介護保険の更新を学んで備えよう!

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新規の介護認定の流れについてはある程度理解していても(更新はどうなっていたっけ?)と思う方は多いのではないでしょうか。特に、身内の介護をしている方は認定更新について学び、賢く介護保険を利用しましょう。

 

介護保険の更新とは

介護認定の審査

認定更新の話の前に、介護認定の審査についておさらいしましょう。

筆者の住む市町村の場合を例にとります。

・寝たきりや認知症など心身の要介護状態または要支援状態にあるかどうか。
・介護の必要度(要介護度)
これらを判定してもらうため、市の窓口に要介護認定の申請を行います。認定されると、申請日以降に利用したサービスについて給付が受けられます。
要介護認定は、新規の場合は6ヶ月間、更新の場合は12ヶ月ごと(※)に見直しがあります(介護認定の更新)。重度になったときは、期間の途中でも要介護度を変更できます(区分変更の申請)。
申請を行うと、市の調査員(介護認定調査員)が家庭を訪問して、心身の状態について調査をします。その調査結果と主治医の意見書をもとに、保健・医療・福祉の専門家からなる介護認定審査会で判定し、判定結果に基づいて市から通知が届きます。

※見直しの期間は市町村や要介護度により異なる。初回認定日より3~24ヶ月の間で市町村が定める期間になる。

 

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介護保険の申請~介護サービスを受けるまでの流れ

①申請

本人または家族が、市の窓口または居宅介護支援事業所などに相談する。

②調査

介護認定調査員が家庭を訪問する。主治医が意見書を作成する。

③認定

介護認定審査会が判定し、申請から30日程度で市が通知する。

④介護サービス計画

認定結果に応じて、利用者に適した介護サービスを計画する。

⑤介護サービス提供

計画に基づき、在宅・入所・通所などの介護サービスを提供する。

 

介護認定の更新

上記で述べた見直しが介護認定の更新です。

1.更新手続きのタイミング

認定期間満了日の60日前に、利用者の自宅へ更新手続きの案内の通知が送られてくるので、その日から満了日までの間に行う。

2. 更新手続きの窓口

地域包括支援センター

3.手続きに必要なもの

① 介護保険要介護認定・要支援認定申請書
(センターに申請用紙がある。またはセンターのHPからダウンロードできる。)
② 介護保険被保険者証
③ 診察券
④ 医療保険の被保険者証(年齢が40歳~64歳の人)
⑤ 被保険者の認印

4.申請者

① 本人または家族
② 成年後見人
③ 地域包括支援センターのケアマネージャー
④ 居宅介護支援施設のケアマネージャー
⑤ 介護保険施設のケアマネージャー

実際は利用者の担当のケアマネージャーが代行している場合が多いでしょう。自宅へ更新手続きの案内の通知が送られて来たら、ケアマネージャーへ連絡して以後の手続きをお願いできます。案内の通知自体を初めからケアマネージャーへ送るようにセンターで手続きすることもできます。

 

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介護保険(認定)の更新のポイント

1.介護認定調査を受ける前に気をつけるポイント

①認定調査の質問項目を確認しておく

認定調査の際、質問される項目の数は全部で74もあります。どんなことについて質問されるのかを、前もって調べて答えられるようにしておきましょう。
要介護度認定調査票の質問項目に従って答えていくだけで、おおまかな要介護度を調べることができるサイトもあります。

②記録を取っておき、調査日当日かそれ以降に調査員へ渡せるようにしておく

自分の考えを整理してもれなく調査員へ伝えるために役立ちます。以下の項目について記録を取りましょう。
・ 普段の介護内容(誰がどのように介護しているか)
・ 認知症がある場合にどんな問題行動があるか
・ これまでにした病気やケガについて
・ 要介護者本人が困っていること
・ 介護する人や家族が困っていること

 

2.介護保険(認定)調査の当日に気をつけるポイント

①必ず家族が立ち会うようにする

要介護者だけで認定調査を受けると正確な回答が得られない場合も多いため、調査当日は必ず家族が立ち会いましょう。

②気になることは遠慮なく話す

要介護度認定調査票には特記事項を記入する欄があります。要介護者の日頃の様子や行動などの具体的な記入があれば、介護認定審査会で要介護度を検討する際の参考になります。調査員から質問されること以外に気になることがあれば、遠慮なく話して特記事項に書いてもらいましょう。

③困っていることを具体的に説明する

ただ「困っている、困っている」と訴えるだけでは、調査員も正確な判断をすることはできません。具体的な例をあげて説明しましょう。

④ありのままの状況を正確に伝える

実際の介護状況より控えめに伝えてしまうと、適切な介護認定を受けることができなくなってしまいます。逆に、要介護度を上げてもらおうと思って実際より大げさに伝えてしまうと、介護認定審査会で「主治医の意見書と合わない」と判断され、再調査を受けることにもなりかねません。

②~④をこころがけても、となりに要介護者がいれば、思うように話せない場合が多いでしょう。調査員も心得ているので、帰り際に家族へ「ご家族からの要望はありますか?」と聞いてきますが、そこでも話しにくい場合はあとから役所へ行き記録を渡すか、あるいは電話をすると良いでしょう。

 

介護保険(認定)の更新時の注意点

1.有効期限の満了までに更新を済ませる

有効期限の満了までに更新認定が済んでいないと期間満了となり、その間は介護保険が利用できなくなり、自己負担となります。ケアマネージャーに代行してもらっていればそうした心配は無用ですが、自分または家族が更新の申請を行う場合は忘れないようにしましょう。

2.調査員の対応に疑問を感じたら

介護認定調査員は、ケアマネージャーや保健師、看護師、社会福祉士、介護福祉士などの有資格者で、介護認定調査の研修を受けていますが、中には経験の浅い人もいます。今後も気持ちよく介護保険を利用するために、調査員の対応に疑問を感じた場合は役所に相談しましょう。

3.認定結果に納得がいかなかったら

認定結果の要介護度が、利用者や家族が思っていたよりも低いという場合があります。そのままだと望む介護サービスが得られないため、都道府県設置の「介護保険審査会」へ、結果通知を受け取った日の翌日から60日以内に申し立てを行うことができますが、再審査の結果が出るまで2ヶ月以上かかります。そのため、現実には「区分変更申請」(要介護度の変更)を行うことで対処する人が多いです。こちらは1ヶ月ほどで結果が出ます。どちらにしても、結果が出るまでの間は暫定(初めの認定結果)の要介護度でのサービスを利用することになります。
申し立てを行って再審査をしても、希望する要介護度に認定されなかった場合は、地域の高齢者支援サービスでカバーできる場合もあります。地域包括支援センターやケアマネージャーへ相談しましょう。できればこういった二度手間をかけないように、初めに調査員が来たときに、利用者や家族の要望をしっかりと伝えておくことが大切です。

 

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介護保険(認定)の更新のこれから

1.介護認定の更新手続きの簡素化

介護認定の更新申請がされると、介護認定審査会が開かれて審査を行いますが、今後、高齢化が進むにつれて開催回数やそれにかかる事務作業の時間が増えていくことが予想されます。こういった事務負担を軽くするために、厚生労働省は下記のように手続きの簡素化を目指しています。

①更新期間を最長36ヵ月へ

現在、介護の更新認定の有効期間は原則12ヵ月、状態が安定している場合には最長24ヵ月です。この有効期間を、最長36ヵ月に延長する案が上がっています。
あくまで最長であり、利用者一律ではありません。

②二次判定の手続きを簡素化

同時に検討されているのは、状態が安定している人の二次判定の簡素化です。
2013年1月に、新規、区分変更、更新の要介護認定を受けた人を100とした場合、一次判定と二次判定が変わらなかった人は83.3、変わった人は16.7でした。
その次の更新の際に一次判定で要介護度が変更されなかったのは45.5。そのうちの約96%が二次判定でも変更なしと判定されました。
こういった事実から、「状態安定者について二次判定の手続きを簡素化することを可能とする」としています。
どういう状態になっている人を「状態安定者」とみなすのか?これは、今後の研究や検討を踏まえて設定されることになります。

2.介護者の負担はどう変わる?

介護認定の更新期間が延長されれば、それだけ訪問調査に立ち合うという利用者や家族の側の手間も省けるでしょう。状態が急変した場合には、有効期間内でも要介護認定を再度受けられる点は今後も変わりません。
申請から結果を受理するまでに平均で36.5日間かかっている認定調査手続きについては、調査に関わる人員を増やさない限り日数の短縮はむずかしいでしょう。しかし、申請日にさかのぼって介護給付を受けられるのでこれも介護者に大きな負担はかからないと思われます。

 

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まとめ

利用者の介護認定の更新期間が延長された場合は、これまで以上にケアマネジャーとの連携が必要になるでしょう。そのためにも記録が大事になります。また、要介護者につきそって通院する場合は、医師にも要介護者の状態を正確に伝えましょう。

備えあれば憂いなし。日ごろから要介護者の状態をよく観察しながら記録を取り、次の介護認定の更新に備えましょう。

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