悲しい難しい「介護殺人」を考えてみる

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最近新聞などで色々と目を疑うような悲惨な「介護殺人」の記事が掲載されていますが皆さんが、もし裁判員裁判の裁判官の立場ならどうのような決断をしますか?

重罪刑に処する 刑の軽減を計るかなど、どのような結論が出せますか。

今回は悲しい難しい介護殺人について掘り下げて考えてみたいと思います。

 

介護殺人に関連してくる日本の高齢者社会の実情

これから分析していきます介護殺人については、その被害者となる対象者はほとんどが 65歳以上の高齢者です。

では今日本の人口の中で高齢者の実態としては日本の総人口の27.3%が65歳以上の高齢者であり、さらに今後は 少子化に伴い高齢者の数は加速度的に増加してくるものと推測されます。

「平成26年国民生活基礎調査 」によれば、もし世帯に介護が必要な人が出た場合、同居家族が主な介護を担う場合は6割になる見込みです。現在は75歳以上の4人に1人は 同居家族による介護生活を行っております。

このような状況から考えても日本では、ますます超高齢者社会になって、家族も含め介護する側にかなりの負担やストレスが蓄積されると思います。そしてそんなストレスの極限状態として「介護殺人」が発生していることが推測されます。

 

介護殺人とは

1. 介護殺人の定義

介護殺人とは介護する側の人間が何らかの理由で介護の対象となる人を殺害することによって発生する殺人です。

2. 介護殺人の現状

介護殺人と言われるものには一般的に2つのケースがあると思います。1つは在宅介護でもう1つは施設介護での 悲惨な殺人事件です。

ここに一つのデータがあります。まずそれから紐解いていきたいと思います。

平成18年度から平成27年度までの約10年近い統計で、65歳以上の被介護者が虐待などで死亡した事例は
◆死亡事故 250件

◆ 被疑者の主な犯行動機「介護・看病疲れ」

◆ 夫が妻を殺害する33.5%、 息子が親を殺害する32.8%

◆ 男性加害者72.3%、女性加害者 74.3%

(警察庁数値)

このデータから確認できることとしては
①被害者が65歳以上の高齢者であること
②現状ケアマネージャー以外の介護ヘルパー等の介護職という職種は、圧倒的に女性の職場でありその中で男性の加害者が多いかの疑問
③犯行動機の「介護・看病疲れ」というものは介護職全般に言えるものなのか、家族のみなのかの原因

これらのことから介護殺人に繋がるような要因として考えられることが推測出来ます。

加害者に男性の比率が高いということの理由は今まで勤めてた会社員が突然配偶者や家族の介護の面倒を見るようになれば、介護の苦難に絶える事の難しさに直面して全て、自分自身で抱え込みます。

その結果全てに行き詰まるり悩ましい毎日が続きます。
その結果が ③につながっていきます。この最後の項目については家族だからできるという問題もあります。

「家族だからもうこれ以上痛々しい姿を見てられない」「 家族だから将来に不安がある」等で「家族だから楽にしてあげたい 」というようには身近な家族しか考えられないことです。

警察庁のデータを見ると介護殺人の逮捕者の約8割が家族で、その殺人の犯行動機が約9割近くが 「介護での困難と介護疲れ」という理由です。

男性の場合会社での仕事以外に介護や家事もこなし、そこへ心身の疲れが蓄積されるようになり、次第に孤独感を味わうようになります。そして誤った結論で家族を苦しみから解放してあげたいという「究極の愛情」から過ちを犯してしまうのです。

 

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介護殺人の原因

毎日新聞社が実施した全国のケアマネージャー 730人に

[自分が担当している在宅介護の家族で今の介護の状態について]

アンケート調査を行い、結果
◆殺人や心中が起きても仕方ないと思う 55%
◆介護者が心身ともに疲労困憊して埋められていると感じたことがある 93%
◆追い詰められたという理由については被介護者への暴力的な言動59% 、不眠で悩んでいた54%、 気分の落ち込みと口数や笑顔減った51%、経済的困窮50%

その他に介護者支援団体で行ったアンケートで、「介護している家族を殺してしまいたいと、思ったり一緒に死のうと考えたりしたことはありますか」というアンケートに対して「はい」と答えた人が20% もありました。

これらの調査結果でがわかるように介護する側も介護される側も、相互の関係の意志疎通に問題があり、 特に大きな問題に発展するのは家族間での介護で他人にはない家族愛や遺恨や不満が他人より強くなるのも家族だからも知れません。

意思疎通の悪さに出てくる、お互いにストレスが蓄積され その結果 最後のアンケートの答えの20%に繋がっていくものだと思われます。

介護殺人の本当の原因はどこにあるかというのは非常に難しい問題です。現状日本の福祉制度に大きな問題点を見出すことができると思います。なぜならば介護における要介護者は年々増加してきます。

それに対する受入体制など 整備、強化、改善が現状に追いついていません。現在の国が目指している「介護離職者ゼロ」というような目標も高いハードルに感じます。

このように介護業界で現在携わってる介護職員は今以上のストレスや不満が高まり介護殺人は決して減少することにはならないと思います。

 

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介護殺人の対策と予防

1. 原因分析のシステム化

介護殺人の加害者には、今まで説明したきたように必ずそこには「重大な原因」というものがあります。その原因について加害者がどんな困難を抱えていたか、何が事件のきっかけになったか、事件の回避に向けて何か出来ることはなかったのかなど詳しく述べたいと思います。

さらにそれに加えて過去の同じようなケースの事件の処理とともにあらゆる方面から検証できるような システム作りが出来るのではないでしょうか。

例えばアメリカなどで通常の事件とは別に報告するシステムとして( National Violence Reporting System )のようなようの危険な事件の発生予防に向けた多角的な分析が行われています。

イギリスやその他の国でも介護に関する法整備の強化や整備を行い介護職に対する特別手当やレスパイトケア等の既に行われ社会が介護をする体制が進んでいます。
※レスパイトケアとは、在宅介護の要介護状態の方(利用者)が、福祉サービスなどを利用している間、介護をしている家族などが一時的に介護から解放され、休息をとれるようにする支援のことです。

2. 専門分野との連携

現在の介護殺人を今後未然に防ぐためには、前項に挙げまたしようにシステム作りも必要ですが、更にそれに加え犯罪学、社会政策学、医学、社会福祉学、などの専門分野の研究者の総合的な分析力を加えることにより高度なデーター作りになり対策として期待できることだと言われています。

3. 地域包括ケアシステムとの連携

2050年迄に各地方の行政は、厚生省の指導のもとに地域密着型の新しい、地域包括ケアシステムを完成させてる計画を現在進めています。それは高齢者が住み慣れた街で在宅で介護を受けるようになるシステムです。

介護殺人に至る原因とも言える「介護の疲れや」「ストレスの蓄積」等を回避、解決するための方法としてより早く地域包括支援ケアシステムを導入が急がれます。

4.在宅介護における待遇の改善

現在国の方針は、地域包括ケアシステムも含めて在宅介護への方向性にあります。しかしそこで最も考えなければいけないことが、在宅介護における家族への費用負担です。

在宅介護の場合家族が献身的な介護を行っても家族への報酬はありません。介護保険での適用範囲にも制限があり適用範囲以外の費用の負担に加えて、家族を介護することで仕事をやめることになれば収入の減少で生活の維持も困難な状態になってきます。

在宅介護において最も介護殺人に繋がる要因のこの費用面での負担による「将来の不安」という点は以下のデーターでも判断できます。

 

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在宅介護はゴールの見えないマラソンのようなもの、介護者は達成感を得るのが難しく、一人で背負い込んでしまうと生きる気力を奪われかねません。「うまく介護できない」と介護者は自分を責めがちになる可能性があります。

在宅介護では知恵や技術も必要かもしれませんが、それより大切な事として夫として、妻として、子として家族として介護者を尊重して寄り添ってあげることが、暖かな心かよう意志疎通へつながり無謀な「介護殺人」という決断は減っていくのではないでしょうか。

 

これからは

1.介護者への法の整備

披介護者には1997年に制定された介護保険法があり。この法を根拠に、65 歳以上の要支援または要介護状態にある人は、あるいは40 歳以上65 歳未満で要支援、要介護が認定され法に指定された特定疾病に該当している人は身の状況に応じてサービスを受けることが可能になりました。

ところが介護者に関しては、支援の基盤となる法制度が十分に整備されていません。

介護保険法で地域支援事業に家族支援事業、家族介護継続支援事業が挙げられていますが、これらは任意事業な為に自治体に必ず行わなければならない義務はありません。

その他、高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律には高齢者の養護者に対する規定ありますが、この法はそもそも高齢者の権利を守ることを目的としており、高齢者が虐待されないために介護者への支援が必要であるということは考えられていません。

日本は益々高齢化社会になってきて要介護者への、法整備はまだまだ進化の途中だと思いますが、それ以上に介護者への支援体制、法整備の強化をまず考えなければ、介護者となる家族は更なる壁に当たり決して介護殺人の発生を防止させ減少につなげる事は困難ではないでしょうか

2.先進国の介護制度を学ぶ

海外ではどうでしょう。ここ20年ほどで介護者支援の基盤となる法制度の整備が大きく進んでいます。例えば英国では、介護者支援は単に在宅での介護の継続を目的にした支援のみを行っているわけではなく介護者法のもと、介護者を要介護者とは違う個人として認め、その社会的役割を確認し、要介護者が社会から孤立しないように支援する独自の立場として社会的に地位を認められています。

オーストラリアでも連邦としての介護者支援の基盤となる基本法を置き、州ごとの介護者支援の法整備を推進するなど、介護者支援の充実を目指す動きが広がっています。

これらの国々では、介護者を独自の資格を持つ個人と認識し、要介護者法と共に介護者への法の整備もされ、支援に向けた財源を確保されています。

日本でも介護者に対して様々な行政における支援体制が整なわない限り、介護者の介護に対する大きな壁がなくなり安心した福祉国家にはなれないかと思います。

 

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2. まとめ

今社会的深刻な問題となっている、介護殺人についてご紹介しましたが解説の中に周りやご自身に心当たりがある方がおりますでしょうか。

もしそのようなことがあれば必ず自分自身で解決するような事をせずケアマネージャーや関係先にまず相談して自分表示で絶対に抱え込まないようにしてください。

介護殺人はあなたのその一つの行動で防げます。

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