介護保険の財源ってどこから来てるの!?介護保険の財源を大解剖!

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当初1割負担のみでスタートした介護保険ですが、利用者の大幅な増加によって財源確保が困難になりつつあります。被保険者がおさめる介護保険料が年々増加しています。また平成30年から一定以上の所得がある利用者は、介護サービスの負担割合が3割にあがります。

今回はこの介護保険料を決める財源の仕組みについてみていきます。

 

介護保険の財源とは

月額の介護保険料の全国平均は5514円ですが(平成29年現在)、厚生労働省は平成37年度には約8200円になると試算しています。このように年々増えていく保険料の原因は介護サービスの利用者数が増えているためです。人口の7%以上が65歳以上になると、その社会は「高齢化社会」と定義されます。高齢化率が14%を超えると「高齢社会」となります。日本が高齢化社会に入ったのは1970年で、高齢社会となったのは24年後の1994年です。

日本の介護保険はドイツのものをお手本にしていますが、ドイツが高齢化社会から高齢社会に入った期間は42年。フランスにいたっては114年もかかっています。それに比べると日本の24年というスピードはかなり早いと言えます。

高齢者が増加すると社会保障費が増加します。社会保障費の約5割が年金で、約3割が医療費です。残りが老人福祉、障害者福祉、児童福祉となります。このように大半をしめるのは医療費と年金です。どちらも高齢者にかかるお金といってもいいでしょう。

年をとるとさまざまな病気にかかりやすくなり、また怪我をしたあとの回復期間リハビリ期間も長くなります。その結果は若年者よりも高齢者のほうに医療費がかかることになります。

年金を削ることは反発が強くなかなかできません。そのためメスが入ったのは医療費です。1970年代から「社会的入院」が問題になりはじめました。社会的入院とは、虚弱高齢者や同居家族がいない高齢者が治療が終わっても退院先がみつからずそのまま入院することです。これが医療費を増やす原因になっていました。

この社会的入院を解消し、また今後も増え続ける高齢者問題に対応するため、新たな財源確保の必要性が生じました。介護保険が作られたのはこのような背景があります。

 

 

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介護保険の財源はどこから

日本の介護保険が先行していたドイツの介護保険を参考にしたのは有名です。しかし、その中身はずいぶんことなります。まず根本的に財源の内訳が違います。ドイツは介護「保険」の名の通り、財源の100%が保険料です。日本は財源のうち、保険料の占める割合は50%です。それでは残り50%はどこから拠出されているかというと税金となっています。このように、保険と言いつつ税金が半分も投入されているところが日本の介護保険の特徴です。

その税も内訳が決まっており、国が12.5%都道府県と市町村がそれぞれ12.5%ずつ負担することになっています。介護保険の保険者は市町村となっています。住んでいる市町村によって徴収される保険料がことなるのはこのように税金が拠出先となっているからです。

また保険料の負担額は非常に複雑な仕組みとなっています。まず保険料を収める被保険者ですが、第1号と第2号の2種類に分けられます。第1号被保険者となるのは65歳以上の高齢者です。徴収方法は年金からの天引きですが、年金額が年18万円未満の人は自ら市町村におさめることになります。

第2号被保険者となるのは40歳から64歳までの人で、さらに医療保険に加入している人が対象となります。加入している医療保険組合が医療費とともに徴収する形となっています。

 

介護保険の財源のポイント

第1号被保険者

第1号被保険者の保険料は保険料全体の22%を占めます。保険料の決定方法は、負担能力に応じた市町村ごとの所得段階別の定額保険料となります。低所得者への負担を軽減し、高所得者の負担は所得に応じたものとする考え方です。これは第1段階から第9段階まで細かく設定されています。基準となるのは第5段階で、「本人が市町村民税非課税(世帯に課税者がいる)かつ本人年金収入等80万円超」の人が当てはまります。

第2号被保険者

第2号被保険者の保険料は保険料全体の28%を占めます。保険者が医療保険とともに徴収します。保険料額は会社員の場合(健康保険組合)は標準報酬及び標準賞与✕介護保険料率で計算されます(事業主負担があります)。自営業者の場合(国民健康保険)は所得割と均等割等に按分されて計算されます(国庫負担があります)。

以上のように財源の半分が保険料で、残りが税金となっています。介護保険と言いながら、税金を投入しているのにはいくつか理由があります。保険料だけに頼ると、災害などの何らかの理由で徴収率がさがったときに財源確保が困難になります。また国の税負担分のうち5%は調整交付金と呼ばれています。これは75歳以上の方の数や高齢者の方の所得の分布状況に応じて増減されます。このように税金は全体の保険料割合を調整するためのクッション的役割があります。

 

 

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介護保険の財源のこれから

冒頭にも書いたように一定以上の収入(国は現役並の所得がある人と表現)がある利用者の負担割合が平成30年から3割となります。

介護保険が始まった平成12年度の給付費は3.6兆円で、保険料は全国平均2911円でした。それが平成28年度の給付費においては10兆円を超え、保険料の全国平均も5514円となっています。厚生労働省は平成37年度には給付費が21兆円、保険料は8200円程度になると見積もっています。

厚生労働省の試算が正しいとすると、給付費においては5.8倍、保険料額も約3倍の伸びとなります。このように給付費が急激に伸びており、財源の確保もじょじょに難しくなると予想されます。制度スタート直後は利用料金は所得にかかわらずすべて1割負担でしたが、所得によっては負担割合を3割まで増やしたのがその現れといえます(平成30年度改正より)。

負担割合が医療保険と同様となりましたが、介護保険と医療保険は性格がかなり異なる制度です。医療保険は医療行為であれば全て保険給付対象になりますが、介護保険は利用者のニーズに対して上限を設定し、部分的にしか給付しません。また医療保険は原則として上乗せ給付(混合診療)を認めていないのに対し、介護は混合介護を積極的に推進しようとする動きがあります。

このような流れをみると、今後、介護保険として給費される種類と量が制限される可能性があります。福祉用具を全額自己負担化すべきといった声や、居宅介護支援費(ケアマネにケアプランを作成してもらう費用)の自己負担化といった可能性も示されています。今後は保険利用が重度介護者に絞られていくことも考えられ、とくに軽度者の介護サービスは自己負担が増えていくと予想されます。

 

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まとめ

高齢者人口はまだしばらく増加していきます。特に喫緊の課題となるのが人口構成が出っ張っている「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者となる2025年度です。75歳上になると要介護認定者の割合が加速度的に増えます。しかも増えるのは介護費だけではなく、年金、医療費も同様です。

これらの費用と併せ、できるだけ利用者の満足度と納得感を確保しつつ、制度が持続可能なものになるよう、我々一人ひとりの意識と努力が求められる時代になると言えるでしょう。

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