介護保険の認定調査について教えて!

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西暦2000年に介護保険制度が発足し20年近くが立ちました。日本以外ではドイツや韓国にも介護保険がありますが介護保険と一口に言っても制度の中身は各国の事情を踏まえさまざまに異なります。
そのなかでも日本独自と言ってよいものに介護認定という制度があります。

今回は介護保険を使うときには避けて通れない認定調査についてとりあげます。

 

介護保険の認定調査とは

まず介護保険の利用者の条件について押さえておきましょう。介護保険の被保険者には大別して2種類あります。一つは65歳以上の高齢者。これは何らかの理由で介護が必要になった場合に利用できます(介護が必要になった理由は問われません)。もう一つは40歳上の医療保険加入者で、12種類の特定疾病のいずれかにかかったものです。特定疾病とは加齢が原因となる病気で、要介護状態となる心身の障害を生じさせるものです。がん、関節リウマチ、パーキンソン病、初老期の認知症などです。医師の診断が必要になります。

介護保険はこのように加齢にともなう心身の障害が生じ介護が必要になった場合に利用できる保険です。しかし、心身に障害が生じただけでは利用できません。介護保険の利用者になるには「要介護認定」を受ける必要があります。要介護認定はどれだけ介護の手間がかかるかを数値化したものです。「自立」、「要支援1〜2」、「要介護1〜5」の7段階からなります。「自立」の判定を受けた人は介護は必要とみなされず、利用者にはなれません。

要介護認定は2段階に分かれています。まず最初の段階となる一次判定があります。認定調査は基本調査として 74 項目があり、専門の認定調査員が聞き取り調査をします。この結果をコンピュータが読み取り、介護に要する時間や評価項目の得点を算出し、要介護度の結果が出されます。そして保険者が設置する認定審査会という会議で一次判定で出た要介護度でよいかを確認します(二次判定)。二次判定があるのは数値ではわからない個別の事情を勘案するためです。

 

 

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介護保険の認定調査の役割

要介護度の算出には認定調査が必須なわけですが、なぜこのような手間をかけて介護度を出す必要があるのでしょうか。医療保険においては医師が診療行為を決めます。医療の世界では診療の手順がスタンダード化されています。そのため自ずと診療報酬の天井がきまるわけです。
しかし介護は個々人の多様な生活の中に含まれているものです。非常に多様なのでスタンダード化しにくいのですが、かといって本人の自己申告で介護サービスを導入すると、それが妥当なのかどうか判断できません。介護保険は公的な財源を利用するものですから、生活に本当に介護が必要かどうか誰かが判定しなければなりません。また財源にも限りが有るので、効率的に分配する必要もあります。

介護は複雑な関連性をもっており、高齢者の状態が順序をもって悪化しさらにはこの悪化に応じたサービス量の増加がなされるといった単純な法則に従うとはいえません。そのため、できるだけ客観的なデータにもとづき要介護度をだす必要があります。ここで介護度に応じて天井(上限額)を決めているのです。

認定調査は全国一律の基準に基づき公正かつ的確に行われます。できるだけ要介護認定のバラツキを是正するため認定調査票の記入は「見たまま」の状況で選択肢を選び、その上で特記事項として必要な情報を付記することとなっています。

 

介護保険の認定調査のシミュレーション

認定調査はマークシートのようになっており、調査員が観察、聞き取りにもとづいて客観的に記載していきます。調査項目は74項目と多岐にわたりますが、「能力」、「介助の方法」、「障害や現象(行動)の有無」という3 つの評価軸で構成されています。
要介護認定には介護の手間の総量を点数化していくわけですが、人間が行うと非常に手間がかかる計算になります。そのため計算にはコンピュータを使っています。このシステムは日本独自で開発されたもので、一次判定ソフトと呼ばれています。申請者の「能力」に関わる情報や、「介助の方法」および「障害や現象(行動)の有無」といった状態に関わる調査結果情報を入力することで、「行為区分毎の時間」とその合計値が算出される設計になっています。

この合計値がつまり「介護の手間」の総量となります。とうぜん合計値が高いほど要介護度が高く決定されます。この一次判定ソフトはオープンになっています。そのためインターネットでシミュレーションを行うことができます。要介護度はほぼこの一次判定で決まるといってもよいので、自分がどの程度の要介護度かを知るためにシミュレーションを行うのもよいでしょう。
ただし、要介護度は別に主治医の意見書の内容も反映されます。結果はシミュレーション通りにいかない場合もあることを念頭においておきましょう。

 

 

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介護保険の認定調査の申請と流れ

介護認定調査を受けるためには申請用紙に必要事項を記入し、介護保険証とともに保険者に郵送するか、直接窓口に提出する必要があります。申請用紙は自治体の介護窓口か、地域包括支援センター、もしくは居宅介護支援センターにあります。申請用紙は無料です。
申請は用紙に自分で記入することもできますが、ケアマネージャーに代行してもらうこともできます。とくに高齢者本人が申請する場合などは代行してもらったほうがよいと思います。必要な箇所に記載がないと再申請することになり、それだけ認定までに時間がかかることになります。
申請が受理されると、介護認定の調査員から電話がかかってきます。そこで調査日を決めます。認定調査はふだん本人が生活している場所になります。自宅なら自宅で、施設に入居している人なら施設ということになります。中には自宅とショートステイ先を行き来している人もおり、その場合はどちらのほうで長く過ごしているかで訪問先を決めてもらいます。
調査には普段の様子を知る人に同席してもらったほうがいいでしょう。自治体によっては同席者がいなければならないという所もあります。調査は調査員の指示にしたがい手足を動かしたり、起き上がり、立ち上りをしたり、また認知機能を調べる質問をされたりします。

認定調査には主治医の意見書も必要になります。定期的に受診している人なら問題ありませんが、初めて申請するときなどは主治医に介護認定の申請をすることを断っておいたほうがいいでしょう。とくに複数の科にかかっている場合はどの医師に主治医意見書を頼むかを考えておいてください。

認定調査票と主治医意見書がそろい、介護認定審査会の判定を経るまでにだいたい1ヶ月程度かかります。その後、介護度が記載された介護保険証が郵送で戻ってきます。

 

介護保険の調査認定の注意点

介護認定の特徴は、病気や障害の軽重は直接的には関係せず、「実際にどれだけ介護の手間が必要か」という視点で決定されることです。例えば同じような障害を持つAさんとBさんがいたとします。同居家族の有無によって、Aさんは介護を受けているが、Bさんは介護を受けていない(自分で行っている)ということがおきます。この場合Aさんのほうに実際の介護の手間がかかっているのでAさんのほうが要介護度が高くでる可能性があります。このように介護認定では特殊な考え方をすることが多いので、気をつけることが必要です。

また高齢者のなかにはよく見せようとして普段以上の力を出したり、認知機能がそのときだけ改善し、質問に的確に答える人もいます。逆に普段はできているのに、調査日に限ってできない、というケースもあります。認定調査時に観察したことを認定調査員は記載しますので、普段と違うところはその旨を認定調査員に伝えることが重要です。そうしないと軽く判定されたり、逆に重く判定されたりします。

重く判定されるほうが介護保険で使える上限額が増えるのでいいと思われるかもしれません。しかし、デイサービスやショートステイ、施設に入居している人は要介護度が重いほど利用料金も多く支払わないといけません。そのため本人の状態像を的確に要介護度に反映してもらうことが一番よいのです。

 

 

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まとめ

介護認定調査は本人の病気や障害の軽重には直接関係ありません。いくら病気が重くても自分で身の回りのことができていれば要介護度は軽く判定されます。身体障害が軽度でも認知症のために見守りなどに要する時間が長ければ介護の手間が発生しているので重い要介護度がでます。介護認定調査員には普段の生活でどれだけ「介護の手間」がかかっているかを包みもらさず伝えるようにしましょう。

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