デイサービス看護師と病院看護師って何が違うの?デイサービス看護師を大紹介!

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ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)。
最近、よく目にする言葉です。働くすべての方々が、「仕事」と育児や介護、趣味や学習、休養、地域活動といった「仕事以外の生活」との調和をとり、その両方を充実させる働き方・生き方のことです。政府は、このワーク・ライフ・バランスが実現された社会を目指してさまざまな支援施策に取り組んでいますが、多くの国民がワーク・ライフ・バランスを実感できるのはまだまだ先の話でしょう。
このような現状において、デイサービス看護師は、ワーク・ライフ・バランスを実現しやすい職種と言えます。その仕事内容はどんなものでしょうか。

 

デイサービス看護師とは

1.デイサービスとは

デイサービスは、在宅の高齢者(利用者)が必要に応じて施設に足を運んで受ける介護サービスです。介護度に応じて利用回数が定められており、それ以上に利用したい場合の料金は利用者の自己負担となります。
デイサービスでは、利用者が介護職員の介助により入浴や食事、レクリエーションを行います。一人で外出したり自宅の風呂に入るのが難しい高齢者が、風呂や食事やゲームを楽しみながら同年代の人と交流でき、偏りがちな栄養もバランスよく摂ることができます。利用者が安全に快適に過ごせると同時に、家族の介護負担も減らすことができます。

2.看護師が必要なデイサービスの種類

・通常規模型介護事業所(通常規模デイサービス)
・療養型通所介護事業所
・認知症対応型通所介護事業所
実際に求められる役割は、第一に利用者の健康状態の確認です。医師がいないため、看護師が「入浴や運動が可能かどうか」を判断する重要な役割を担います。介護職員とともに、利用者の小さな異変を見逃さない観察力が求められます。全職員が共有できるように記録を詳しくとることも重要です。利用者によっては、血糖値の測定やインシュリン注射、軟膏塗りや点眼、服薬の指導や補助、爪切りや褥瘡の処置も行います。浣腸や摘便を行う場合もあります。

これらの業務は、病棟看護を経験している看護師であれば問題なく行えます。

3.デイサービス看護師に向いている人

①高齢者とのふれ合いが好きな人、高齢者のペースに合わせられる人
世間一般では「年を取ると人間が丸くなる」と言われていますが、実際は若いときの性格が煮詰まっていきます(専門用語で「性格の先鋭化」と言う)。どこのデイサービスにも1人や2人は手ごわい利用者がおり、そこへ認知症が加わるため、高い対人スキルが必要です。

②看護以外の業務にも積極的に参加できる人
デイサービスは職種の差や役割の区別にこだわらず、スタッフみんなで協力して施設を運営していくという考えを重視します。看護業務以外のことも積極的に関わる姿勢が大切です。多くの職種(介護福祉士、相談員、栄養士、介護職員など)と信頼関係を築ければ、看護業務も行いやすくなります。

③フルタイム勤務が難しい人、看護師としてブランクのある人
週1~3日のようなパートタイムでの求人が多いことも、デイサービスの特徴です。筆者が勤めていたデイサービスでは、年配の常勤看護師1名と小学生の子供を持つパートタイムの看護師1名がいました。

④医療処置が少ない職場を求める人
長い人生の中では看護師自身も健康を損ない、激務である病棟看護の第一線からは退かざるを得ない場合もありますが、デイサービス看護師なら続けていくことができます。筆者の知っている例では、視力に軽度の障がいのある看護師がデイサービスに勤務しています。

 

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業務の流れ

初めに、デイサービスの一日の流れに沿って看護師の業務を説明します。下記は筆者が勤務していたデイサービスの流れであり、業務の順番や細かい部分はデイサービスにより異なります。(  )の作業は介護職員が行うことが多く、基本的には看護師は関わりません。
9:00  利用者を社用車で迎えに行く、看護師も同乗する

デイサービスに到着後、利用者のバイタルチェックを行う

10:00 (入浴介助)

入浴が終わった利用者の髪を乾かしながら、利用者に
軟膏を塗ったり湿布を貼ったり褥瘡の処置を行う

12:00 昼食時の対応
食事介助や食前・食後の服薬対応、血糖測定などを行う

13:00 利用者が昼寝をする間、職員は休憩する

14:00 レクリエーションの手伝いや利用者の見守りを行う

15:00 利用者を社用車で自宅までお送りする、看護師も同乗する

16:00 片付け・翌日の準備
業務記録の作成
バイタルサイン・日中の健康状態・食事摂取量・排泄回数・処置内容などを記録しながら他の職員とミーティングを行う

 

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デイサービス看護師の役割

デイサービス看護師には、次の3つの役割が求められます。

①利用者の健康管理

さまざまな病気や障がいを持った利用者がデイサービスを利用します。疾患を持っている以上は、体調の変化がいつ起こるか分かりません。体調悪化を早期に発見して対応していくことが、デイサービス看護師の役割として望まれています。利用者の健康状態に変化があった場合、看護師は家族や担当ケアマネージャーへ報告します。看護師が情報を発信することで、家族やケアマネージャー、ホームヘルパーも利用者の体調変化を早期に発見できるようになります。

②利用者の急変時の対応

デイサービスにおいては稀なことですが、急変時の対応も看護師の重要な役割です。看護師として常識的な判断や対処を行っていれば問題ありません。単体の施設で併設の病院が無いようなデイサービスだと、利用者を病院へ連れて行くまでの間は、勤務している看護師にある程度の責任が生じます。

そのため病院での勤務経験のない看護師には、急変時の判断や対応は厳しいでしょう。最低限でも一般病院での通常看護業務をこなせる能力は必要です。

③スタッフの一員としての働き

多くのデイサービス施設において、看護師が唯一の医療者です。看護師には、利用者の体調変化やADLの低下に気づいたら、介護責任者へ伝えてサービス計画の見直しを提案する役割があります。利用者のケアについて、介護職員から相談を受けることもあります。介護職員だけでなく、管理者からも新規利用者の受入れやサービス体制について相談を受けることがあります。

医療的観点から見た意見を施設へ投げかけることも、デイサービスで働く看護師の役割です。

 

デイサービス看護師と病院看護師の違い

1.施設の利用目的

病院は「患者」の治療を行うことを目的とした施設ですが、デイサービスは「利用者」のメンタルケアや介護をしている家族の負担の軽減を目的とした施設です。

そのため、デイサービスでは、施設を利用する人を「患者」ではなく「利用者」と呼び、利用者に対して日常生活の支援やレクリエーションなどを行っています。

2.指示系統

病院やクリニックでは、病気で来院する患者に対して必要な治療や処置を医師の指示に従って行います。デイサービスでは介護責任者(主に介護主任)が1日や1ヵ月のプログラムを作っており、利用者の情報や仕事の流れも把握しています。そのため、看護師も介護責任者の指示に従って動きます。

3.看護師としての業務量

デイサービス看護師の業務で一番忙しいのは、利用者がデイサービスに到着した時にバイタル測定を行う時だけです。その他は、必要時にバイタルの再検や薬の投薬をする以外に、看護師としての業務はほとんどありません。

4.業務分担

デイサービスではバイタルチェックや投薬、処置を除けば、介護職員でも実施できる業務ばかりです。そのため看護師としての業務は少なく、その分、看護以外の業務が多くなります。介護職員と同じようにレクリエーションや口腔体操・リハビリ体操、食事の配下膳や掃除なども行います。

介護職員が手薄な時には、利用者の送迎の手伝いも行います。病院では、看護以外の仕事は医療事務や栄養士、掃除の業者などが担当して行いますが、デイサービスでは業務の境界線はありません。

5.休憩時間の過ごし方

病院やクリニックでは看護師同士で休憩しますが、デイサービスでは、介護職員や利用者と一緒に休憩をとります。利用者と同じ昼食を利用者と一緒にとるような施設では、看護師も利用者の食事介助をしなければならないので、落ち着いて休憩ができないときもあります。

 

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デイサービス看護師 メリット・デメリット

1.デイサービス看護師のメリット3つ

①勤務形態が固定的
デイサービスは、日勤の定まった時間帯の勤務であるため生活リズムが安定しやすいです。また、多くの施設が日曜・祭日はお休みで、正月休みもしっかり取れます。ですから、お子さんがいる看護師は予定を立てやすいでしょう。病院は日曜・祝日に休むことが難しく、正月も交代で出勤しなければならず、夜勤があると生活リズムも崩れやすく体調管理が大変です。デイサービスでは、そのような勤務形態から生じる悩みがありません。

②医療行為が少ない
デイサービスは、持病はあっても状態が安定している利用者が来ているため、実際に必要とされる医療行為は簡単なものが多いです。デイサービスへの転職に当たって、特別な知識や技術は必要ありません。たまには利用者が急変することもあるので、病院での急変対応の経験があればそれに越したことはありませんが、通常の病院看護業務がこなせればデイサービスでも充分に働けます。

③利用者とていねいに関わることができる
急性期の病院などで働いていると、1人1人の患者さんと落ち着いて話をしたり、関わることが難しい現場もあります。デイサービスなら、業務に追われることが少ない上に元気な利用者が多いので、会話の機会を多く持つことができます。

2.デイサービス看護師のデメリット3つ

①給料が低い
夜勤がなく業務負担も少ないので、看護師の平均給与額よりも低めです。高い給料を求めている看護師には不満でしょう。しかし、行政が運営する施設や、民間でも複合施設の中でのデイサービスなら高い給料を支給しているところもあります。

②現場の看護師が少ない
専従看護師の配置基準は基本的に1名以上です。看護師1人で1日に20人以上の利用者を看なければならないような現場は、負担が小さいとは言えません。また、看護師1人体制では看護師同士の相談が行えず、急変時の対応を1人でこなさなければなりません。常勤看護師が1人の場合は、急な休みが取りにくくなります。

③看護業務以外の仕事も要求され、看護師としてのキャリアアップは図りにくい
小規模の施設が多いため、看護師も看護以外の仕事をしなければなりません。例えば、入浴介助や送迎車のつきそいや運転、その他のこまごまとした雑用などです。病棟看護に慣れた看護師は、看護業務以外のことを頼まれると違和感を持つでしょう。また、看護業務が少ないため、医療技術のスキルアップを一番に考える人には向きません。デイサービスに勤めるなら、この点は割り切る必要があります。

 

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まとめ

職業人としてのスキルアップと、仕事と家庭生活との両立のどちらに重きをおくか。特に女性は、どんな職業に就いても悩む課題でしょう。どちらを選ぶかは、その人の人生観にかかってきます。

若いときに看護師としてさまざまな経験を積んだ後に、看護師人生の中盤からデイサービス看護師として働くことも、選択肢に含める価値はあると思います。

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