつかさどる脳の部分が障害されるため、反社会的な行動が生じ、人格が変わることが多い病気です。

 

 

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認知症介護の基本的な考え

認知症には中核症状周辺症状があるため、その2つを把握し、介護を行います。
中核症状とは、脳の神経細胞の破壊によって起こる症状で、代表的な症状は記憶障害です。短期記憶(直前の記憶)の障害が顕著です。判断力の低下や時間や場所・名前などが分からなくなる見当識障害がでます。

中核症状

中核症状はいまのところ治すことはできません。そのため物忘れを改善させるような接し方をすることは本人の負担になり、プライドを傷つけます。本人が忘れて困っているときはさりげなく介助してあげることが基本です。中核症状の介護は本人ができないことを気持ちよく介護してあげることです。それほど難しいことではありません。

周辺症状

周辺症状は、精神的な症状や行動の異常をいいます。被害妄想、徘徊、異食、などです。中核症状は認知症者すべてにみられる症状ですが、周辺症状は人によってまったく異なります。まったく被害的にならない人もいれば徘徊もしない人もいます。

周辺症状は、脳の障害以外に、その人の生育歴、性格、現在の人間関係、周囲の環境などが絡み合って起きるものです。半分は本人が原因、半分は環境が原因です。そのため、症状は人それぞれ異なります。

周辺症状は本人が自分自身と周りの環境に適応できないことからおこる適応障害です。物忘れをする自分、身体が不自由になってしまった自分、家族と一緒にいれない環境などがそれらを作り出します。本人のプライドを守り、適応障害を少しでも和らげることが介護の基本になります。

 

認知症の介護の注意点

認知症の介護では周辺症状の緩和に焦点が置かれることが多いと思います。被害妄想、物取られ妄想、昼夜逆転、暴言、暴力、徘徊、異食など、社会的にみると奇異な行動ばかりです。いずれも心に寄り添う精神的な支援が必要だと思われていますが、実は認知症の介護こそ身体に目を向けなければいけないのです。

認知症も中程度以上になると、自分の身体の異常を正確に表現できなくなります。普段は落ち着いているのに、徘徊行動がでたり、暴力的になったりする要介護者がいたら、まずは身体のどこかに異常がないかを調べます。

症状の原因になっているものとして、脱水、便秘、発熱、持病の悪化があります。こうした身体的な不調が原因で周辺症状がでたり悪化している場合はいくら心に寄り添う介護をしてもあまり効果はありません。それよりも早急に脱水、便秘、発熱を解消し、治療を受けることが効果的なのです。

認知症の介護というと抽象的なものだと思われがちですが、身体的な不調をとりのぞくという具体的なアプローチを忘れないようにする必要があります。

 

 

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まとめ

認知症はさまざまな原因があり、難しい疾患です。原因が特定されていないもののほうが多く、多くは老齢の人がかかるもので根治治療の難しさがあります。しかし、少しずつ脳の病変について解明されており、治療可能な認知症もでてくると思われます。治療可能なものはちゃんと治療することが大事です。

しかし、高齢になれば誰もが認知症になる可能性があると思えば、もう少し認知症を優しい目でみてあげることも必要なのではないでしょうか。

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