介護で目標(ケアプラン)を大解剖をしてみる!

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介護目標は一般的にケアプランと呼ばれています。複数の人、それも視点の異なる専門職(介護、看護、医師、リハビリ、栄養)が1人の要介護高齢者に関わるため、専門性の違いから目指す方向性、ゴールが異なってきます。すると要介護者本人がデメリットを受けるわけです。

デメリットでなくメリットになるようなケア目標にすることが大事です。

 

介護の最適な目標とは

本人にとって最適なケアプランとはなんでしょうか。これはとうぜん一人ひとりによって違ってきます。さらに「時期」によっても違いますし、「場所」によっても違います。また「人」によっても違います。さまざまな要因の組み合わせで最適な目標が決まります。これはいったいどういうことでしょうか。

まず「時期」によってですが、病気を発症した直後であれば治療的なケアプランが最適です。治せるものは治すことが大事だからです。病院の入院期間が短くなっており、急性期の治療は終わったけれどまだ療養が必要な状態だったり、いまリハビリをがんばらないといけない、という人がいます。本来なら医療が担う部分を介護で行わければいけない現状があります。そして療養もすんでリハビリも維持期に入ったときには、より生活に視点を向けたケア目標を立てるようにしていきます。

次に「場所」についてですが、在宅か施設かという違いがあります。在宅の場合の最終的な目標は決まっています。「在宅生活の継続」です。その目標達成のために他の小さい目標をたてます。施設の場合は種類によって異なります。老人保健施設なら在宅復帰となるでしょうし、特養なら本人の行きたいところに行けるよう体力を維持する、などになるかもしれません。療養型施設なら疾病の重度化などが最適な目標に設定される可能性もあります。

最後の要因の「人」ですが、これは介護職や看護職、家族など要介護者に直接的に関わる人々の個性の違いとしかいいようがありません。とりまく人々が何を重視するかで最適な(と思われる)目標が決まります。
このように客観的に最適な目標というものは存在せず、そのときどきの要因によって変わってくるのです。

 

 

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介護の目標のたて方のポイント

といっても客観的な指標がまったくないとケアプランの目標を立てる人は途方にくれてしまうでしょう。ここでは目標の立て方のポイントについて考えたいと思います。ケアの目標を考えるときは次のような思考手順をふみます。

まず要介護者の生活上の問題となっているところ、困っていることを本人や家族から聞きます(インテーク)。次に要介護者の全体像を観察し、状態を把握しつつ課題点をしぼっていきます(アセスメント)。さらに出てきた課題を解決できた状態を想定した目標を設定し、じっさいのケアサービス内容を計画します(プランニング)。このようにして本人が望む生活が何かを考察し、介護上の目標を設定するという手順を踏みます。

国が提示している標準的なケアプランの様式には、目標を書く箇所が2箇所用意されています。長期目標と短期目標です。長期目標を達成するために、段階的に達成できる短期目標を設定します。長期目標はすぐに解決できなくてもかまいません。しかし、短期目標は定めた期間の中で評価可能なものにしなければなりません。そうしないと現在行っているケアが要介護者本人にとって良いのか、悪いのか評価できないからです。目標が長期と短期にわかれているので、違いがわかりにくいときもあります。

そのようなときは短期目標を重視し、ちゃんと評価可能な内容の目標にしてください。

 

 

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介護の目標の注意点

「目標は評価可能なものにすべき」と書きましたが、他にも目標を設定するときの注意点があります。それは介護する側の目標にしないということです。あるケアを行ったとして、それがうまくいったかどうかを目標とすることは適切な目標設定の仕方ではありません。

あくまでもケアプランは「利用者の望む生活」を実現していくために、アセスメントから導き出された生活課題を具体的なケアサービスを通して解決していくためのものです。ケアプランの目標は利用者の望む生活が表現されていないといけません。介護者側のケア内容の達成度を目標とするものではないのです。要介護者自身の自立支援に関する内容で作成されなければなりません。

また抽象的な誰にでもあてはまる内容にすると、個人ごとにケアプランを作る意味がありません。しっかり要介護者のことを把握し、問題点をアセスメントすればケア目標やケアサービスの内容も個々で異なってくるはずです。ケアプランをただの監査用の紙切れにしないために、計画立案者は気をつけるようにしましょう。

良いケアプランとは、読んで欲しい人に読んでもらえるプランです。読まれないプランは存在しないのも同じです。そこで次のような点を考えて目標設定するようにしましょう。

良いケアプランのポイント

・生活課題とかけ離れた目標となっていないか
・目標は分かりやすい言葉でかかれているか
・抽象的でなく具体的な表現になっているか
・利用者がとりくめる内容であるか
・評価が可能な内容の目標になっているか
・目標の達成に資する期間は適切に設定されているか

 

介護の目標の例

要介護者のK.Mさんの事例を紹介します。脳梗塞の発症により、住み慣れた福岡を離れ東京の娘宅に身を寄せた、いわゆる「呼び寄せ」高齢者であったK.Mさん。同居当初は近くのスーパーに買い物に出かけたり、近隣の人との交流もみられましたが、方言や習慣、食生活などに不適応をおこし、閉じこもりがちに。そのため心身機能の廃用をおこし、ADLが低下。家族だけでは支えきれず、特別養護老人ホームに入所になりました。

特養のケアマネージャーはK.Mさんのアセスメントをへて次のように介護の目標を設定しようと考えました。

脳梗塞の既往歴があり、再発を予防する観点から健康管理が必要。方言や住む場所の習慣の違いから意欲低下を起こして心身機能が弱っているが、その環境さえかえればADLの回復は充分に見込める。これ以上機能低下をおこさないようにトイレや食事、入浴などできるところを注意して介助していく。また洗濯物たたみや食事の後片付けなど施設内での本人の役割をもってもらい、自尊心を回復してもらいたい。さらに趣味である大正琴や好きな野菜つくりに取り組むことで生活の活性化をはかってもらいたい。
そこでケアマネージャーは目標をこう設定しました。

実例

①長期目標「行事などに参加したくさんの人と交流できる」
②短期目標「野菜つくりを他入居者、スタッフと協働で行う」

達成の仕方

この目標を達成するために、具体的なケアサービスの内容を次のようにしました。
(1)日常生活におけるコミュニケーションを密にし、会話を多くする
(2)他の入居者の前で大正琴をひく機会をつくる
(3)園庭での野菜つくりにとりくむ
(4)スタッフと外出する機会を持つようにする

いずれも評価がしやすい目標とサービス内容になっていると思います。

 

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まとめ

ケアプランの目標というと、健康管理やリハビリを重視した設定にしがちです。しかし、介護上の目標は生活上の目標と同一に考えるべきです。

そうでなければ医療と看護の二番煎じの役割しか果たせません。医療と看護ができない部分があるからこそ、介護が専門領域としてみとめられるわけです。その点を忘れないようにして良いケアプランを作ってほしいですね。

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