介護の技術はこうやる!介護の技術を大紹介

Nurse With Patient In Rehabilitation

介護は病気やケガ、老化などで心身の機能が低下した方の生活上の支援です。とくに身体機能の低下により身の回りの動作に不自由がある場合には直接的な介護が必要とされます。当然介護する側の技術レベルによって介護する方、される方の負担が大きく異なります。

介護技術の高低で要介護者のQOLも変わってくるほど、技術は大事な要素です。今回は介護技術の基本をみていきましょう。

 

介護の技術とは

介護技術と一口に言っても、内容は非常に多岐に渡ります。

目に見える「身体介助」もありますし、実際には手を出さない「見守り」も技術のうちに含まれます。見守りには要介護者の立ち上り動作や服の着脱、トイレをするときの一連の動作、認知症の人の徘徊行為や異食行為(食べても害にならないものに交換する介助)なども含まれます。

また見落としされがちですが、「レクリエーション」も立派な介護技術の1つです。風船バレーボール、ベンチサッカーなどいろいろなレクリエーションがあります。「老人に園児みたいな遊びをさせて」と思われる方もいますが、さまざまな心身の障害をもったお年寄りの体を動かし、楽しませ、笑わせることは素人にはできません。レクリエーションを成り立たせるためには、お年寄り一人ひとりの障害の学問的理解と個性の把握、そして高いコミュニケーション能力が必要とされます。このように介護技術と一口にいってもさまざまな技術があります。

さらに誤解しがちなことですが、例えばおむつ交換が素早くできる=介護技術が高い、とは言えません。

介助の実際では、「声かけ」「待つこと」が重要です。介護は介護者と要介護者の協働作業です。介護者は介助の動きを理解してもらい、体が動く準備を整えてもらいます。

相手の動き、意思を無視して行う介護には技術は必要ありません。まず要介護者が動きやすいように環境をととのえること。これが介護技術の第一歩です。

 

 

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介護技術の役割

介護技術の役割とは、身体障害や認知機能の障害、また老化によって心身機能が低下した方に、普通の生活(に近づける)を補償するためのものです。何らかの障害を持つ人は、身のまわりの動作や基本動作に制限をきたします。そこで支援が必要になります。ですが支援とは周囲の人がかわりにやってあげることではありません。

まず本人ができる環境を整えてあげる、また自助具など道具の活用を考える、それでもダメな場合はできない部分のみを手助けする。本人ができるところをきちんと見分ける能力がまず必要とされます。主体は介護する側にあるのではなく、介護を受ける側にあるという考え方が必要です。

例えば移乗介助は人の体を物のように扱い、右から左へ単に移動させることではありません。生活上必要な目的の場所まで、相手の動きを適切にリードすることが基本になります。力を入れなくても、適切な声かけと準備をの促し、動作の誘導で移乗ができる人がいます。簡単に手を貸す介助よりも数段上の介助技術です。

いかに本人の自発性を引き出し、そのうえで自発的な動きを自然に手助けできるか。これが本当の介護技術の役割です。

 

介護の技術 ボディメカニクス

介護をしているとどうしても腰へ負担がきます。とくに一日に何度も行う移乗介助のときに介護者が「前かがみの姿勢」をとると、腰の負担がますことになります。介護者はできるだけ腰に負担がかかる姿勢を避けることが必要になってきます。そのための重要なのがボディメカニクスの技術です。ボディメカニクスには物理学の知識が生かされています。

自分の腰を守るのはもちろんですが、要介護者の負担を減らすためにもこのボディメカニクスを意識して介助するようにしましょう。

ボディメカニクスの考え方

・相手の身体を小さくまとめる
人間の身体はパーツにわかれていますが、各パーツにそれぞれ重心があります。重心が離れていると移動するときに重たくなるので、手足などを出来る限り小さくまとめることで、力を中心に集中させます。そのことにより少ない力で介護できるようになります。

・相手の体に出来るだけ近づく
自分と相手の重心を近づける=密着することで、移動の方向性がぶれず、一方向に対しての力が逃げずに力に頼らない介助ができるようになります。

・足を開いて支持面積を広くとる
足を前後や左右に広く開くこと(支持基底面積をひろくとる)で自分の身体が安定します。また強い力を発揮できる足や腰の力が伝わりやすくなります。

・重心を低くする
上記の支持基底面積をひろくとるとともに、膝を曲げて腰を落とすことで、重心が低くなり安定します。負荷がかかる位置が腰の位置に近くなることで腰への負荷を小さくすることができます。

・大きな筋群を使う
力の発揮しやすい筋群(背筋や大腿筋)を使うことで、指や手首などの1箇所の筋肉にかかる負担が小さくなり、また安定した介助ができるようになります。

・持ち上げない、水平に引く
持ち上げる上下の動きには大きな負荷がかかります。たとえばベッドに臥床したまま移動させるときなどです。上下方向でなく水平方向に移動させることで負荷を減らすことができます。また押す(自分の身体から離す)よりも引く(自分の身体に寄せる)ことが介助の基本です。

 

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介護の技術 武道、合気道

移乗の介護技術においては相手、つまり要介護者の重心を捉える能力が重要になります。しかも健常者とは違い、身体に障害をもった方が相手です。例えば介護現場には脳卒中の後遺症で片側の手足が麻痺している方が多くいます。しかもその麻痺の程度もさまざま。手足の麻痺が軽度な人もいれば、手だけが重症、足は軽度(その逆もあります)など。また手足とも完全に麻痺して動かないけれどブラブラに弛緩している場合と、固まって板のように拘縮している場合もあります。拘縮の仕方も屈曲の場合と伸展の場合でまた介助のコツが違います。

麻痺だけでなく、パーキンソン病の方も多いです。これも特徴的な障害を持ちます。最初は片方の手の振せん、拘縮から始まり、そのうちに片側、両側とひろがっていきます。また全体のバランス能力が失われていきます。しかも意識して動こうとすればするほど動けないという身体のクセがでてきますので、介助する側もそのクセを充分に理解しておかなくてはいけません。

こうした障害を持っている方を無理なく介護するためには重心の位置の把握、そして自分の重心を相手にあわせる能力が必要とされます。この重心をあわせることは武道と通じるところがあり、とくに合気道は体バランスを重視する武道です。また相手の力をうまく利用することで技を出しますが、そのときの手の使い方が独特で、それが介護技術に通じるのだと思います。

武術を介護技術の中にとりこんだものとしては岡田慎一郎氏の「古武術介護」が有名です。

 

介護の技術を計る協会がある

介護技術は要介護者との組み合わせ次第で千差万別変化するので客観的にどの技術が優れているか、というのがわかりません。すると経験だけが頼りという目で見て覚えろ、式な昔ながらの介護現場になってしまいます。そこで介護知識や技術のスキル認定制度を作っている協会があることをご存知でしょうか?

兵庫県にある一般社団人 日本ケアマイスター協会は介護士の知識・技術の高水準・均一化をはかり、介護のプロ集団を創りあげるために創設したスキル認定制度で、スタッフの介護技術レベルがどの程度にあるかを判定するため立ち上げられました。段位が5段階にわけられていて、介護福祉士、介護支援専門員に類した試験勉強、実技をうけられることが出来ます。評価の基準が一定なので、他の人と比べやすく、自分の力量がどのくらいかを知るためにはよいでのではいでしょうか。

東京には日本介護技術協会があります。ここでは主にリハビに関する医学知識、ボディメカニクスはもちろんのことながら、理学療法士なみの動作評価のスキルを身につけることができます。障害の特徴別の介護を行うことで、利用者に本当に必要な介助方法を作り出します。身体機能に着目しているのでケアプランの評価も行いやすいのが特徴です。

 

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まとめ

残存機能をひきだすための介助には介護者側の身体の使い方、要介護者の身体の動きを誘導する力、コミュニケーション能力が関わってきます。食事、排泄、入浴などの基本的な日常生活行為のためには、「体を起こす」、「座る」、「立ち上がる」といった動きが必要です。

私たちがふだん何気なく行っている動作ですが、要介護状態になるとこの何気ない普通の動作ができなくんります。介護技術はこのような普通の動きを、「特別な知識と技術」を活用して支援する方法なのです。

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