介護保険の地域区分について教えて!

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介護保険法第41条第4項等によると「介護報酬は法律上、事業所が所在する地域も考慮したサービス提供に要する平均的な費用の額を勘案して設定すること」とされています。
このことについて平成28年11月の社会保険審議会では「利用者に直接介護サービスを提供する事業者の賃金は、地域によって差がありこの地域差を介護報酬に反映する為に、単位制を採用し、地域ごと、サービスごとに1単位の単価を設定している」と改めて資料説明しています。

あ介護報酬は、日本全国どこの地域でも1単位≂10円ではなく厚生労働大臣が定める1単位の単価に基づいて介護報酬が決まるということになります。

 

介護保険の地域区分とは

地域区分とは地域の人件費に応じた報酬単価の調整 のことです。

先に導入で述べたように、地域によって1単位当たりの単価が異なるしくみにおいて、地域 間における物価や人件費の差 を勘案して、 それを介護保険に反映させる為に設けられた区分です。
地域区分は現行では「1級地・2級地・3級地・4級地・5級地・6級地・7級地・その他」の8区分となっています。
※金額は1級地が最も高く、その他区分が最も低くなります。

地域区分の下での介護報酬の算定では以下のような計算式になります。

利用したサービスの単位 × サービスごと、地域ごとに設定された1単位の単価

事業所に支払われるサービス費(1割が利用者の自己負担)

複雑な介護保険制度の中でも分かりにくい地域区分について詳しくみていきましょう。

 

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介護保険の地域区分のポイント

地域区分を考えていく時、サービスごと、地域ごとに設定される1単位の単価を算出す上で基本となる「人件費割合」と「地域ごとの上乗せ割合」について知っておかなければなりません。

人件費割合とは何か・・・どうやって介護報酬に反映させるのか

人件費割合とは、介護保険のサービスごとに人件費が違うため、その人件費の差を介護保険に反映させるために定められた割合のことです。
例えば訪問介護とデイサービス、また介護施設サービスでは人件費は異なります。その異なる人件費をサービスごとに人件費割合として設定し、先に述べた計算式に当てはめて算出することで介護報酬に反映させるしくみになります。

■人件費割合は45%、55%、70%3つに分類されています。
人件費割合45%の介護サービス事業
通所介護・短期入所療養介護・特定施設入居者生活介護・ 認知症対応型共同生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護・ 介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護療養型医療施設
人件費割合55%の介護サービス
訪問リハビリテーション・通所リハビリテーション・認知症対応型通所介護
短期入所生活介護・小規模多機能型居宅介護
人件費割合70%の介護サービス
訪問介護・訪問入浴介護・夜間対応型訪問介護・居宅介護支援・訪問看護

地域ごとの上乗せ割合とは

地域ごとの上乗せ割合とは、例えば東京23区などの大都市では人件費が高いため、ほかの自治体と同じ介護報酬のままでは、介護サービス事業所などの経営が苦しくなってしまいます。このため厚生労働省は人件費水準に応じて全国の自治体を8つに区分し、介護報酬の単価(1単位=10円)に上乗せを行います。

■地域ごとの上乗せ割合は8区分に分類されています。
地域区分の上乗せ割合については「1級~7級、その他」の8区分に分類されており、それぞれに「上乗せ分」が定められています。この区分は介護に限らず、保育や医療、障害においても同様な考えのもと、それぞれの制度の中で区分されています。

 

介護保険の地域区分の例

■人件費割合(サービス別に45,55,75%の3分類)
■地域ごとの上乗せ割合(地域別0~20%の8区分)
について理解できたら、具体的な地域区分の計算例を見ていきましょう。

事例

<計算式>
利用したサービスの単位 × サービスごと、地域ごとに設定された1単位の単価

≂ 事業所に支払われるサービス費(1割が利用者の自己負担)

上の計算式に以下の条件の例題を当てはめてみましょう。

○例題○
大阪市の訪問介護事業所を利用して、30分未満の身体介護のサービスを受けた場合。

※身体介護1・30分未満を利用・・・254単位
※大阪市の訪問介護・・・大阪市=2級地
2級地の訪問介護=1単位毎の単価11.12円

254単位×11.12円×10%(自己負担1割分)=282円

 

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介護保険の地域区分のこれから

介護保険の地域区分は平成12年の報酬設定以後、地方自治体の要望を取り入れながら再編がされてきました。平成24年には国家公務員の地域手当に準拠する形で見直しがされました。そして、平成27年度介護報酬において民間事業者の賃金水準を基礎とした賃金指数に基づいて設定するという原則に立って客観的に地域区分を設定する観点から公務員の地域手当に準拠する見直しを行うと共に公務員の地域手当がない地域については地域ごとの上乗せ割合を「その他 0%」の原則としました。
地域における上乗せ割合については細やかな分析と再編が成されてきましたが、今後の課題としては介護サービスごとの人件費割合の3つの分類について現状に即しているのかということになるでしょう。
なぜなら、現行の介護報酬では各種サービス事業において加算算定各種の有無によって、同じサービス事業でも収入に大きな差が生じているからです。各種加算が多く算定できる事業所は企業努力をしていることになるかもしれませんが、全ての加算が利用者側で選択できるわけではなく制度上、利用したら請求される加算も多くあります。この加算が事業所の収入源にもなります。これら加算分を踏まえて地域区分の考え方で一定の基準に当てはめ、単にサービス事業種類で分類することは難しく限界があると思われます。
加算算定の可否は多く場合は人手にかかっていることも多く、少子高齢化の日本では団塊の世代が減少していくとされる2042年までは介護の働き手が確保できるかによって地域差の幅が大きくなっていくことも勘案していかなければならないでしょう。

 

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まとめ

介護保険の地域区分を詳しくみてきました。経済の動向や自治体の実情に応じて議論や分析が細やかにされ、都度再編され最新の地域区分に地域差が少ないような仕組みなっていることがわかりました。
しかし一方で細やかに区分をすればするほどきりがなくなってしまう懸念もあります。
最後に、地域区分は財政的に増減を生じさせないようにすること(財政中立)が原則となっていることを補足しておきます。

財政中立ということは、限られた財政を適正に配分することなので、一方に手厚くなると一方が手薄になります。
だからこそ、地域区分の分類が適正になされることが重要です。

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