公的扶助について教えて!

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公的扶助は社会保障の1つですが、その定義がわかりにくい面があります。公的扶助を受ける人はここ10年ほどで非常に多くなっています。生活扶助を受ける世帯で一番多いのは生計の中心となっている人がけがをしたり病気になったりしたために収入は減少しているが医療費は増加したための生活が困窮したことが理由となっています。

では、公的扶助とは何なのか公的扶助はどんな役割を果たしているのか、その種類や社会保険との違いについてご紹介したいと思います。

 

公的扶助とは

公的扶助とは憲法25条「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国はすべての生活部面において、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」を受けて、国民が健康で文化的な最低限の生活を守るための制度です。すべて公費で賄われていて生活保護が公的扶助にあたります。厳格なミーンズテストによって収入や財産の有無、程度を調べ、受給の要件を満たしている場合は受けることが出来ます。

公的扶助の生活保護とは預貯金や年金、仕送りなどの他の制度の給付が国が定めた最低の生活費より所得が少ない時に差額を公費から援助されます。公費の割合は、国が4分の3、地方自治体が4分の1となっています。

公的扶助と社会福祉は似ているようですが、違いは公的扶助とは、現金給付を対象とした所得補償にあたり、社会福祉は人的サービスを対象としています。両方とも社会保障に属していて、社会保障は次のようになっています。

社会保障

・公的扶助・・・生活保護
・社会手当・・・児童手当や児童扶養手当
・社会保険・・・医療保険、年金保険、労働保険、介護保険
・社会福祉・・・社会福祉、老人福祉、障害者福祉

公的扶助は社会保障の1つであり、経済的に困窮していても人間として最低限度の生活を楽しむために設けられた制度です。

 

 

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公的扶助の役割と機能

公的扶助の役割

公的扶助の役割は最低限の生活を保障することと自立を助長することが目的です。資産や能力などあらゆるものを活用することが保護の前提となります。例えば、不動産、自動車、預貯金、年金、手当、扶養義務者からの扶養などをすべて用いることになります。

支給される保護費の額は、厚生労働大臣が定める基準で計算される最低生活費から収入を差し引いた差額を保護費として支給されます。収入としては、就労による収入、年金等の社会保障費、親族の援助などが差し引かれます。

生活保護の人にはケースワーカーが専属でついて世帯の実態に応じて年数回の訪問を行い、就労できる可能性のある人に対して就労指導を行っています。

公的扶助の機能

1、生活保護の申請請手続き

①生活保護を申請するには区役所や市役所、役場の福祉事務所の生活保護担当に相談します。そこで、必要な手続きのことや生活保護制度の仕組み、社会保障について説明をうけ相談に乗ってもらえます。
②申請書に必要事項をかいて提出します(その時に金融機関調査、資産調査、扶養義務調査などの各種調査を行います)申請時に必要なものは、印鑑や通帳、年金証書、車検証などで、あらかじめ聞いておくといいでしょう。
③申請が通れば生活保護が支給されます。

生活扶助基準の例

東京都区部等 地方群部等
3人世帯(33歳、29歳、4歳) 167,170円 130,680円
単身世帯(68歳) 80,820円 62,640円
夫婦世帯(68歳、65歳) 121,940円 94,500円
母子世帯(30歳、4歳、2歳) 166,160円 132,880円

 

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公的扶助の種類

公的扶助は生活保護になり、種類は生活扶助、教育扶助、住宅扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助の8種類に分けられています。以前は7種類でしたが、介護保険法が制定されてから、介護が加わりました。公的扶助は必要に応じて単給、または併給されます。生活保護は原則として世帯単位です。主な扶助については次のようになっています。

生活扶助

生活扶助は基準生活費と各種加算を合計した額が支給されます。
基準生活費は居宅基準と入院基準、救護施設基準に分かれています。

①居宅基準

居宅で過ごすための基準で1類と2類に分かれています。
1類
1類は、個人ごとの衣食住の日常生活に必要を満たすための費用です。主に食費、被服費がこれに相当し、世帯の年齢によって支給額が違います。食べ盛りの12歳~19歳の未成年の場合は高めに支給されます。次に成人、20歳~40歳、高齢者は少し低いです。

2類
世帯全体でかかる光熱水費、家具什器が生活扶助の2類にあたります。金額は世帯の人数によって支給額が変わります。

②入院基準

入院期間が1ヶ月を超えた場合は、入院日の翌日から入院基準になり、一律22,780円が支給されます。入院中は、食事代は医療扶助から支給されます。

③救護施設基準

救護施設や更生施設に入った場合は、基準が変更になりますが、居宅基準とほぼ同様です。

④介護施設基準

介護施設に入所した翌月から介護施設基準に変更になります。介護施設に入所中は、介護保険及び介護扶助食事代などが支給されます。

各種加算

各種加算は、基準生活費にプラスされ支給されるもので、障害者の場合や母子家庭の場合は加算されます。障害者は等級によって違い、母子家庭の場合は子供の人数によって違います。他に妊産婦加算、入院患者日用品費、介護施設生活者基本生活費、在宅患者加算、放射線障害者加算、児童養育加算、介護保険料加算があります。

級地基準

生活扶助は地域によって物価基準が違うため地域差を考慮して級地によって基準が設けられています。現在、1級地―1~3級地-2まで6区分あり級地差を4,5%としています。各県の市によって級地は分けられていて、1番高い支給は1級地―1になります。

教育扶助

教育扶助は一般基準、学校給食費、通学交通費、教材代、学習支援費、学級費等の合計です。基準額は小学生2,150円、中学生4,180円の全国一律で、教材費は正規の教材代は全額支給、給食費も全額支給されます。学習支援費は小学校2,560円、中学校4,330円です。学級費等は小学校600円以内、中学校770円以内です。支給方法は現金支給です。

住宅扶助

家屋・地代が含まれ、家屋補修費も含まれています。

生業扶助

生業に必要な資金や器具、資料等や生業に必要な技能の習得(高等学校等就学費を含む)就職支援費あります。生活保護受給者が小規模な事業を行うために支給される資金は45,000円以内で、やむをえない事情があるときは75,000円以内の額が支給されます。

 

 

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公的扶助と社会保険の違い

公的扶助と社会保険は社会保障の中に含まれ、別のものです。公的扶助は生活保護のことで、社会保険は医療保険、年金保険、雇用保険、労災保険、介護保険になります。

社会保険とは公的な機関が保険者となって、保険料を財源として給付を行う仕組みです。社会保険の仕組みは強制保険になります。社会保険は保険を払うことによって、それを病気や事故の時に集めておいた保険料から給付を行って損害を補うという制度です。保険制度は人が高齢になった時や事故、病気になった時に保護となる制度です。

公的扶助とは生活が困窮している人たちに対して、最低限の生活を保障し、自立を促進するために国や地方自治体から生活保護費が支給される制度です。社会保険は被保険者がだしたお金を集めて、それによって運営されているのに対して、公的扶助は全額税金で賄われています。公的扶助はすでに困窮している人を救うということが目的に対して、社会保険はそのままだと困る人が出ないようにあらかじめ蓄えておいて予防するという意味合いがあります。

 

公的扶助の税源とこれから

公的扶助の税源は、国の国庫負担金から4分の3、地方自治体が4分の1です。4分の1はすべて地方自治体からというわけではなく、地方交付税の基準財政需要額として国から交付されているものも含まれています。基準財政需要額には自治体の4分の1の財源だけでなくケースワーカーなどの人件費も含まれています。

平成26年の生活保護費負担金は平成26年度が38,431億円となっています。10年前の平成16年の生活保護負担金は25,090億円で13,000億円以上の支出増になっています。また、10年連続で増え続けています。生活保護費負担金の内訳は、平成24年度をみると、生活扶助が34,6%、医療扶助が46,5%とほとんどを占めています。医療扶助は入院と入院時の食費が6割を占めています。

厚生労働省が出した生活保護受給者の動向について、平成16年と平成26年を比較したものから推移を考えてみます。
平成16年度
<被保護世帯総数>、<高齢者世帯>、<母子家庭>、< 傷病.障害者世帯>、<その他の世帯>
世帯数          997,149                   465,680            87,478                        349,844                       94,148
構成割合(%) 100,0 46,7 8,8 35,1 9,4
出典:厚生労働省 生活保護受給者の動向について

平成26年7月
<被保護世帯総数>、<高齢者世帯>、<母子家庭>、<傷病、障害者世帯>、<その他の世帯>
世帯数               1600,702                   755,810            108,315                     453,983                     282,594
構成割合(%) 100,0 47,2 6,8 28,4 17,7
出典:厚生労働省 生活保護受給者の動向について

平成16年と平成26年を見ると、生活保護世帯数が60万件以上も増えていることがわかります。1990年代になって、生活保護の受給要件が厳しくなっているにも関わらず、受給者が増え続けていることを考えると、財源がいずれ破たんしかねない現状です。生活保護を受けている人の方がわずかの年金で暮らしている人より優遇されているという現状もあります。

 

 

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まとめ

公的扶助は人が最低限の生活を営むために必要な制度です。その制度があるおかげで、生活困窮者が最低限の生活を守ることが出来ています。公的に支えることによって、自立に向けた取り組みもなされています。

今後、いかに生活保護世帯の財源を確保するかという課題を抱えています。

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