介護の移乗を学んで負担を軽くする!

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介護をするうえで必須の技術の一つといえば移乗です。やり方を1つでも間違えれば、自身のけがにつながるリスクも高くなるだけでなく、要介護者の不安をあおってしまうだけでなく、取り返しのつかない重大な事故につながりません。今回は正しい介護の移乗方法をピックアップして紹介していきますのでぜひとも業務に生かしていただけたらと思います。

 

介護の移乗とは

そもそも介護業界での移乗とどういう動作のことを指すのでしょうか。
よくある介護の教材ではこう記されています。

ベッドと車いすの間、または車いすと便器の間を移るなどの乗り移りする動作

この移乗という動作、介護現場では非常に多く見られます。しかも要介護者のレベルによってはやり方も応用を利かせてやらなくてはいけません。ですが介護技術を取得するうえで最も大切なことは何だと思いますか?

それはまず基本をしっかり体に叩き込むことだと思います。近々東京オリンピックが開催されますが、世界で活躍しているプロのスポーツ選手も基本をしっかり身につけているからこそ世界と戦えるのであって、基本が身についていていなければそもそもそのスポーツも満足してできないと思います。それはスポーツに限った話ではありません。例えば料理人、味の基本、料理をおいしそうに見せるコツ、そうした基本をみっちり鍛え上げているからこそ、我々に感動を与えてくれるのです。プロを名乗る以上基本を欠かしてはいけないのです。
もし変なやり方で癖になってしまうと、その分改善するのにも時間を要します。また間違った覚え方をすると余計に体に負担をかけることにつながってしまうのです。

移乗は非常に多く見られるだけあって、その分だけ重要な役割を担っています。

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介護の移乗の役割

例えば、要介護者が車いすからベッドに移ろうとしている場面を想定して解説しましょう。

まず1番目にすべきことは何だと思いますか?
手助けをすることなのでしょうか。それは違います。
まず見守りをしてその方の安全を確保してあげることだと思います。
なぜ手助けじゃないのか。その理由の一つとしてまずその方の残存機能はどうなっていますか。立ち上がる時に踏ん張れるのか、立位時間は長時間可能なのか、それとも支えが必要なのかによって介護する度合いが変わります。もしその方が自力で立ち上がれるのに手を出し続けていたらどうなるのでしょうか。

人によりけりだと思いますが、たいていの人はそこに甘えが生じてできることをしなくなります。するとだんだんその能力がなくなってしまう、つまり残存機能が低下し、ADL(日常生活動作)の低下、さらにはQOL(生活の質)の低下につながってしまうのです。

このことからもいきなり手助けではなく安全を確保したうえでその方に合った介護をすることがスタートします。と言いつつも職員さんは、その方のレベルはあらかじめ把握していますので、安全面を確保しつつその方に合った対処をされていますので、ほぼ同時に行動に移しています。また先ほどの説明でもありましたが、その方に合った介護をしないと要介護者に良くないだけではなく、それほど介護の負担が増えるといえます。

では介護の移乗の基本について押さえていきましょう。

 

介護の移乗の基本

介護の移乗で最も大切なことは要介護者の負担を軽減することではありますが、それと同時に介護者の負担も軽減されなくては意味がありません。
実際そんな人を支えるのに都合の良い方法なんてあるわけないと思っている方、ボディメカニクスという言葉を聞いたことがありますか?

ボディメカニクスとは身体力学=身体の動きのメカニズムのことですが、それをうまく利用することで身体への負担を軽減することです。

ボディメカニクスをうまく活用するために以下の方法があります。分かりにくかったらYouTubeなど動画を参照してみるとよいでしょう。

 

ボディメカニクス

① 支持基底面を広く、そして重心は低く。
身体を支えるために、床と接している部分の範囲のことを、支持基底面といいますがこれが広いほど安定するのです。また、重心が下にあればあるほど、転ばずに立位が保ち、安定することが出来るのです。

② 本人にできる限り接近する
本人にできる限り接近すればより容易に介助ができます

③ 身体をねじらない
不自然に身体を曲げてしまうと不安定になってしまうので腰痛につながるのです。

④ てこの原理を応用
持ち上げるという考え方より、シーソーのように視点を作って自分の体重をかけて軽い負担で介助ができます。

⑤ 要介護者の身体をちいさくまとめる
ご高齢者の腕を胸の前で組んで、ひざを曲げることで身体をできる限り球体に近づけることで力が中心に集中し、介助がしやすくなります。

⑥ 膝の屈伸を利用し水平移動
上下に持ち上げるのではなく、横に移動(水平移動)させる方が介護者の負担は少なくなります
もしも上下に動かざるを得ない場合、ひざの屈伸を利用して動かすことで腰への負担を軽減します

移乗が基本になります。
でもこれだけだと実際分かりにくいです。もっとうまくやるコツは何でしょうか

 

 

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介護の移乗のやり方、コツ

介護の移乗をやるうえで最も大切なのはずばり声掛けだと思います。もし自分が介助される側の人間として是非とも体験してほしいのですが、介護者が何も言わずに立たせようとしたら…もしくは運ぼうとしたらどういう心理状態になるのでしょうか?「怖い。」「この人は私に何をしようとしているのか。」とかなり不安な気持ちにさせられます。人間は恐怖という感情に陥ってしまうと自分の身を守ろうと固くなってしまいます。固くなっている人を介助しようとすると余計に介護の負担が大きくなりますので、ますます悪循環に陥り、腰をますます悪くする原因につながるのはもちろんのことですが、要介護者の事故につながるリスクも高くなります。

ではどのように声掛けするとよいでしょうか。まず介助をする前に、どういうことをするか伝えます。「今からベッドから車いすへ動きますけどよろしいでしょうか。」などです。それだけでも(ベッドから車いすへ移るのか。)と思っていただくだけでも要介護者の反応が全く異なってきます。
そして何かしらの動作を行っていただく際にも声掛けしながら行うことで、要介護者も落ち着いて移乗することが出来ますのでそこでも声掛けは重要といえます。
では移乗介護で注意する点は何でしょうか。

 

介護の移乗 注意点

移乗をする際にはもちろん怪我には注意をしなくてはいけません。今回は車いすからの移乗、もしくは車いすへの移乗するところを例にとって解説していきたいと思います。

注意点

① 車いすから移る、もしくは車いすへ移る際にはきちんとブレーキをかける
理由は言わなくてもわかると思いますが、ブレーキをかけずに移乗をしようとして万が一車いすが動いてしまったら、転倒につながることは容易です。

② 車いすへのフットレストをきちんとあげる
よく忘れがちなのはフットレストを上げずに移乗してしまうことがあるみたいです。
もし足を引っかけてしまったら要介護者の足を表皮剥離してしまいますので確認は怠ってはいけません。

③ 移乗する際はなるべく自分でできることは自分でしていただく
要介護者の残存機能を落とさないために必ず必要です。しかし、本人様の体調に合わせて、無理がないようにしてください。

④ 移乗する先が固定されているか確認をする
車いすがブレーキされているかどうかを確認するのと同様な理由です。もし目標先の対象が動いてしまったら…とても恐ろしいです。

⑤ 車いすの整備は大丈夫か確認する
意外と知られていないですが車いすのタイヤに空気が入っていないことがブレーキをかけにくくする原因の一つにもなることがありますので、移乗をする前に車いすの点検はしておくべきです。

以上が基本的な注意する点です。介護状態が高いほど注意する点も増えますので気を付けなくてはいけません。

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まとめ

移乗介助をする際に、要介護者の安全を守ることも重要ですが、その方の残存機能を活かすこと、そして何より介護をする側の人間が腰を痛めるなどして倒れる環境は本来あってはなりません。そうならないためにも基本を身につけることが重要です。

一つ一つめんどうくさいとは思わずにスキルを身につけることが大切といえます。

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