「介護の放棄」ってどうやって起きるの?社会問題化している「介護の放棄」を考えて見る

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高齢化社会になってきて、介護が必要な人が増えてきました。高齢者の介護が必要になってきたときに、親族には介護をし、介護にかかわる必要があります。

しかし、近年、高齢者が増えてきて介護放棄せざるをえない人も出てきています。また、配偶者や子供による高齢者の殺人や障害者の将来を悲観して親が子供を殺すという痛ましい事件が起きています。

今回は「介護放棄」について考えていきたいと思います。

 

介護の放棄とは

介護の放棄とはネグレクトともいわれていて、介護が必要な人にふさわしい介護を行わないで放棄するということです。放棄には食事を与えないとか排泄の世話をしない、介護者が家を出てしまうなどがあります。これは、高齢者だけでなく障害者の介護にも当てはまります。民法には、「直系血族および兄弟姉妹は互いに扶養する義務がある」と定められています。

一般的には親が子供を育てる際の言葉として使われていますが、子供が親の介護をすることも義務づけられています。保護する責任のあるものは介護が必要な親や障害者などの介護を放棄すれば、罪に問われる可能性があります。実際に介護が必要な親を残して家を出たために介護の放棄として罪に問われたこともあります。これは、刑法218条保護責任者遺棄罪にあたります。しかし、遠方に住んでいる子供が別居している親の介護をしないからといって罪に問われることはありません。

2014年の朝日新聞によると介護者による殺人や心中、介護の放棄により高齢者が死に至ったケースは数年で年間20~30件ほど起きています。2015年は高齢者虐待が身内では1万5976件、高齢者施設では408件、死亡事件は20件と報告されています。その中に介護の放棄が含まれています。

 

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介護の放棄 原因

介護の放棄の原因として挙げられること大きく分けて三つあります。

要介護者の状態悪化

一つ目は親が認知症になったり、半身不随になったりした場合に対処が出来なくなってきたり、疲れてしまったことが挙げられます。
、親が認知症になったり、身体介護が必要になったりする場合、一人で介護を請け負っているから起きるケースです。親族があまり介護に関わらなかったり、近所付き合いがなく相談する人がいなかったりということがあげられます。加えて介助者が介護保険制度のことをあまりよく知らずに自分だけで見ている場合、介護放棄に陥りやすくなります。介護者と要介護者の間に誰か取り持つ人がいて話をしてサポートしてもらえれば介護放棄に至らなかったケースもあります。
介護放棄に至ったケースで介護のために仕事を辞めなければいけなくなり、金銭的に施設に入れることや介護保険でヘルパーを頼むことが出来なくなり、自分一人で抱え込む場合があります。介護保険を使っても人の手を借りるとどうしてもお金がかかります。

仕事をしていなければとても負担が大きいのです。親にお金がある人ならいいのですが、親にお金がない人は介護の責任を一人で負わざるを得なくなります。時には介護者が病気になることもあります。そして、介護が終わった後は燃え尽き症候群でやる気が失せてしまうこともあります。

家庭財務の悪化

二つ目には金銭的な問題です。介護保険を使う場合は、金銭的にかなりかかります。ですから、介護者は精神的に参ってしまいます。そのため、夫婦で見ている場合、一生懸命介護をしていた夫が妻の首を絞めるといった事件が起きています。また、息子が認知症の親を殺害したというケースもあります。
自分の生活で手一杯なので親の介護が出来ないというケースもあり人の手を借りれば金銭的にかなりかかります。遠方にいたら親を訪ねることも金銭的に難しい場合があります。介護したいという気持ちがあっても金銭的に難しくて介護できないというケースがあります。

家族の心情

三つ目には介護をする側が介護をする気が全くない時です。
親の介護をする気持ちがなくて介護放棄に至っているケースもあります。高齢化社会になって介護放棄は日本の社会問題となっています。

 

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介護の放棄 対策

まず、親が認知症になってその対処が難しくなったり、身体介護を余儀なくされて介護に疲れたりした場合は鬱を発症する場合があります。それだけでなく自分の身体も壊してしまうおそれがあります。この時のために介護保険があります。市の包括支援センターか病院のソーシャルワーカー、居宅介護事業所のケアマネージャーに相談するとその状況に応じた対処法を示してくれます。
介護者が疲れて、休息の場を設けてくれるのがレスパイトケアです。介護は身内や知人でもなかなか頼ることが出来ません。そんなときに在宅介護を支援してくれるものがレスパイトケアです。昔は、女性が介護をすることが当たり前で、休息することも考えられていませんでした。しかし、近年は病院やショートステイ、在宅ヘルパーの派遣や通所介護を利用して少しでも介護者が休めるようなレスパイトケアが広がりつつあります。ショートステイは、要介護者が認知症の人から重度の高齢者まで預けることが出来るため、老々介護をしている人や仕事を持っている人にとってはとても心強い在宅支援となっています。

現在の介護保険制度では、要介護1~5の人がショートステイで宿泊できるのは1日から最長30日までです。食事、排泄、入浴などの身の回りの世話やレクレーションなどを行っています。また、短期生活介護では比較的自立している高齢者が対象で、機能訓練も行われています。また、医療管理が必要な高齢者は短期入所療養介護があり、看護やリハビリの医療サービスを受けることが出来ます。
障害者の場合も同様、ショートステイやヘルパーの派遣、通所介護などで、一時的にケアを代行するサービスを行っています。家族に休息の場を設けて介護を継続できるようにリフレッシュしてもらえることがレスパイトサービスの目的です。
また、難病を抱える患者に対してはレスパイト入院といって、短期入院をして患者のケアを請け負っている家族の休息、旅行、冠婚葬祭などの時に病院が受け入れます。
金銭的に介護が難しい場合や遠方で来ることが出来ない場合も市の介護保険制度を相談することで様々な支援の仕方を提案してくれます。介護保険制度や障害者支援サービスを十分利用することによってストレスからくる虐待や自殺が減り、在宅介護を長く続けられる可能性があります。

 

 

介護の未来

現実は介護業界の人手不足が解消されていません。それは、介護の人材に対する賃金が低すぎることにあります。若い人の定着率が低く、その上、一つの失敗が死につながるケースもあり、リスクも高い仕事です。障害者支援サービスを扱っている施設や在宅支援についても同様のことが言えます。介護の仕事は3Kと言われていて、きつい、危険、汚いと言われています。各事業所も介護報酬の減額で厳しい情況に置かれています。
国の施策としては在宅介護を推奨していますが、若い人の人口が減っている中で高齢者の割合は増えていっていて老人ホームも増えています。老人ホームは生活の場となっているので人手不足は施設の質を下げかねません。介護の未来はあまり見通しが良くないといってよいかもしれません。今の高齢者だけでなく、次の世代も高齢者になった時に若い人が担いきれなくなる可能性があります。

今後、介護保険を扱う事業所が安定した運営や介護サービスを提供できる新たな仕組みづくりが必要となってくるでしょう。
随分介護保険が浸透しましたが、まだ介護保険制度を詳しく知らずにうまく活用できていないこともあります。
これからは、家族が介護保険制度を自ら調べて市の包括支援センターに相談して受けられる介護に関する情報や個々に合ったサービスについてもっと詳しく知ることが大事です。

 

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まとめ

介護の放棄は、介護保険に関する情報不足から一人で介護を担うためにおきる結果です。介護は一人で抱えないで、早めに市に相談して本人の状況や介護者の状況を知ってもらうことです。

介護疲れや用事を担うことが出来るレスパイトケアがありますし、金銭的に難しい場合でも対処法を考えてもらえることがあります。

介護情報を集め、周りに頼ることが介護を乗り切るコツかも知れません。

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